槍ヶ岳 ツアー登山
 


2016年9月13日(火)〜17日(土)
 メンバー:渡邊さん、小笠原夫妻、佐々木さん、櫻田さん、小田中 智
 コース:上高地〜横尾〜槍沢ロッヂ(泊)〜天狗原分岐〜槍ヶ岳山荘〜槍ヶ岳〜槍ヶ岳山荘(泊)〜東鎌尾根〜
     水俣乗越〜大曲〜横尾〜明神館(泊)〜上高地


13日

 北側の方からお迎えし、紫波ICから高速道に乗る。今日の現地の天気予報は雨なので、早いうちにたくさん降ってくれて明日から晴れることを願う。
 岩舟JCTから北関東道に入り、上信越道の横川SAで昼食にする。雲が低いため奇岩が連なる妙義山は見えなかった。
 ようやく松本に着くと雨が降ってきた。沢渡には16時ころ着き、毎回お世話になっている湯の花荘に入る。来る途中に1区間運転を代わってもらったのでだいぶ助かった。
 軽く天気祭りをして休む。

14日(曇りのち晴れ)
 昨夜の雨は上がり曇り空の朝だ。6時に朝食を出していただき、タクシー2台に分乗し上高地へ向かう。昨日からの雨のせいか、連休前のせいか、上高地のバスターミナルはまだ閑散としていた。
 出発前に体操をするが、昨日は1日座席に座っていたせいもあり体の節々が痛い。河童橋からは奥穂高の姿は雲に隠れていたが、上空には部分的に青空が見えている。きっと間もなく青空が広がってくれることだろう。
 横尾の食堂で昼食を食べ、槍沢に入っていく。上空には青空が広がり、念願通り晴れの天気になった。槍沢の沢音を聞きながら、緩やかな登山道をのんびり歩いていくと槍沢ロッヂに着いた。
 手続きを済ませ、まずは生ビールで乾杯する。山での宿泊は何といってもこれが一番の楽しみである。
 まだ連休前のせいかロッヂの宿泊者は少なく、部屋を1室割り当てられゆったりと過ごすことができた。最近、歳のせいか食事が済むと休むようになった。


河童橋にて


新村橋


一の俣にて

タイム:上高地(7:10)→横尾(10:30〜11:05)→一の俣(12:55)→槍沢ロッヂ(13:50)


15日(高曇りのち晴れ)

 食事前に外に出てみると星が出ていた。緩い歩きやすい登山道をゆっくりと歩いて行く。明日に東鎌尾根から下ってくる合流点の大曲から、沢は大きくカーブすると中岳の稜線が見えてきた。
 上空は高曇りではあるが雲がないため主稜線が見え、沢沿いの草は黄色く色づき始めていた。緑と淡い黄色がとても美しい。ナナカマドの実は赤く色づき、秋を感じさせてくれる景色だ。こんな時のんびりと登れるのがまた楽しい。
 下山してくる登山者たちから話を聞くと、昨日まで雨が強くずっと天気が悪かったと言う。今回の日程は昨年の12月から決めている日取りで、もうすでにこの好天を予測していたのかもしれない。(笑)
 天狗原分岐から急な登りとなり、モレーンを横切る所には冷たい水場があり、近くにはウメバチソウが一輪だけ残っていた。まだ枯れる素振りもなく、私たちを待っていてくれたかのように凛と咲いていた。
 モレーンを横切ると景色は一変し、ようやく殺生ヒュッテと槍の穂先が見えてきた。先程から青空が広がり、青空をバックにした槍ヶ岳が美しい。
 坊主岩小屋付近にはほけたチングルマが美しい曲線を描いており、花もきれいだがこの実も素敵な美しさを醸し出している。
 岩が堆積した登山道は急傾斜になり、ジグザグに槍ヶ岳山荘へと続いているのが見える。しかし、登りはこれからが本番で、先はまだ遠い。
 最後の急傾斜では休む回数も多くなったが、全員元気に山荘に着いた。目の前には小槍と大槍がそびえ、上り下りする登山者の姿が見えている。
 宿泊の手続きを済ませ、荷物を置いて山頂へと向かう。ここへ来た時の記憶は、冬の北鎌尾根を登って山頂を越えて来た時と、冬の槍ヶ岳から奥穂高へ縦走の時の記憶しか残ってない。
 レンタルのヘルメットをかぶり岩場へと登って行く。岩場からのルートは登りと下りが別で、マーキングされた矢印に導かれながら登って行く。
 岩質は結晶片岩で固く、傾斜が強くなると浮き石は少なくなり鎖場や鉄梯子があるため危険度は少なく、奥穂高岳に登るよりも安全に登れる。
 積み重なった岩を落とさないように気をつけながら慎重に登っていく。15時近くの時間でもあるためか登山者は少なく、追い立てられることもなく待つこともなくマイペースで山頂に立った。
 神社に安全祈願をし、みんなで握手を交わす。西に大きく笠ヶ岳がそびえ、南に前穂と奥穂、東に常念岳が間近に見えたが、遠くの山々は雲に覆われてあまり見えなかった。しかし、近くの山々がくっきりと見える展望に感動した。
 下りのことを考えると時間的にのんびりもしていられないので、後ろ髪を引かれる思いで下り始める。登る時よりも更に慎重にゆっくり確実に下っていく。
 夕食は缶ビールで乾杯し、山頂での思いを語り合う。食事後、玄関のテーブルでワインを飲む。今日のためにワインと肉を背負ってきたのだが、参加者は3名で寂しい。
 今夜は十五夜である。窓からは丸い月がくっきりと見えている。外は風は無いのであるが、標高が3,080mあるので冷えている。対象物がないので大きは感じれれないが、山で十五夜を見たのは初めてだ。しかも槍ヶ岳の肩で見れたのだからロマンチックである。
 渡邉さんは月と槍ヶ岳が入った写真を撮るため外に出っぱなしだ。素敵な写真を撮れれば良いのだが。


