ニセイカウシュッペ山・天塩岳 ツアーガイド
 
花と展望に魅せられたニセイカウシュッペ山、山容と花が素敵な天塩岳!
 
ニセイカウシュッペ山
ニセイカウシュッペ山

天塩岳
天塩岳

2014年6月27日(金)〜30日(月) 
 メンバー:加藤さん、櫻田さん、佐藤 博、小田中 智
 コース:28日/登山口〜見晴台〜大槍〜ニセイカウシュッペ山 往復
     29日/天塩岳ヒュッテ〜前天塩岳〜天塩岳〜円山〜天塩岳ヒュッテ

 ニセイカウシュッペ山は友人の藤原さんから勧められて、2年前から企画していたがメンバーが集まらず、昨年は天塩岳との組み合わせで行くことが決定したが、出発の5日前に突然のキャンセルで機会に恵まれないでいた山だ。
 今年は、冬の間から花に合わせた日程で企画したところ、ようやくメンバーが集ったがメンバーが1人足りなく、友人の佐藤君が参加することで山行が決定的となった。
 ニセイカウシュッペ山は日本三百名山に数えられる山で、百名山に比べると知名度は低いが、大槍と小槍の岩峰があり、アンギラスと呼ばれるギザギザの岩峰がある。
 場所は上川地方の層雲峡の北側にあるため、裏大雪の眺めは壮大で、多くの高山植物にも恵まれ、標高が高い割には登山口が高いため短時間で登れる魅力いっぱいの山である。
 天塩岳は日本二百名山に数えられ、国内4位の長さを持つ天塩川が水源で、ニセイカウシュッペ山と同じ上川地方の北側にあるため近く、愛別町の協和温泉に泊まると便利で、2山の組み合わせは最高の組み合わせとなる。

27日
 桜台、山岸を周りメンバーを乗せ、最後に東京から来た方を乗せて高速道に乗る。岩手山には真っ黒な雲がかかり望めなかったが、岩手山のサービスエリアで食事をし、八戸港に向かう。
 シルバーフェリーはインターネット予約をしたため、スムーズに出航手続きを終え入港口に並ぶ。女性たちはレディースルームのため、佐藤君と2人で今回のツアーの成功を祈念して乾杯する。

28日(曇り)
 苫小牧港近くのコンビニで朝食を仕入れ、道央自動車道に乗る。曇空ではあるが、山の天気は夕方までは持ちそうな予報である。途中で佐藤君と運転を代わり、私も朝食とする。早めに登山口に着かないと、宿泊する温泉に着くのが遅くなるため、ゆっくり食事している時間がない。
 旭川紋別自動車道の上川層雲峡で降り、コンビニで昼食を仕入れ、国道273号を中越へと走って行く。芽刈別川の合流点が林道の入口で、標識に導かれながら林道を走って行くとゲートがあり鍵がかかっている。事前に聞いた番号で鍵を開け、砂利道に代わった林道を走って行く。
 登山口には15台ほどの車が駐車しており、熊注意の看板を眺めながら身支度をする。登山口は標高1,137mあり、頂上との標高差は700mあまりだ。
 ダケカンバ林の広い緩やかな登山道を登って行くと、樹林の間から三角形の1,742mピークと大槍の岩壁が見えた。まだ遠くではあるが迫力がある眺めだ。
 サンカヨウやミツバオウレンなどの花が咲き、やがてウコンウツギの薄い黄色の花が目立ってきた。尾根に出るとアンギラス、小槍の鋭鋒が見えた。1,742mピークの先は低く垂れこめた黒い雲に覆われ見えないが、アンギラスと小槍の迫力は圧巻だ。
 尾根にはナナカマドの白い花とウコンウツギの黄色い花が交互に咲き、他の花々も咲いているため、景色と花の撮影で立ち止まってばかりだ。そして、登るごとに雲は徐々に上がり、先の展望も良くなってきた。
 1,742mピークを過ぎると大槍の岩壁、雪渓が上まで残る芽刈別第三支川の源頭、前衛峰、その先には山頂が見えた。しかし、先はまだまだ遠い。
 数々の花たちの右側には、裏大雪の山々も雲から見え始めてきた。まさしく登るごとに、天気が回復してきているのである。たぶん、私以外の方たちの行いが良いためだろうことは言うまでもない。
 大槍の手前のお花畑には数々の花が咲き乱れ、ツガザクラとチングルマのコンビネーションは特に素晴らしく、アンギラスの鋭鋒は黒雲を押し上げているかのごとくで、花たちは群落で咲き、あまりの美しさにただただ溜め息の連続である。
 イワウメの群落、ツガザクラとチングルマの群落を過ぎると、やっと山頂に着いた。山頂では薄日がさすくらいまで天気も回復し、裏大雪の山々もはっきりと見えた。
 きっと、花は今日が最高の時かも知れない。展望と花たちへの感動は深く、下山するのがもったいない思いと感謝の気持ちでいっぱいだ。時間は押してきているので、下りはよそ見をしないで下らないと、夕飯が無くなってしまうかもしれない。
 登山口に着いたのは17時前で予定より少し早かったが、早く温泉で汗を流しビールを飲みたい一心で先を急ぐ。
 国道273号から国道39号に入り、愛別町から愛別ダムへナビの案内で向かい、ダムの手前から左折すると今夜の宿の協和温泉に着いた。
 温泉で汗を流し、さっそく食事とする。ビールで乾杯するが、冷たく冷えたビールは火照った体にはこたえられない旨さだ。低料金の割には食事も良く、ニセイカウシュッペ山の感動を話しながらビールのおかわりは増えていった。
 ここ愛別町は舞茸の産地で、全国に出荷していることを若い女将さんから聞き、キノコ料理が自慢だという。次回訪れた時にはキノコ御膳を味わいたいものだ。
 持参したウイスキーも美味しく、部屋に戻ってからも佐藤君との酒宴は続いた。明日は5時出発と早起きであるが、飲み始めると止まらなくなるのは昔も今も変わらないが、つぶれるのは大分早くなってきた。

