真昼岳〜女神山縦走
 


2018年3月7日(土)〜8日(日)
 メンバー:嶋脇さん、小田中 智
 コース:善知鳥集落〜真昼岳南峰西尾根〜南峰〜真昼岳〜兎平〜女神山〜女神平〜女神山北西尾根〜善知鳥集落

 1月に嶋脇さんと女神山から真昼岳の縦走をしようとしたが悪天に阻まれ、女神山の往復になってしまったので、今回はそのリベンジだ。

 真昼岳・女神山は仙北郡美郷町と和賀郡西和賀町の県境にある山で、真昼岳は真昼山地の主峰で標高は1,059m、女神山は953mの山である。
 標高は低いが日本海側の影響を受けるため、冬は風が強く雪深い山である。山は深く、沢には滝が多く、ブナの原生林が見事な山域だ。
 冬山は、岩手県側からは真昼岳・女神山とも林道が長いためアプローチが遠いが、秋田県側からのアプローチは短く、コースと条件によっては日帰りも可能だ。
 北秋田市在住の友人「梅田君こと梅ちゃん」は女神山と真昼岳を周回する縦走コースを発見した。
 仙北郡美郷町善知鳥集落の奥の善知鳥川堰堤を基点として、女神山から流れる水沢と登山道の善知鳥コースがある向沢の間の尾根を登りつめて、女神山山頂に出る「女神山北西尾根」を登る。
 女神山から兎平を経て真昼岳に登り、手前の南峰から向沢と大浅沢の間の尾根「南峰西尾根」を下ると、善知鳥川堰堤に着く冬限定の周回ルートだ。
 条件がよく健脚であれば日帰りも可能であるが、一般的には女神山直下の「女神平」に1泊して縦走するのが山を楽しみながら登れる。
 「女神山北西尾根」の下部には3mの急な岩峰があり、真昼岳「南峰西尾根」は少し急な下りから緩い歩きやすい尾根で、なかなか楽しめる冬道である。

7日(晴れ)
 嶋脇さんと自宅で待ち合わせ、小雪降る天気を秋田へ向かう。仙岩トンネルを越えると雪は止み青空が出てきた。今日と明日の山頂は天気が良い予報である。
 善知鳥集落の最奥の民家近くに車を置く。前回は10cmの積雪をおして先へと突っ込み、下山時には30cmの新雪が積もったため自力で脱出できずJAFのお世話になったのである。
 今回は突っ込まず手前に車を置いた。杉林を抜けると青空が広がり、朝の太陽がまぶしいくらいだ。善知鳥川堰堤を過ぎて沢に入り、2つの沢を渡渉して女神山北西尾根を登って行く。
 急な登りの尾根に取り付き、傾斜が緩くなりしばらく進むと、前方に2つのピークが見えた。女神山北西尾根からはまだ女神山は見える位置ではなく、山の姿からすると真昼岳のように見える。
 地図とGPSで照らし合わせてみると、なんと真昼岳南峰西尾根を登ってきたことに初めて気づかされた。登りだしが女神山北西尾根に似ているせいもあり、沢を渡る時に方向感覚を間違ったのである。1月に登ったばかりなので地図で確認しなかったのが間違いのもとだった。
 ここから戻るわけにもいかないので、今日の宿泊地は真昼岳を越えて兎平手前の鞍部付近だと見当をつける。 712mピークを過ぎて急な登りを終えると尾根は直角に北東に曲がり、森林限界が近づいてきた。
 この辺は新雪が積もったみたいで、枝に凍った雪が太陽に照らされてとても美しい。空は晴れ渡り風もなく暖かで、まるで4月の春山みたいだ。
 今は3月の初めであるが、だいぶ寒さが和らぎ登りやすくなったが、ひとたび荒れると冬山に逆戻りする。この時期からは雨も降るので、一番危険な時期でもある。中間で雨に濡れ上部で風に吹かれると衣類は凍り、低体温症になってしまう。
 森林限界を越えると雪が固めになり、間もなく凍った斜面になった。最近下界では雨が降っていたが、標高800mほどのこの場所でも雨だったようだ。
 白く輝く南峰と真昼岳が見えてくると、緩やかな登りから傾斜が強くなってきたのでアイゼンに履き替える。風は弱く穏やかな天気で気持ちがいい。
 南峰に立つと真昼岳は目の前で、神社兼避難小屋が見えた。この付近でも雨が降ったみたいで雪は氷状になっており、キラキラと日に輝いてまぶしい。
 小屋は山頂にあるにもかかわらず、岩手県側には雪が付いておらず、秋田県側の入り口は埋まっていた。冬の真昼岳に立つのは難しいのであるが、梅ちゃんルートならではの登頂だ。
 真昼岳の北の尾根は和賀岳へと続き、和賀岳は遥かかなたである。嶋脇さんはここから和賀岳への縦走をも狙っているが、数年前の秋に挑んだがブッシュ漕ぎと悪天で敗退した。
 鳥海山はうっすらと見えているが、低い雲が多いため他の山々は見えない。南峰でザックを回収して兎平方面へと下っていくが、雪が深くなったのでスノーシューに履き替える。
 風が吹きつけないところは柔らかい雪で、急な下りの最中に突然胸まで潜った。ここはクラックで、雪に隠れていて見えなく、足の下はさらに空洞があり肩で止まらなかったら3m程潜ったものと思われる。
 嶋脇さんに助けを呼んだが彼もハマりそうなので、右から回り込んでもらい体を支えていただく。ザックが無かったら完璧に埋まっていた。ルートを右に修正して下ると871mピークとの鞍部になり、テントサイトを探す。
 風を避けるため尾根から向沢側へ少し下ったところに良い場所があり、テントを設営する。夕食は嶋脇さんが用意してくれたので調理する。まずは乾杯であるが、嶋脇さんは飲まないので一人で静かに乾杯する。
 シュラフに潜ると妻から電話がかかってきた。駐車した車近くの民家の方が、夕方になっても戻らないので警察に連絡し、警察から救助隊が出動すると連絡があったと言う。こちらは1泊2日で山に来ているので、勝手に変な動きをするなと電話するよう妻に話した。


