高下岳 冬の和賀岳連峰の山々はひっそりとしているが、山々はとても美しい!
 
高下岳

2月29日(水) 天候:高曇り〜快晴 メンバー:単独
  コース:上大荒沢部落〜高畑登山口付近〜高下岳 往復


 高下岳には昨年の4月、林道が長い高下部落から登っているが、高畑登山口から高下岳を経て根菅岳に行きたかった。
 このコースを厳冬期の内に行きたかったので、天気予報を見ながら、2月の最後に行くことにした。 朝5時前に出るつもりだったが、1時間目覚ましのセットを間違い、6時前の出発となってしまった。最近、夜が明けるのが大分早くなり、うっすらと明るくなり始めていた。
 このコースは初めてなので道路が分からなく、銀河高原への道路に行って見るが、地形から見て違うようだ。戻って沢内の奥へと車を走らせ、民家の方に道を尋ね、上大荒沢バス停から右の道路に入る。
 最後の民家で除雪が終わっており、ここから約3.8kmの林道のスタートだ。天気は高曇りで、正面には高下岳が見える。

上大荒沢部落からの林道
上大荒沢部落からの林道

歩き出しで前方の高下岳
歩き出しで前方の高下岳

 トレースは影も無く、全く登山者は入山していないみたいだ。フリートレックを履き、スノーシューをザックにくくりつけて歩き出す。辺りは静かで聞こえるのは鳥の鳴き声だけだ。
 雪は10cmも潜らないので、歩くには苦にもならない。やがて真っ直続く杉林がありやがて林道は終わりとなったが、登山口は見つからなかった。

真っ直ぐに伸びる林道
真っ直ぐに伸びる林道

 地図を見ると、急な登りを終えると836mピークの尾根に続くので、戻らずここから登り出すことにする。密集した杉林の急な登りを20分程も登ると尾根上に出、木に赤いペンキで測量の印が付いていた。
 細いブナ林からやがて美しいブナ林と変わり、兎の足跡がアッチ、コッチに点々としている。枯れかけたブナ林には猿の腰掛がたくさんくっついていた。

尾根上
尾根上

猿の腰掛
猿の腰掛

 1,066mのピーク付近の登りから雪が深くなり、ゆっくりと沈みながら潜るラッセルには息が切れる。ピーク状に出ると急に視界が開け天気も良くなり、目の前に真っ白い高下岳が見える。その右には岩手山から大松倉山の稜線が真っ青な空に浮かび、後ろを振り向くと美しい三角錐の早池峰山が望まれた。

1,066mピーク手前
1,066mピーク手前

岩手山
岩手山

 天気が良いのでのんびりと写真を撮りながら景色を眺め、こんなにも良い天気に感謝しながら登って行く。風もないので上着を脱ぎ、休憩時にはしばらく山を眺めていた。

頂稜直下から見る高下岳
頂稜直下から見る高下岳

 高下岳頂稜直下から南方の鞍部へは向かわず、太陽で輝く斜面を頂稜目指して真っ直ぐと登って行った。この下りを帰りに滑るのは楽しみだ。
 頂稜に着くと、360度の展望となり、雪庇を張り出した和賀岳が目の前に迫ってきた。雪が硬くなったのでスキーをデポし、頂上に向かう。
 頂上も風はさほどなく快晴で、どこまでも真っ青な空が続き、山々は雪に覆われ白く輝いている。まるで4月の春山の天候だ。
 目の前に白く迫る和賀岳の左には、遠く三角錐の鳥海山が裾野まで見える。南には焼石岳から栗駒山、東には美しい三角錐の早池峰山と薬師岳、北東には岩手山から秋田駒ヶ岳の稜線、北西には今回目標とした根菅岳から遠く森吉山が見渡せ、グルッと2回転しても3回転しても飽きずに、白く輝く山々に見とれていた。

高下岳
高下岳

岩手山から秋田駒ヶ岳
岩手山から秋田駒ヶ岳

和賀岳
和賀岳

和賀岳
和賀岳

鳥海山
鳥海山

秋田駒ヶ岳
秋田駒ヶ岳

岩手山
岩手山

早池峰山と薬師岳
早池峰山と薬師岳

高下岳頂稜〜高下岳南峰
高下岳頂稜〜高下岳南峰

 時間的に根菅岳の往復は無理なので、ここから帰ることにする。5月までの雪がある時期に、1泊して根菅岳から和賀岳まで往復したいと思う。
 スキーデポ地に戻り下りの準備をする。自作の下り用プロテクターを着けると足首が締まり、登山靴はスキー兼用靴に早変わりした。シールを外し、美しき山々の景色に別れを告げ、斜面を滑り始める。

高下岳頂稜
高下岳頂稜

 プロテクターは靴の後ろに体重を預けれるので後傾姿勢となり、ヘッドが上がりスピードをコントロールでき、自由自在に曲がれる。途中で後ろを振り返ると、曲がりくねったスラロームを見てニッタリとほほ笑む。

下りのスラロームを眺める
下りのスラロームを眺める 

 楽しい滑りもアッという間に終わり、スキーが上手くなったと思ったのもつかの間、尾根の下りは雪が重く雪に足を取られ、滑るよりも転んでいる方が長かった。

下りのブナ林
下りのブナ林

 900m付近でスキーをあきらめ、スノーシューに履き替える。スノーシューで下るのは何と速く、スキーで下るよりもはるかに早く大股でドンドン下って行く。
 登り口を夏道でない所から登って来たので、確認のため合流点から測量用の目印をたどりながら、夏道沿いに下って行く。途中分からなくなったので、適当に杉林を下って行くと林道に出た。まもなく登山口らしい入口があったが、標識も見えないので定かではない。雪道の場合はどこでも歩けるので、地図を見ながら目標点さえ間違わなければ頂上に着くのである。
 しかし、県外からの登山者のことを考えると、県道の入口や登山口の案内くらいは欲しいものだ。
 暗くなる頃車に着いた。最後まで空は晴れ渡り、暗くなりかけても高下岳が見送ってくれた。

タイム:上大荒沢部落(7:05)→林道終点(8:25)→頂稜鞍部直下(12:25〜35)→高下岳(13:10〜20)→林道(16:45)→
    上大荒沢部落(17:50)
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