岩木山 大石赤倉コース 敗退
 


2021年3月17日(水)〜18日(木)
 メンバー:嶋脇さん(青森県)、小田中 智
 コース:大石神社〜赤倉コース〜鬼ノ土俵〜聖観音 往復


 岩木山大石赤倉コースから登り、嶽温泉へ縦走の依頼をいただいた。登山ルートと下山ルートは180度反対方向なので、車2台で向かい車を回収することにした。このコースは昨年5月始めに歩いているが、冬に歩きたいとの希望があった。
 盛岡を夜中のスタートはきついので、前日に岩木山周辺に入ることにし、夜は付近のコンビニ駐車場で車中泊することにした。

岩木山(1,625m) 日本百名山

 弘前市と西津軽郡鰺ヶ沢町に位置する火山で、青森県の最高峰である。その山容から津軽富士とも呼ばれるほか、「お」をつけて「お岩木山」あるいは「お岩木様」とも呼ばれる。
 山は円錐形の成層火山で、山頂は三つの峰にわかれており、弘前側から見た右が巌鬼山、左が鳥海山とされるが、これらは火山活動により生じた外輪山の一部であり、山頂に一等三角点が設置されている。
 もともと山頂にあった直径800mの破壊された火口に溶岩ドームが生じて、現在の三峰のもとになり、それらの溶岩ドームは1万年より新しい。岩木山の西麓や南麓にも3個の側火山があり、他にも山腹に多数の爆裂火口がみられる。
 また、 山頂から北東にある赤倉沢の馬蹄形火口は大規模な山体崩壊を示しており、北東山麓の岩屑なだれ堆積物には、かつての崩壊の影響による多数の流れ山地形がみられる。なお、岩木山の地質は安山岩からなる。
 比較的新しい火山のため、高山帯と広葉樹林帯の間に針葉樹林帯が見られず、ダケカンバがそのまま矮小化していく特異な光景が見られる。特産種であるミチノクコザクラ(ハクサンコザクラに近縁種で花がより大型である)と、本州では数少ないエゾノツガザクラなどの高山植物が自生している。
 古くから山岳信仰の対象とされ、山頂には岩木山神社の奥宮が置かれた。江戸時代には弘前藩の鎮守の山とされ、歴代の藩主が岩木山神社に寄進を行ったため、その社殿は荘厳なものとなり、「奥の日光」とも呼ばれた。

16日
 今日は現地に泊まるだけなのでのんびりと下道を走ることにし、13時に自宅を出発する。走り始めて間もなく車の調子が悪く、アクセルを踏むとガクガクと振動し始め、間もなくそれが頻繁になってきた。
 途中のディーラーに寄り修理するのに時間がかかってしまったので、高速道を走って行く。山麓に着いた時は暗くなっており、風呂に入ってのんびりもできないのでコンビニの駐車場に泊まった。
 車が治ってくれたので良かったが、半分はあきらめていた。もう古い車で20万キロ近く走っており、いつ壊れても仕方がない車であるが、自作のベットにトイレもあるので車中泊が快適なので手放すことはできない。ようは車を買い替える金が無いのが本音である。

