神室山縦走 敗退 ガイド登山
 


2017年2月11日(土)〜12日(日)
 メンバー:下野さん、藤原 豊、小田中 智
 コース:鬼首道路かもしか橋手前の駐車場〜1,154mピーク往復


 真冬の神室山は雪深く天気も悪い。標高1,365mの山でありながら日本海の影響を受け雪深く湿雪で風も強い。
 山は深く大きく尾根筋はナイフリッジの稜線で、東北の山で痩せ尾根が続くのは珍しく、冬は雪庇が大きく張り出している。
 一昨年の3月に、雪がある時期しか歩けない東陵(冬道)から1泊で山頂を往復しているが、冬にパノラマコースへ下っていく縦走をしたいと依頼を頂いていた。
 この縦走のキーポイントは、1日で山頂直下の避難小屋に入れるかどうかである。3月に入ると雪が締まり出すが、1月から2月は雪が深く風も強いのである。
 今回は4名のメンバーなのでラッセルするのには心強い。  

11日(小雪のち風雪)
 夜中に嶋脇さんから、車のトラブルのため参加できないとの連絡があった。盛岡の駐車場で待ち合わせして秋田へと向かう。
 2名は二戸、宮古と遠い所から来ているので車では休んでいただく。秋田に入ると小雪が降り出してきて、湯沢市の山沿いに入ると急に雪が多くなった。
 鬼首道路かもしか橋手前の駐車場に車を止め、スノーシューをつけて歩き出すと膝下までのラッセルだ。底雪は雨のためか硬いが、ここ最近40cm程の雪が積もったようだ。
 駐車場裏は急傾斜のため右の小沢から入って行く。沢のため時々深く潜ると、抜け出すのに一苦労する。623mピークの尾根の上に出るとラッセルが浅くなった。
 ここから1,035mピークに出ると神室山東稜の1,365mピークへと続くのである。雪は重いので足を前へ高く上げるのが大変である。トップを交代すると、しばし呼吸を整えてから2番手の後を追って行く。
 登るごとに風が出てきて寒くなってきた。まだ標高は700m付近なのだがブナの幹は太く、傾斜も強くなってきた。
 樹高が低くなってくると前方に雪庇が見え、これを乗り越すと1,035mピークに出る。雪壁の低いところを登るのであるが、雪が柔らかいため一苦労して乗り越す。
 1,154mピークに続く尾根は風の通りが良く急に寒くなった。尾根筋なので雪が締まるかと思ったがまだ膝下までのラッセルだ。
 しばらくして1,154mのピークに立つ。ここから南に折れると軍沢岳がある。急に風が強くなり、東稜に入ると地吹雪となり前が全然見えなくなった。
 ここから神室山までは、あと3分の2の距離があり、せめて1,115.4mピーク付近まで行きたかったが、やむなく風当たりの弱い所にテントを張ることにする。
 少し戻り左に入った樹林帯にテントサイトを求める。少し傾斜があるので踏みしめながら削ってテントを張った。ザックに付いた雪はなかなか取れず、テントの中は雪だらけであるが中は別天地だ。
 荷物を整理してウイスキーを回し飲みする。これはまた別天地ならではの格別の味である。まだ14時頃ではあるが飲み始めると止まらなくなり、一回目の乾杯をする。
 4人用のテント内は広く快適であるが、外は小雪が降り出してきた。今回の天気予報はハズレである。チビリチビリと飲んでいたが、アルコールが無くなったら寝ることにして早い夕食とする。
 今回の食料は各自で、私の夕食はジンギスカン、焼き魚、クジラ刺であり、炭水化物は無い。アルコールを飲んだ時は炭水化物をとらないようにしている。
 宴会は人が多いほどに話題も豊富で楽しく、アルコールが回るほどに楽しみも倍増する。アルコールが無くなりかけた時、時間は早いが寝ることにする。


ラッセルを交代しながら登って行く


ブナ林の樹林帯


1,035mへ出口の雪壁


雪壁の出口


右奥に1,154mのピークが見える

タイム:駐車場(7:25)→1,035m(11:00)→1,115.4m(12:55)


12日(風雪)
 風雪は朝までも続き、奥側は雪に押されて壁になっていた。新雪は40cm積もって風もあり、この状態では先に進めないので、残念ではあるがここから撤退することにした。
 ゆっくりと朝食を食べテントを撤収する。昨日のトレースは埋まり風雪が吹き荒れている。こんな天気では早く下山して温泉につかるのが一番だ。
 1,035mピークからの樹林帯は雪が深くなり膝を越えた。雪が柔らかいとフカフカで脚を上げるのも楽なのだが、この重い雪は体力を奪っていった。
 だいぶ下ってからの急斜面を尻滑りで滑り降りると、途中でストックが手元から離れ行方不明になった。スコップを出して捜索するが、残念ながら救出することはできず断念した。
 片方のストックを失っての深雪の下りはバランスが悪く、遅れながら駐車場に着いた。車には30cm程の雪が積もっていた。
 秋の宮山荘で昼食と温泉に入り盛岡へ向かう。湯沢を過ぎると雪は少なくなり、東北道では更に雪は少なかった。
 一晩で40cm積もった雪は久しぶりの体験で、さすが豪雪地帯の雪にびっくりした。神室岳まで3分の1しか行けずの撤退であったが、自然の力をまざまざと見せつけられた登山だった。
 この経験をこれからの登山に生かしてもらいたいと思う。


テン場からのラッセル


枝に積もった雪がキレイ


1,035mピークにて


車に積もった雪

タイム:テント(8:25)→1,035m(9:30)→駐車場(11:25)
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