登山口
登山口

ダケカンバ林の登山道
ダケカンバ林の登山道

1,742mピークと大槍
1,742mピークと大槍

サンカヨウ
サンカヨウ

ミツバオウレン
ミツバオウレン

1,742mピークとアンギラス
1,742mピークとアンギラス

小槍
小槍

ウラジロナナカマド
ウラジロナナカマド

ツバメオモト
ツバメオモト

ウコンウツギ
ウコンウツギ

チシマノキンバイソウ
チシマノキンバイソウ

芽刈別第三支川とニセイカウシュッペ山
芽刈別第三支川とニセイカウシュッペ山

カラマツソウ
カラマツソウ

エゾコザクラ
エゾコザクラ

大槍
大槍

ウコンウツギと大雪山
ウコンウツギと大雪山

ハクサンイチゲとハクサンチドリ
ハクサンイチゲとハクサンチドリ

ミヤマキンバイ
ミヤマキンバイ

アンギラス
アンギラス

前衛峰と本峰
前衛峰と本峰

ツガザクラ 赤と青
エゾツガザクラ 赤と青

大槍と大雪山
大槍と大雪山



イワウメ
イワウメ

キバナシャクナゲ
キバナシャクナゲ

チングルマとツガザクラ
チングルマとツガザクラ

山頂にて バックは大雪山
山頂にて バックは大雪山

アンギラス
アンギラス


裏大雪


大雪山の左の山

ハクサンイチゲ
ハクサンイチゲ

チングルマと山頂
チングルマと山頂


小槍

林道から見たニセイカウシュッペ山
林道から見たニセイカウシュッペ山

タイム:登山口(10:35)→見晴台(12:25)→お花畑(13:35)→ニセイカウシュッペ山(14:10〜35)→登山口(16:50)


