羅臼岳・樽前山 ツアー登山
 


2016年8月20日(土)〜26日(金)
 メンバー:中野さん、昆さん、吉田さん
 コース:22日/羅臼温泉登山口〜泊場〜屏風岩〜お花畑分岐 往復
     23日/知床世界遺産センター、知床自然センター、知床一湖高架木道
     24日/知床半島ラウスクルージング
     25日/樽前山七合目登山口〜東山〜西山〜932m峰〜風不死岳分岐〜風不死岳〜分岐〜登山口

 昆さんから知床半島に行きたいとの要望があり、羅臼岳登山、斜里岳登山、知床半島の観光ということで計画を立てた。
 6泊7日の工程ではあるが、苫小牧港からウトロまでの道のりは430kmあるため1日がかりの移動で、登山と観光日は3日間しかない。
 山は雨でも登れるが、知床の観光は晴れてもらわなければつまらない。日程が近くなるに従って、天気は悪い予報で、台風も後を追いかけてくるようだ。あとは皆さんの普段の行いと天運を祈るのみである。

20日
 みんなの自宅に迎えに行き、18時過ぎ高速道に乗る。船では吉田さんとささやかに天気祭りをする。明日は一日雨の予報である。

21日(雨のち曇り)
 苫小牧港から道東道に入ると、曇り空ではあるが晴れ間が見えている。トマム手前から雨になり、足寄に入ると携帯に大雨警報が入ってくる。3日ほど前にもこの付近の一部の地域が浸水したとの報道があったばかりだった。
 雨が降る摩周温泉で昼食にし、摩周湖へ向かう。 摩周湖へ向かうと雨は上がった。今回の摩周湖は「霧の摩周湖」なのか「晴れた摩周湖」なのだろうか?展望台に着くと、やはり「霧の摩周湖」で何も見えず、見えるのは霧ばかりだった。
 野上峠を過ぎると雨が止み、斜里岳の裾野を見ながら海辺へと走っていく。オホーツク海に出る頃には青空が広がってきたが、海の色は灰色ぽかった。
 オシンコシンの滝で一休みすると、滝は増水で倍くらいの水量が流れ落ちていた。間もなくウトロの町に入り、やっと運転が終了した。
 宿は「温泉民宿 たんぽぽ」で昨年泊まった宿だ。宿泊料金は安いのであるが、温泉とマスターが作る料理が評判の宿だ。ビールで乾杯して早めに休む。


オシンコシンの滝 日本の滝百選


22日(晴れのち雨)
 宿を4時に出発して、近くのコンビニで食料を仕入れると、岩尾別温泉に行く林道が通行止だという情報を聞く。知床横断道路に行くと、知床五胡に通じる道路のゲートは閉まっていた。
 羅臼岳への登山道は、斜里側から登る岩尾別コースと羅臼側から登る羅臼温泉コースがあるが、羅臼側から登らなければならない。羅臼温泉コースは、岩尾別コースから比べるとコースタイムが2時間半ほど長いのである。我がメンバーでは日帰りで往復することは困難であるが、行ける所まで行くしかないのである。
 知床峠から羅臼岳は雲の中であるが周りは青空で、雲から登った朝日が輝いている。登山口は羅臼温泉キャンプ場で、キャンプ場には10数張りのテントが張られていた。
 登山道に入ると登山道は昨夜来の雨で小川となっていて、キャッパリしないように歩いて行く。昨夜もそうであったが北海道も蒸し暑く、大量の汗が頬や背中を伝って流れていく。
 登山道はさほど急登がなく、緩やかに上り下りを繰り返していく。第二の壁を過ぎると展望が開け、清水沢ごしに羅臼岳が見えた。上空は真っ青な青空である。しかし、この晴れ間も午後からは崩れる予報だ。
 ペースはゆっくりではあるが、快調に進んでいる。蒸し暑さのせいで水は無くなりかけ、登山道を横切る沢水を補給する。
 清水沢沿いの道は沢水のせいで涼しく、不明瞭な道には赤ペンキの目印がある。沢水は硫黄分を含んだ水で、石は茶色くなっている。
 水量は多いのであるが、私は既にキャッパリしているので水流をあまり気にせずに渡る。硫黄が一面に多い付近の泊場を過ぎると涸沢となり、歩きづらくなったが道脇には天然のブルーベリーが沢山あり、ついばみながら登って行く。
 前方に屏風岩が見えてきたところで2名がリタイアし、昆さんと2人で先を目指す。時間はすでに12時近くであるが、13時半のタイムリミットまで先へ進む。
 屏風岩の基部からは急な登りとなるが、道脇にはアオノツガザクラ、エゾツガザクラなどが咲き、疲れた体を癒してくれた。もう8月の下旬であるが、高所には最後の花が見事に咲いていた。
 朝方追い抜いていった単独後者が下ってきた。お花畑分岐で13時を過ぎたので、残念であるがここから下山することにする。途中でリタイアしたメンバーからは、下山しているとのメールが入っていた。
 風が出始め霧雨が降ってきた。下りの岩はよけい滑るので慎重に下っていくと雨に変わった。清水沢渡渉点付近に3名の外人登山者が登ってきていた。これから雨も強くなりそうで、今夜は厳しいテント泊になりそうだ。
 上りも長かったが、やはり下りも長い。暗くなる前ころに着きそうなので焦る必要もなく、しっかり水分補給しながら下っていく。登り始めてから12時間、ずぶ濡れ状態でやっと登山口に着いた。
 昨夜泊まった宿に着いたのは19時で、早速入浴し爽やかな体で食事をいただく。冷たいビールが渇いた喉を気持ち良く潤してくれた。
 北海道に台風が上陸し、明日の朝は風が強いと言う。明日は観光なので予定は明日起きてからにすることにして、早くに布団に横になる。


