岩手山 焼走り〜鬼ヶ城縦走 ガイド登山
 


2015年7月4日(土)〜5日(日)
 メンバー:木島さん(神奈川県)、小田中 智
 コース:焼走り登山口〜第1噴出口跡〜平笠不動小屋〜岩手山〜不動平〜八合目小屋〜不動平避難小屋(泊)〜
     山頂〜不動平〜鬼ヶ城〜大地獄谷〜七滝登山口


 岩手山焼走りコース上部に群生するコマクサを見て、展望が素晴らしい鬼ヶ城を下り、今も煙をあげる大地獄谷を経由し、七滝への縦走を1泊2日の募集登山として企画した。
 コマクサの見ごろの時期は7月中旬頃であるが、今年はどこの山も高山植物の開花が早いので10日ほど早めた。岩手山はコマクサ以外にも多くの花が咲く、岩手県の百名山である。
 6月早池峰山に来ていただいた、神奈川県の方から応募をいただいた。

4日(曇り時々小雨のち晴れ)
 6時に盛岡駅前でお迎えし、焼走りへ向かう。岩手山にはすっかり雲がかかり望めなかったが、上空は明るい。天気予報では午後から明日にかけて晴れる予報である。
 ゆっくり歩き始めて行くと、小雨が降ってきたのでカッパを着る。第1噴出口跡に着くと、昨夜八合目の小屋に泊まった下山者達が下山していた。岩ガレには大きな株のイワブクロが咲いていた。
 お鉢に続く斜面を左上するザレの登山道を登って行くと、コマクサが現れ始めた。天気も良くなりお鉢が見え、薄日もさしてきた。
 大きな株にたくさんのピンク色の花弁をつけた花びらはとても美しい。登るごとにコマクサの数は増え、上も下もコマクサだらけだ。こんな時期に訪れたのは初めてで、その美しさに感動した。花は今が最盛期で、散り始めている花弁もある。
 樹林帯に入るとコマクサとお別れとなり、登りは急な登りとなる。ツルハシ別れ付近でまた雨となり、カッパを着る。この辺は雪解けが遅かったせいかシラネアオイが群生し、青い花弁を雨のしずくがしたたり落ちていた。
 平笠不動の避難小屋は登山者がいっぱいで、やはりコマクサを求めて来ている登山者だろう。山頂方面は雲に隠れて見えないが、上空は明るいのでそろそろ晴れるはずである。
 登るごとに天気は回復し始め、高度を上げるごとに高山の植物であるイワヒゲやイワウメが咲き乱れていた。外輪の分岐に出ると山頂は間もなくだ。
 美しいものを見るたびに笑顔をくれるお嬢様と握手を交わす。ほんとうに嬉しそうだ。私にとって喜んでいただく笑顔が一番うれしい。遠方の展望はないが、外輪の展望は何とか見えていた。
 左回りで外輪を回り、山仲間であった故 杉村君のレリーフにお参りする。レリーフの近くにはイワギキョウとイワブクロが咲き、この時期は寂しくなさそうだ。
 岩手山神社奥宮に安全登山の祈願をし、ザレ場を不動平へと下って行く。今夜泊まる不動平避難小屋にはすでに先客がおり、スペースを確保して八合目小屋に水くみに行く。
 今夜の夕食は、生から作るビーフシチュー、パスタ、野菜サラダである。ビールとジュースで乾杯し、ご馳走をいただく。お隣の単独「えいじ@」さん、ワンチャン連れの2人、その他にも入り1階は満員となった。
 食後に夕日を見にお花畑方面へ少し下る。オレンジ色に輝く夕日は美しく、一緒に眺める夕日は更に素敵だ。アルコールが無くなった頃、シュラフに潜る。


第2噴出口跡


第1噴出口跡


イワブクロ


ミヤマカラマツ


ベニバナイチヤクソウ
      

ミヤマハンショウズル


コマクサ


コマクサ


ハクサンチドリ


クモマニガナ


シラネアオイ


サンカヨウ


ミヤメンレイソウ


松の新芽


屏風尾根一峰、平笠不動避難小屋


タカネスミレ


コケモモ


イワフイゲ


イワテハタザオ


イワウメ


岩手山山頂にて


妙高岳


内輪と外輪


レリーフ近くに咲くイワギキョウ


レリーフ近くに咲くイワブクロ


故 杉村君のレリーフ


岩手山神社奥の宮と妙高岳


ミヤマキンバイ


不動平避難小屋


色変わりしたハクサンチドリ


不動平からの夕日

タイム:焼走り登山口(7:15)→第一噴出口跡(9:40)→平笠不動小屋(12:10〜35)→岩手山山頂(13:30〜40)→
    不動平(14:35〜15:30)


5日(晴れ)
 朝食後パッキングし、天気も良いので空身で山頂に向かう。青空で天気は良いが秋田駒や八幡平など県内の山々には雲がかかり、遠方の山々は見えないが、すがすがしい朝である。
 不動平から登り始めるとさっそく花が咲いていた。鬼ヶ城のピークに立つと、これから下る鬼ヶ城の全容が見え、うっすらと裏岩手縦走路がかすんで見えている。
 下るごとに数々の花が現れ、なかでもシャクナゲの真っ白い花が美しい。私にとって、こんなに多くの花たちに包まれた鬼ヶ城を歩くのは初めてである。なんと美しい稜線だろうか。
 そして、返り見る稜線や山頂、稜線の岩の間から覗く急峻なお花畑への絶壁と飽きることもなく、もっともっと立ち止まっていたい気持ちと葛藤しながら下る。写真を撮るのは立ち止まるのには良い口実である。
 切り通しから大地獄谷分岐への下りはイワカガミロードだ。分岐から大地獄谷への殺伐とした硫黄の斜面の下りとなり、もう花は終わりかと思うと今度はシャクナゲロードだった。
 そこを過ぎると花も少なくなり、下りに専念する。豪快に水しぶきをあげながら流れ落ちる七滝を見ると、七滝登山口は間もなくだ。七滝でタクシーを予約し、ドンドン下って行く。
 待っていたタクシーに乗り、焼走り登山口に置いたマイカーをを回収する。焼走りの湯で2日間の汗を流し、盛岡駅でお別れする。


不動平から見る外輪


岩手山山頂にて


ハクサンシャクナゲ


これから下る鬼ヶ城


イワカガミと動面木(何の動物に見えますか?)


鬼ヶ城の岩峰


ヒナザクラ


アオノツガザクラ


ウコンウツギ



下った鬼ヶ城


お花畑と黒倉山、姥倉山


ムシトリスミレ


コバイケイソウ


オノエラン


エゾツツジ


ハクサンシャクナゲ


ツマトリソウ


大地獄谷への登山道


急な下りを振り返る


一面に湯花が


ショウキラン


コケイラン


七滝

タイム:不動平小屋(6:15)→山頂(7:00〜10)→不動平小屋(7:45)→切通し(10:25)→七滝(12:25)→
    七滝登山口(13:05)

 コマクサを始め数々の花たちに囲まれて過ごした岩手山は、私は今回が初めてであった。花に合わせて企画した岩手山は今までになく、今年は例年より早い開花であったが運よくピッタリとお花の最盛期に合った。
 素晴らしい、美しいとしか言いようがなく、1泊することで楽しさも倍加したように私は思う。とても素晴らしく幸せな2日間の岩手山だった。
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