蔵王 仙人沢アイスガーデン
 


2023年1月29日(日)〜30日(月)

 メンバー:佐藤 博さん、藤原 豊さん、小田中 智
 ルート:糸滝左ルート(4級+)、大氷柱から左の氷瀑(5級-)


 蔵王連峰仙人沢右俣の糸滝周辺の懸崖に発達する氷瀑群があり、仙人沢アイスガーデンという名前がついている。近年に芸能人が、やらせで登ったテレビ番組が公開されたため一躍有名になった。
 また、リフトの終点からは刈田岳が近いので登山もでき、樹氷原は広く樹氷散策もできる。蔵王ならではの冬の観光地だ。
 アイスガーデンは、蔵王ライザワールドスキー場リフト終点から30分ほどとアプローチが短く、標高が高いので氷結状態が安定し長い期間登ることができる。現在は氷瀑ツアーがあり、土日には結構な観光客とクライマーが訪れる。 昨年ようやく訪れミニ氷柱を登ったので、今回は大氷柱を登りたいため計画した。

29日(曇り時々晴れ)

 4時半に日赤駐車場に集合し蔵王に向かう。一関を過ぎても高速道には雪があり、仙台付近にも積雪があった。山形から登山口のライザワールドスキー場に向かうと、雪は最近降った雪みたいで積雪量はまだ少ないようだ。
 リフトの切符を買うと、帰りはリフトに乗れなく歩かなければならなかった。これは予想外である。スキー場から2基のリフトを乗り継いで終点駅に着くと樹氷はまだ早く、雪が積もった状態の木々だった。スノーシューを履いても膝下まで潜り、刈田岳方面目指してラッセルする。リフト終点はすでに標高1,445mの高さにある。
 昨年テントを張った場所は、リフト終点から仙人沢に沿って20分ほど歩いた標高1,480m付近の樹氷の中である。そこから少し戻って沢に下ると、氷瀑観光コースのトレースにぶつかるのである。
 昨年と同じ場所にテントを張り荷物を整理する。このままテントに入り眠りたい気分でもあり、最近は特に眠くて仕方がない。樹氷の入り口は風を避けられ、快適な場所である。
 我々のトレースを付いて来たクライマーがおり、アイスガーデンに向かうコースはこちらではなく、リフト終点から沢へとトラバースするコースがある。
 下って行くと帰りの観光客がポツポツと登ってきた。沢底から登って行き、前方の氷柱を見てビックリした。大氷柱付近の氷が極端に少ないのである。糸滝には大勢のクライマーと観光客がいた。
 ミニ氷柱に向かったパーティがいたが、予定どおりにミニ氷柱に向かう。下からでは繋がって見えた氷柱は、繋がってはおらず登れない状態だ。ミニ氷柱の右にちょっとした氷瀑があったが、先行パーティがいたので昼飯にして、しばらく空きそうにないので糸滝へ向かった。
 大氷柱の左の15m程の氷柱には、2パーティが取付いていた。 糸滝の正面ルートには2パーティが取付いており、そこの左の陰側が空いていた。誰も登った後がなく、落ちると穴の水たまりにドボンである。
 膝の調子が悪いことを理由に、リード佐藤とおだてると行くというので安心した。年よりはやっぱりトップロープだよね。下部の斜度は85度くらいと登りやすく、上に行くにしたがって斜度は落ちていった。スクリュー6本ほど刺して30mいっぱいとなった。
 次は私の番であるが、トップロープなので安心であるが今シーズン初めてであり、アイゼンのモノポイントはツララ状の氷には刺さりが悪い。昨年のミニ氷柱ではデュアルポイントを使って後悔したが、今回はモノポイントで後悔した。
 藤原ちゃんはアイスを殆んどやってないのであるが、バランス感覚が優れているのでスルスルと登って行った。アイゼンは平爪のクソアイゼンである。下りの途中でアイゼンを落とし、穴が開いた水たまりに消えていった。潜り込んで探していたが見つからず、諦めて上がってくる途中でアイゼンは見つかった。
 もう1回づつ登ると、アルコールがチラつき始めたので止めることにする。やはり土日は人が入るので、仙人沢は平日が良いようだ。明日は月曜日なので混まないことを願う。我々の場合、近くにテントを張ったからといって、遅くまで寝ているので、一番で取付けるとは限らないのである。
 急な登りは足の痛みと消えかけた体力のおかげで、皆よりだいぶ遅れてテントに着いた。テントに入って荷物を整理し、二口飲む酒は格別の味だ。 各自の食料を突っつきあいながらつまみにして乾 杯する。私の献立はイカ刺し、卵焼き、ホルモンのてっぽうで、酒は19度の菊水ふなぐち500mlの日本酒である。
 昔話をしたり、バカ話をしたり、気心が知れた仲間と飲む酒はうまい。これがあるから山も楽しいのである。まだ19時になったばかりであるが、みんな定量で寝ることにする。


