向白神岳 ガイド登山
 
向白神岳
向白神岳

平成25年4月28日(金)〜29日(土) メンバー:嶋脇様、小田中 智

 コース:登山口〜二股分岐〜大峰岳分岐〜白神岳〜玄関岳〜向白神岳 往復


 今年の3月は悪天のため、一歩も向白神岳方向には向かえなかったので、ゴールデンウィークの前半に再び向白神岳に行くことになった。
 私は昨年も登れなかったので今回が三度目である。天候はどうやら良さそうであるが、山は行ってみないとわからない。

28日(雨)
 28日3時に「道の駅たかのす」で嶋脇様と待ち合わせするので、27日の夕方に出発する。雨の中を田沢湖経由で走り、20時前に「たかのす」に着いた。
 晩酌をして22時前に寝る。

29日(曇りのち霧)
 3時に起床すると隣に嶋脇様の車があり、私の車で登山口へ向かう。
 駐車場に着くと車は4台止まっていた。ほとんどが他県の関東以南のナンバーである。
 曇り空のなか、すっかり雪が消えた登山道を歩いて行くと、カタクリの群落があったが時間が早いせいかしぼんでいた。
 登山道は尾根をトラバースするように登って行くと、日帰りの単独者が追い越していった。やがて雪が出てきてトレースに導かれながら急な登りで蟶山の尾根へと向かっていった。
 蟶山の先の方に出たのでだいぶ近道になったようだ。尾根の登りが急になってくると、先ほどの単独行者が下ってきたので尋ねると、視界が悪くトレースが見えなくなったので急な登りになる所から引き返してきたという。
 滋賀県からやってきたというので、せっかく遠い所から来たので一緒に行こうと誘うと行きたいというので一緒に行くことにする。
 大峰岳分岐手前からは視界が悪くなり風も強くなってきた。彼の下りのためにマーキングテープに付いた氷を落とし見えやすくする。3月に比べると雪はだいぶ少なくなっており、便所の手前から少し右に入ったようで左に修正すると、ちょうど白神岳の山頂に着いた。
 小屋に行くと、2名の単独行者がおり、昨日登ってきたが今日は天気が悪く向白神岳に行けないので、これから下山すると言う。向白神岳は登山道がないので、今の時期が天候的に一番登りやすくなるので遠くからもやってくるのだろう。
 本来であれば玄関岳の先まで行ってテントを張りたかったが、この視界の悪さでは進むことができないので小屋に入り停滞とする。
 一緒に来た単独行者も帰っていき、暇なのでシュラフに入り昼寝をする。13時過ぎ、はやなかな声で目が覚めると、男女7名のパーティがやってきた。
 夕方になってくると上空がだいぶ明るくなり時折青空が見え出してきた。もしかしたら夕日が見れると期待感がわく。昨年の3月に来た時の夕日は素晴らしかった。
 明日の早出にそなえて早めに夕食をして休むことにする。夕食はドライカレーとすき焼きである。家でもなかなか食べれないが、ホット焼酎を飲みながら山で食べるすき焼きはまた格別である。
 時折外に出てみると外は晴れ渡り、向白神岳が見えその奥には勇壮な岩木山がとんがっている。
 下の階にいる青森のパーティの所に挨拶に行き、少しの間歓談させていただく。女性5名は弘前労山の彼女達であった。
 そして、外に出てみると夕日が出ていた。雲が高いため残念ながら日本海沈む夕日とまではいかなかったが、それでも十分に感動できる夕日であった。
 明日の好天を期待してシュラフにもぐる。

二股分岐の上
二股分岐の上

白神岳山頂
白神岳山頂

夕方の山頂と避難小屋
夕方の山頂と避難小屋

向白神岳の稜線と岩木山
向白神岳の稜線と岩木山

沈みゆく夕日
沈みゆく夕日

弘前労山の5人娘
弘前労山の5人娘

タイム:登山口(5:30)→白神岳(10:30)


