涸沢 紅葉ツアー登山
 


2015年10月1日(木)〜5日(月)
 メンバー:釜石さん(岩手県/80歳)、佐々木さん(岩手県)、鵜沢さん(神奈川県)、昆さん(岩手県)、
      原田さん(岩手県)、小田中 智
 コース:上高地〜横尾〜涸沢〜散策〜屏風の耳〜パノラマコース〜徳澤園〜上高地


 日本で一番の紅葉スポットである涸沢で、紅葉を見るツアーを企画した。
 高所の山には登らず、紅葉を見るためだけに涸沢に2泊し、のんびりとカールを散策しじっくり紅葉を楽しむこと。
 最終日は屏風の耳に登り上から涸沢カールを眺め、パノラマコースを下って徳澤園に泊まること。
 2ヵ月以上前に徳澤園の予約を入れたら満室のため、あいている日に合わせて日程を変更して予約を取った。
 山を登らないで紅葉を見るためのツアーを組んだものの、はたして人数が集まるか自信はなかったが、結局5名が参加してくださった。
 
1日(曇りのち雨)
 鵜沢さんは横尾で合流することなので、他の4名を迎えながら高速道に乗る。天気予報は、明日の昼から好天の予報だ。
 東北道から上信越道を経て松本から沢渡に向かう。2時間ごとに休憩し順調に走って行くと、松本を過ぎたあたりから小雨となった。
 朝早めに出発したので16時頃には沢渡の宿に着いた。宿は、昨年奥穂の時に泊まった「さわんど温泉 湯の花荘」である。源泉掛け流しの風呂で、食事が美味しい宿だった。
 まずはゆっくりと温泉につかりビールを飲む。食事には明日の天気祭りをして早めに休む。
 夜中には台風の影響で風が強く雨も激しくなった。今のうちにたくさん降って、朝から晴れてほしいものだ。


湯の花荘での夕食


2日(曇りのち晴れ)
 5時にタクシーを予約しているので、身支度をととのえタクシーに乗り込む。雨はやんでおり、夜半の風で道には小枝が散らばっていた。
 霧雨が降ってきたのでカッパを着て出発する。河童橋に着くと、清流だった梓川の流れは茶色く濁り水かさも多く、夜半の雨の凄さを物語っている。
 上空には青空が見え、明神岳下部のピークのルンゼからは水が流れ落ちている。上高地を早くに出たにもかかわらず、多くの登山者に追い抜かれていった。
 徳澤園を過ぎると途中合流する鵜沢さんと出会い、ツアーのメンバーが揃った。
 横尾に向かって行くと、野生猿の大群に出会った。猿たちは松の実を食べていて、人が近づいても逃げようとはしない。ずいぶん人慣れしている猿たちだ。
 横尾は涸沢と槍ヶ岳への分岐で、多くの登山者でにぎわっていた。この辺はまだ紅葉に早く、屏風岩の木々も緑色である。
 横尾大橋を渡って緩やかな道を歩いて行くと、左に屏風岩の大岩壁が見えてきた。この岩壁はクライミングする高さが300m程あり、長いルートで20ピッチ近くもある。
 若い頃はクライミングに情熱を注ぎ、この岩壁は夏冬合わせて4本のルートを登っている。今年の7月には滑落によってヘリコプターで救助されて、話題になった岩壁だ。
 本谷橋からは急な登りになり、木々の葉が黄色に色づき始めてきた。登るごとに追い越されながらもゆっくりと登って行く。
 涸沢カールが近くなってくると、やっと赤い色も見え始め、ヒュッテの旗が見えてきた。15時、昭和1桁のお母さんも皆も全員元気に到着した。
 割り当てられた部屋は、別館の敷き布団3枚に6人寝るスペースであるが、これならまだ良い方である。明日は土曜日なのでもっと混むかもしれない。
 テラスからは、北穂高岳、涸沢槍、涸沢岳、奥穂高岳、前穂高岳、北尾根、屏風ノ頭と全てのピークが見え、生ビールを飲みながら眺める。
 期待の紅葉は思ったほど色づきがなく、期待外れだった。夕食事は明日の天気祭りをし、寝どこでも飲みながら皆で語り合う。


明神岳下部の岩峰


野生の猿


屏風岩


屏風岩 東稜と東壁


涸沢と前穂高岳


紅葉始まるカールへの登山道


紅葉する涸沢と涸沢槍、涸沢岳


紅葉する涸沢と北穂高岳、涸沢槍


屏風ノ頭と屏風の耳


ヒュッテから見る涸沢岳と奥穂高岳

タイム:上高地(5:45)→横尾(9:25〜10:00)→本谷橋(11:30)→涸沢ヒュッテ(15:00)