ライザワールドスキー場 第二リフト


積もったばかりで氷結していない


樹氷の陰にあたるキャンプサイト


右が大氷柱、左が2日目に登った氷瀑


糸滝正面、ロープの左を登った


大氷柱 真ん中から崩落している


糸滝 左ルート



登る藤原ちゃん


30日(快晴のち吹雪き)

 目が覚めたのは7時で、テントを撤収して出発したのは9時過ぎだった。快晴の青空で風も無く、刈田岳の稜線が美しい。クライミングが終わってから、天場までの急登を再び登るのはしんどいので途中に荷物をデポし、氷瀑までは1つのザックに荷物を詰めて行くことにした。
 さて、ザックを誰が背負うのか、ザイルを誰が背負うのか、それはジャンケンで決めることにした。一番の勝ちは空身、二番目の勝ちはザイル、負けはザックである。ジャンケンポン、ザックは小田中、ザイルは佐藤ちゃん、空身は藤原ちゃんとなった。昔は山と同じくジャンケンも強かったが、今はジャンケンも体力も弱くなってしまった。
 下って行くと平日にもかかわらず4人のクライマーが追い越して行った。今日登るルートは、大氷柱は氷の状態が悪く登られないので、その左にある氷柱である。佐藤ちゃんと藤原ちゃんが先に行き、予定のルートを陣取っていた。
 またまた、佐藤ちゃんをおだててリードを任せた。85度の傾斜を10mほど登ると傾斜が緩くなり、5m先の灌木がビレイ点でロープがぶら下がっている。 難なく登り下ってきた。
 一回戦が終わるともう昼近くで、カップラーメンの昼食を食べる。寒い時のラーメンは格別である。私のいでたちは、下半身が下着にダウンパンツを履きゴアズボン、上半身は下着にダウンジャケットを着てゴアウェアであり、全く寒さは感じられない。
 二回戦は、それぞれがヴァーチカルを目指し、これで終わることにした。他パーティが登るというのでロープを貸し、トップロープにした。いろいろ情報が聞けたので助かった。
 帰る頃には天気も悪くなりかけ、荷物をデポしたところまでの急斜面を、痛い足を引きずりながら登って行く。重くなったザックではあるが、リフト終点までは緩やかな登りである。
 途中から右に向かう新しいトレースがあったのでたどると、観光ガイドパーティのトレースで、下に向かう樹林ルートだという。先に行った仲間に電話で知らせ、途中で合流した。中間ほどのゲレンデに出ると吹雪で寒く、昨日の天気予報通りだ。あの時間で終了したのが正解みたいだった。
 あとは車ですっ飛ばして帰るだけだ。今年は1月中旬まで暖かかったため、17日頃に氷柱が崩壊したということだ。氷が太って安定し始めるのは2月に入ってからで、中旬からが良いのかもしれません。あと登ってないのは大氷柱だが、二口渓谷に興味がある。


快晴の刈田岳方面


左の氷瀑を登った


一回戦で登る藤原ちゃん


二回戦で登る小田中


二回戦で登る佐藤ちゃん
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