三ッ石山1泊 スノートレック
 


2020年1月30日(木)〜31日(金)
 メンバー:加藤さん(神奈川県)、矢野さん(神奈川県)、小田中 智
 コース:松川温泉登山口〜三ッ石山荘(泊)〜三ッ石山 往復


 このツアーは11月後半には決定していたので、事前に燃料の荷揚げを2回行うことができた。山荘にあるストーブは薪とペレット兼用のストーブなので、運びやすさから今回はペレットにしてみた。
 12月上旬に1回目の燃料を運び燃焼テストをした。ペレットを入れる場所にペレットを入れて燃やし、蓋を閉じると何故か火は消えてしまうので、薪と一緒に燃やすことをやってみた。ペレットは薪よりは火力は弱いが、まずまず大丈夫なことが分かった。
 今年は雪が少ないのでゆっくりゆったりと歩け、山小屋ではストーブを囲み美味しいものを食べながら会話をし、貸し切りで三ッ石山を楽しむことができることだろう。

三ッ石山(1,466m) 東北百名山
 三ッ石山は八幡平市と雫石町の境に位置し、裏岩手縦走路の中間にある。山名は、山頂にある露岩がいずれの方向から見ても三つの岩峰に見えることからこの名がついた。
 松川温泉松川荘の手前に登山口があり、急な登りで尾根状に出ると樹林の隙間から姥倉山が見えるようになる。間もなく樹林の切れ間から岩手山が姿を現し、素晴らしい岩手山の眺望を見ることができる。アオモリトドマツの緩やかな樹林帯をしばらく登って行くと、アオモリトドマツに積もった雪が美しくなる。
 三ッ石山荘はこじんまりとした避難小屋で、薪ストーブがあるので、事前に薪を荷揚げしておくと暖かい夜を楽しむことができる。網張スキー場からスキーで訪れ三ッ石山を滑るのが人気で、冬の土曜日は小屋に泊まる方が多い。
 小屋から山頂に向かうと岩手山の山容が美しく、ついつい見とれてしまう。大松倉山から岩手山にかけての樹氷群も素敵だ。
 やがて頂上の露岩が見え、小高い頂上に立つ。360度の展望で、八幡平への縦走路、西方に乳頭山から秋田駒ヶ岳、東には異相な形の岩手山がひときわ大きく望まれる。天気に寝具まれると、真っ白い三角形の鳥海山が見える。

30日(曇り)
 小屋までの距離が短いのでゆっくりした朝時間でお迎えし、松川温泉へ向かう。昨夜までは沢山の雨が降り、この季節で雨は珍しい。
 松川温泉付近では昨夜雪が降り、新雪が30cm程積もっていた。しかも湿気が多い雪なので重そうだ。時間が遅くの出発になってしまったので小屋に着くのが遅れそうだ。
 歩き始めると雪はかなり重く、さらに膝下まで潜った。上空は晴れておりラッセルでの汗が玉のようにふき出す。登山口からの急な部分を上るだけでも1時間を費やすが、枝に積もった雪の姿が美しい。
 樹林の間から見える岩手山には雲がかかり、姥倉山、黒倉山、屏風尾根の下部だけしか見えなかった。2人でラッセル交替しながら登って行くが、重い雪と膝下までの潜りでなかなか距離が伸びなく、時間だけが早く過ぎ去っていく。
 遅くとも暗くなる前には着くと思っていたが、もう暗くなり始めてきた。まだ沢を渡ってないので、まだしばらくかかりそうだ。ようやく一つ目の沢を渡ると暗くなり始め、アオモリトドマツの回り込みで方向が左に寄ってしまい、大松倉山から三ッ石山荘の中間点付近に出てしまった。
 真っ暗の中での方向感覚は分からなく、GPSで現在位置を確認し方向を決める。右に向かっているつもりでも左に寄ってしまったりと右往左往するが小屋はもう間じかのはずだ。暗いが視界は悪くなかった。間もなく50mも先にボーッと黒い建物のようなものが見えた。近づくごとに小屋の輪郭がはっきりし緊張感から解放された。
 真っ暗ではあったが自分の感覚を信じ、GPSでの位置確認を怠らなかったので無事に小屋に着いた。上空は星空だったが、星を見ながら歩く余裕はなかった。もう18時半である。
 さっそくザックから焚き木と着火剤を出し火をつける。赤い炎は暖かく、ウイスキーをふた口飲んで体の中も温める。大量に汗で濡れた体は冷え切っていた。
 焚き木のおかげでペレットも燃え始め暖かくなってきた。雪を溶かして水を作り夕食の支度をする。夕食はきりたんぽ鍋、ジビエエゾ鹿焼肉、クジラ刺身である。野菜が入ったきりたんぽ鍋を作って乾杯する。
 避難小屋があるのは冬は特にありがたい。和賀山塊の山には小屋が一軒もないので、山の中間点にあれば訪れる登山者も多くなると思うが、これからではもう無理なのだろうか?
 空腹に任せ一気に食べると腹が苦しくなり眠くなってきた。今日は思わぬラッセルだったのでかなり疲れていた。暖かい小屋で眠るのは楽しいものだ。


