北穂高岳〜奥穂高岳〜前穂高岳 縦走
 


2018年8月17日(金)〜21日(火)
 メンバー:吉田さん、小笠原さん、小田中 智
 コース:上高地〜横尾〜涸沢小屋(泊)〜北穂高岳〜涸沢岳〜穂高岳山荘(泊)〜前穂高岳〜岳沢〜上高地

北穂高岳3,106m、奥穂高岳3,190m、前穂高岳3,090m
 北アルプス南部に位置する穂高岳は、標高3,190mで日本第3位の高さを誇り、北アルプス最高峰となる奥穂高岳をはじめ、西穂高岳、前穂高岳、明神岳、涸沢岳、北穂高岳などからなる穂高連峰の総称である。
 峻険な岩稜を従えてそびえ立つピークと、滝谷や屏風岩など日本有数の岩壁、涸沢や岳沢などの優美なカールには雪渓が残り、高山植物のお花畑が広がる。また、紅葉は日本三大スポットに数えられる名所だ。
 訪れる登山者を魅了する山岳美と迫力は、名実ともに日本アルプスを代表する。今回は、上高地を起点に涸沢圏谷を経て、北穂高岳、涸沢岳、奥穂高岳、前穂高岳をめぐる魅力あふれる岩稜の峰々を縦走するコースを選んだ。
 宿泊する穂高岳山荘は涸沢岳と奥穂高岳の中間にあり標高は2,996mと高所にある山荘だ。正面には前穂高岳から下がる北尾根は8つのピークを持ち岩稜や壁が続くき、今なお人気のバリエーションルートだ。山荘からは、運が良ければ素晴らしい星空が見れるロマンあふれる天空の山荘だ。

 4月上旬に、第3腰椎骨折、右膝脛骨骨折、右膝後十字靭帯断絶の怪我をし、退院して3ヵ月間独自のリハビリとトレーニング登山を重ねて、憧れの岩稜縦走の日程に間に合わせた。

17日(晴れ)
 吉田さん、小笠原さんの自宅を回り今夜の宿である「沢渡温泉 湯の花荘」を目指す。福島を過ぎると暑くなり、トイレ休憩で外に出ると湿度の高い暑さがムッとする。
 運転を交代していただきながら、約10時間かかって沢渡に着いた。昨日までずっと天気が悪かったと言われ、ちょうど良い時に訪れたものだ。まだツキは落ちてないようだ。 18日(晴れ)
 6時に食事を出していただきタクシーで出発する。今日は土曜日だがお盆が終わったばかりなのか、登山者はまばらだ。
 朝から天気が良く明神の峰々が見え、やがて北尾根から前穂のピークがクッキリ見えている。この景色はなかなk望むことがまれで、これからの好天に期待が持てそうだ。
 横尾の食堂で早い昼食をし、涸沢へと本格的な登りに入る。梢越しに見える屏風岩の岩壁が日に照らされて輝いていて、昔登ったルートを目で追ってみる。
 日差しは強いが木陰は直射日光を遮り、快適にゆっくりと登っていく。涸沢ヒュッテの旗が見えてくると涸沢も間近に感じられるが、これから結構時間ががかるものだ。
 北尾根から前穂高岳、吊尾根から奥穂高岳、白出のコルから涸沢岳と圧倒的なスケールで目の前に広がっている。明日もこんな天気になってくれることだろう。
 涸沢小屋はあまり混んでいなく、布団1枚に寝ることができた。夜中のトイレの際に外に出ると満点の星空だった。


梓川と奥穂から西穂の稜線


前穂と明神岳


新村橋から前穂北尾根


屏風岩


涸沢小屋にて

タイム:上高地(7:20)→横尾(11:00〜30)→涸沢小屋(15:45)


19日(晴れ)
 北穂へと急な登りを登って行くと、長野県県警の救助隊が急いで登って行くとヘリの音がしてきた。北穂直下付近で滑落がありヘリで搬送されたみたいだ。
 後ろを振り返ると前穂山頂へと続く北尾根の稜線がすばらしい景色だ。あの稜線を夏・春・冬と幾度も登った光景が思い出される。もう30数年にもなるが、限りなく遠くなってしまった思い出が懐かしい。
 分岐に荷物を置いて山頂に向かう。山頂からは槍ヶ岳へと続く縦走コース、遠く白馬岳と鹿島槍ヶ岳、快晴の天気ではないが遠くの山々まで眺めれるのがありがたい。参加者の小笠原さんがいるといつも天気に恵まれ、まさしく晴れ男である。
 分岐で弁当を食べ、これからが本番の涸沢岳への岩稜コースに入る。ところどころの岩場の間にはトウヤクリンドウ、イワキキョウ、イワツメクサが咲き、神経を使う岩場歩きに安らぎを与えてくれた。
 左は涸沢への急なガレ場、右は滝谷の岩壁帯とどちらにコケても助かることはない岩稜を、常に緊張しながら歩く緊張感も久しぶりの快感だ。
 涸沢岳の登りは急な岩場があり、岩場歩きが好きな吉田さんは大喜びだ。岩場を乗り越えると目の前にはジャンダルムが見え、涸沢岳からは奥穂からジャンダルムへ続く岩稜、奥穂から前穂へ続く岩稜、どちらも素晴らしく素敵だ。前に来た時にはガスで何も見えなかっただけに感慨もひとしおだ。
 穂高岳山荘で宿泊手続きを済ませ、涸沢を眺めながら缶ビールで乾杯した。夜中、外に出ると素晴らしい星屑が輝いていた。