17日(曇りのち風雪)
 嶽コース登山口6時半に待ち合わせしているので、買い物をして向かう。山容は7割ほど見えており、まずまずの天気だ。今日は鬼ノ土俵までしか行かないので余裕である。その先は樹木が無く、風が強いとテントが張れないのである。
 嶋脇さんの車をデポし、私の車で赤倉山神社へ向かう。除雪は大石神社までで終り、多くの踏み跡をたどって行く。赤倉山神社を過ぎると踏み跡は少なくなったので、半分は神社への参拝者のものなのだろう。
 雪は思ったより少なく、前半は雪が多かったはずであるが、その後雨が大量に降って積雪が少なくなったと思われる。今回は足元をワカンにしたが、雪は硬めなのでほとんど潜らなく快適だ。
 行者小屋から夏道を離れ、左の尾根に登って行く。しばらく小枝が邪魔で歩きにくいが天気は穏やかで、間もなく細いブナ林に入った。緩やかな登りのブナ林が伯母石まで続くが、細いブナの木は真っすぐに伸び、まさしくブナの美林である。
 伯母石からは尾根となり風が強くなり始め、左の沢状へと立派な雪庇が張り出している。しばらく前のトレースが残っており、冬も登山者がいるようだ。岩木山はスキー場や神社があるため長い林道歩きが無く、アプローチが短いため山へ入りやすいのだろう。
 ここを過ぎると林は無くなり、これ以上風が強くなるとテントが張れなくなるが、鬼ノ土俵まで行ってみて駄目ならここまで戻ることにした。
 30分ほどで1,070mの鬼ノ土俵に着き、細い木の根元を整地してテントを張り始めると、しだいに風が強くなりテントが凧みたいに飛ばされてポールが折れてしまった。テントを畳んで下へと下って行く。
 伯母石の少し上の950m地点の木がある所にテントを張る。ポールは折れたままでもなんとか張れたので助かった。
 15時過ぎとまだ早い時間だが腹が減ったので夕食にし、食べて飲んだら寝ることにする。今回の食料はコンビニから買った温めると食べれるものだが意外と美味しい。いつもは生もの中心だったが、これもアリだなと思った。

























タイム:大石神社(8:10)→行者小屋(9:15)→伯母石(11:30)→鬼ノ土俵(12:50)→950mテント場(14:30)


17日(曇りのちブリザードのちホワイトアウトのち曇り)
 4時過ぎに起床するが、昨夜は風の音が強かった。あのままテントが張れていたらイヤな夜を過ごしたかと思うと、かえってポールが折れたので良かったかもしれない。
 今日は昨日とはうって変わって、青い空と日差しがある穏やかな天気だ。鬼ノ土俵では風は弱いかわりに視界があまり良くない。しかし100m先がかろうじて見えるくらいなので、冬山にしては良い方ともいえる。
 登るごとに視界は悪くなり、10mから5mとなったが風が弱いのでまだ大丈夫だ。ここはやや幅が広い尾根上で、右の赤倉沢に落ち込むラインが何とか見えている。
 赤倉御殿の稜線が近くなってくると視界は3mとなり、間もなく稜線に着いた。視界はだいぶ回復したが風が出てきて、風速は15mほどになった。1,547mピークを右からトラバースしていくと、ますます風は強くなりブリザードになった。
 聖観音がある鞍部に着き、食事をしこれから先のことを考える。ここから先はまともに西風が当たり、更に風も強くなると思われ、ブリザードで視界も悪くなり急斜面もある。ここまで来て残念であるが、ここから引き返すことにする。
 赤倉御殿の稜線から下り始めると、風は無くなったがホワイトアウトになった。方向を確認し左の沢への落ちる境を確認し、ゆっくりゆっくり下ると視界は徐々に良くなってきた。後はのんびり下るだけである。
 伯母石まで下ると、下界は天気が良いようだ。行者小屋への急な斜面を尻滑りで下る。今シーズン初めての滑りであり、これからは尻滑りが楽しい時期である。
 岩木山神社前の食堂で遅い昼食を食べ、嶽温泉の西澤旅館で温泉に入り、一路矢巾へと向かう。
 今回は、設営中に強風でポールの折れ、ブリザード、ホワイトアウトといろんな場面に遭遇し、真冬並みの厳しさを体験でき楽しい山行だった。いまは3月中旬で、下界は春めいてはいるが、山は荒れるとまだ真冬である。


朝、テン場から


樹霜


鬼ノ土俵


樹氷


撤退の途中


鬼ノ土俵からの下り


行者小屋へと尻滑り

タイム:テン場(6:40)→聖観音(10:00)→行者小屋(13:15)→大石神社(14:20)
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