
秋田駒ヶ岳 男岳南東斜面
2014年5月10日(土)〜11日(日) メンバー:下野さん、小田中 智、嶋脇さん(11日)
コース:国見温泉〜横長根〜横岳〜阿弥陀池避難小屋〜横岳〜ムーミン谷〜男岳〜阿弥陀小屋〜男岳鞍部〜ムー
ミン谷〜横長根〜国見温泉
昨年から始めた残雪期の雪上訓練は、急斜面がある男岳南東面と横岳南面の斜面で行っている。
下野さんは2日間にわたって、アイゼンを付けての歩行技術、ピッケルワーク、ザイルワーク、岩稜歩行などを行うことになった。
朝早くだとまだ雪が締まっており、日が当たる前の斜面だとアイゼン歩行にもってこいである。泊まりはムーミン谷の入口にテントを張り、早朝から訓練することにした。
10日(小雨)
4時に下野さんと合流し、国見温泉に向かう。昨夜の雨は岩手山の上部では雪が降ったみたいで、うっすらと白くなっていた。予報では今日から天気が良いようだ。
登山口駐車場で身支度をしていると、小雨が降ってきたのでカッパを着る。今日のザックはザイルやハーネス、炊事用水があるため、20kgを超えていた。
森山荘から急な登りで高台に立つと、そこからは雪の世界となった。ネットで見ると昨日から温泉が開業したみたいで、登山者の足跡はまだなかった。
横長根に着くとガスがかかり、風も出てきた。所々雪が無くなった夏道は、掘れている道に中途半端に雪が残り歩きづらかった。
今日はムーミン谷に泊まる予定であったがアクシデントがあり、小雨も降っているので阿弥陀池避難小屋に泊まることにする。しだいに風が強くなり、横岳に着く頃には風速15m近くの風となった。
横岳には沢山の足跡があり、八合目から登り湯森山へ行ってるみたいだ。阿弥陀池小屋に着くと大勢の高校生たちが休んでいた。大人に聞くと秋田県の高校総体だという。しかし、小屋に入りきれない男子達は寒さで震えていた。
まずは2階に上がり、荷物を整理するが雨は晴れそうにないので、熱いコーヒーを飲みながら昼食とする。この状態で外に出ても訓練にはならず、ただ濡れるだけなので、室内講習とする。
ザイルの結び方、ザイルの掛け替え、確保の仕方などを2時間ほど行い、シュラフに入り昼寝をする。一眠りして起きるが外はガスっていた。
明日の朝は早いので、食事をして早く寝ることにする。今夜のメニューは、野菜サラダ、鯛の焼き魚、サーロインステーキである。まずはビールで乾杯し飲み始める。
ダウンジャケットを持ってこなかったので結構寒く、掛けてあるモーフを借用し、魚を焼き始める。語らい飲んで、6時頃にはシュラフにもぐる。

国見温泉

男岳分岐

横岳
タイム:国見温泉(5:40)→男岳分岐(8:25)→阿弥陀池小屋(10:35)
11日(快晴)
3時に起床し食事の支度をしていると外が明るくなり始め、窓から覗くと外は晴れていた。ラーメンライスの朝食を終え、必要な荷物をザックに詰め外に出ると、岩手山の背後の雲が赤く染まり始めた。
朝の冷え込みで雪は硬くなっている。雲もなく雪も固く、絶好の訓練日和である。アイゼンを付けていると岩手山の横から真っ赤に燃えた朝日が登り始めた。こんなに美しくも神秘的なご来光は中々見ることができない。
横岳に登り横長根方向に少し下った所から右のザレを下り、ムーミン谷へと下る。横岳南面の斜面で登下降をする。上に登るに従い傾斜が増してきたので、斜め登行、下りは横向きの下降と基礎訓練を行う。
雲一つない空からは間もなく、今まで日陰だった斜面に日が当たり始めると雪は柔らかくなり始めた。嶋脇さんが登ってくるはずだが、まだ見えない。
夏道から男岳鞍部に近い岩稜部で、草付きをピッケルのピックで登る練習をする。今度は五百羅漢の登り口の岩場に行き、10m程の岩を登る。やっと嶋脇さんの姿が見えてきた。
嶋脇さんと合流し、右の急な雪の斜面を登り、下野さんにザイルを結び後ろ向きで下ってもらう。ザイルいっぱいの合図とともに下って行くと、ザイルを外し先に下っていた。
ザイルを結んだら後続が降りてくるまで待つのが普通であるが、「俺を見捨てるな」と冗談を飛ばしながら合流する。近くに6人パーティがいたので近づくと、私が所属する盛岡山想会の仲間だった。
会の新人訓練山行で、小泉先輩としばらく冗談を言い合いながら話す。我々は男岳の南東斜面を登るので彼らと分れ、男岳への急斜面へ向かう。
すぐ後ろを1人の登山者が近寄ってきて顔を合わせると、4月下旬に岩手山焼走りを一緒に登った小川さんだった。偶然の出会いだったが、一緒に登ろうと声をかけ同行することになった。
斜面は徐々に傾斜を増し最大斜度45度の斜面は、昨年と比べると雪が多く亀裂は全然なかった。
私は新人時代、山想会の訓練山行で幾度となく先輩と登り、やがては北アルプスへと登っていった。
北アルプスの冬や春は急な斜面がルート中随所にあるが、この斜面で訓練することにより、北アルプスでも動じないで歩けるのである。
山頂に立つと全方位の男岳からは、東にかすむ早池峰山、南に和賀連峰と奥にかすむ焼石連峰、南西にかすむ鳥海山、北西に森吉山、北にかすむ八甲田連峰、北東に岩手山と久しぶりに多くの山々が見渡せ嬉しい。
小川さんと別れ、荷物を置いてきた阿弥陀池小屋へ向かう。パッキングを終え、男岳鞍部でしばらく山想会パーティを待つが来そうにないので、ムーミン谷へと急な斜面を下って行く。
横長根では、昔ヒマラヤに一緒に登った工藤さんに会い、山で会えたことが嬉しかった。石塚旅館で汗を流し、盛岡へと帰る。

横岳手前からの御来光

横岳手前からの御来光

横岳から

男岳と女岳

男岳の斜面で登ったライン

岩場での練習

嶋脇さんと下野さん

盛岡山想会の面々

男岳への斜面で

男岳にて

田沢湖

和賀連峰

森吉山

岩手山へ続く縦走路

阿弥陀池からの男岳

岩手山へ続く縦走路

女目岳

馬ノ背から男岳

女岳と男岳
タイム:阿弥陀池小屋(4:30)→男岳(10:00〜15)→阿弥陀池小屋(10:40〜11:20)→国見温泉(14:20) |