神室山 西ノ又〜パノラマ周回
 


2022年6月26日(日)
 メンバー:Мさん(埼玉県)、Nさん(静岡県)、Kさん、小田中 智
 コース:パノラマ登山口〜西ノ又コース〜神室山〜パノラマコース〜登山口


 神室山は日本二百名山に選定され、花の百名山として花の宝庫である。西ノ又コース上部の御田ノ神付近に咲くキヌガサソウの群落は日本で有数の群落でもある。
 神室山は別名を鏑山とも言い、秋田・山形の県境をなす神室連峰の主峰である。神室連峰は、東北のほぼ中央に位置する栗駒国定公園にあり、小又山を最高峰に、北の水晶森から南の杢蔵山まで25kmにおよぶ一大山塊で、東北の小アルプスとも呼ばれ急峻な地形が特徴的だ。
 神室山は坂上田村麻呂が東征のおり、開山したと伝えられる信仰の山である。姉妹伝説のある鳥海山との結びつきが深く、修験道の影響が今も色濃く残り、祭神も同じ大物忌神が祀られている。古くからの信仰の山だけに多くの登路をもつが、秋田側の役内コースは、登山口を起点に主峰を踏み日帰り周回が可能だ。

 役内地区から鳥居をくぐり、西ノ又林道を1.8km程走ると登山口に着く。登路の西ノ又コースは、登山口のパノラマコースを右に見送り、林道を沢沿いに歩き始める。西ノ又コースを登り、頂上直下の避難小屋に1泊することにより、渓谷美と御田の神付近の草原のお花畑をゆっくり楽しむ時間ができる。ここにはキヌガサソウの群落がある。
 山頂からは、ひときわ眼を引く三角錐の小又山への縦走路があり、鳥海山、月山、栗駒山の百名山を始め、奥羽山脈の峰々など素晴らしいの展望だ。
 下山路のパノラマコースは、登下降を繰りかえし高度を下げる尾根で、痩せ尾根と展望を楽しみながら尾根歩きができる。

 2ヵ月ほど前に、花の百名山である神室山に登りたいという依頼があった。予備日的なことを含め、登った後は再び盛岡に宿泊していただくことにした。
 当日の3日前の天気予報では、当日は大変な天気なので1日遅らせてもらい、登った当日に帰ってもらうことにした。

26日(曇り)
 朝4時に盛岡駅前に集合したが、少し前にはまだ雨が降っていた。今日の神室山山頂の天気予報は、10時頃から晴れであるが風が強い予報だ。
 高速道を飛ばし、登山口に着いたのは思ったより早い時間だった。まだ6時だというのにすでに車は7台ほどあった。
 西ノ又コースに進んで行くと、沢の近くの登山道は崩れている個所が多かった。最初に見た花はギンリョウソウで、曇り空は青空に変わりかけてきた。
 ブナ林の中ではあるが時折吹く風は爽やかで、西ノ又沢に降りた時に見えた三十三尋の滝は水量が豊富で見事な滝である。渡渉点付近は、いつかの大雨で崩れた跡があり、大量の残雪も残っていた。
 渡渉点の石は滑りやすく、右足をキャッパリしてしまった。いよいよ急登となり胸突八丁坂の登りとなるが、少し濡れているので登りのコースにして良かった。下りはさぞかし滑ることだろう。
 しばらくすると話声がして、6人パーティが下ってきた。昨夜は避難小屋に泊まったといい、昨日も今日も真っ白な世界だったという。前と後の方はガイドの雰囲気があった。
 御田の神手前になるとやっと花が出始め、アカモノの挨拶から始まり、濃いピンクのタニウツギが沢山ありとてもきれいだ。そしてもっともイヤな虫たちも挨拶に来て、以後ずっと付きまとわれて離れなかった。
 御田の神を過ぎると雪渓があり、冷んやりと涼しさが気持ちがいい。稜線への登りになるとキヌガサソウが現れ、群落へと続いて咲いていた。キヌガサソウの群落は神室山の中でここだけのようで、この群落の大きさは日本で有数の大きさらしい。
 稜線ではニッコウキスゲが咲き、ハクサンシャクナゲも現れ始めた。花の時期はちょうど良かったみたいで、数々の花が出てきて、しばしの休憩にもなった。しかし私の癖として、花を撮る時には呼吸を止めてしまうので、疲れる撮影時間でもある。
 山頂は近いようで遠く、たくさんの花に励まされながらやっと山頂に着いた。予報では風が強いはずだったが、雲で展望はないが風は穏やかで昼飯とする。
 下山したら入浴して、新幹線に乗らなければならないので早々に立ち去るが、お勧めはやはり小屋に一泊してのんびりお花観賞が良い。
 前神室山の登り返しも長いが、たくさん咲いているタニウツギを眺めながら登って行く。後は下るのみであるが、このコースにもザンゲ坂という急な下りがあり、総体的にも長いコースである。
 831mピークからの下りは特に長く感じられ、痛めた膝が悲鳴をあげ始めていた。やっと登山口に着くと10人ほどの登山者がいた。
 キヌガサソウの群落は良かったが、終始濃いピンク色のタニウツギが素晴らしかった。どこにでもあるタニウツギではあるが、ここのタニウツギはとても美しく、されどタニウツギだ。
 秋の宮山荘で入浴し、高速道をすっ飛ばすと、7時すぎには盛岡駅に着き解散した。
 天気は数日前の天気予報からすると信じられないような変化で、展望はあまりなかったが山頂の遠望はかろうじてできた。強風なはずの風は穏やかで涼しく、花の百名山にふさわしい花も満喫でき、素晴らしい登山だった。みんなも大満足だった。


第1渡渉点の吊り橋


三十三尋の滝


タニウツギ


ナナカマド


イワイチョウ


稜線出口の雪渓


キヌガサソウ


稜線から眺める神室山


ウラジオヨウラク


ニッコウキスゲ


ハクサンチドリ


ハクサンシャクナゲ


ミヤマカラマツ


山頂と避難小屋


コバイケイソウ


山頂


タムシバ


ツバメオモト


ムラサキヤシオツツジ


登山口

タイム:登山口(6:15)→三十三尋の滝(6:15)→稜線(10:40)→神室山(11:25〜12:00)→前神室山(13:20)→
    登山口(15:55)
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