秋田駒ヶ岳敗退 冬山トレーニング
 


2016年12月19日(月)〜20日(火)
 メンバー:小田中 智
 コース:仙岩トンネル入口駐車場〜県道266号〜国見温泉〜横長根 往復


 冬の秋田駒ヶ岳は、岩手県側国見温泉に至る県道266号が冬期閉鎖になりアプローチは長くなるため、岩手県側から入山する登山者はまずいない。
 しかし、それだからこそ静かで独り占めできるコースで、魅力たっぷりのルートである。そして何より阿弥陀池小屋に泊まれるのが楽しい。
 266号入口から国見温泉までの距離は約8kmあるが、仙岩トンネル入口からだと半分の距離になるため、時間的にだいぶ楽になる。
 天気予報の好天に誘われて一人で行くことにする。久しぶりに一人でのラッセルは良いトレーニングにもなる。

19日(晴れのち曇り)
 家を6時半に出て雫石へと向かう。仙岩トンネル入口手前の駐車場に車を置き、入口に行くと工事ゲートがあり、竜川に工事用の橋が架かっていた。
 橋を渡った上方には266号の道路が見えているので、登って行くと道路にぶつかりそうだ。積雪は20cm程度であるが、最近雨が降っているらしく雪質は春の雪みたいでかえって登りやすい。
 30分ほど登っていくと県道に出て、間もなく国見温泉まで3kmの標識があった。上空は青空で暖かく12月中旬という季節は感じられない。
 橋を3ヵ所渡ると旧道の分岐があり国見温泉への標識がある。ワカンを着けカーブした道を登って行くと温泉の匂いがし、国見温泉が見えてきた。
 出発も遅かったが予定よりも林道歩きに結構時間がかかってしまった。温泉からの急な登りを終えると雪も多くなり、湿った雪は重く体力を奪っていった。
 雪が少ないため真っすぐは歩けないので夏道をたどって行く。ワカンを履いての潜りは20cm程であるが、雪が重いためだんだん疲れがでてきた。
 しだいに青空がなくなったが風がないので静かで、鳥の鳴き声さえ聞こえない。やっと登りの傾斜が出てきて、横長根は間近かであるが標識が見えてこない。
 やっと着いた時は15時半で阿弥陀池小屋まで行ける時間ではない。風が出てきたので一段下がった風があたらない場所にツエルトを張ることにする。
 雪が湿っているので整地も楽で、立派なテントサイトが出来あがった。ストックを利用して2〜3人用のツエルトを張り、中央ににフレームを入れると居住性がグンと良くなった。ツエルトは底割れ式であったがチャックで密閉し、十分冬山でも使えるように改良している。
 日が暮れると一気に冷えてきたので、熱いカルピスがとても美味しい。夕食はホルモン炒めと刺身である。日本酒を温めて刺身をつまみに一人で乾杯する。
 2〜3人用のツエルト内は広く、一人ではもったいないくらいだ。刺身とホルモンを摘みながら、山で飲む日本酒は格別である。風がないので小さいガソリンストーブの熱は暖かく、ダウンを着ているので全然寒さは感じない。
 500mlの日本酒がなくなると後は寝るだけである。ほんのり酔った気分は気持ちがよく、暖かいシュラフに潜る。


トンネル手前の工事現場


県道266号に出た所


冬期閉鎖した国見温泉


横長根への夏道


横長根


横長根直下のキャンプサイト

タイム:トンネル入口駐車場(7:50)→266号(8:30)→国見温泉(11:35)→横長根(15:35)


20日(曇り)
 朝目覚めて外を覗くとガスっていて、間もなくミゾレが降ってきた。山頂への往復は止めにして下山することにする。天気予報では夕方から雨の予報であったが早まったらしい。
 ゆっくりと食事してツエルトを撤収する。なんか酒を飲みに来たみたいだが、登り慣れているコースでもあり、トンネル入口から県道へのルートを確認できただけでもオーケーである。美味しい酒が飲めたのはオマケみたいなものである。
 温泉への急斜面は、登る時には帰り尻すべりをしようと思っていたが、下を見ると結構急で50m程のスロープだ。意を決して尻をつくが雪が重くなかなか滑らなかったが、間もなく快適なスピードで滑っていった。
 旧道へのつづら折りはエスケープするが、来る時に比べ雪が更に水分を吸ったので、ワカンにオマケがくっついてきて足が重い。まるで重りを付けて歩いているかのようだ。


キャンプサイトから横長根へ


奥の橋の滝

タイム:横長根(9:10)→国見温泉(10:05)→駐車場(12:30)
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