向白神岳 ガイド登山 白神山地の最高峰は雪がある時期にしか登れない!
 
向白神岳
向白神岳

2014年4月19日(土)〜20日(日) メンバー:居谷さん、佐藤 博、小田中 智

 コース:登山口〜二股分岐〜蟶山鞍部〜大峰岳分岐〜白神岳〜玄関岳〜向白神岳 往復

 冬の岩手山登山を2回敗退していたが、春の白神岳登山のご依頼をいただいた。
 当初は帰る時間の関係で白神岳往復の予定であったが、友人から雪の状態が良いとの情報があり、天気も良いのでテント泊で向白神岳まで行くことにする。
 盛岡から登山口までは4時間半ほどかかるが、テントを張る所は玄関岳を過ぎた鞍部しかないので、時間的には十分だと考えられる。

19日(快晴)
 4時に盛岡駅前で居谷さんを迎えた頃には、夜が明け始めてきた。最近は明るくなるのがずいぶん早くなったものである。
 高速道に乗り、ナビの指示で碇ヶ関インターで降りたが、考えてみると遠回りで、帰りは十和田インターから乗ることにする。空は雲一つない快晴で、今日の白神岳登山の好天を約束してくれていた。
 ようやく駐車場に着くと、1台の車が止まっていた。身支度を整え、8時半過ぎに歩き始める。今回は友人の佐藤君が参加したので、ザックは軽めである。
 雪が無い登山道はすっかりと春で、小鳥のさえずりが聞こえのどかである。蟶山への冬道を過ぎると、道脇にはカタクリが咲いていた。まだ朝方で気温が低いため花びらはしぼんで下を向いているが、明日の帰る頃には大きな花が咲いていることだろう。
 二股から蟶山コースに入り、水場で一休みする。道すがらにはブナの大木があり、世界遺産ブナを感じさせられる。雪を混じえた道をトラバース気味にしばらく登って行くと雪道となり、蟶山の尾根に向かう先行者の足跡をたどる。
 美しいブナ林の沢筋は木漏れ日が眩しく、しばらく緩やかな登りから尾根への急な登りになる。帰りの尻セードが楽しみである。尾根に出るとブナ林は一段と太くなった。
 大峰岳分岐に続く緩やかな尾根を登って行くと、徐々に視界が開け、青空に浮かぶ白い大峰岳の稜線や、青い日本海が見えてきた。風もなく穏やかな天気である。こんな日は、1年の内でも中々出会えない好天だ。
 977mピークを過ぎると登りは傾斜を増し、右に白神岳とトイレが見えてきた。後ろを振り返ると、蟶山の先には日本海の大海原が輝いている。雪はすでに腐れているのでキックステップで高度を稼いで行く。
 大峰岳分岐に出ると目の前に向白神岳の長い稜線が飛び込んできた。岩木山を探すが見えず、稜線を歩くとすぐに向白神岳の稜線の影からとんがった頭が見えてきた。
 白神岳に近づくほどに岩木山の姿が大きく見えてきた。なんという素晴らしい鋭鋒だろうか。そして目指す向白神岳はなんと遠いのだろうか。
 小屋に着くと先行者の男女2人がいた。山頂で見渡す景色はとても素晴らしく、今日この景色を見れたことに喜びと幸せを感じる。
 今夜ここの避難小屋に泊まるのであれば、日本海に沈む夕日を見れることだろうが、向白神岳へ向かうのだから夕日は諦めざるおえない。
 緩やかな尾根を下り、急な下りの玄関岳を左からトラバースして行くが、斜面は結構急なため、ピッケルを出してステップを切りながら、下降気味にトラバースする。
 最低鞍部は広い平地になっているため、ここを幕営地に決め設営する。目の前には小ピークがあるため残念ながら夕日を見ることはできそうにない。
 不要なものをザックに入れ、外のツエルトに入れる。まずは熱いコーヒーを飲みながら一息つく。いまだに、素晴らしかった景色の残像が蘇ってくる。
 夕食のメニューは、サラダ、きんめ鯛焼き、キムチ鍋である。サラダを作り、まずはビールで乾杯する。魚を焼き、鍋をセットし、まだまだ明るいが本格的に飲み始める。
 やはり2人より3人で話す会話は楽しく、泊まって飲むのが登山の醍醐味である。やがて陽は沈み、楽しい夜の時間はゆっくりと過ぎていった。

