和賀岳・乳頭山 ガイド登山
 
和賀岳
和賀岳

2014年8月18日(月)〜19日(火) 
 メンバー:加藤さん、高橋さん、小松崎さん、小川さん、小田中 智
 コース:18日/高下登山口〜高下分岐〜和賀川徒渉点〜こけ平〜和賀岳 往復
     19日/孫六温泉〜一本松コース〜乳頭山〜田代平山荘〜孫六温泉


 登山教室で和賀岳登山を募集したところ、東京の加藤さんから参加するとのご依頼をいただいた。そして友人2名も同行してくださることになり、せっかくだから1泊してもう1山登りたいとのありがたいご依頼となった。
 翌日の山をどこにしようか悩んだが、泊まるなら温泉、当日帰るための半日登山を考えると、乳頭温泉泊まりの乳頭山登山とした。
 和賀岳は高下分岐から一旦沢に下り、和賀川の源流を徒渉し、こけ平への急な登りで稜線に出て山頂に達する。下山では和賀川から高下分岐への登り返しがある。ブナ原生林の緩やかな登りと急な登り、和賀川源流の徒渉(時期と天候によって水深が変わる)、こけ平のお花畑、和賀川を挟んでの高下岳と薬師岳の間の稜線、平坦な山頂とコースや展望に変化がある登山が楽しめる山だ。
 乳頭温泉郷は全国的にも有名な秘湯が集まる温泉で、秋田駒ヶ岳と乳頭山の登山口でもある。乳頭山は沢沿いを登る一本松コースと田代平湿原がある孫六コースがあり、頂上を挟んで周回できる。高山植物が豊富で、山頂から秋田駒ヶ岳の縦走路の脇には、池塘で有名な千沼ヶ原がある。
 当日早朝に前泊しているホテルに迎えに行くことにした。

18日(曇り時々小雨)

 昨日まで降り続いた雨は、朝にはようやくあがっていた。和賀川徒渉時の水量が心配であるが、行ってみないことには状況は分からない。無理なようであれば高下分岐まで戻って、高下岳へ登ればよい。
 5時半にシティホテルに迎えに行き、盛岡の小川さんとの待ち合わせ場所に向かう。紫苑手前のコンビニで小川さんと合流し、御所湖湖畔を走っていると、御所湖に朝霧が立ち込める幻想的な景色が見えた。
 高下登山の入口を通り過ぎてしまい、戻って林道を走る。昨夜までの雨のため林道は水たまりは多いが、高下川の水は増水してはいなかった。この分なら和賀川も大丈夫そうである。
 登山口の手前で行き止まりのため車を停め、ゆっくりと歩き出す。登山口から登り始めると、道脇には色々な毒キノコ?が生えている。小雨がぱらついたり止んだりと微妙な天候であるが、カッパを切るまでではない。
 急な登りから赤沢分岐の稜線に出ると、登山道はブナ並木となった。和賀山塊のブナの原生林は見事である。紅葉期や冬期は特に見事である。私的には雪に埋もれたブナ林が好きである。
 分岐から和賀川へと下ると、やはり水量は多くなく渡れそうだ。用意した漬物用のナイロン袋をみんなに渡し、靴の上から履いてもらう。私はスパイク長靴なので、そのまま石を拾いながら渡っていく。みなさんも渡り終えたが袋が破けキャッパリをしていた。袋を二重・三重にしないと弱いみたいだ。
 テン場からいよいよ急な登りが始まる。小雨が降ったり止んだりとなったのでカッパを着る。ゆっくりゆっくりと登り、時々立ち休みをしながら高度を稼いでゆく。対峙する高下岳への稜線は雲に覆われ見えない。
 掘れた登山道から急な登りを終えると、ハクサンシャジンとアキノキリンソウが咲くこけ平に着いた。トンボが飛び交い、山は秋の花が主流となり、夏の花は枯れかけている。山はすでに秋である。
 稜線をたどると背丈が高いハクサンフウロの群落、ハクサンシャジンとキリンソウのお花畑と、天気はイマイチではあるが、お花の歓迎は素晴らしい。
 山頂は風も弱く雨も止み穏やかな天気ではあるが展望はない。でも、みなさんは今まで目標だった和賀岳の山頂に立てたことの意義が大きいみたいで嬉しそうだった。握手をして喜びを分かち合った。
 軽い昼食をしながら、熱いコーヒーを飲む。冷えた体に、コーヒーはとても美味しかった。時間が押していたので食事をして早々に下山にかかる。
 標高1,440mの山頂ではあるが、登りは急登で、しかも大きい登り返しもあるため体力的にきついコースである。マイナーな山ではあるが、マイナー嗜好の好き物にとっては満足できる山である。
 和賀川を徒渉して、高下岳分岐への登りにかかる。分岐で一休みすると駐車場まで一気の下りだ。今日は乳頭温泉まで行かなければならないが、それも成り行きである。
 駐車場に着くとウマサシが沢山いて閉口するが、ドアを開けるとすぐに入り込んでしまった。カッパを脱ぐと汗のため乾いている部分がないほど濡れてい。
 孫六温泉に連絡をして到着時間の遅れを伝える。宿に着いた時は19時半頃になっていた。
 時間が遅くなってしまったので、まずは食事にする。ビールを飲むためジュースを飲まないできただけに、一杯目のビールは死ぬほどに美味しかった。
 食事後、入浴のため外に出ると夜空は満点の星空で、明日の好天を約束しているかのようだった。

