2019年３月９日(土)〜10日(日)
メンバー：下野さん、藤原 豊さん、小田中 智
コース：仙岩トンネル〜国見温泉〜横長根〜阿弥陀小屋〜男女岳 往復
国見温泉から横岳へのルートは、国見温泉まで７kmの林道が冬期閉鎖になるため、林道を歩いて登る物好きはほとんどいない。しかし、仙岩トンネルからショートカットルートを使用すると、林道歩きは４km程に短縮されるため比較的楽になる。
誰もいないこのコースは、国見温泉から横長根を経て阿弥陀小屋に入るのは長く、ラッセルをしながら冬に登るのはロマンがある。
２月に２泊３日で向かったが強風のため敗退しており、今回はメンバーが入れ代わっての登山となる。３月に入ると雪は安定するのでラッセルは少なくなるはずだ。
藤原君は二戸市在住で、20代後半には私のザイルパートナーであり、現在は主に単独で全国の山々を登っている強者だ。
９日(曇りのち暴風)
藤原君とは仙岩トンネルで待ち合わせ、ワカンを付けて出発する。今日と明日は快晴の天気予報であるが風は強いみたいだ。
雪は締まっておりワカンを履いての歩行はあまり潜らない。１月・２月は雪が柔らかく潜るため、体力勝負のラッセルとなるが、３月に入ると雪は硬めとなりラッセルは少なくなり楽になるが、真冬に登るのが私にとっては価値が高い。
上空は青空で吹く風も心なしか暖かさを感じる。国見温泉まで先月は１日かかって着いたが、今日は２時間を切って着いた。ラッセルがあると無いとではこんなに差があるのだ。
しだいに青空はなくなり風も出始めた。しかし雪道は潜らず、快調に横長根に着いた。稜線に出ると視界が悪くなり始め風も強くなった。１週間前ほど前の足跡があったので、だれか登りに来たようだ。なんか嬉しい気持ちになる。
第２展望台では風速は20mとなり、この先は風の通り道になるため風速30mになると思われる。ムーミン谷分岐では25mとなったが、今回は藤原君がいて心強いこともあり、阿弥陀小屋を目指すことにする。登りは這ってでも登れるが、下りの方が難しくなる。
雪が柔らかい部分と硬い部分があり歩きづらいのに、この強風で立ち止まりしゃがみ込む回数が増え、やはり風速30mはあると思われる。横岳手前になると風は馬ノ背に遮られ弱くなるのだがそこまでの辛抱だ。
横岳に着くと案の定、風は弱まった代わりに視界は３mとなったが、風が弱くなったぶん気持ちは楽だ。標識から右へと下るのであるが先が見えないので慎重に下っていくと小屋に着いた。
時間的にはまだ早いのであるが、風が強いので男岳に行くのはやめにして小屋に入る。
小屋の中はまだ寒いのでテントを張って水作りをする。テントの中に入るとウイスキーが出てきたので、食料係としては刺身のつまみを出す。結局本格的に飲むことになり、日本酒の熱燗で乾杯する。
今夜のメニューは、刺身、アサリの蒸し焼き、トンテキであり、語り合いながら飲む酒は楽しい。各自が持ち寄ったアルコールが無くなったので、まだ明るいがシュラフに潜る。
国見温泉へ行く県道から
国見温泉登山口
横長根への樹林帯
風が強くなり始めた横長根
阿弥陀小屋
タイム：仙岩トンネル(7:50)→国見温泉(9:55)→横長根(10:55)→横岳(12:25)→阿弥陀小屋(13:00)
10日(暴風のち曇り)
夜はずいぶん強い風の音がしていた。６時に起床し身支度を整えて外に出ると、視界は悪く風も強い。男岳を目指したが、視界は３mで風速は15m。男岳には雪庇があるため止めにして男女岳に登ることにする。
風速は20m近かったがここは危険な場所はないため、視界が悪くても風が強くても問題はない。視界がない頂上ではあるが登ると登らないでは大違いで、やっと今冬の勝率が２勝２敗となった。
小屋を確認して横岳へと向かうが、視界は相変わらず悪く、現在地を確認しながら登って行く。横岳から下り始めると風は徐々に強さを増し、昨日の風速30mから35mと強くなった。体はヨレヨレとなり時々這っては風をよける。
風の強さはこれが限界で、風の呼吸が無いため常時にわたり強く、中々先へ進まない。第２ピーク付近になるとようやく弱くなり、一休みして行動食を食べる。
下るごとに天気は良くなり日差しも出てきた。後は下るだけであるが、これから春山で最も楽しい尻滑りが待っている。温泉への急な斜面を快適に滑り、温泉でやっとゆっくり休む。
日中の陽ざしで林道は少し潜るが、もう駐車場は近い。最後の斜面を滑り降りると、尻はすっかり雪で濡れていた。
結局、上部では白い世界しか見ることができなかったが、なかなか体験できない強風の中を歩いた充実感と美味しい酒で、心に残る山行となった。
エビのシッポ
男女岳にて
国見登山口への尻滑り
石塚旅館の源泉
仙岩トンネル手前の工事現場
タイム：阿弥陀小屋(8:45)→国見温泉(9:55)→駐車場(13:15) |
