岩手山焼走り 敗退 ガイド登山
 


2017年1月24日(火)〜25日(水)
 メンバー:嶋脇さん、小田中 智
 コース:焼走り登山口〜第一噴出口跡〜第二噴出口跡(泊)〜1,680m〜登山口


 焼走りから網張への縦走は嶋脇さんにとって4年前からの目標であり、1度目は雪の状態が悪く鬼ヶ城をエスケープして網張へ、2度目は強風のため柳沢へ下山、今回が3度目の挑戦である。
 前回の屏風尾根は快晴無風の好天に恵まれたが、今回の天気予報では風はそんなに強くないようなので期待が持てそうだ。

24日(曇り時々晴れ)
 網張スキー場5時に待ち合わせしており、向かうと山沿いは粉雪が舞っていた。嶋脇さんの車をスキー場に置き、焼走りに向かうとこちら側は雪は降っていなかった。
 登山口からはトレースがあったが、それに10cm弱の新雪が積もっていた。例年に比べ雪は少なく、ここ最近になってようやく積もった雪みたいだ。
 今回個人装備を軽くしたので15kg程度のザックの重量である。前回まではポットや寝具類などを多めに持ってきていたが、体力的にキツくなってきたので、今回は試しに軽量化を試みた。荷物が軽いと歩くのも楽である。
 トレースがあるのは楽で、10cm弱の新雪も苦にならない。登るにしたがい小枝が道をふさいでおり歩きづらくなってきた。
 第二噴出口跡付近からは20cm程の新雪となり、ブッシュがこまくなり中々先に進まなくなってきて時間だけが過ぎていった。
 第一噴出口に着いた時には12時になっていた。昨年は頂上に着いたのが17時近くで、昨年よりも遅れているのである。
 天気は青空が見えるほどに良いのであるが、ここからしばらくはラッセルが深くなるので、明るいうちに山頂を越えるのは難しと思われる。山頂までの間にテントを張る場所はないので、時間的に無理と判断した。
 このルートは暗くなると歩けるルートではないので、残念ではあるが予定を変更せざるおえない。今夜は第二噴出口跡に設営し、明日山頂を往復することにする。
 下るのは早いもので苦労して登った所もアッという間に第二噴出口跡に着いた。この付近は平坦地があり、樹林帯のため風も当たらないので幕営するには最適の場所である。
 今回は不動平の避難小屋に泊まるつもりだったため、テントは持参しておらずツエルトを張る。ツエルトは冬でも快適に過ごせるよう改造しているので、風の当たらない場所での1泊であれば問題はない。
 ツエルトに入って早速ウイスキーを2口飲むがたまらなく美味しい。夕食まで時間も早いのでシュラフを出して一眠りする。
 今回の食事は嶋脇さんが用意してくれて、もつ鍋、焼肉、ギョウザ、野菜サラダである。私の誕生日が近いこともあって奮発してくれたみたいだ。
 お湯割りホットウイスキーとコーラで乾杯し、ご馳走をゆっくりいただく。昨年は入院、手術のため、嶋脇さんと一緒になるのは一年ぶりである。
 マットや寝具類の重量を落としてきたので寒い夜となり、トイレに起きる回数が増えた。下方には八幡平市の街の灯りが輝いており、ずいぶん冷え込んできた。


焼走り登山口


新雪を踏みしめて


第一噴出口跡


焼走り溶岩流


第二噴出口跡のテントサイト

タイム:焼走り登山口(6:50)→第一噴出口跡(12:05)→第二噴出口跡(12:40)


25日(風雪)
 昨夜からの新雪は10cm程積もっており、ツエルト内には霜がビッシリ張り付いていた。今朝の盛岡気温はは-8℃なので-12℃位だと思われる。
 必要最低限の荷物をザックに詰め山頂目指して出発する。空は曇り空であるが青空も覗いているような天気で最良だ。
 第一噴出口跡からは30cm程のラッセルで、ブッシュがまだ雪に隠れておらず歩きづらい。上部は雲に閉ざされ見えないが、風はまだ強くはない。
 登るにしたがい真っ白な雪の斜面と乳白色の雲が同化し、白一色の世界だ。そして風も出始めてきた。
 3回目を休んだときには標高1,680mに達していたが、風速は10m程で周りが見えなくなった。冬の風速10mの風は弱い方ではあるが視界が極端に悪くなり、上部は更に悪いと思われるので、残念ではあるがここから下山することにした。
 雪の斜面は柔らかいため尻滑りも滑らず、登りのトレースは風で消えていた。だだっ広く変化がないこの斜面は少し角度を間違っただけで違う方へと下ってしまう。大体は左よりに下る傾向がある。
 細心の注意を払いながら下っていくと薄らと残ったトレースがあった。夏は第一噴出口跡から右にトラバース気味に登っていくのであるが、雪がある時期は真っ直ぐ外輪へと登っていけるので醍醐味がある。
 焼走りコースは視界が良い時には富士山のように見え、上部に登っていくと吉田大沢みたいな感じで素敵な斜面である。
 ツエルトに着くと更に10cm近くの雪が積もっていた。荷物を整理して登山口へと下っていく。
 焼走りから網張への縦走は今回で3回目の敗退であったが、嶋脇さんは諦めるつもりはないようだ。1月から3月始めの岩手山は風と雪の状態が厳しく、事前に決めた日程では確率がかなり悪い。


第一噴出口跡にて


外輪に向かって真っ直ぐ登って行く


1,680m地点


下ってきたテントサイト


登山口にて

タイム:テン場(7:15)→1,680m(10:10)→テン場(11:30〜12:10)→登山口(13:50)
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