30日(晴れ)
 3時半に起床して外に出てみると視界は良く、向白神岳の稜線が見えている。早々に朝食を食べ、出発の準備をする。
 雪は固めでその上に10cm程の新雪が積もっている。ワカンをつけ向白神岳へ向かってスタートする。緩い傾斜の尾根を下って行くと雲の切れ目から朝日が見え始めた。
 玄関岳を登ると急斜面の下りとなったのでアイゼンに履き替える。鞍部から一山越すとようやく山頂が見えてきた。昨年から憧れた向白神岳は遥か彼方のごとく遠く感じられる。
 稜線は起伏が多くなかなか山頂は近づいてこないが、雪庇に注意しながら登って行くとやっと二つのピークが見えてきた。地図では三角点は奥のピークであるが、標高的には手前のピークの方が高い。
 山頂で嶋脇様とかたい握手を交わし写真におさめる。白神岳の稜線は白く輝いているが遠い。今日は小屋から下山し、嶋脇様は八戸まで帰らなければならないのである。
 天気が良く雪はだいぶ柔らかくなったので、ワカンに履き替える。玄関岳の登りで長靴を履いた単独行者と出会う。今朝登山口を出てきたと言うが、いくら空身とはいえかなりのハイスピードである。
 昨日の白神岳は天気が悪かったので再び山頂に立ち、はてしなく遠くに感じた向白神岳への道のりをしばし感慨にふける。
 小屋で荷物をパッキングして下り始める。もう登山者は誰も登っては来なかった。暑くて汗を流しながら下って行く。
 登る時に見えたカタクリの群落は更にたくさんあり、山道の片側を埋め尽くすほど咲いていた。まだ山の上は冬であるが、登山口や標高が低いところは春で、これからは高山植物を眺めながらのんびり歩くのも楽しみだ。

下り始めると、朝日が登りはじめた
下り始めると、朝日が登りはじめた

輝く朝日
輝く朝日

玄関岳
玄関岳

向白神岳への稜線
向白神岳への稜線

朝日に染まる稜線
朝日に染まる稜線

やっと見えた向白神岳
やっと見えた向白神岳

やっと見えた向白神岳
やっと見えた向白神岳

向白神岳山頂
向白神岳山頂


向白神岳山頂

戻る道のりも遠い
戻る道のりも遠い

向白神岳をバックに
向白神岳をバックに

白神岳山頂で
白神岳山頂で



カタクリの群落
カタクリの群落

タイム:避難小屋(4:40)→向白神岳(8:20〜30)→避難小屋(11:30〜12:20)→登山口(15:30)

 ハタハタ館で入浴し、「道の駅たかのす」で嶋脇様と別れ、梅ちゃんの家に行く。今夜は一緒に飲みながら五竜岳から鹿島槍ヶ岳縦走の打ち合わせをし、泊めてもらって明日帰ることにしている。
 梅ちゃんは風邪をひいていたが、飲むのに付き合ってくれた。やはり心と山への情熱が通じ合っている仲間と飲む酒は美味しく楽しい。

★嶋脇様からの声
 きっかけは忘れてしまったが、白神山地最高峰、向白神岳に登頂してみたいという思いが強くなったのは2年位前である。
 今年の3月に一度挑戦するも天候不良の為、断念した。理由は雪庇が張り出していて、視界が悪いと危険だからだ。
 今回も避難小屋に泊まった時点で、無理かなと諦めていたが、山の神様が味方した。
 避難小屋からは、向白神まで往復約8時間位かかった。結構疲れた、なんてことはまるでない。今は充実感でいっぱいだ。小田中ガイドにはとても感謝している。
 今年の秋は、去年果たせなかった白神岳から十二湖への縦走をするつもりだ。
 そして、いつか雪がある時期に、向白神岳の山頂に単独で立ちたいという目標ができた。
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