岩手山 洞ヶ沢 ガイド登山
 
岩手山 洞ヶ沢
岩手山 洞ヶ沢

平成25年4月23日(火) 天候:晴れ メンバー:嶋脇様、小田中 智

 コース:洞ヶ沢〜栂尾根〜屏風尾根〜赤倉岳〜八幡平リゾートスキー場


 計画は、洞ヶ沢を登り、屏風尾根から赤倉岳を経て屏風尾根を下り、七滝登山口に下山する予定だった。
2日前に降った新雪のため終始ラッセルとなり、屏風尾根稜線に着いたのは16時だった。夜間時の行動を考えて赤倉岳から八幡平スキー場に下るコースに変更した。

 洞ヶ沢は、岩手山屏風尾根の北面に位置する沢で、夏には水流があり、大小の滝がたくさん続き登攀を対象とした困難度の高い沢である。
 洞ヶ沢は、昭和33年頃盛岡山岳会により初そ行されたが、昭和39年に盛岡山想会が全ての滝を登る完全そ行がなされた。
 大きい滝は20数mあり、オーバーバーハングやシャワークライム、急傾斜のツルツルの滝などがあり、人工でなければ登れない滝が5セットあり、F16まで数えられているが小さい滝も合わせると30を数え、登りがいのある登攀そ行が楽しめる沢だ。
 冬は、廊下の側壁や滝には氷が張り、アイスクライミングができるが、アプローチが遠くラッセルも強いられるので、アイスクライミングを楽しむためだけの登山には向かない。
 残雪の時期は、雪が滝を埋め尽くしているので歩きやすく、急な斜面を登る登高を楽しめる。雪の状態により滝の下や出口はシュルンドが開いているので、部分的には緊張感も味わえる。

 
 4時30分に焼走り駐車場で嶋脇様と待ち合わせをし、嶋脇様の車を七滝登山口に置き、私の車で洞ヶ沢入口に向かう。雪は少なく砂防ダムまで車が入れ、だいぶアプローチが短くなった。
 上空は青空で陽もさし始め、心地よい早朝の中を歩いて行く。雪は硬く締まっているが一昨日に降った新雪が10cm程積もっており、上部では更に積もっていることを考えるとラッセルが予想され、体力勝負の洞ヶ沢になりそうだ。
 岩小屋手前の滝でザイルを使用し登って行くと、やがて沢は狭くなってきて、両側には側壁が出てきた。いよいよ、ここからが滝が出始め滝の通過がおもしろい場所になってくる。今回はアイスバイルを借用してきたので雪壁を登るのが楽しみである。
 ところどころ出ている滝の雪壁に3ヵ所ザイルを使い登って行くと、時間はだいぶかかってしまっていた。この辺では新雪がやはり30cm位となりワカンをつける。
 まもなく両側が氷の側壁となり、雪がかぶった滝が現れた。下部がいやらしそうだが、アイゼンを履きザイルをつけて取り付いてみると、滝の下にはシュルンドがあき、下部は氷がついていなく、登るにはかなり時間がかかりそうなので登るのをあきらめる。 
 高巻くにも側壁が高いので5分ほど下に戻り、右の尾根へと登って行く。新雪の下の雪は硬く傾斜が急な登りとなる。私のアイゼンの底に付いてある雪よけゴムはなくなっているので新雪が団子状態となり滑り登りずらい。
 沢に戻るには急な斜面をトラバースしなければならなく、沢の核心部はさっきの滝で終わっているはずなので、このまま栂尾根を登って稜線に出ることにする。
 ときおりラッセルを交代しながらしばらく急な斜面を登って行くと、前方にクラウンピークが見え、迫力ある三峰の岩場の後方には三角錐の岩手山山頂部分も見えてきた。
 ワカンに履き替え表面が中途半端に硬い雪をラッセルして行くと、クラウンピークに行く手をはばまれる。少し戻って左から巻くようにしてやっと稜線に出る。もうすでに16時となっていた。
 これから赤倉岳を越え屏風尾根を下り、七滝口に着く頃は暗くなっていることだろう。岩稜の赤倉岳に着くと、これから向かう七滝口はだいぶ遠い。それに比べて右下方に見える八幡平リゾートスキー場は近い。
 赤倉岳から先は岩峰が数カ所あり巻いたりしながら進んで行くが時間がかかる。やがて右の斜面をしばらくトラバースしなければならない場所に着いた。時間は17時になろうとしている。ヘットランプを点けながら歩くには、七滝口は遠すぎる。リゾートスキー場に下るのであれば、暗くなる頃にリフトの終点に着きそうである。安全パイはスキー場である。
 リフトから稜線に伸びている尾根へ、急な斜面を右下降をし尾根に出る。尾根は緩やかに広く下方へと伸びているので、地図と磁石でスキー場へと方角を合わせ尾根を下って行く。
 今の時期は、日が暮れて暗くなるのも遅くなったので、遅くまで歩けるのはありがたい。朝歩き始めてからすでに12時間は過ぎていた。体はだいぶ疲れていた。暗くなる頃、やっとリフトの終点が見えた。
 ヘットランプをつけスキー場を歩いていくが、スキーで下るのはアッという間の斜面であるが疲れた体で歩くとなると遠い。やっとリゾートホテルの明かりが目の前に見えた。
 県民の森からは、嶋脇様が走って七滝口に止めてある車を取りに行ってくれたので、私はその間休ませてもらった。ありがとうございます、嶋脇様。さすが自転車とトレーニングをしているだけの体力の持ち主だ。
 嶋脇様の車で洞ヶ沢入口に置いた車に向かう。車に着くと、なんとルームライトが点けっぱなしになっていた。「バッテリー切れだ」と頭の中が白くなった。おそるおそるキーをひねるとブルンブルンとエンジンがかかった。

朝焼けに染まる岩手山と屏風尾根
朝焼けに染まる岩手山と屏風尾根

洞ヶ沢下部
洞ヶ沢下部

核心部の始まり
核心部の始まり

滝の出口
滝の出口

右端から取付き左上する
右端から取付き左上する

側壁は氷で覆われている
側壁は氷で覆われている

右の氷が切れていて登れずに戻る
右の氷が切れていて登れずに戻る

クラウンピーク
クラウンピーク

三峰と岩手山山頂部
三峰と岩手山山頂部


三峰とクラウンピーク

洞ヶ沢を登りました
洞ヶ沢を登りました

タイム:洞ヶ沢入口(5:30)→MSK岩小屋(6:30〜40)→高巻(11:00)→屏風尾根(16:00)→赤倉岳(16:30)→スキー場リ
    フト(18:30〜45)→リゾートホテル(19:50)


★嶋脇様からの声
 小田中ガイドと岩手山に過去に冬、馬返しと焼走りから登った経験があったので楽勝かなと思っていたが、想像していたよりもきつく結構疲れた山行になった。
 初めて沢を登ったが、登山と違い技術が必要だと感じた。
 去年頃から登りたい沢がいくつかあるので、またご指導をお願いします。
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