岩手山御神坂沢大滝 アイスクライミング
 


2019年3月2日(土)〜3日(日)
 メンバー:佐藤 博さん、下野 徳之さん、小田中 智
 コース:御神坂駐車場〜御神坂沢〜大滝 往復

 岩手山南面にある御神坂沢は標高1,100m付近に、大滝と呼ばれる落差50mと言われる滝がある。夏は水が涸れた沢で、昔は沢登りというよりもクライミングの対象として登られていた。
 若いころには私も登っているが、大滝は左の側壁を登るルートがあり、その上には8つ程の滝があり楽しんでクライムできる沢である。
 アイスクライミングの対象としてみたのは4年ほど前に、冬の御神坂展望台より大滝を見た時、滝が凍っていて氷柱になっているのを見た時である。
 その時は自分が登る気持ちはなかったのであるが、2年ほど前からアイスクライミングをしたいと思うようになり、大滝の氷柱を思い出し用具を揃え始めた。
 昔は少しはアイスクライミングの真似事をしたが、本格的なクライミングはしていなかった。今から登るにしてもリードで登るのは論外として、トップロープで遊びたいと思っていた。
 昨年は偵察で大滝に行ったところ、ラッセルなどで取付きまで時間がかかり、氷に触っただけで引き返していた。氷柱は上まで続きクライミングの対象となることが分かった。
 しかし、なかなかパートナーもいなかったが、先月川井の大峠の滝を登ってから、次は御神坂沢大滝に行こうということになり、2年越しで実行できることになった。
 日帰りではトップロープのセットをして登るには時間が足りないので沢で1泊し、初日はザイルのセットをし翌日に登ることを考えた。

2日(晴れ)
 佐藤君を乗せて御神坂駐車場に向かう。街では雪は無いが山にはそれなりに雪があるが、例年に比べると少ないようだ。
 クライミング用具を入れたザックは重く20kgはあるが、トレースがあるのでその分は楽だ。昨年偵察に入った沢への下り口を確認し沢へと下る。
 降りた所は堰堤のすぐ上で、ここに降りるのが一番だ。テン場はここと決めテントを張る。必要なものだけザックに詰めて大滝へ向かう。
 今までは潜らなかったが、テン場から歩き出すと潜るようになり、登るにしたがい潜るようになってきた。ワカンをテン場に置いてきたことを悔いる。
 テン場までの疲れが残り、大滝が遠く感じられる。大滝の岩場が見え始めると沢は開け、大滝の上空は青空だ。大滝に着くと氷は上まで続いており、絶好のコンディションに見える。
 ザイルをセットするため、ザイル3本を持って左の雪の斜面を登って行く。ここを登って行くと大滝の上に出て木で下降用の支点が取れるはずだ。
 40mザイルを木に固定して懸垂で沢に降りる。そのザイルの末端を支点にして、50mザイル2本を下に下げトップロープにするのである。
 まずは下まで懸垂下降するのだが、いつもながら出だしが怖い。氷は上から下まで続いているが、滝の出口が急で雪もあり嫌らしい感じではあるが、トップロープで登るのであるから問題はない。
 下からザイルの片方を引くとザイルは流れるので、トップロープのセッティングは完了で、佐藤君が下るといよいよ登れる。しかし、すでに15時を過ぎており、残念であるがお楽しみは明日にしてテントへと下る。
 刺身とホルモン鍋をツマミにして飲む日本酒は美味しく、語り合うひと時はとても楽しい。


御神坂沢から岩手山方面


堰堤の上のテント場


沢の両側が岩になってきた


大滝の岩峰


大滝の岩峰 氷瀑は岩の陰になっている


御神坂沢大滝


小田中が懸垂下降し始める


佐藤君が懸垂下降

3日(快晴)
 7時ころテントを出発する。私は昨日、皆の登攀用具をザックに入れてデポしてきたので空身である。荷物がないのがこんなに楽かと思っていたら、やがて息が切れるようになってきた。体力不足か年齢のせいか?いやいや両方であろう。
 大滝の岩場が見え始めると背景や上空は青空であり、朝の陽ざしがまぶしいくらいだ。滝には日が当たっているので、寒くもなく快適に氷遊びができそうだ。
 高さ40m、斜度は80度で、氷は水分が含んで柔らか目であるが、アックスが刺さりやすいので快適みたいだ。
 最初は私から登り始める。アックスはグリベルモンスターとシャルレモゼール、アイゼンはぺツルリンクスモノポイントである。前回は90度の大峠の滝を登っていたので、80度のこの滝は登りやすく感じられた。しかし40mは長く、とりあえず3分の2程を登って下る。
 下野さんは、アックスは私のを使い、アイゼンが平爪の歯だ。やはりアイゼンの刺さりが悪いらしく、だいぶ苦戦し5m程で交代する。
 佐藤君は、アックスは購入したばかりのカシンオールマウンテンと私のモンスター、アイゼンはカジタの10本歯である。彼は大峠を初回でクリアしているだけあって、一気に出口まで登って下ってきた。
 数回繰り返しながら、登るスタイルをチェックしながら楽しむ。後ろから太陽の暑さで、下ってくると汗をかいていた。こんなお天気でのアイスクライミングは楽しい。
 アイススクリューのセッティングを練習し、いよいよザイル回収の時間になった。上のザイルは固定してあるので登らなければならないので私が先に登りだす。出口のために下野さんからピッケルを借りてきたが、部分的に雪があるのでピッケルは正解だった。佐藤君が登りザイルを回収し、支点に使ったザイルで雪の斜面を下っていく。
 下野さんはステージに置いた荷物を一段下まで降ろしておいてくれた。あとはテントまで下り撤収し、重いザッ クを担いで駐車場へ戻るのが辛い。車に着いたのは17時を過ぎていた。  御神坂沢大滝は落差40m、斜度80度の氷瀑で、リードで登れば初登になるかもしれない。最近はだいぶ暖かくなって氷が薄くなってきたように思うので、今シーズンは最後にした方が無難かもしれない。





朝日に当たる大滝の氷瀑 上まで40mの高さがある


傾斜80度


小田中が登る


下野さんが登る


佐藤君が登る


ここがかぶり気味で、出口は雪だ


 天気が良く、思い描いたクライミングができて、とても楽しいアイスクライミングだった。64歳の手習いの私はリードはする気もなく、登れれば良いのであるが、思いがけない成果に気持ちが高ぶり、また次の氷瀑を登りたいと思うほどだ。

 梅田君の頼みで、2度に渡って氷瀑の状態を偵察していただいた方にお礼を申し上げます。ありがとうございました。
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