知床横断道路でのエゾシカ


羅臼温泉登山口


木がくれの滝


???


第二の壁付近から見える羅臼岳


清水沢


泊場付近の硫黄の沢


ブルーベリー


屏風岩


エゾキンバイ


カニコウモリ

タイム:羅臼キャンプ場登山口(6:00)→第二の壁(9:35)→泊場(10:30)→屏風岩(12:00)→お花畑分岐(13:20)→
    登山口(18:10)


23日(雨のち晴れ)
 台風の影響で午前中は風雨が強いが午後から晴れの予報なので、宿のマスターに相談しながら観光の予定を立てる。ゆっくりの朝食を終え、宿を10時に出発する。
 今日の観光は、午前中は知床世界遺産センター見学、知床自然センター見学、午後から知床五湖探索又は網走博物館見学として、夕方に宿泊する清里町に移動する予定とした。
 道の駅「知床・らうす」で、昨日出合った外人パーティに出合った。びしょ濡れ姿であったが元気で、昨夜は風で大変だったと言っていた。
 知床自然センターを見学後昼食をとっていると、外には青空が広がっていた。予報通りの天候である。知床五湖に向かって坂道を走っていく。一昨日と違いオホーツクの海は青く輝いていた。
 一湖に向かって伸びる高架木道を歩いていくと、羅臼岳から硫黄山への連山が雲にかすみながら見えている。この連山は昨年縦走したコースである。ついさっきまで台風の影響で風雨だったのに、今は青空の下で清々しい天気が嘘のようだ。
 多くの観光客とすれ違い、登山者風の方に声をかけると、一昨日ホテル地の涯に宿泊し羅臼岳に登ったという。ホテルに宿泊すると通行止の道路は通れたようだ。明日登ろうとしている斜里岳の道路は、一昨日から通行止めになっているという情報を聞いた。
 役場に電話するもやはり通行止めは正しく、明日からの工程変更を考える。明日は天気が良い予報なので知床のクルージングをし、明後日支笏湖湖畔にある樽前山に登ることにする。
 今夜の宿泊地である斜里岳麓の「ホテル緑清荘」に向かう。また明日ここまで来なければならないが、明日の宿泊地は苫小牧市内のビジネスホテルに変更する。あっち行ったり、こっち行ったりと移動しなければならないが、土壇場での転戦なのでいたしかたない。
 道すがらに見える幻となった斜里岳の姿に見とれながらホテルに入る。


一湖高架木道から望む羅臼岳、三ツ峰、サシルイ岳


一湖と硫黄山、知円別岳


一湖をバックに


24日(快晴)
 今日は絶好のクルージング日和である。日程変更のため岬コースは満席で硫黄山コースとなった。船は11時の出航のため9時にホテルを出る。
 今日は朝から日差しが強く、台風が去った後はこんなにも天気が良いのかと思うくらいだ。船に乗るが風はなく波もない穏やかなオホーツク海だ。
 羅臼岳は雲に隠れているが、硫黄山に回り込んで行くと雲は切れそうだ。昨年もこのコースをクルージングし、縦走での展望は無かったがクルージングでは連山が見えた。まるっきり今回も同じで、なかなか山では天候に恵まれない。
 海岸線の景色に感動し、船長の説明に聞き入っているとやがて連山が見えてきた。いつか晴れた日に再び縦走してみたいと思う。
 クルージング後は、民宿のマスターに紹介された船を持っている食道にいき、焼き魚定食を注文する。ビールを飲みながら魚を食べたらと思うとヨダレが出てきた。
 冷凍した魚をたくさん買いこみ、苫小牧市に向かって車を走らせる。吉田さんが運転を代わってくれ、しばらく助手席でのんびりするがなかなか眠れない。
 今夜の宿泊地は苫小牧駅近くのビジネスホテルで、裏手が繁華街になっており、食事をしながら乾杯する。


