岩手山 馬返し ガイド登山
 


2017年2月4日(土)〜5日(日)
 メンバー:小原さん(京都府)、小田中 智
 コース:柳沢〜馬返し〜五合目〜八合目小屋〜岩手山 往復


 岩手山は東西南北から見た山容はそれぞれが特徴的で、特に冬の岩手山は優美だ。しかし、標高2,000mの独立峰のため天気は安定せず風も強いため、1月から2月の岩手山の山容を見れることは少ない。
 今回は京都府からのお客様なので、特に山容を見ていただきたく好天を念じながら登山日を待った。

4日(曇り時々晴れ間)
 5時にホテルでお迎えして柳沢に向かう。天気は曇り空で悪くはないが、残念ながら山容は望めなかった。
 柳沢に着くとゲートから先に進んでいる車が見えた。雪は20cmほど積もっており、突っ込んでも大して先には行けないと思っていたら間もなく戻ってきた。
 道路にはスノーモービルのトレールがあるが、スノーシューを背負うのは重いので履いて出発する。馬返しまで一直線に伸びる林道は短調で長い。
 登山口の馬返しから見る岩手山は、四合目までまでは見えているがその上は雲に覆われていた。天気予報は曇りで山頂は風速19m、明日は曇りで風速8mという予報で、真冬の天候としては悪くはない。
 トレースは無く15cmほどのラッセルだったが、登るにしたがい徐々に深くなっていった。例年に比べると雪が少なく、日差しがあるので春山を歩いているような雰囲気だ。
 間もなく宮古の若者が追いついてきてラッセルに加わり、そして車で突っ込んだお兄ちゃんも追いついた。更にもう一人が加わり5人のラッセルとなったが、私たちは荷物を背負っているので追いつくのがキツく、休憩と歩くスピードのローテーションを守って歩く。
 近年の岩手山は、天気が良さそうな土日になると日帰りの登山者が多くなってきた。山頂に登れるかどうかはラッセルと風しだいであるが、泊まる登山者は滅多にいない。
 せっかく登るのだから慌てて帰らず、小屋に泊まって酒を飲み、翌日山頂に登ったほうが楽しいと思うのは私だけだろうか?
 ありがたくトレースの跡を進んでいくと、四合目付近から雪が締まり更に歩きやすくなった。時々風雪があるものの登るにしたがって前方の景色が見えてきた。
 振り返ると町並みは見えないものの、柳沢から相の沢の牧野が広がって見えている。冬にしては良い天気である。
 六合目の大蔵石を過ぎると先行した2名が降りてきた。七合目で時間切れとなり戻ってきたと言い、地元の方は明日また来るという。それならやはり泊まった方が得策である。
 下山のためのマーキングテープを付ける七合目直下より、雲が下がり風が出てきた。しかし七合目を過ぎると前方に小屋が見えた。
 貸切の小屋の奥に陣取り、備え付けの毛布をピンで留め小部屋を作る。冬はこの方法かテントを張らなければ、小屋の中ほど寒くていられない。毛布を使えるのはありがたい。
 毛布で囲った部屋も火がないと寒く、ウイスキーを2口飲むとカッと熱くなった。荷物を整理して熱いコーヒーをすする。
 天井が少し低いため動くたびに頭をぶつける。あと15cmも高いと快適なのだが、山を知らない設計者の知識不足だろうか?
 今回、単独で焼走りから登って来る友人の佐藤君とここで待ち合わせているが来ないようだ。雪が深く時間切れで登れなかったんだと思われる。
 夕食まで時間があるのでシュラフに体を入れて暖をとる。今夜の夕食は、きりたんぽ鍋、野菜サラダ、マグロの刺身である。
 小原さんは飲酒をしないので、私だけホットウイスキーをいただく。暖かく美味しいものを食べながら、初めて一緒する方と語りながら食事するのも楽しい。これも山だからできることで、下界だったらこんなことはまず無い。
 夜中、外からは風の唸り声が聞こえた。


馬返しから望む


四合目手前


七合目


八合目避難小屋

タイム:柳沢(6:10)→馬返し(7:20)→三合目(10:55)→六合目(13:05)→八合目避難小屋(14:30)


5日(晴れ時々強風)
 5時に起床して炊事をする。宿泊の荷物は小屋に置いて外に出ると、目の前にくっきりと外輪が見えている。早池峰山の左の山裾からは朝日が昇ったばかりである。雲は黒いがそのぶん赤が目立って美しい。
 外輪への斜面は雪が少ないが途中までは雪が付いているので、外輪目指して左寄りに登って行く。雪は締まっているので歩きやすい。
 高いシュカブラを乗り越えながら真っ直ぐ外輪を目指して登って行く。直下で雪が切れたがザレをそのまま登ると間もなく外輪に着いた。
 薄い雲が上空を覆っているが山頂はクッキリと見えている。ここまで天気が良くなるとは思ってはいなかったので嬉しい。これも遠方から来てくれた小原さんの精進の賜物であろうか。しかしながら雲が低いため見えるのは早池峰山のみで他の山々は雲に閉ざされていた。
 内輪に下り左回りで山頂へ行くことにし、奥宮にお参りをする。外輪に上がると風が強くなっており、故 杉村君に手を合わせ山頂に向かう。
 登りながら佐藤君の足跡を探すが、昨日の足跡はないので、やはり登れなかったんだと思われる。進むに従い風は強くなり風速15mを超え、山頂の姿も見え隠れしている。風が強い時はこちら側では山頂が盾になり反対側に比べると風が弱い。
 山頂からは展望はないが日が差したりして視界は悪くない。記念撮影をして早々に立ち去る。1月連休の時は快晴無風だったが、あの天気は一生に三度という天気であった。
 山頂を超えても風はそれ以上に強くはなく、展望がないのは残念であったが不動平へと下っていく。
 小屋でパッキングをし直し下山する。六合目まで下ると天気は晴れとなり、間もなく昨日の方が登ってきた。昨日つけたトレースがあるのでこれを利用しないと、中々日帰りでは山頂に立てないと言っていた。
 下るごとに一人、また一人と登ってきて、最終的には今日4人が登ってきた。最近は単独者が殆んどで複数者は希だ。これも寂しいことである。
 このポカポカ陽気は雪が少ないせいもあり、まるで春山のようだ。馬返しで飲む鬼又清水は汗をかいた体に冷たさがしみわたった。ここで下山が終わるのであれば楽であるが、車まであと1ピッチ歩かねばならない。
 ラッセル、強風、硬い氷雪、ポカポカ陽気と色んな場面が体験でき、天気に恵まれて岩手山を眺めることができた。遠くから来ていただいた小原さんには岩手山を楽しんでいただき本当に良かった。


朝焼け


外輪を見上げる


内輪と岩手山


右回りからの山頂


山頂手前


山頂にて


八合目小屋にて


二合目付近から

タイム:八合目小屋(6:45)→山頂(8:45)→八合目小屋(10:10)→馬返し(12:45)→柳沢(13:40)


2日間にわたってお会いした方へ。もし見ていただいていたらメールか電話をいただきたいと思います。
もっと山の話がしたいと思います。
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