焼石岳・早池峰山・八幡平 お花見登山
 


2019年7月1日(月)〜3日(水)
メンバー:Oさん(栃木県)、小田中 智
コース:1日/中沼登山口〜銀明水〜焼石岳 往復
     2日/河原坊〜小田越〜五合目〜早池峰山 往復
     3日/見返峠駐車場〜鏡沼〜八幡平〜八幡沼周回〜見返峠


■焼石岳(1,547.9m) 日本三百名山、花の百名山

 こんもりした山頂部が特徴的な焼石岳を主峰とする焼石連峰は、胆沢平野の西に望まれる。南に横岳と獅子ヶ鼻岳、北東には東焼石岳、六沢山など1,100mを超える山々を従えている。
 山腹にブナの原生林をまとって連なる山稜は、岩手・秋田の県境に位置する。山頂の北斜面に黒く焼けた石が積み重なることから、焼石岳と名付けられたと言われる。
 地形的な大きな特徴は、いたる所に雪田、草原、湿原が見られ、遅い雪解けの始まる6月頃から多くの高山植物が次々と花を咲かせる。ことに山頂直下の姥石平は、貴重な湿性植物のあるお花畑で、ハクサンイチゲの大群落は見事だ。

■早池峰山(1,917m) 日本百名山、花の百名山
 早池峰山は北上山地の最高峰で、主峰から西に中岳、鶏頭山、毛無森への稜線が続く。東には剣ヶ峰、高桧山へと続く。北側は稜線近くまで樹林帯に覆われているが、南側は対照的に、急峻な岩稜帯がアルペンムードの漂う景観を形作っている。
 山は非火山性で、地質は古生層に属し、蛇紋岩のゴツゴツした岩肌や多くの岩峰が点在し、古くから修験の山、信仰の山として人々から崇められてきた。
 数々の高山植物の存在により、全国的な知名度は高い。ナンブトラノオを始め、アルプスのエーデルワイスに似たハヤチネウスユキソウなど特産種、希種が多く咲く。

■八幡平(1,613m) 日本百名山、花の百名山
 八幡平は、奥羽山脈北部の山群で岩手県、秋田県にほぼ等面積で広がる。広い高原上のあちこちに様々な形の火山起源の小さなピークがそびえ、その間に無数の沼や湿原が点在する。
 山頂は台地状になった成層火山で、頂上部には9千〜5千年前に発生した水蒸気爆発により多くの火口ができている。その火口に水がたまり、八幡沼やガマ沼、鏡沼、メガネ沼など沢山の火口沼が形成された。
 湿原にはさまざまな高山植物や湿原植物の群落が発達し、アオモリトドマツやブナの原生林、針葉樹林帯が形成されている。

1日(曇り)
 5時半に駅前でお迎えし胆沢ダムへ向かう。今日は曇りで雨は降らない予報である。ハクサンイチゲの大群落は6月上旬が盛りであるが、まだ残りが咲いているし、他の花たちの種類も豊富で見ごたえがあるはずだ。
 今日は岩手山の山開きのせいか、駐車場の車は少なめだ。昨夜まで雨が降っていたはずで、登山道を横切る沢水は多い。私はスパイク長靴を履いているので問題ないが、彼女は登山靴なのでこれから先が大変だ。
 中沼のお花畑はリュウキンカが多く咲く所であるが、ポツリとしかなくガッカリする。しかしこの先からはあるはずだ。間もなくカラマツソウが見えだすとリュウキンカロードとなり、真っ白いミズバショウがひときわ目立ている。
 次から次へと現れる新しい花にカメラを向けていると、進むよりも立ち止まっている時間が長いくらいだ。沢状にある登山道は水流に覆われ、水を漕ぎながら歩いているみたいで、転石飛びを繰り返して進む。
 銀明水の冷たい水が美味しく、初めて休憩をする。この先には雪渓が残り、花の種類も変わっていく。雪が残っている湿地には小さめのミズバショウが咲き、まだまだこれからも咲きそうだ。
 沢沿いの雪渓の切れ端は崩れそうだが、雪は硬いためそう簡単には崩れそうもない。雪渓と急流を乗り越すとハクサンイチゲが現れ、オノエランや小さいちいさいヒナザクラが咲いている。
 姥石平はハクサンイチゲとヒナザクラが群生し、水に浮かぶヒナザクラはまさに水中花である。残念ながら曇ってモヤがかかっているので遠望する花姿は見れないが、白い花の中にピンク色のミヤマシオガマが素敵だ。彼女は花が現れるたびに大歓声を送り、その声でよけい美しさが増すようだ。
 お花ロードから山頂に着くと曇りで展望がないが、花は素晴らしくそれだけで満足だった。山頂から南本内岳分岐へ下る途中の焼石神社でお参りし、東焼石岳へ向かう。途中には大ぶりなハクサンシャクナゲが2輪だけ咲いていた。
 東焼石岳付近にはムシトリスミレ咲いている。ムシトリスミレは小さく登山道の土手にひっそり咲いているため見つけにくかったが、一つ見つけると次々と現れ歓声の声があがった。
 たくさんの花たちと出会い、いっぱい写真を撮ったので時間もかなり押しており、下山はひたすら下るのみだ。ひめかゆ温泉で源泉につかり、一路盛岡へと帰って行った。
 展望は全く見れなかったが、多くの花たちを眺め癒され、まさに花の百名山にふさわしい7月始めの焼石岳に感動した。