知床岬


カムイワッカの滝と硫黄山


羅臼岳と三ツ峰


ウトロ港のゴジラ岩


25日(霧雨時々曇り)
 宿を6時に出て、コンビニで買い物し登山口に向かう。登山口に着くと霧雨が降ってきた。
 盛岡山想会のツアーで3年前に来た時は、雨と強い風で風不死岳に行けなかったことが思い出される。こうやって振り返ってみると私のツアーは雨に当たることが多いような気もする。もしかして私は雨男かも知れない。
 登山道脇には丸くて白いシラタマノキが沢山あり、イワブクロことタルマエソウも咲き終わりを楽しむかのように少しばかり残っていた。
 平日にも関わらず登山者はそこそこで、いつものことながら追い越していった。東山から西山へ向かう。今回は風不死岳まで行きたいのだが、これからの天気に期待する。
 樽前神社奥ノ院にお参りし西山に向かう。礫地の道脇には小さなイワギキョウが風に揺れていた。天候の関係でこれ以上に大きくなれないのだろう。
 樽前山は活火山で溶岩ドームは今も噴煙を上げており、西山には無人の観測機があった。晴れているとここから眺める溶岩ドームや風不死岳の景色は素晴らしい。
 少し戻って内院に下っていくと登山者たちとすれ違った。内院はシラタマノキの群生地で今が盛りのようだ。樽前山は花の百名山に選定されており、シラタマノキ、タルマエソウ、イソツツジの群生地である。
 932m峰に登り風不死岳に向かう。天気は晴れそうな雰囲気もあるが中々展望が効くまでにはなってくれない。カッパを着たり脱いだりしているうちに衣類はすっかり濡れていた。
 コルから急な登りとなり、鎖場とロープが張った岩場を登ると963mのピークに立つ。ここから傾斜は緩いもののニセピークがいくつもあり、山頂は遠い。
 やっと着いた山頂は薄日が漏れているが展望はなく、眼下には支笏湖が見えるはずなのだがそれすら望めない。
岩場を慎重に下って、礫地を七合目登山口へと下って行く。結局、樽前山、風不死岳の姿は望めなかった。
 苫小牧温泉ほのかで汗を流し夕食をいただく。21時15分発のフェリーで八戸港に向かう。


樽前山七合目登山口


シラタマノキ


タルマエソウ


樽前山東山


樽前神社奥ノ院


イワギキョウ


コケモモの実


西山


イソツツジ


932m峰


かすむ風不死岳方面


風不死岳にて

タイム:登山口(7:50)→樽前山東山(9:10)→西山(10:15)→932m峰(11:30)→風不死岳(14:30)→登山口(16:30)


26日
 4時45分八戸港に着き、船を降りると朝焼けが見えた。サービスエリアで朝食を食べ盛岡へと向かう。
一週間共にした皆さんとも間もなくお別れである。一緒に食事をし、一緒に汗を流しながら登り、楽しすぎた日々、家に帰ると家族が居るのであるが、いつものことではあるが寂しさを感じる。
 それぞれの自宅に送りお別れする。


おすすめの宿泊所 知床温泉民宿 たんぽぽ 食事よし 対応よし 源泉かけ流し


おすすめの宿泊所 きよさと温泉 ホテル 緑清荘 食事よし 対応よし


 今回の天候は低気圧があったが、さらに台風9号が我々を追いかけてきた。雨の影響で林道は通行止となり、計画通りの登山はできなかったが、裏側から登ったり、転戦したりとそれなりに山を登れた。
 観光は晴れ間を狙って動いたため、登山より素晴らしい世界遺産の知床を堪能することができた。そう思うと、悪い天候時期ではあったが、中でも一番良い時に行動できたように思う。
 膝の病気から7月に復帰し、今回は2回目のツアーである。膝の調子は完璧ではないが、日数とともに少しづつ回復している。一時は今年の登山を諦めかけたが、手術後から目標を持ってリハビリに取り組んだ。
 退院後すぐにリハビリ登山をして、脚力無しと体力不足によりバテバテで登り、下りではバランスを崩して転び、さらに痛い箇所も増えた。今思うと無謀なリハビリであったように思うが、思ったより早くにというか予定通りに山に戻ることができた。
 入院時のリハビリで流した涙、リハビリの岩手山では往復で11時間以上かかって流した涙、それがあったから今こうして登れるようになったのかなとも思う。
 ツアーの時、みんなと食べる食事、汗を流して一緒に登る頂、同じ景色を眺めて一緒に感動するひと時、会話する楽しさ、これらが一つになって山で過ごす日々は本当に楽しく、山にいる時は幸せな時である。また山に戻れたことを心から感謝する。
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