御所湖にたちこめる朝霧
御所湖にたちこめる朝霧

登山口
登山口

赤沢分岐先のブナ林
赤沢分岐先のブナ林

和賀川の徒渉
和賀川の徒渉



ミヤマアキノキリンソウ
ミヤマアキノキリンソウ



ウメバチソウ
ウメバチソウ

ハクサンシャジン、ミヤマアキノキリンソウ、ハクサンフウロのお花畑
ハクサンシャジン、ミヤマアキノキリンソウ、ハクサンフウロのお花畑

和賀岳への稜線
和賀岳への稜線

山頂にて
山頂にて

山頂下のお花畑にて
山頂下のお花畑にて

大きく見事なキノコ
大きく見事なキノコ

和賀川徒渉点
和賀川徒渉点

タイム:登山口(7:20)→高下分岐(8:45)→和賀川徒渉点(9:30)→こけ平(12:20〜30)→和賀岳(13:45)→和賀川徒渉
    点(15:35)→高下岳分岐(16:35)→駐車場(17:40)


19日(小雨)
 朝起きた時には霧雨だったが、朝食時には強い雨となった。昨夜の満点の星空はなんだったんだろうか?食事後すぐに出発の予定であったが、しばらく様子をみることにする。 この雨では登るのも大変なので、このままの状態であれば登山は諦めざるおえない。
 しばらくすると霧雨程度になったので、車に戻って出発の準備をする。地元の登山者も準備をしていた。一本松コースを歩き始めるが、黒湯温泉の川沿いが工事中で登山道が不明瞭だ。
 昨年に比べると笹がかぶっており、刈払いがされていない様子だ。一本松沢を徒渉すると天然の温泉があり一休みする。笹がかぶって濡れるのでカッパの上着も着る。
 登り出すとアジサイが咲いており、淡いブルーが鮮やかだ。登るごとに傾斜は急になっていくが、花も種類が増え雨の雫で花弁が輝いて見える。展望台の手前からは風が出始め、視界も悪くなってきた。
 この付近からは秋田駒が望めるのだが、今はガスで何も見えない。間もなく山頂に着くが、風が幾分あるので写真を撮り早々に下る。下り始めるとすぐに風が強くなってきた。さっき山頂に立った時が一番穏やかな天気だったようだ。
 田代平分岐を過ぎると登山者とすれ違った。田代平山荘で昼食とし、ゆっくり休む。湿原もガスが立ち込めていたが、花たちは歓迎してくれ、ピンクのアザミがとても素敵だった。
 小屋からの下りは水たまり道がしばらく続くが、こんな時のスパイク長靴は快適だ。ゆっくりゆっくりと下って行くと、ブナ林の歩きやすい登山道となり、沢の音が聞こえ始めてきた。孫六温泉はもう間近だ。
 一日中小雨であったが、最近の天候を考えるとまだ良い方だったと思う。水沢温泉でゆっくりと汗を流す。ここのお湯は白いお湯で、疲れや持病に効果がありそうなお湯だ。
 お客様は夜行バスで東京に帰るので、田沢湖を一周して見物し盛岡へと帰る。駅前でお別れし家路につく。

孫六温泉
孫六温泉

黒湯温泉
黒湯温泉

一本松温泉
一本松温泉

エゾアジサイ
エゾアジサイ

ゴマナ
ゴマナ

ハクサンシャジン
ハクサンシャジン

ウメバチソウ
ウメバチソウ


タテヤマウツボグサ

ヨツバヒヨドリ
ヨツバヒヨドリ

ヤマハハコ
ヤマハハコ

キオン?
コガネギク

乳頭山山頂にて
乳頭山山頂にて

アザミ
アザミ

田代平湿原
田代平湿原

タチギボウシ
タチギボウシ

ウサギギク
ウサギギク

孫六温泉
孫六温泉

孫六温泉
孫六温泉

タイム:孫六温泉(8:40)→一本松温泉(9:30)→乳頭山(11:35)→田代平山荘(12:15〜40)→孫六温泉(14:15)
 
 せっかく遠くから来ていただき2日間とも天気はイマイチだったが、その後も本降りの雨が続いたので、条件は一番良い時に登ったようだ。
 花も終盤を迎えていたが思ったよりも美しく咲いており、満足していただけたように思う。
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