登山口のすぐ上


樹林に積もった雪


小動物も登山をしている


右から姥倉山、黒倉山、岩手山屏風尾根の下部


アオモリトドマツに積もった雪


前方に大松倉山が見える

タイム:登山口(9:30)→三ッ石山荘(18:35)

31日(金)
 残ったきりたんぽ鍋にうどんを入れて朝食にする。昨夜は風が強いようだったが今朝は穏やかになり視界もよさそうだ。ザックに日帰り用の荷物を詰めて出発する。
 小屋からは潜りは少なく快調に進んでいくが、岩手山方面の視界はない。しかし、樹氷とまではいかないがアオモリトドマツに雪が積もった姿が美しい。登るごとに風が出てきて視界も悪くなってきた。
 風に積もった雪が飛ばされて混じるので顔が冷たく、目に入って痛くなってきた。視界もかなり悪い。下りのことを考えて小枝にマーキングして山頂に向かう。風は風速12m程だろうか。
 小岩が見えてくるとその先に真っ白く小高い山頂が見えた。白一色の世界で風が強いので、写真を撮ってすぐに下りにかかる。方向を確認して下ると、間もなくピンクのマーキングが見えた。やはりやることはキチンとするべきだ。
 小屋でパッキングし、フジのリンゴを分けて食べる。山で食べるリンゴは格別の味だ。
 外では日が差し始め上空は青空だ。昨日間違った所のトレースまでラッセルが少ないことを願う。アオモリトドマツをかき分けて下っていくがどうしても左に寄ってしまう。これは私の習性なのだろうか。昨日に比べると潜りはいく分少なく雪質も軽くなっていた。
 しばらくすると昨日のトレースに出会えた。3人でつけたトレースは舗装道路のごとく立派で、ようやく昨日の苦労が報われた思いだ。これで登山口の到着も早くなることだろう。
 風に吹かれて所々消えたトレースではあるが歩くのが楽だ。尾根状まで下ると風が強くなり寒い。最後の急な部分の下りは雪が固く、押し付けながら歩くので負担が膝と股関節にかかり、苦しい最後の下りとなった。
 焼走りの湯で汗を流し、盛岡駅でお別れする。ラッセルが苦しく大変だったが楽しい思い出に残る今年の幕開けの登山になった。また東北にいらしてください。


小屋から歩き始めた所


小屋を振り返る


三ッ石山山頂


山頂にて


アオモリトドマツに積もった雪


小屋から見る大松倉山


小屋をバックに

タイム:三ッ石山荘(7:30)→三ッ石山(8:45)→三ッ石山荘(9:25〜55)→登山口(13:55) 
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