アポイ岳 ガイド登山 日高山脈の最南端部にあり、固有種の高山植物が豊富!
 
アポイ岳

6月1日(金)〜4日(月) 天 候:曇りのち晴れ 
  メンバー:渡辺 正藏、國本 旗男、千葉 貴子、小田中 智 外27名
  コース:様似アポイ岳登山口〜五合目避難小屋〜馬の背〜アポイ岳〜幌満お花畑〜馬の背〜五合目避難小屋〜
     登山口


 盛岡山想会80周年記念登山として計画され、会長が今一番行きたい山の一つでもあった。
 アポイ岳は日高山脈の最南端部にあり、アイヌ語のアペオイ(火のあるところ)が言語で、羆猟の神事で火を焚いた山と言われている。
 山は810.6mと高さはないが、馬の背(600m付近)にはカンラン岩が見られ、超塩基性の岩質は特殊な植物を育てており、稜線の高山植物は天然記念物に指定されている。
 アポイの名が付く花は、アポイアズマギク、アポイキンバイ、アポイヤブキショウマ、アポイクワガタなどがあり、運が良ければヒタカソウ(キタダケソウに近い)も見られるかもしれない。
 花時は5月末から9月まで途切れることがなく、特に5月の末から6月中旬は、アポイタチツボスミレ、エゾキスミレ、ヒダカイワザクラ、アポイクワガタ等を見ることができると言われている。

1日(金)
 県北観光のバスで19時に盛岡をたち、高速道に乗る。今回は固有種が咲くアポイ岳のお花見物とあって、総勢31
名の大部隊となった。
 バスの中ではさっそく焼酎を飲み始め、八戸のフェリーに乗り込んで本格的な飲み会となる。

2日(土)
 早朝に苫小牧に着くと霧雨が降っていた。地元の観光バスに乗り込み、海岸線を眺めながら様似へと向かう。
 途中のコンビニで、飛び入り参加の貴子の長男と合流する。網走駐屯地の自衛隊員である。
 登山口で記念写真を撮り、総勢33名は一列になって整備された登山道を歩き始める。さすが、日高地方だけあって、熊に注意の看板が目立つ。

出発前のあいさつ
出発前のあいさつ

登山口で記念撮影
登山口で記念撮影

 5月の連休に捻挫した膝はまだ痛かったが、サポーターを巻いての行動なので下りが心配である。
 ゆっくりとしたペース配分をしているので、疲れを知らないおばちゃま達は口も元気いっぱいだ。登山道は整備され、いたる所に指導標があり休憩所もある。
 登山道脇には、エゾオオザクラソウのピンクの花がひっそりと咲いているので、立ち止まってはシャッターを切る。

エゾオオザクラソウ
エゾオオザクラソウ

三合目への登り
三合目への登り

 レンガ造りの5合目の避難小屋に着くと、あいにくガスっていて景色は全く見えない。しかし、雲上には青空がチラリと見えるので、風が吹いてくれることを祈る。
 ここで配給になった弁当を食べる。岩の間にはアポイアズマギクが咲き、白い花弁が時おり風に揺れている。

アポイアズマギク
アポイアズマギク


五合目避難小屋

馬の背への登り
馬の背への登り

 ここからの登山道は岩場交じりの尾根となり、勾配も急になっていく。下を見ると33名の行列は長く、登って来る登山者や下山者に道を譲る。
 登るにしたがいガスも一緒に上がってきているので、晴れる可能性は大きい。馬の背に着いた時にはガスは晴れ上がり、アポイ岳の山頂が初めて見えた。

馬の背からのアポイ岳
馬の背からのアポイ岳

 山頂から左の山稜には三角形の吉田岳、その更に左には三つのピークが連なるピンネシリ山が、青空を背景に雲海の上に尖がっている。

アポイ岳から吉田岳の稜線とピンネシリ山
アポイ岳から吉田岳の稜線とピンネシリ山

 ここで2名の脱落者が出たが、もともと体調が悪く、花につられてここまで登ってきたようだ。
 稜線にはチングルマやハクサンチドリが咲き、ワカランソウしか知らない私には三つ以上の花の名前を覚えることはできない。

