岩手山 御神坂〜網張温泉 ガイド登山
 
朝日に染まる岩手山
朝日に染まる岩手山

2013年9月22日(日)〜23日(月) メンバー:内田さん、小田中 智
 コース:御神坂登山口〜展望台〜鬼ヶ城分岐〜不動平〜八合目避難小屋〜不動平〜奥宮〜山頂〜不動平〜お花畑
     〜姥倉山分岐〜網張リフト

 登山は初めてだが、岩手山の朝日を見たいとの依頼があった。紅葉が始まる時期であるため、お花畑の紅葉を見せたい思いがあったので、網張温泉への縦走を考えた。
 車の引き上げを考え、御神坂コースから登り、不動平避難小屋に泊まり、お花畑コースから網張温泉に下るコースに設定した。車の回収は、網張温泉からバスで御神坂駐車場に行けばよい。
 天気予報は2日間とも天気が良さそうなので、夕日と朝日が見れる可能性が高い。

9月22日(晴れ)
 千葉県からのお客様で、待ち合わせは花巻駅に7時半である。駅でお客様と合流し、御神坂駐車場へ向かう。
 お客様は宮沢賢治没後80年の命日のため来県し、賢治が登った岩手山に登り、朝日を眺めたいというのが目的であると言う。
 下界は晴れているが岩手山には雲がかかり、裾野しか見えない。駐車場には20台近くの車が止まっていた。身支度を整えて、お嬢様とゆっくりと歩き始める。食料と装備でザックの重量は15kgなので、まあ楽勝である。
 登るにしたがい雲が上がり、展望台からは晴れわたった上部の稜線が見えている。御神坂沢には落差が50mある大滝が見えている。今年の6月初めに、残雪残るこの沢を単独で登ったことが思い出される。
 いよいよ登りは急になり、ガレ場から岩場となり笠締の岩峰に着いた。岩峰を越えると鬼ヶ城の稜線が見え、所々が紅葉しかけた色どりで美しい。6月の沢登りの時、カモシカに出会ったのもこの付近である。
 上空は晴れてはいるが雲が高いため、だいぶ早くに陽が落ちそうだ。風と共に寒くなってきたのでゴアテックスのカッパを着て、ヘットランプの準備もする。
 徐々に陽は雲に隠れ出すと、雲の間から木漏れ日があふれ、美しい幻想的な光景が広がった。もう暗くなろうとしているが、この光景にしばし見とれ佇んだ。
 鬼ヶ城分岐で暗くなり、ヘットランプの明かりで不動平へと下って行く。不動平の避難小屋に泊まる予定であったが、八合目へ水汲みに行って戻るには遅くなったので、八合目の小屋に泊まることにする。
 上空には星が輝き、北斗七星がまばたいでいる。ガヤガヤと話し声が聞こえると、八合目の小屋に着いた。だいぶ時間がかかったが、お嬢様はよく頑張って歩いてくれた。
 小屋に入り、まずは熱いレモンティーで乾杯する。定番のサラダで飲みながら夕食の支度をする。今夜のメニューは海鮮鍋である。もちろん全て生物である。
 20時になると消灯となり、持参したマットとシュラフをお嬢様に貸すと毛布をかぶって眠った。私は1時間ほど飲みながら山小屋の夜を楽しむ。
 寝る前にトイレに出ると、まあるい月が輝いていた。毛布をかぶり眠りにつく。

御神坂登山口
御神坂登山口

御神坂展望台から望む御神坂沢大滝
御神坂展望台から望む御神坂沢大滝

展望台から望む上部の稜線
展望台から望む上部の稜線

展望台にて
展望台にて

ガレ場から望む御神坂沢
ガレ場から望む御神坂沢

樹の実の毛氈
樹の実の毛氈

笠締の上から望む稜線
笠締の上から望む稜線

紅葉し始めた登山道
紅葉し始めた登山道

鬼ヶ城の稜線
鬼ヶ城の稜線

雲に沈む夕日
雲に沈む夕日

雲の切れ間から覗く幻想的な夕日
雲の切れ間から覗く幻想的な夕日

タイム:御神坂登山口(9:45)→大滝展望台(12:40〜50)→笠締(15:10)→鬼ヶ城分岐(17:50)→八合目小屋(19:00)