真昼岳南峰に伸びる西尾根の下部


尾根上はラッセルが少ない


南峰と真昼岳


尾根上の雪庇


枝の樹氷


南峰に向かって


真昼岳 山頂の小屋が見える


真昼岳


山頂から和賀岳へ続く尾根


南峰からの下りを振り返る

タイム:善知鳥集落(7:30)→真昼岳南峰西尾根712mピーク(10:50)→真昼岳南峰(13:40)→真昼岳(14:00)→
    871m手前鞍部(15:25)


8日(曇り)
 テントを撤収し稜線に出ると視界は良いが風が強く、雪は風で飛ばされラッセルはなく歩きやすい。兎平は向沢から夏道が合流し、真昼岳と女神山の中間地点だ。風速は15mを越えて風は強いが展望は良いので、両ピークの山容が美しい。
 868mピークの先の鞍部は平坦地があり風も当たらないので、女神山北西尾根から登り女神平で余裕があった場合、ここに泊まるには最適の場所だ。
 鞍部から90度西に曲がり女神山への尾根を目指すと雪庇があり、低いところを目がけて直登する。尾根の出口は雪壁でスノーシューの爪先を蹴りこんで雪壁を越えた。
 尾根上は雪が固かったがそのまま山頂に向かう。山頂は風の通り道で風速25m程の強風が吹いていた。昨日ルートを間違わないで女神山から登っていたら、今日は兎平で引き返したと思われる。
 間違ったのはショックだったが結果はオーライだった。
 写真を撮ってすぐに下るが雪が固いため、スノーシューでの下りには神経を使いながらゆっくり下る。女神平で一休みして下っていく。所々の風の通り道では風はまだ強く、寒さをかみしめながら尾根を下っていく。
 沢を渡渉して林道をたどると車が見えた。車に乗り込むと小雨が降ってきて、タイミングもちょうど良かった。芸術村 温泉ゆぽぽでぬぐだまり、自宅へと帰る。


真昼岳南峰方面


兎平から女神山


兎平と真昼岳方面


868mピークから女神山


女神山山頂


女神山北西尾根から女神山を振り返る

タイム:テント(6:40)→兎平(7:25)→女神山(10:05)→善知鳥集落(15:00)
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