早池峰山登頂 河原坊〜小田越 ガイド登山
 
小田越分岐付近から見る早池峰山
小田越分岐付近から見る早池峰山

2015年1月24日(土)〜25日(日)
 メンバー:下野さん、佐藤 博、小田中 智
 コース:岳〜河原坊〜頭垢離〜山頂避難小屋〜小田越〜河原坊〜岳


 今年初めての早池峰山はどんな顔で迎えてくれるのだろうか?
 下野さんに加え、友人の佐藤君が参加することになった。2人よりも3人の方が、ラッセルも楽だし楽しさも倍増する。
 今回は私にとって体調の心配があった。先日山から帰るとすぐ体調が悪くなり、食事も大して食べれないまま2日間寝込んでしまった。眠って眠って2日間ほとんど寝ていた。23日からまともに食事ができるようになったばかりである。

24日(曇り)
 5時に下野さんを迎え、佐藤君の家に寄って岳に向かう。今年になってから下界ではほとんど雪が積もってないため、岳に近づいても雪が少ない。
 明日は天気が良いはずなのであるが、登山者の車は全然ない。荷物を分担し、スノーシューを履いて出発する。
 先週のトレースに5cm程の新雪が積もっているだけなので潜りはない。曇り空の中に鶏頭山の稜線は梢の隙間から覗いている。
 ラッセルがないはずなのに河原坊への道のりは遠い。やはりアプローチは、スキーの方が楽だし早い。うすゆき山荘付近からはトレースが消えていた。
 河原坊からのラッセルを心配していたが、下地があるため20cm程度のラッセルだ。天候も風がなく、時間がたつほどに上部が見えてきた。
 頭垢離から稜線に上がると後方に薬師岳の全容が見え、前方は頂稜の手前まで見えるようになってきた。足取りは重く時間だけが過ぎていく。
 打石の下方でアイゼンに履き替えるが、雪はあまり硬くはなく所々もぐる。下野さんは冬山として、アイゼンを履くのは今回が初めてである。
 上部には雲が無くなり風もほとんどない。こんな好条件でありながら、登山者は誰も来ない。頂上に着くのは暗くなる頃なので、ヘッドランプを準備しておく。
 上部で暗くなり吹かれたとしても、このコースは迷うところがない。高い方へと登っていくと必ず頂上に着くのである。佐藤君とラッセルを交代しながらゆっくりと登っていく。
 下方には遠野方面の街の明かりがまばたいている。頂上直下で右にトラバース気味に登るところが、ラッセルが深い。病み上がりの私にとってはここが一番きつい。
 ここで雪が深い時にはトラバースしないで左上した方が早く頂稜に出て、苦労しなくてすむ。また下山時のポイントはこの場所なので、往復する場合はここにマーキングがほしい。
 ようやく頂稜に着き、赤い神社が見えた。避難小屋の冬期入口は埋まっており、スコップで軽く掘り下げて窓を開ける。この入口も知らないと見つけれないので注意が必要だ。
 10時間以上かかって頂上にたどり着いた。小屋に入りテントを張る。冬の小屋は寒く、テントかツエルトを張らないと寒くてやってられない。
 必要最小限の荷物だけテントに入れ、まずは熱い飲み物を飲む。コンロ2台を燃やすとテント内はかなり暑くなった。
 今夜のメニューは、サラダとしゃぶしゃぶである。野菜サラダをつまみに、まずはビールで乾杯。キンキンに冷えたビールは胃が凍りそうなほど冷たい。
 冬の高所で、牛肉と豚肉のしゃぶしゃぶも中々オツなものだ。病み上がりの私はビールだけしか飲めず、肉をたいらげて寝ることにする。
 着こんで寝たら暑いくらいだった。今夜はさほど冷え込んでないみたいだ。暑すぎたのか、夜中シュラフから出て寝ていた者もいた。