登山口
登山口

カタクリの群落
カタクリの群落

二股分岐
二股分岐

登山道脇のブナの大木
登山道脇のブナの大木

ブナ林の登り
ブナ林の登り

蟶山尾根上のブナ林
蟶山尾根上のブナ林

977mピークで
977mピークで

木々の間から日本海が見える
木々の間から日本海が見える

大峰岳分岐への尾根
大峰岳分岐への尾根

白神岳とトイレ
白神岳とトイレ

大峰岳分岐からの向白神岳稜線
大峰岳分岐からの向白神岳稜線

稜線の間からの岩木山
稜線の間からの岩木山

白神岳への稜線
白神岳への稜線

白神岳から
白神岳から

白神岳から望む向白神岳の稜線
白神岳から望む向白神岳の稜線

玄関岳への稜線
玄関岳への稜線

白神岳を振り返る
白神岳を振り返る


玄関岳手前の下り


玄関岳を振り返る

玄関岳と幕営地前の小ピーク
玄関岳と幕営地前の小ピーク

ピークに日が沈む
ピークに日が沈む

ピークに日が沈む
ピークに日が沈む

タイム:登山口(8:40)→二股(9:40)→蟶山尾根上(11:50)→大峰岳分岐(13:25)→白神岳(13:50〜14:05)→
    玄関岳鞍部(15:40)


20日(晴れ)
 夜中にトイレに起きると、外は風もなく月が輝いていた。4時過ぎに起床し、日本そばを食べて身支度をする。
 今朝は冷え込んでいるため雪面は硬い。私だけワカンを履き、不要な荷物はテントにしまい出発する。峰にはうっすらとガスがたちこめたがすぐになくなり、登り始めると朝の日が差し始めてきた。
 今日も良い天気だ。1,165mのピークに立つと、1,221mのピークで向白神岳は見えないが、今にも崩れ落ちそうな亀裂が走る斜面は不気味だ。
 ピークに立つと痩せ尾根が続く先に向白神岳が見えるがまだまだ遠い。今日も迫力の岩木山がそびえ、その右には八甲田連峰がかすんで見えている。
 尾根は所々ブッシュが出ており、最近の好天で雪解けが早いため来週には藪こぎが予想される。一部分の斜面は、ワカンではヤバイ所を慎重にステップを刻み通過する。
 後方を振り返ると後続者の姿が見えた。昨日小屋に泊まった2人だろうか?向白神岳は手前のピークが標高が高いが、三角点は標高が低い奥のピークになっている。そして、白神岳よりも向白神岳の方が標高が高いのである。
 ようやく白神山地の最高峰である向白神岳に着いた。全方位の展望は素晴らしく、居谷さんをようやく山頂に導けたことに感謝する。戻り始めると間もなく、もう後続者が現れ、昨日のパーティだった。
 テントに戻り撤収していると、さっきのパーティが戻り玄関岳へと速いペースで消えていった。日は高く登り腐れた雪を踏みしめて白神岳への登り返しがかったるい。
 鋭鋒岩木山へ別れを告げ、蟶山への尾根を下って行く。途中の残雪が新しい所でカキ氷を食べる。前回は練りミルクだけで失敗したので、今回はイチゴシロップを持参していた。今時ならではの美味しいイチゴミルクのカキ氷に堪能した。
 急傾斜の斜面は尻セードで滑り、互いに人の滑る格好を見ては笑いこけていた。
 夏道の二股を過ぎると道脇では満開のカタクリが出迎えてくれた。登る時よりも花の数は多く、斜面全体に咲き誇っている。ピンクの花に紛れて白いキクザキイチゲも咲いていた。
 山々の景色、カタクリの群落、テントでの夕食、尻セードとどれをとっても素晴らしく素敵で、仲間と登る素敵な白神岳登山だった。

向白神岳への稜線
向白神岳への稜線

いつ崩れるともしらない亀裂
いつ崩れるともしらない亀裂

鋭鋒 岩木山
鋭鋒 岩木山

一番奥が向白神岳
一番奥が向白神岳

迫力の亀裂あるピーク
迫力の亀裂あるピーク

向白神岳
向白神岳

鋭鋒 岩木山
鋭鋒 岩木山

八甲田連峰
八甲田連峰

向白神岳と岩木山
向白神岳と岩木山

向白神岳
向白神岳

向白神岳
向白神岳

向白神岳山頂
向白神岳山頂

向白神岳山頂
向白神岳山頂

来た稜線を振り返る
来た稜線を振り返る

幕営地に戻る
幕営地に戻る

白神岳から望む日本海
白神岳から望む日本海

カタクリの大輪
カタクリの大輪

キクザキイチゲ
キクザキイチゲ


フクジュソウ

タイム:テン場(5:35)→向白神岳(7:25〜35)→テン場(8:45〜9:30)→避難小屋(11:00〜10)→登山口(13:30)
 
 あきた白神駅の手前から海岸側に下ると、八森湯っこランドがある。天然温泉かけ流しの共同浴場で、入浴料300円と安い。2日間の汗を流しサッパリとする。
 そこから更に奥へ入って行くと、生ものが美味しいこじんまりとした「いしづか食堂」がある。残念ながら店主が不在のため、道の駅で食事をする。
 盛岡駅には18時半ころ着き、居谷さんと別れる。
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