神室山東稜敗退 軍沢岳登頂 ガイド登山
 
神室連峰 軍沢岳
神室連峰 軍沢岳

2015年2月8日(日)〜9日(月)
 メンバー:嶋脇さん、小田中 智
 コース:鬼首道路かもしか橋手前駐車場〜軍沢岳〜1,154mピーク先鞍部 往復


 嶋脇さんは4連休のため、行く先の候補を提案したら神室山に決まった。最初は役内からパノラマコースを登るつもりであったが、駐車場と登りやすさから、雪のある時期しか歩けない通称東稜を登ることにした。
 登山道は無く108号から軍沢岳を経て天狗森コースに合流するルートで、軍沢岳からスキーで滑るのに最適のコースである。
 距離的に1泊2日のコースであるが、交通の関係で登り出しが遅くなるし、積雪の状態にもよるので、2泊3日で行くことにした。

8日(曇り時々風雪)
 5時に私の家に来てもらい、紫波ICから高速道に乗り、雄勝こまちICで高速道が終わった。コンビニで買い物をし秋の宮温泉に向かう。
 かもしか橋手前の駐車場に車を止める。山形ナンバーの車が1台あり、登山者が入山しているようだ。国道108号を10分ほど南下するとかもしか橋があり、渡り終えてすぐ右に軍沢岳に向かう尾根がある。
 国道から尾根に上がり、スノーシューを履き登り始める。新しいスキーのトレースがあり、それをたどるとほとんど潜らないですんだ。
 尾根は登りやすい傾斜が699mまで続き、スキーのトレースは2〜3人で朝早くから登ったみたいだ。699mを過ぎると傾斜がきつくなり一気に高度を稼いでいく。
 傾斜が弱くなると太いブナ林の尾根となる。下りのトレースがあり、登った人たちのトレースだろうか?もう昼近くになるので、下ってもおかしくはないが姿は全然見ていない。
 尾根は広くなり県界の稜線へと続き、間もなく軍沢岳に着いた。風はさほどなく、視界もまあまあで穏やかな天気だ。山頂は広くどこが高いか判別できなく、GPSの表示で山頂写真を撮る。
 山頂から県界の稜線を1,154mピークに向かうが途中で、右の枝稜に50m程入ったが気がついて戻る。山頂からはトレースは無く、やはり早くに滑って下ったみたいだ。トレースありがとうございました。
 雪が降り始めてきて、1,154mピークの登りからラッセルとなった。ピークに立った時にはもう16時になっていて、もうテン場を探さなければならない。
 この辺は大きなアップダウンがないため完璧に風を避けられる場所がなく、ピークから下った鞍部(1,070m)の少し沢よりをテン場と決める。明日からは風が強くなるので、いくらでも風は避けたい。
 整地をし、太い木に張綱を結び、テント内に入る。荷物を整理して熱いお茶を飲む。もう5時半になっているが外はまだ明るく、だいぶ日が伸びている。
 今夜のメニューはジンギスカンで、晩酌をしながらいただく。3人用のテントは広く、内張りがあるので保温もバッチリだ。
 今回のシュラフはダブルである。モンベル1番と5番であるが、5番を毛布みたいに掛けるようにすると胸が暖かく快適だった。今年は寒さが敏感に感じ、特に夜は寒さを感じるようになってきた。

108号駐車場
108号駐車場

尾根取付き
尾根取付き

先行者のトレース
先行者のトレース

ブナの尾根
ブナの尾根

県界の稜線
県界の稜線

軍沢岳
軍沢岳

1,154mピークへ向かって
1,154mピークへ向かって

タイム:駐車場(9:20)→軍沢岳(14:25)→1,154mピーク(16:00)→1,154mピーク鞍部(16:25)