林道を河原坊へ向かう
林道を河原坊へ向かう

河原坊にて
河原坊にて

コメガモリ沢へと入っていく
コメガモリ沢へと入っていく

頭垢離の上
頭垢離の上

薬師岳
薬師岳

打石への登り
打石への登り

打石
打石

タイム:岳登山口(7:25)→河原坊(11:45)→頭垢離(14:10)→打石(16:20)→早池峰山避難小屋(18:00)


25日(快晴)
 今日は下るだけなので、6時起床とする。下野さんは外に出てウロウロしている。天気は素晴らしく良いみたいだ。
 朝食はうどんとご飯。私だけおかゆである。山でおかゆを食べるのも初めてだ。日の出は6時45分であるが、少し遅れて外に出ると、ご来光から少し遅れた。
 昇った朝日は早池峰山山頂を赤く染め、朱色の早池峰神社奥宮はいっそう赤く輝いている。上空に雲は無く、風もほとんどない。しばし、この素晴らしい光景に見とれる。
 パッキングを終え、小屋を掃除して外に出る。アイゼンを履き、今度はゆっくりと付近の景色を眺める。小田越付近のミニ樹氷は小粒ながら朝日を浴びてキラキラと輝いている。
 中岳から鶏頭山への縦走ライン、小田越から薬師岳、岩手山から秋田駒ヶ岳、和賀連峰、焼石連峰、栗駒山、五葉山と片羽山、宮古の海が朝日に照らされて赤く輝いている。
 早池峰山でこんな光景を見たのは初めてである。明日は私の60歳の誕生日なので、その前祝いの引き出物なのだろうか?いくら眺めても眺めてもただ感嘆するばかりだ。
 ようやく下り始めたのは、しばらくたってからだった。小田越分岐に近づくとミニ樹氷がいっそう美しく見える。大きい樹氷もいいが、ここのミニ樹氷もなかなか素晴らしい。
 岩稜帯を下り、鉄梯子の岩場を左に巻いて、雪の急斜面を下る。天気が良すぎて、景色が美しすぎて、立ち止まっては見とれるばかりだ。
 しばらく下った時、小田越の登山口に下ったのでは遠回りになるので、小田越手前のカーブ付近に出るよう、方向を右寄りに切り替える。
 樹林帯の中でも大して潜らないので、好きな所を歩けるのも雪がある時期の楽しみだ。河原坊でスキーを履いた単独のおじさんに出会った。
 今回初めて出会う登山者だ。軽装で時間も遅いのでそこら辺までで戻ると言っていた。こんな天気の良い日に登山者がいないのは寂しい限りだ。
 昨日つけた立派なトレースをたどり、2ピッチで岳に着いた。夏のパトロールのおじさんとしばらく話をし、今朝鶏頭山に向かった嶋脇さんにメッセージを残し家路につく。

山頂からの日の出
山頂からの日の出

早池峰神社奥宮
早池峰神社奥宮

避難小屋
避難小屋

小田越から薬師岳
小田越から薬師岳

剣ヶ峰への道筋
剣ヶ峰への道筋

神社前にて
神社前にて

輝く宮古の海
輝く宮古の海

薬師岳
薬師岳

岩手山を望む
岩手山を望む

岩手山を望む
岩手山を望む

中岳、鶏頭山、毛無森
中岳、鶏頭山、毛無森

小田越分岐への稜線
小田越分岐への稜線

剣ヶ峰へ
剣ヶ峰へ

山頂をバックに
山頂をバックに

ミニ樹氷
ミニ樹氷

ミニ樹氷
ミニ樹氷

小田越への道筋
小田越への道筋

振り返った岩場
振り返った岩場

振り返った岩場
振り返った岩場

薬師岳
薬師岳

中岳と鶏頭山
中岳と鶏頭山

タイム:山頂小屋(8:40)→河原坊(12:10)→岳(14:15)

 冬山でこんな天気の良いのもめったにない。一生に一度の光景だったのかもしれないと思うと、感謝の至りだ。これも普段の行い(私以外)のたまものか。
 そして、今年は雪が少ない。冬はこれからではあるが、先が怖い気がする。
 これからまだまだ、私の好きな雪山は続く。みなさん、素敵な冬山へ行きましょう!
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