北尾根


トリカブト


涸沢岳と奥穂高岳


雷鳥


北穂高岳にて


涸沢岳から奥穂への岩稜


槍ヶ岳


イワギキョウとイワツメクサ


涸沢岳への岩場


涸沢岳とジャンダルム


奥穂とジャンダルム


奥穂と前穂


穂高岳山荘からの岩場

タイム:涸沢小屋(7:20)→北穂高岳(12:00)→涸沢岳(16:10)→穂高岳山荘(16:40)


20日(曇り)
 今日は奥穂から前穂を通り岳沢へ下山で長丁場のため、朝食後すぐに行動する。前穂には雲がかかり山頂は見えなく、奥穂では展望が望めることを願う。
 急な岩場を登っていると荷下げのヘリが飛来してきた。登るごとに雲が湧き出て、残念ながら山頂での展望はなかったが、ここから見えるはずのジャンダルムや前穂は昨日たっぷり見せてもらったので、写真を撮って早々に前穂へ向かう。
 前穂までのコースも岩稜帯で、下り始めて間もなくには前穂山頂や明神岳が見えてきた。どうやら雲がかかっていたのは奥穂の山頂だけだったようだ。この眺めの素晴らしさに感動する。
 所々の急な岩場の下りを慎重に下り、鞍部から登りながら振り向くと山頂方面の岩場が見えた。前穂の山頂では展望があることを願う。
 岳沢と山頂への分岐である紀美子平には岳沢から登ってきた登山者がおり、荷物を置いて山頂に向かう。部分的に岩場があり、吉田さんは大喜びで登っていた。
 山頂に着くと北尾根を登ったパーティがおり、羨ましく思って話しかける。さっきまで無かった雲は山頂部分に出て、またしても展望は得られなかったが、充実した岩場歩きと穂高連峰の4つのピークを登ったことで満足だ。
 紀美子平で弁当を食べていると、雲が流れ奥穂方面の岩でギザギザの稜線が見えてきた。紀美子平直下の岩場にはクサリ場があるが、傾斜が緩い滑りやすい岩場なので事故が多いようだ。
 下には岳沢が見えており一気に下っていくのだが、ハシゴやクサリ場がまだまだ多いので小屋に着くまでは気が抜けない。途中小雨にあたるがすぐ止んでくれたので助かった。
 岳沢小屋に着くと紀美子平直下の岩場で滑落がった知らせがあった。このルートは雨に濡れると下山はよほど注意しないと危ないコースだ。
 急な下りで足はガクガクであるが、あと2時間少々頑張らないとならない。また小雨が降りだしてきたが、ここまで来るといくら降られても問題はない。
 河童橋に着いた時には18時近くで、お土産を買いバスターミナルからタクシーに乗ると最終の車になった。3日間の穂高連峰の縦走が終わり充実感でいっぱいだ。私的には病み上がりのせいもあり更に胸が詰まる思いだった。
 宿の風呂でアイシングをして湯船につかると、空腹と喉の渇きが急激にやってきた。風呂上がりのビール一杯はなんと美味しいことか、これが山に来た時の最高の幸せである。


涸沢岳と北穂


奥穂山頂


前穂と明神岳


紀美子平から山頂方面


前穂山頂にて


奥穂方面


河童橋から岳沢

タイム:穂高岳山荘(6:00)→奥穂高岳(7:10)→紀美子平(9:40)→前穂高岳(10:30)→紀美子平(11:40)→
    岳沢小屋(15:00)→河童橋(17:50)


21日(曇り)
 昨夜は疲れのせいか感激のせいか熟睡できなかったが長い時間横になっていた。朝食をいただき盛岡へ向かって車は走り出す。沢渡温泉の宿「湯の花荘」料金が安い割に食事が良いので定宿にしている温泉である。
 来るとき来た道路を走るのはつまらないので、新潟経由で帰ることにする。新潟手前の寺泊にある「魚のアメ横」で昼食と買い物をして、一路盛岡へと走っていく。運転を交代していただいたので昼寝もでき、高校野球の決勝戦を聞きながら走り、19時前には家に着いた。
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