29日(晴れのち曇り)
 4時の目覚ましで起き、5時前に温泉を出発する。朝食はおにぎりをもらっていたので、昼食を仕入れるため5分ほど町のコンビニに戻る。
 県道101号から天塩川沿いの林道をしばらく走ると、天塩岳ヒュッテに着いた。空は青空で最高の登山日和になりそうだ。美しいダケカンバ林が続く中を歩き、天塩川に板を渡した橋を3度ほど渡る。
 天塩岳に続く登山道と別れ、前天塩岳に向かう道に入って行くと登りは傾斜を増し、山をトラバースするような道となる。やがて、直登の急な登りとなった。
 樹林帯の切れ間から対岸に残雪が残る円山が見え始め、エゾイソツツジが現れ始めてきた。やがて石の板を敷き詰めたような礫地になると、円山の隣に西天塩岳が見えてきた。
 礫地は思ったよりも長く、前天塩岳の標識がなかなか見えてこない。昨夜は飲みすぎたせいか、急な登りになる頃から息切れがする。山頂の標識が見えてくると、対岸に天塩岳がようやく姿を現した。
 山頂手前には珍しいイワヒゲが咲いており、咲き乱れるエゾイソツツジも見事だ。天塩岳へはいったん下り、遠く感じる登り返しがある。先はまだまだ長い。
 尾根筋に咲くエゾイソツツジに励まされながら、風が通らなく暑い天塩岳への登りをゆっくりと登って行く。やっと天塩岳山頂に着くと、白く輝く大雪山が美しく、その左側には昨日登ったニセイカウシュッペ山が見えた。
 みんなと握手を交わすと、天気に恵まれて素晴らしい展望を見せてくれたことに感謝の思いがこみあげてくる。重い腰をあげて下山にかかる。
 礫地から笹原を下って行くと西天塩岳ヒュッテがある。振り返る天塩岳は美しい三角錐の姿で、眺める角度によってだいぶ姿が変わって見える。花も下るごとに種類が変わり、疲れを忘れさせてくれるくらいに種類も豊富だ。
 円山を過ぎるとエゾゴゼンタチバナが咲いており、まだまだ珍しい花が咲いている。連絡通路分岐から急な下りになり、途中で木の皮が2mにわたり剥がされている木があった。きれいに剥がされた幹には爪痕が食い込んでいた。そんなに古くないクマの形跡だ。
 朝分かれた分岐からの天塩岳ヒュッテへの道のりがずいぶん長く感じられ、ようやく車にたどり着いた。予定よりも1時間ほど押しているので、急いで協和温泉に向かう。
 急いで温泉で汗を流し、苫小牧港へ向かう。高速道の入口を反対方向に入ってしまい、1区間走って戻る。やがて雨となり、雨に当たらなかったことに感謝する。
 眠くなったので佐藤君に運転を変わってもらい、休んでいると予定より早めに苫小牧港に着いた。レストランで食事をし、船に乗り込む。

天塩岳ヒュッテ
天塩岳ヒュッテ

天塩川
天塩川

カラマツソウ
カラマツソウ

サンカヨウ
サンカヨウ

ゴゼンタチバナ
ゴゼンタチバナ


ツバメオモト

円山と西天塩岳
円山と西天塩岳

天塩岳
天塩岳

前天塩岳へ礫地の登り
前天塩岳へ礫地の登り

前天塩岳
前天塩岳

天塩岳
天塩岳

イワヒゲ
イワヒゲ

エゾイソツツジ
エゾイソツツジ

ハクサンチドリ
ハクサンチドリ

エゾツガザクラ
エゾツガザクラ

エゾイソツツジ咲く稜線
エゾイソツツジ咲く稜線

天塩岳
天塩岳

山頂にて バックは大雪山とニセイカウシュッペ山
山頂にて バックは大雪山とニセイカウシュッペ山

前天塩岳
前天塩岳

ニセイカウシュッペ山
ニセイカウシュッペ山

西天塩岳と円山
西天塩岳と円山

西天塩岳ヒュッテから見る天塩岳
西天塩岳ヒュッテから見る天塩岳

エゾイチゲ
エゾイチゲ

マイズルソウ
マイズルソウ

マルバシモツケ
マルバシモツケ

1,317mピークにて
1,317mピークにて

エゾゴゼンタチバナ
エゾゴゼンタチバナ


??

エゾツツジ
エゾツツジ

エンレイソウ
エンレイソウ

タイム:天塩岳ヒュッテ(6:20)→前天塩岳(9:40〜55)→天塩岳(11:20〜40)→円山(12:45)→天塩岳ヒュッテ(15:00)


30日
 朝4時45分に八戸港に着き、下船できる時間を車で待つ。朝の東北道を走り、それぞれの家に送り、加藤さんを盛岡駅に送り、北海道の花の旅は終わった。
 ふりかえると、ニセイカウシュッペ山は花と展望が素晴らしく、いつまでも余韻が残る山だった。そして、天塩岳と組み合わせは素敵な北海道の山行となった。
 できればまた来年、行きたい山の一つだ。

協和温泉
料金が安く料理が良い温泉で、愛別自慢の新鮮なきのこづくしのフルコースが自慢の宿。
天塩岳に近いのでベースとしても便利です。
http://www.kyouwaonsen.jp/

協和温泉
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