3日(快晴)
 5時半の朝食を終えると、丁度モルゲンロートに染まる時間だ。青空に浮かぶ山々は徐々に赤みを帯びていき、5時59分奥穂から北穂の山々が赤く染まった。素晴らしい光景だ。
 しかし、間もなく終り山々に陽がさし始め明るくなった。今日の散歩は8時出発なのでゆっくりだ。テラスでモーニングコーヒーを飲んでのんびりする。
 ヒュッテ側のナナカマドが真っ赤になっている。今日の予定は、ザイテングラートに向かうパノラマコースを歩き、涸沢小屋からの合流点から涸沢小屋に下り、北穂南稜を適当な所まで登って戻る計画である。
 涸沢カールの万年雪の上で写真を撮り、超ゆっくり登って行く。ヒュッテから見た時はそれほどの紅葉とは思わなかったが、いざ登って行くと綺麗に紅葉していた。
 やはり赤はナナカマドで、高所ではみごとに赤色に染まってとても美しい。木々の近くまで来てその美しさが見えた。この素晴らしさにみんな感動していた。
 振り返ると前穂から続く岩尾根の北尾根が、日に照らされてまぶしいばかりに輝いていた。この北尾根は若い頃、春と冬に数回登っている。高度感があり素晴らしいクライミングルートだ。
 涸沢小屋からの合流点の上から涸沢小屋に下って行く。この道筋も紅葉が美しい。小屋から北穂に向かって歩き始めると、ここも素晴らしい紅葉である。雲はなく日差しが強くそよぐ風は爽やかで気持ちがいい。
 今日は、歩いては立ち止まり、止まっては紅葉と北尾根と屏風を見つめ、また歩きだすというスタイルで、こんな紅葉見物も素敵である。
 北穂沢に合流した付近で北穂に触れたことにして、涸沢小屋へと下って行く。テラスではビールを飲んでいる人たちが多く、原田さんと乾杯する。こんなスタイルはモンブランのテラスにいる感じだ。ゆったりして素敵な時間である。こんな贅沢なハイキングもたまにはいい。
 ヒュッテに行って寝るスペースを訊ねると、昨夜の所に9人だと言われた。敷き布団1枚に3人寝るのである。夜が大変そうだ。しかし、明日は徳澤園の個室を予約しているので、今夜は我慢である。
 テラス前で、冬山のお客さんと出会った。来ることは聞いていたが携帯が通じないの出会うのはあきらめていたが、バッタリ出会ったのである。夕食を一緒にする約束をする。
 寝室に行きちびちびウイスキーを飲んでいると、向かいで聞いたような関西弁の女性が話しており、訊ねるとやはり今年の5月剣岳の御前小屋で飲みながら話した女性だった。これもまた奇遇である。また再会できるとは思ってもいなかった。
 夕食後、我々の寝床にみんなが集まり懇親会だ。とても楽しく盛り上がった。山での人との出会いとふれ合い、酒を飲みながら話すとこれほど楽しいことはない。私はこんな山での触れ合いが大好きだ。
 一緒に寝る9人は、2人が離脱した。3人パーティのお嬢さんは1階の入口、うちの80歳のお母さんは廊下へと居なくなったので7人になった。これで楽勝である。


