岩手山 馬返し 敗退 ガイド登山 岩手県最高峰の岩手山の冬は厳しい!
 
馬返しから望む岩手山
馬返しから望む岩手山

2014年3月21日(金)〜22日(土) メンバー:居谷さん、 小田中 智

 コース:馬返し手前〜馬返し〜三合目〜六合目〜八合目避難小屋〜八合目半 往復

 2月に岩手山を悪天のため敗退していたため、リベンジとして再び同じメンバーで望むことになった。
 しかし、前日の雪が沿岸部が大雪になったため、宮古から来る下野さんが国道の通行止めで来れなくなり、2人での山行となった。

21日(曇りのち風雪)
 昨夜からの雪は数センチであったが、沿岸部では40cm程積もったみたいだ。国道106号の門馬トンネル付近で雪の重みで木が倒れて通行止めだと下野さんから連絡があった。
 残念ではあるが仕方もなく、5時半に居谷さんを迎えに行く。今日は山頂付近で風速15m程の風の予報であるが、ラッセルの方が心配である。先週山想会の先輩たちが岩手山に入山したが、ラッセルが深く一合目までしか到達できなかったとの情報があったからだ。
 柳沢からの林道は15cm程の新雪が積もっていたが、車が1台入った跡があったので、馬返しの中間地点まで入って行く。
 メンバーが急に1人減ったので食料を少なくし、スノーシューを着けて出発する。2月までは雪が少ないように感じたが、3月に入ってから毎週のように雪が降っているため、今は平年並みくらいになったようだ。
 岩手山は五合目までしか見えなく、スノーシューを履いて林道で15cm程潜った。登山道には先週のトレースがうっすらと残っていたが20cm程潜り、トレースから外れると30cm程潜った。
 ラッセルを交代しながら歩いていくが、三合目は遠くなかなか近づかない。通常であればラッセルは四合目までで、それ以降は風に飛ばされてラッセルは少なくなるはずである。
 ようやく三合目に着くと視界は良いようで、風もいくぶん穏やかになってきたようだ。四合目へはいつもながらラッセルが深く、重い雪での膝上までのラッセルはきつい。
 しかし、四合目を過ぎると徐々に風で飛ばされた新雪は無くなり、氷化した雪面が続き、ラッセルは全くなくなった。視界も思ったより効き、快調に高度を稼いでいく。
 六合目の大蔵石まで登るとさすがに風が強くなり始めたが、常時強いわけではなく風の呼吸があった。雪面は氷化しておりアイゼンを履いてもおかしくはないが、踏みつけるとスノーシューの歯型が効くため、片方のストックをピッケルに変えて登って行く。
 時々吹き付ける風は新雪を運び、目の前が見えなくなるが、大きい呼吸のため歩行に大して影響はない。心配なのは七合目からである。あそこは風の通り道で、風雪が厳しい場所だからだ。
 明日の下山のため小枝にマーキングをしながら七合目に着くと、やはり風雪で視界が悪かった。ここから八合目小屋まではコツがあるので条件が悪くても大丈夫であるが、下山時は最も気をつけないとならない所である。
 やがて前方に、遠くにかすんで小屋が見えてきた。小屋に入ると貸切で、寒いのでテントを張り熱いコーヒーを飲む。時間はまだまだ早いが、水を作って夕食の支度を始める。
 今夜の夕食は、サラダとすき焼きである。生玉子もあるし、豆腐とシラタキもある本格すき焼きだ。まずはサラダをツマミにビールで乾杯する。前回は四合目半までしか登れなかったが、ここまで来れば頂上は目の前である。
 鍋をつつきながら話す会話は楽しく、外はゆっくりと暗くなり始めた。日本酒、焼酎を飲みながら、すき焼きをたらふく食べると眠くなってきた。まだ7時になったばかりであるが、シュラフにもぐり込む。
 夜中にトイレに起きると、頑丈な小屋を揺するような強風が吹きまくっていた。明日は好天とまではいかなくても、風が弱くなることを祈りながら再びシュラフにもぐる。

除雪終了点
除雪終了点

馬返し
馬返し

二合目付近
二合目付近

五合目付近
五合目付近

六合目付近
六合目付近

七合目手前
七合目手前

八合目避難小屋
八合目避難小屋

タイム:馬返しへの中間点(6:35)→馬返し(7:40〜50)→三合目(10:50〜11:05)→六合目(13:40〜50)→八合目避難小
    屋(15:30)


22日(風雪のち曇り)
 朝5時に起きて外を見ると、視界もあり風もだいぶ治まっていた。朝食をすませ、持っていく物と置いていく物に荷物を整理して出発の準備を始める。
 アイゼンを着け登り始めると、間もなく視界も悪くなり風も強くなってきた。20分ほど登ると急に足元しか見えなくなってきた。外輪に出るとこれに、風速20m近くの風が予想される。
 視界が2mでは状態が悪すぎるので、残念ではあるがここから引き返すことを決断する。小屋に入って熱いコーヒーを飲むと冷えきった体が温まった。
 パッキングをし直して下山の支度をする。だいぶ前の11月に、山頂の手前で亡くなった故杉村に花を持ってきていたので、入口付近の雪面に花をたむけ手を合わせる。
 七合目は思ったより風が強くなく、昨日マーキングした目印にしたがい、慎重にゆっくりと六合目に下って行く。六合目では視界も良くなり風も弱くなってきた。
 ここまで下れば、まずは安心である。着込んだ衣類を脱いで下って行く。三合目でスノーシューに履き替え、下りながら岩手山を振り返ると六合目から上は雲に隠れていた。
 2度目の敗退。せっかく福島から2度も来てもらったのに、申し訳ない思いでいっぱいである。車に着いても、岩手山は見送ってはくれなかった。

出発時に小屋の前で
出発時に小屋の前で

七合目からの下り
七合目からの下り

六合目大蔵石
六合目大蔵石

タイム:八合目小屋(7:00)→八合目半(7:20)→八合目小屋(7:30〜8:30)→六合目(9:10)→馬返し(11:40〜50)→
    車(12:20)

 お山の湯で汗を流し食事をする。昨年の3月の岩手山登頂後ここで、今は有名になった歌手の福田こうへいさんと偶然会ったことを思い出した。
 居谷さんを盛岡駅に送り届け、来月に白神岳に来ることをお願いして別れる。
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