槍沢ロッヂにて


ミヤマトリカブト


槍沢から南岳の稜線


ナナカマドの実


ウメバチソウ


槍沢と槍ヶ岳


イワギキョウ


殺生ヒュッテと槍ヶ岳


コケモモ


黄色に染まった草紅葉


坊主岩小屋にて


チングルマの実


槍の穂先


東鎌尾根と常念岳、蝶ヶ岳


槍の穂先をバックに


山頂直下の岩場


山頂にて

タイム:槍沢ロッヂ(6:00)→坊主岩小屋(12:10)→槍ヶ岳山荘(14:15〜55)→山頂(15:45〜16:00)→槍ヶ岳山荘
    (16:40)


16日(高曇り)
 5時30分の朝食に合わせ起床し朝食をいただく。曇り空ではあるが槍の穂先がくっきりと見えている。下山コースは東鎌尾根なので穂先を右にトラバースしていく。
 奥穂高へ続く稜線の先には、北穂、奥穂の頭が見え、隣には前穂高岳から北尾根が鋭鋒のごとく尖っている。その奥には木曽駒ヶ岳が見え、素晴らしい展望にカメラを向けた。
 岩稜を下っていくと槍から北に伸びる北鎌尾根にしばし見とれる。若い頃の春と冬に登っているが、厳しさよりも楽しかった記憶しか残っていない。昔は怖いもの知らずであったが、年老いてきた今は怖さが先に立つようになってきた。
 岩稜には所々鉄梯子があったり岩場があったりと変化に富んでおり楽しい。今日は朝から膝の調子が悪いため、より慎重にゆっくり下っていく。
 2,595mピークの手前で誰かが「雷鳥がいる」と叫んでいると、その主は私の足元にいたのだった。どこにいるのかしばらく分からなく、気がついた時にはヤブに入ろうとしていた。お腹の毛は白くそこだけが毛変わりしていて丸々と太った雷鳥だった。
 2,595mピークの登りは50m程の長い鉄梯子の登りで、登りきるのに息が切れた。ここで槍・穂の素敵な展望もおしまいである。
 水俣乗越から急な下りで槍沢沿いの大曲に出る。ここからは緩やかな下りになるので緊張感を解き、のんびり下っていく。登山道では草刈り機を持った2名の方が草刈をしていた。こういう方たちのおかげで、我々は心地よく山を登れるのだと思うと感謝の気持ちでいっぱいだ。
 槍沢ロッヂから横尾までは思ったより長かったが、横尾から明神館までの林道はことのほか遠く、夕暮れ間近になってようやく着いた。
 風呂場の窓からは明神岳と北尾根のピークがくっきり見えている。ゆっくり湯船に浸かっていたいが、夕食の時間が迫っているので早々に上がる。
 風呂あがりのビールは何とも言われないほど美味しく、ゆっくり豪華な食事を味わう。


槍ヶ岳山荘にて


大喰岳と前穂北尾根


常念岳と蝶ヶ岳


東鎌尾根の下り


槍ヶ岳山荘と槍ヶ岳


大喰岳、中岳、北穂、奥穂、前穂


北鎌尾根


東鎌尾根と槍ヶ岳

槍ヶ岳山荘(6:40)→水俣乗越(10:40)→槍沢ロッジ(13:00)→横尾(15:00)→明神館(17:15)


17日(晴れ)
 みなさんは食事前に付近を散策したようだったが、私は膝の痛みから布団の中にいた。今日も晴れである。しかし、よく4日間も晴れてくれた。入残前日は雨で、今日夕方からは雨である。
 林道の林の切れ間から青空を背景にした明神岳がきれいに見えていた。林道の暗がりでは野生のサルが道を横切り散歩中だった。昨年の秋は徳沢の向こうに沢山の猿がいたが、今回見るのは初めてだ。
 河童橋で買い物タイムをとり、上高地名物のソフトクリームをいただく。空は高曇りになっていたが、西穂から奥穂への岩稜の稜線がギザギザのラインを描いて見えている。来年もまたこの地を訪れたいと思う。


明神岳をバックに


明神岳


野生のサル


河童橋から ジャンダルムと奥穂



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