鳥海山 吹浦口コース お花見登山
 


2020年7月19日(日)〜20日(月)
 メンバー:中川さん、小田中 智
 コース:吹浦口〜河原宿〜御浜小屋(泊)〜千蛇谷〜新山〜行者岳〜御浜小屋〜吹浦口


 鳥海山登山の依頼をいただいたので、1泊2日で吹浦口から千蛇谷を経て御浜小屋に泊まり、新山から七高山を経て外輪を下る計画とした。
 今年は新型コロナの影響で山小屋は営業していないため、宿泊装備や食料を背負って登らなければならず、しっかり鳥海山を楽しめることと思う。お客様の荷物は、ポーター兼務の私が背負うことになる。

鳥海山(2,236m) 日本百名山、花の百名山
 山形県と秋田県境にそびえる成層火山で、日本海に面し、山形県内の最高峰である。秀麗な山容から出羽富士、秋田富士の名で親しまれている。
 山は中央火口丘の新山(最高峰)を中心に、行者岳、伏拝岳、七高山の比較的新しい東鳥海火山と、火口湖だった鳥ノ海(鳥海湖)、中央火口丘の鍋森を中心とする、笙ヶ岳、月山森、扇子森の西鳥海火山、および山腹に付随する寄生火山からなる複式火山である。
 有史以来度重なる噴火活動が人々の畏怖の的となり、山そのものが火を吹く荒ぶる神としてあがめられ、山岳宗教が発達した。山頂には、大物忌神を祭る「大物忌(おおものいみ)神社」がある。
 日本海から山頂部まで、わずか約15kmの独立峰で、冬の季節風をまともに受けるため、山の方位によっては積雪や風に大きな違いが見られる。
 200種類を超える高山植物の宝庫であり、チョウカイフスマ、チョウカイアザミ、チョウカイチングルマなどの鳥海山特有の植物をはぐくんでいる。また、クマタカやイヌワシが繁殖する貴重な生態系が残されている地域でもある。

19日(雨のち曇)
 5時に盛岡駅前でお迎えして秋田に向かう。今日の仕事は4月以来の依頼で、花が満開の鳥海山ということもありワクワクだ。
 鳥海ブルーラインに入るとガスり始め、吹浦口に着くと雨になった。予報では昼から上がるようなので、この天気では御浜小屋までしか行けないので、雨が止んでから登り始めることにする。大平山荘で時間をつぶし、雨が上がったので昼食を食べて出発する。
 コンクリート化された登山道は水が流れ小川になっている。二人分の寝具と食料を背負ったザックはそこそこに重いが、今日の工程は短いので楽勝だ。
 見晴台からは花が咲き始め、登るごとに花の種類が増えていった。ニッコウキスゲの大きな花弁には雨水の水滴が滴り、いっそう花を引き立てていた。シラネニンジンは下から咲いていたが、御浜小屋までずっと咲いていた。
 河原宿の手前からは青空が出始め、御浜小屋からは外輪山が見え、岩でギザギザになった新山が青空に浮かんで見えた。鳥海湖に下る斜面には一面にニッコウキスゲ咲き、花は今が最盛期のようだ。
 時間が早いので水を汲みながら、ガレ場を真っすぐ湖に向かって下っていった。雪解け水の湿地にはイワイチョウが咲き、可憐なヒナザクラがたくさん散らばって咲き、花の楽園だ。
 小屋に戻てお茶を飲んでいると、宿泊するという若い男女が来て散歩に出ていった。夕食のメニューはステーキとパスタだ。暗くなったころに若者たちと合流すると、青森県からの方で余計に話がはずんだ。


登山道は小川に





ヤマハハコ


ニッコウキスゲ


チングルマ、イワカガミ


ハクサンシャクナゲ


コバイケイソウ


ウサギギク


鳥海湖とキッコウキスゲ


扇子森と新山方面


ヨツバシオガマとニッコウキスゲ


イワイチョウ


鳥海湖と外輪から新山方面


外輪から新山方面

タイム:吹浦口(12:15)→河原宿(14:30)→御浜小屋(15:15)