ギンリョウソウ


タニウツギ


中沼


ミズバショウ


リュウキンカ


ヒオウギアヤメ


ミツガシワ


ミヤマカラマツ


ツバメオモト


シラネアオイ


銀明水上の雪渓


ショウジョウバカマ


ムラサキヤシオツツジ


ハクサンチドリ


イワハゼ


オノエラン


姥石平


ヒナザクラ


ハクサンイチゲ


ミヤマシオガマ


ミネウスユキソウ


ミヤマダイコンソウ


ホソバイワベンケイ


焼石岳


ハクサンシャクナゲ


焼石神社


ヒナザクラ


ムシトリスミレ


東焼石岳


中沼

タイム:中沼登山口(7:35)→銀明水(10:00)→焼石岳(12:25)→東焼石岳(14:00)→中沼登山口(17:45)


2日(曇り)
 6時半に駅前でお迎えし岳へ向かう。今日は曇りで少し風が強い予報だ。
 通常は河原坊から小田越へと林道を歩くのだが、小田越の少し先に駐車スペースがあるので行くと、ロープが張ってあり駐車できなかった。河原坊まで戻り、小田越まで歩いて行く。
 登山口からは山頂方面は見えず、雨だけは降らないことを願う。早くも下ってくる人がいるので訊ねると、風が強いので五合目から下って来たという。五合目の少し上からは風の通り道で風が強い所なのだ。
 一合目付近からミヤマオダマキが現れ、間もなくハヤチネウスユキソウがでてきた。ナンブトラノオの撮影になる頃には風が出てきて、細い茎が風に揺れるので風の呼吸を待ちながら撮影する。
 ウスユキソウは一面に咲き、いつもよりは早いみたいで、こんなに咲くところを見たのは初めてである。昨日にひき続きたくさんの花を眺めながら歩くのは嬉しく感動する。彼女も歓喜の声をあげていた。花弁から滴る水滴がより一層美しさを醸し出している。
 下ってくる方が多くなり、上部はよほど風が強いみたいだ。五合目を過ぎると風は強くなってきたが、風速20mは越えていないのでまだ大丈夫だ。
 鉄梯子の上から下ってきた人からは、上に行くと風がかなり弱くなると勇気づけられた。五合目から七合目辺りが風が一番強い所であるが、少しの時間の差で風が弱くなったものと思う。車で戻って河原坊から歩き出した時間差が良かったのだろう。
 確かに梯子を過ぎると風は弱くなり、御田植場に咲く花たちをゆっくり眺める。山頂はガスっぽく展望はないが、ここまで来れたことに感謝する。小屋の中で昼食にし、ふたたび山頂で写真を撮る。
 早池峰山の岩は蛇紋岩で乾いていても滑るので、下りは注意してゆっくり下って行く。登りで全ての花の写真を撮ったので、下りは注意しながら歩くのみだ。
 早池峰山のウスユキソウをこれほど見たのは初めてで、焼石岳と早池峰山のお花見をしたいと思う彼女のオオラがこんなに素晴らしいお花見をさせくれたのだと思う。


小田越登山口


ギンリョウソウ


一合目付近から眺める


ミヤマオダマキ


ナンブトラノオ


キンロバイ


ハヤチネウスユキソウ


キバナコマノツメ


ホソバイワベンケイとミヤマオダマキ


ミヤマアズマギク


ミヤマシオガマ


ナンブイヌナズナとミヤマオダマキ


八合目の鉄梯子


イワウメ


ナナカマド


コバイケイソウ


イワカガミ





チングルマ





山頂にて


アオノツガザクラ


三合目付近

タイム:河原坊(8:20)→小田越(9:00)→鉄梯子(11:25)→早池峰山(12:00〜30)→河原坊(15:00)


3日(晴れ)
 昨夜は市内の居酒屋で一緒に飲み、八幡平にトレッキングに行くことになった。9時過ぎにお迎えして八幡平に向かう。天気は曇りから晴れの予報であるが、岩手山は四合目から雲がかかっていた。
 アスピーテラインを登る頃より天気が良くなり、岩手山も見え始めてきた。レストハウスに車を駐車し歩き出すが、今日は暑い。
 最近テレビで有名になった鏡沼のドラゴンアイは終わってなかったが、雪渓はまだ残っていた。山頂から八幡沼に下って行くと湿地帯は一面にヒナザクラが咲き、その先にはワタスゲが咲き木道はワタスゲロードだ。
 水が流れている所にはミズバショウが咲き、今日もお花見登山は満開である。これほどの花が咲く八幡平に来たのは初めてで、やはり花の百名山にふさわしい山だ。
 八幡沼を周回していくとヒメシャクナゲが現れた。木道から少し離れているのではっきりとは見えなかったが、この花を見るのは初めてである。八幡平に行きたいと言われて来たのであるが、彼女に感謝だ。
 レストハウスで遅い昼食を食べ、樹海ラインを下って行く。松川温泉を下って行くと、道路を黒いものが横切った。小さめであるがツキノワグマの成獣だ。最後の最後で熊に会えるとは、なんと素晴らしい日なのだろうか。
 こうして3日間の花の百名山のお花見登山は、数々の花との出会いと感動によって、3日間はあっという間に終わった。素晴らしい日々だった。


登山口


鏡沼


ヒナザクラ


八幡沼





アオノツガザクラ


ミヤマキンポウゲとハクサンチドリ


チングルマとイワカガミ


ワタスゲロード


ワタスゲ


ミズバショウ


八幡沼の湿原


ヒメシャクナゲ


ワタスゲとハクサンチドリ


キヌガサソウ


シラネアオイ


サンカヨウ


岩手山を望む


畚岳


ベニバナイチヤクソウ


白いハクサンチドリ
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