9日(風雪)
 夜半から風がで始め、ゴーゴーと風は唸りテントをふっ飛ばしそうな強い風が吹き始めてきた。風は役内沢側から吹き付けているので、稜線上の少し沢よりに設営しているため、稜線を越えて飛ばされる心配はない。心配なのは、木の下に設営しているので、枝が折れてテントを破くのが恐い。それでも風の轟音を聞きながら眠りにつく。
 起床時にもまだ風が強いので、様子を見るべく再びシュラフに潜る。7時過ぎに起きると風もだいぶ弱まり、風の呼吸の間隔が長くなっていた。
 朝食をすませ、梅ちゃんに電話すると、今日と明日は条件が悪いという。明日が条件が良ければ今日は停滞して、明日ここから神室山を往復する手もあるが、明日が悪いのであれば、残念ではあるが今日下山するしかない。
 パッキングを終えると風がまた強くなったので様子を見る。間もなく風がやみ呼吸も長くなったので、下るなら今しかないと外に出る。テントを撤収して下山し始める。
 今日のポイントは2つある。1,154mピークからの下りと、軍沢岳からの下り口である。視界があれば全然問題ないが、稜線は角度をつけて曲がっているので視界が悪いと厳しくなる。
 今朝がたまであれほど爆風が吹きまくっていたのが嘘みたいであるが、それでも条件的には悪い。雪は真っ白のため吹かれると斜面の傾斜が分からなくなってしまう。
 1,154mピークからの下りをクリアし、昨日より新雪が深いラッセルとなる。先が見えにくい稜線を歩くより、ラッセルしながら斜面を登っている方が気が楽だ。
 若い頃、北アルプスなどの冬山を歩いている時は、全天候型の縦走形式で稜線や壁を登ってきた。年老いた今はそんな自信や体力はなくなり、ほんとにやばい時は穴を掘って天気が落ち着くまで待つのが安全であると思うようになった。
 軍沢岳の登りでブリザードのため視界が3mとなり、ストックを長くして前を探りながらゆっくりと歩く。こんな状態でも歩かなければならず、もし道に迷った場合は穴を掘って停滞するしかない。それが一番安全なのである。
 山頂からは視界が回復しGPSで現在位置を確認しながら下っていく。昨日はラッセルがなかった所も膝下まで潜るが、危険地帯は脱したので、枝尾根に入らないように下るだけである。
 山頂から一段下がると、また強いブリザードとなり風速20m程の強さだ。一時立ち止まりながら下っていくと風はなくなり雪となった。
 やっと下に国道が見えてきた。もう間もなくである。駐車場の車は20cmの積雪があった。
 秋の宮山荘でゆっくり温泉に入り、肉体的な疲れと精神的な疲れをいやす。今夜は家には帰らず湯沢の道の駅で車に泊まるつもりである。
 雪が降り、風で108号の道路でも前方が見づらい。

テン場の出発時
テン場の出発時

1,154mピークへ向かって
1,154mピークへ向かって

軍沢岳へ向かって
軍沢岳へ向かって

傾斜の強い所を下ったところ
傾斜の強い所を下ったところ

駐車場のマイカー
駐車場のマイカー

タイム:テン場(10:20)→軍沢岳(13:00)→駐車場(16:00)

 今回は天気が悪くなることを知りながらの登山であったが、実際に山に入ってみないと分からない部分が大きい。あるラインを境にして上部は天気が良い時もあるのである。
 天気予報を見て天気が良い時ばかりの登山をしていると、途中で天気が悪くなった場合動けなくなってしまう。冬は天気が悪くて当たり前であり、良ければ儲けであると考えた方が普通だ。
 目的は達せなかったが、今回の経験は貴重な体験だと思う。冬山を目指すのであれば、こういう経験を積み重ねることにより厳しさを学び、これからの山行の役に立ち、楽しい山登りができると思う。
 みなさん、冬山が初めての方、テント泊や小屋泊まりを体験してみたい方、ワンランク上の登山をしたい方、私と一緒に冬山に入り、いろんな経験をしてみませんか。
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