大深岳 三ッ石山〜大深岳〜源太ヶ岳
 


2019年12月7日(土)〜9日(月)

 メンバー:小田中 智
 コース:松川温泉〜三ッ石山荘(泊)〜三ッ石山〜畚岳〜大深岳〜源太ヶ岳〜丸森川(泊)〜松川温泉


 昨年腰の骨折で埋め込んだ金具の取り外し手術が終わったばかりであるが、正月冬山は念願の剱岳早月尾根へ行けそうなため、手術してからまだ間もないがリハビリ登山を開始することにした。
 2月の初めに三ッ石山ツアー登山が決まっているので、その時に使用する燃料の荷揚げを兼ね、あわよくば大深岳〜源太ヶ岳へと周回することも念頭に置いた。

7日(曇り)
 三ッ石山荘のストーブは薪とペレットの両方を使用できるストーブのため、ペレットを荷揚げて使用してみることにした。ペレット6kgをザックに入れると重量は20kgとなり、退院後の体には心配であったが、山荘までの距離は短いためやってみることにした。
 家を8時に出て松川温泉に向かう。登山口では積雪が30cm程あり、昨日と思われるしっかりとしたトレースがついており、その上には今朝の新雪が10cm程積もっていた。
 荷物を背負うと心配した背中は大丈夫そうであるが、心配は長時間歩いた時に傷口がスレないかである。まずは行くしかない。駄目なら戻ればいいだけである。
 スノーシューで新雪を踏みしめるのは楽しい。期待していなかったトレースは、この体調にとってはありがたいことだ。急登を登りきると大勢の登山グループが下って来た。総勢27名で山荘に泊まり、今朝頂上を踏んで下って来たという。いったい何の団体だろうか?岩手でこんな大勢での団体登山はスゴすぎだ。
 昼食にカップラーメンを食べ、山荘へと向かう。オオシラビソに積もった雪が冬らしく素敵だ。小沢を乗り越えると間もなく展望が開け小屋が見えた。この辺は風雪で寒い。
 荷物を整理しウイスキーを2口飲む。いつも思うのであるが、一日の行動が終了した時のストレートのウイスキーは格別だ。胸のあたりがカッと熱くなり気分最高だ。
 夕方になってストーブにペレットを入れ試し焚きをする。ここのストーブは薪とペレット両方使えるため、搬送的にはペレットが楽なので今回はそれにした。ペレットを使うのは初めてなのではあるが、着火剤を使って火をつける。
 ペレットが燃え始めるまで時間がかかったが、燃えだしたところで蓋を閉めるとすぐに消えてしまった。ペレット側から煙突に煙が流れないようである。構造の問題かやり方が悪いのか分からないが、蓋を開けたままで燃やすと煙で室内はかなり煙くなった。
 下の薪を燃やすところには燃え残った木があったので、ペレットを下に降ろし燃やすといい感じで燃え始めた。着火に手間取ってしまい夕食はお預けになっていたが、ホットウイスキーを飲み始める。つまみは刺身、湯とうふ、焼肉と今回も豪勢で、赤く燃える炎を見つめながら一人の夜を楽しんだ。


登山口付近の積雪


オオシラビソに積もった雪


三ッ石山荘


ペレットが燃える炎を見つめながら山を想う

タイム:三ッ石登山口(10:00)→三ッ石山荘(13:25)