アポイ岳
アポイ岳

オマニユキワリ
オマニユキワリ

チングルマ
チングルマ

 すっかり天気が良くなり、咲く花に歓声をあげながらますます急になっていく岩稜を登って行く。残念ながら襟裳岬や太平洋は雲海に隠れ見えないが、ガスがあがってくれたことに感謝する。
 急な登りを終えるとうっすらとした樹林帯の山頂に着いた。山頂は広く日陰になる木があるので、それぞれ好きな場所に陣取りゆっくり休む。
 今回の私のサプライズはイチゴを持参したが、全員分持って来なかったことを後悔した。山で食べるイチゴはひとしおに甘くおいしかった。
 記念写真を撮り、幌満お花畑へと下って行くと、北西の方向に山々が見えたが名前はわからない。

アポイ岳神社
アポイ岳神社

アポイ岳山頂
アポイ岳山頂

山頂での記念写真
山頂での記念写真

幌満お花畑途中から、北西方向に見えるの山
幌満お花畑途中から、北西方向に見えるの山

幌満お花畑途中からのアポイ岳
幌満お花畑途中からのアポイ岳

 お花畑には着くと、時期的に少し早いせいか期待していた花は咲いていなく、期待していただけにガッカリさせられた。
 ここからコースは馬の背の稜線へとトラバースするのであるが、樹林帯の斜面にはエゾオオザクラソウの群落が咲き、ピンクの花弁を眺めながら歩いていると、リスが姿を見せた。

エゾオオザクラソウの群落
エゾオオザクラソウの群落

 呼びとめると3mほど先で立ち止まり、『岩手からよく来た』とばかりに愛嬌をふりまき歓迎してくれているみたいだ。

出迎えてくれたリス
出迎えてくれたリス

 稜線に出て岩場を下って行くと、しだいに膝が痛くなってきた。

五合目手前の稜線
五合目手前の稜線

 アポイ岳のコースは短時間で登り下りできるのであるが、ペースがゆっくりなのと鑑賞時間が長いのでだいぶ時間を食っており、すでに夕方になろうとしている。
 三合目を過ぎると元気だった話し声も聞こえなくなっていた。

タイム:登山口(10:00)→五合目避難小屋(11:50〜12:20)→馬の背(13:20〜30)→アポイ岳(14:10〜40)→馬の背
    (15:30)→登山口(17:50)

 今夜の宿泊はアポイ山荘であるが、山荘と言う名前に反して立派なリゾートホテルだ。さっそく風呂に入り、19
時から懇親会が始まった。
 汗を流した後のビールは格別で、ビールとワインで話は盛り上がり、従業員の迷惑も考えず22時頃まで続いた。部屋に戻ると、メンバーの組み合わせが悪かったせいか、宴会は24時まで延々と続けられた。

3日(日)
 昨夜の飲み過ぎがたたり意識はもうろうとしていたが、朝食を食べるとだいぶ落ち着いた。今日は観光日となっているため、8時過ぎにバスに乗り込む。
 何も無いと言われる襟裳岬に行き、風速25mの風を体験する。霧のため景色も見えず、アザラシも見えず?、まさしく何も無い襟裳岬だった。
 道の駅みついしで昼食であるが、その頃には二日酔いもすっかり回復し、生ビールで乾杯する。
 バスでひと眠りすると札幌の大倉山シャンツェに着いた。札幌は天気が良くすがすがしい中リフトで展望台に登り、オリンピックで燃えたジャンプ台や札幌市内を眺める。ウインタースポーツミュージアムでは、シュミレーションでジャンプ体験をして飛距離を競う。
 札幌から苫小牧に移動し、なごみの湯で豪勢な夕食となり乾杯する。霧の苫小牧の夜はまだ肌寒い。
 苫小牧港からフェリーに乗り込むと、またまた乾杯となるが、さすが昨夜は飲みすぎたせいもあり、体はアルコールをあまり受け付けなかった。

4日(月)
 昨年の富良野岳登山の時にはフェリーから朝日を眺めれたが。今回は霧のため残念ながら見えなかった。
 八戸港から県北観光のバスに乗り、7時頃盛岡に着く。

 アポイ岳の高山植物の見頃には少し早かった気がするが、登る度にガスも上がり、馬の背に着いた時にはすっかりと晴れ上がった天候と景色に感動した。
 登山には疲れず、飲み疲れという感はあったが、たまにはこのような登山も良いもんだと思った。
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