20日(晴れ)
 朝食を食べ、不要な物は小屋に残して私のザックに荷物を詰めて出発する。朝から天気が良く、玄関からは日本海が見えおり、最近久しぶりに見る青空だ。
 歩き出すと朝日でまばゆい雲の中に山頂部だけが見えている。昨日に見たヨツバシオガマは終わりかけていたが、この付近に咲くシオガマは凛としており、ハクサンイチゲも見ごろの花弁で美しい。
 七五三掛から急登になり間もなく千蛇谷分岐があるが、近年に新道が上にできたようだ。谷には残雪が残っているが今年は少ないように感じる。残雪は上に続いており、左にはギザギザな山頂方面が見えている。
 この千蛇谷は5月から6月にかけてスキーが楽しい斜面である。雪渓を渡る所には目印にトラロープが渡してあり、ガスの時にはありがたい目印となる。
 朝から象潟口から登ってきた登山者が追い越していくが、ほとんどが単独者だ。今は1人の方が気楽に登れるからなのだろう。2人の場合はご夫婦のようだ。私たちは追い越されることがあっても、追い越すととはないペースで登っていく。 
 御室小屋に着くと、昨夜一緒に泊まった若者が朝食をしていた。岩のある所にはこの山の固有種であるチョウカイフスマがひっそりと咲いており、ここまででも数々の品種が咲いていたが、外輪ルートには別の花もたくさん咲いているはずで楽しみだ。
 小屋からはすぐに岩場となりグングン高度をかせいでいく。行側の岩場が狭くなった体内くぐりの先には山頂が見えている。天気が良いので山頂への岩は乾いているが、濡れていると滑りやすい岩場であるが、東北の山には珍しい部分で北アルプスの山のようで登りがいがある。
 山頂からは遠くの山々は雲に隠れて見えないが、晴れ渡った山頂からは日本海が見えている。昨日の天気予報からは想像できない好天気だ。これで梅雨が明けてくれればいいのだが?
 七高山に向かうため反対側から下っていく。岩場が終わると雪渓が七高山への登り口まで続いており、軽アイゼンを持参したが使わずに、ステップを切って慎重に下っていく。
 急な登りで外輪に着いたが、時間節約のために七高山はパスして外輪を下っていく。稜線には多くの花が咲き一面がお花畑のようだ。道脇にアオノツガザクラとハクサンシャクナゲが咲き、斜面には黄色いトウゲブキとコバイケイソウが目立つように咲いていた。
 御浜小屋で荷物をパッキングし下り始めると、長坂道の尾根筋はニッコウキスゲの群落でニッコウキスゲロードだ。飲み水は前から切れていたが、河原宿に流れる雪渓水は冷たく火照った体に冷気を与えてくれた。
 あと2時間もかからないで登山口に着くはずだったが、足に疲れがたまり思うように歩けない状態になり、やっとのことで登山口に着いた。それでもくじけないで頑張って歩いてくれた。
 盛岡発21時近くの新幹線には間に合わない時間になってしまった。これから車で盛岡まであと3時間はかかるのである。
 今の時期の鳥海山は花、はな、花の山で、とても美しく、天気も良かったので心に残る登山になった。


ヨツバシオガマ


ハクサンイチゲ


チョウカイアザミ





咲き終わったチングルマ


カラマツソウ


千蛇谷と新山方面


新山方面


御室小屋


イワブクロ


新山への岩場


胎内くぐりへ向かって


胎内くぐり


新山


七高山


チョウカイフスマ


イワギキョウ


御室小屋と新山方面


ミヤマリンドウ


アオノツガザクラ


ミヤマキンバイ


ハクサンシャジン、トウゲブキ


ニッコウキスゲロードと新山方面


ヒナザクラ


コバイケイソウ

タイム:小屋(5:45)→七五三掛(6:50)→御室小屋(8:50)→新山(9:50)→行者岳(11:10)→御浜小屋(14:00〜20)
    →吹浦口(18:10)
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