8日(晴れ)
 外を見ると青空で風もないようだ。インスタント食の朝食を済ませ、残したペレットを地下室にしまい込む。小屋を掃除して外に出る。山頂へは昨日のトレースはうっすらと残っており、踏み外すと膝下まで潜った。登るごとに岩手山が美しくなってきて、こんな光景はめったに見れないので立ち止まってはカメラを向ける。
 三ッ石山から眺める展望は360度で、どちらを眺めても素晴らしいとしか言いようがない。これからどうしようか?大深岳に向かうか、松川温泉に下るか。あまりにも天気が良く体の調子も良いので、時間的には少し遅いが前へ向かうことにする。
 しばらくは夏道が出ており快適に進んで行くが、やがて潜るようになってきた。昨日に比べると荷物は軽いが中々スピードが出ない。少しづつ移り変わる冬景色は美しく、夏道を踏み外さないよう気をつける。潜りが少ない夏道には小動物の足跡が続いている。
 ようやく小畚山に着くとやっと大深岳と源太ヶ岳が見えた。裏岩手は中々晴れることが少なく、このような美しい景色を眺めるのは初めてのような気がする。
 急な下りから傾斜が緩くなると、木立に積もった雪が邪魔をして道をふさぐようになってきた。大深岳への登りは長く、夏道が分からなくなると股下まで潜る所も出てきた。思ったより時間は押しており、どこかでは暗くなるのは間違いのない時間となった。
 大深岳から源太ヶ岳も遠く、日が陰り始めてきた。源太ヶ岳では16時近くで、後はひたすら下るだけだ。急な下りを過ぎると股下まで潜り、スノーシューがクマザサに挟まり抜けなくなってしまった。10分も格闘していただろうか?暗くなり始めたのでヘットランプをつける。
 ここからの下りが問題だ。今回はGPSを持参してないので、地図と磁石で方向を確認して下り始める。夏道は見逃したみたいでしばらく下って行くと、地形がおかしいので登り直して左に寄って下る。
 行動し始めてからもうすでに10時間になっておりかなり疲れていた。携帯は通じなく、もし泊まるとしても連絡がつけれない。さらに下って行くと携帯に着信があったので、家族に電話し今日は帰れないことを告げる。これで安心して泊まることができる。
 地形を見極めながら下って行くと、夏道のマーキングが見つかった。しかし丸森川を渡る手前で道を見失い、しばらく歩いたが地形が違うので、ここにツエルトを張って泊まることにした。
 樹林帯の中なので風が無く、食料、燃料があるので快適な夜を過ごすことができる。朝になって明るくなり、来た道を少し戻るとルートも分かるようになるだろう。暗いうえに現在地がつかめないのが一番の問題だ。
 朝から14時間行動しているのでかなり疲れていた。雪を溶かし、熱いお茶と残っていた少しのウイスキーが美味かった。餅を焼いて食べシュラフに潜る。


出発時の三ッ石山荘


三ッ石山へ向かって


岩手山の山容が美しくなり始める


三ッ石山


三ッ石山から見る大深岳と源太ヶ岳


岩手山と樹霜


岩手山拡大


秋田駒ヶ岳と乳頭山


三ッ石山方面を振り返る


岩手山と樹霜


三ッ石山方面を振り返る


小畚山から見る大深岳と源太ヶ岳


八瀬森、大白森、遠く森吉山


岩手山と樹霜


大深岳


源太ヶ岳


源太ヶ岳から秋田駒ヶ岳、遠く鳥海山

タイム:小屋(8:05)→三ッ石山(9:25)→畚岳(12:00)→源太ヶ岳(15:50)→丸森川付近(22:00)


9日(曇り)
 残った食料を平らげ、明るくなると同時に出発する。昨日のトレースを15分ほど戻ると夏道のマーキングが見つかった。これで集中力から解放されたと思うと気持ちが楽になった。やはり明るいと視野が広がるので目印が見つかりやすい。あとはゆっくり下るのみだ。
 今朝は気温が高く小雨混じりとなり、スノーシューには雪団子のおまけが付き、疲れているにもかかわらず足の筋トレとなった。松川地熱の白い煙が見えると、やがて車道に出た。

タイム:丸森川付近(6:10)→三ッ石山(8:30)

 今回は予定外に1日多く山を楽しんだことについては、出発の時間が遅かったことが一番の原因になったが、装備と食料がちゃんとしていれば、東北の山では1日くらい送れようが別に問題はない。
 ただ、家族に連絡できることが一番良いのではあるが、帰れない時はこれも致し方ない。やはり、全てにおいて基本にふり返ることが大切だとあらためて感じた。
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