朝日に染まる奥穂高岳と涸沢岳


朝日に染まる北穂高岳


朝日に染まる涸沢岳と涸沢槍


ナナカマドの紅葉と北穂高岳


万年雪の上で バックは北穂高岳


涸沢岳と涸沢槍


涸沢小屋と北穂高岳


前穂高岳と北尾根四峰


ナナカマドの紅葉と北穂高岳


パノラマコースの紅葉ロード


紅葉と北穂高岳をバックに私


素晴らしい紅葉と涸沢岳と涸沢槍


紅葉と奥穂高岳


前穂高岳と北尾根


4日(曇りのち晴れ)
 今日はパノラマコースから下山であるが、徳澤園で泊まるというオマケ付きだ。徳澤園はコース上中途半端な位置で、泊まることはなかったが、今回は沢渡に泊まるのをあえて氷壁の宿泊まりとしたのだ。楽しみである。
 屏風ノコルへの登りはロープを張った急斜面とクサリ場の岩場があり、初心者には厳しいルートである。向かう屏風の耳は展望が良く、北尾根の稜線、奥穂、北穂、涸沢カールが見える絶景の展望台である。
 歩き始めると次から次と多くの人たちが追い越して行った。やがて急斜面の乗越や岩場が出てきたので、その都度よけては追い越しをさせる。我々はカメであり、急ぐ必要もない。
 慎重にゆっくり悪場を乗り越し、北尾根の稜線に出る。前方には尖がった屏風の耳が見えている。ヒュッテを出る時にはどんより下がっていた雲は、山々が見えるまで上がっていた。
 間もなく槍ヶ岳が雲に見え隠れしていた。屏風のコルに荷物を置き、耳へと登って行くと次から次と下山者が下ってきた。高い位置まで登ると北尾根の全容や涸沢カールが見えてきた。
 登るごとに尾根は細くなり岩場も出てきた。屏風の耳は素晴らしい眺めだ。みんな下った後だったので数人しかいなく、静かなピークで素晴らしい展望だ。北尾根、前穂高岳、奥穂高岳、涸沢岳、北穂岳、常念岳、蝶ヶ岳が一望できた。
 ここの先は屏風ノ頭で、屏風岩を登った時に通るピークだ。若い頃、屏風岩を登った時には通っている稜線である。
 コルに下って昼食にする。数名のパーティがいたが次から次と人が集まり20名ほどの団体となりうるさい。昨日、ヒュッテで結婚式のイベントがあったみたいで、その関連の連中みたいだ。
 パノラマコースを奥又白谷へと下って行くが、赤い色づきは無くなり黄色が少しあるだけだった。奥又白谷まで下ると紅葉は全くなくなった。谷に合流する手前からは前穂東壁と四峰正面壁が見えていた。昔登った記憶をたどってみた。
 新村橋を渡ると、登る時には茶色い濁流だった梓川は、元の清流に戻っていた。間もなく氷壁の宿 徳澤園に着いた。部屋は3人ずつの2部屋で、今夜はゆったり眠れそうだ。
 建物内は重厚感ある色の木材で、おちついて過ごせる雰囲気だ。入浴後は、暖炉があるラウンジで缶ビールを飲む。暖炉のぬくもりを感じながら飲むビールは美味しく幸せなひと時だ。
 食事もおしゃれな盛り付けで味もいい。山の宿にしては良い雰囲気で、この宿に泊まれたことを幸せに感じた。


涸沢ヒュッテの紅葉


パノラマコースの急登


北尾根稜線からの屏風の耳


槍ヶ岳遠望


前穂北尾根と奥穂高岳


涸沢カールの全容


北穂高岳


屏風の耳にて


下る途中からの屏風の耳


常念岳と横通岳


ダケカンバの紅葉


前穂東壁と四峰正面壁


新村橋にて

タイム:涸沢ヒュッテ(7:10)→屏風のコル(9:10)→屏風の耳(10:10)→屏風のコル(11:00〜11.35)→
    奥又白谷出合(13:50)→徳澤園(15:10)


5日(晴れのち曇り)
 昨夜は手足を伸ばしてゆっくり休めた。美味しい朝食をいただき、身じたく後、モーニングコーヒーを飲んで出発する。
 今日は盛岡へと帰るのだが、新潟の寺泊経由で帰る予定だ。海鮮丼を食べお土産に魚を買って帰るのである。
 河童橋のたもとでお土産を買い、奥穂高岳方面を見つめるが雲に隠れて見えなかった。奥穂に別れを告げタクシーに乗り込む。
 湯の花荘に預けた車に戻り、一路新潟へ向かって走る。寺泊の「魚のアメ横」で遅い昼食を食べ、お土産を買って高速道を突っ走る。
 みんなを家まで送り届け、家に帰ったのは23時だった。


徳澤園玄関前にて


前穂高岳と明神岳


明神岳


河童橋にて


梓川と岳沢


 紅葉を見るためだけの涸沢ツアーであったが、屏風の耳と氷壁の宿泊というオマケ付きのツアーになった。
 涸沢の紅葉は日本一の紅葉と称されるだけあって、素晴らしい紅葉と穂高の山々がマッチングして、美しい紅葉と素晴らしい景色を堪能することができた。
 涸沢に2泊してのんびりできたのはとても良かった。徳澤園での宿泊も素晴らしく、今度は家族で訪れてみたい。


おすすめの宿泊所 さわんど温泉 湯の花荘 食事よし 対応よし 源泉かけ流し


おすすめの宿泊所 氷壁の宿 徳澤園 食事よし 対応よし
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