9月23日(晴れ)
 5時に起き外に出てみると、間もなくご来光が始まろうとしていた。お嬢様を起こし、日が昇るのを待つ。雲海は高く、早池峰山の頭の部分だけが雲に浮かび、だいぶ近くに見えた。
 ゆっくりと雲が赤くなり始め、真っ赤に輝く朝日が昇り始めると、眺めている人たちから歓声がわきあがった。外輪も朝日に赤く染まった。なんと美しい光景だろうか。お嬢様に念願の朝日を見せれたことに感謝する。
 朝食は五目飯、鮭の魚、オムレツ、ベーコン、味噌汁である。のんびりしすぎて、朝の掃除が始まっていた。外に出ると空は真っ青の快晴である。
 ゆっくりと不動平へと歩き始める。外輪へと登って行くと、鬼ヶ城の向こうにはうっすらと鳥海山が見えている。雲は高いため高峰の山しか見えていない。
 岩手山神社奥宮にお参りし、杉村が眠るレリーフの近くで手を合わせる。山頂に着くと壊れていた立札が新しい立札に変わっていた。なんと言っても岩手山は日本百名山の一つであるから、看板くらい作らないと恥ずかしい。
 山頂からは、岩木山、森吉山が見え、足元には黒倉山の岩壁と青く光る御釜湖が雲に隠されそうになりながら見えていた。
 不動平に下ると雲が湧きだし風が出てきた。お花畑下って行くと、むかし岩登り訓練でよく登った千俵岩が太陽に輝き、懐かしい思い出がよみがえってきた。
 しばらく下って行くと見覚えのある顔に出会い、元いた山好会のメンバーだった。昔よく登った鬼ヶ城本峰の岩場を梢越しに眺めるが、だいぶブッシュが多くなり、もう登る対象にならない壁になったように思う。
 お花畑から見上げる鬼ヶ城フェースの岩場のブッシュは紅葉で黄色に染まっている。水沢の猿岩を知ってからは岩手山の岩場は登る対象外になっていた。
 山頂には雲がかかり望めないが、屏風尾根の三峰は青空を背景に日に輝いていた。時計を見るとだいぶ時間が押しており、最終リフトの時間に間に合うかギリギリである。
 間に合わなければリフトの下を歩かなければならないので、かなりのアルバイトになってしまう。このことをお嬢様に伝え、頑張ってもらうことにする。
 通称冷蔵庫は登山道が一部崩壊しており、焼切沢に落ち込んでいた。道脇にリンドウとシラタマが咲いていた。後続の方々はリフトの時間を気にしてか急いで追い越して行った。
 姥倉山分岐を過ぎて時間計算すると、最終時間の10分前ころに着く計算であるが油断はできないので、休まず歩いていただく。お嬢様は自分に気合を入れながら頑張って歩いてくれた。
 頑張った甲斐があり、17時10分前にリフトに着いた。バスの時間を聞くと、最終便は終わったとのことで、タクシーを呼ぶしかなかった。しかしながら、お嬢様は本当によく頑張ってくれた。
 温泉でタクシーを呼び御神坂駐車場へ向かう。初めての登山が岩手山で、こんなに頑張ったのは生まれて初めてだと言って笑っていた。民族研究会に在籍したガッツと根性はみあげたものである。
 夕日、御来光を望み、2日間とも天候に恵まれ、始まりかけた紅葉も鑑賞した、素晴らしく素敵な岩手山の旅は夕暮れとともに終わった。
 お山の湯で2日間の汗を流し、花巻駅にお嬢様を送り届けお別れした。

昇る朝日
昇る朝日

昇る朝日
昇る朝日

朝日に染まる外輪山
朝日に染まる外輪山

八合目避難小屋
八合目避難小屋

不動平と鬼ヶ城のピーク
不動平と鬼ヶ城のピーク

不動平と鬼ヶ城のピーク 奥にはうっすらと鳥海山が見える
不動平と鬼ヶ城のピーク 奥にはうっすらと鳥海山が見える

妙高山と山頂
妙高山と山頂

雲に浮かぶ早池峰山
雲に浮かぶ早池峰山

岩手山神社奥宮
岩手山神社奥宮

岩手山山頂
岩手山山頂

岩手山山頂
岩手山山頂

黒倉山の岩壁と御釜湖
黒倉山の岩壁と御釜湖

屏風尾根赤倉岳と森吉山
屏風尾根赤倉岳と森吉山

鬼ヶ城の稜線
鬼ヶ城の稜線

千俵岩
千俵岩

鬼ヶ城本峰の岩場
鬼ヶ城本峰の岩場

お花畑から望む屏風尾根三峰
お花畑から望む屏風尾根三峰

鬼ヶ城フェースの岩場
鬼ヶ城フェースの岩場

山頂は雲に隠れている
山頂は雲に隠れている

エゾオヤマリンドウ
エゾオヤマリンドウ

鬼ヶ城の稜線
鬼ヶ城の稜線

シラタマノキ
シラタマノキ

大地獄谷へのコース
大地獄谷へのコース

姥倉山
姥倉山

タイム:八合目小屋(7:50)→岩手山山頂(9:55)→不動平(11:00〜10)→お花畑(13:45〜55)→姥倉山分岐(15:40)→
    網張リフト(16:50)
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