飯豊本山 プレミアム登山
 
草履塚と飯豊本山方面
草履塚と飯豊本山方面

2014年9月20日(土)〜23日(火) 

 メンバー:Mさん、小田中 智
 コース:大日杉小屋〜地蔵岳〜切合小屋〜飯豊本山〜御西岳 往復


 紅葉の飯豊本山登山は、プレミアム登山として昨年から依頼をいただいていた。
 プレミアム登山とは、避難小屋泊やテント泊の場合、寝具や食料・装備をガイドが背負い、お客様は軽い荷物で行動でき、食事の用意もガイドがする企画である。
 料金的には高目の設定であるが、年齢を重ねるごとに体力的にあきらめていた山やコースを、1泊や2泊で歩くことができ、今まで叶えられなかった山やコースをのんびりと歩ける。
 今回も2名の予定であったが、お一人が都合悪くなり2人での山行となった。切合小屋に2泊して本山から御西岳を目指すが、紅葉が少し早いのではないかと感じられた。

20日(晴れ)
 仙台駅で12時半に待ち合わせ、東北道に乗り、福島飯坂ICで高速道を降りる。国道13号から米沢駅を経由して国道287号に入り、国道113号から今夜の宿泊地である白川温泉に向かう。
 天気は晴れで車の中は暑い。白川温泉白川荘は白川ダム湖畔公園にある温泉で、公園には資料館、パークゴルフ場やオートキャンプ場がある。時間も早いので資料館を見学する。
 風呂からの眺めは白川の清流が見え、風呂に入りながら缶ビールを飲む。なんと幸せなのんびりとした時間だろうか。夕食は山菜と川魚が中心であったが、米沢牛のミニステーキはとても美味しかった。
 ゆったりと話しながら食事し、それぞれの部屋で早めに休む。明日の朝は6時出発なので、朝食と昼弁当を用意していただく。
白川温泉白川荘 http://snow-man.net/stay.html#stay_1

21日(晴れ)

 6時に宿を出発して喜多方市に抜ける道路から、大日杉登山口に向かう林道に入って行く。飛び石連休の日曜日の駐車場は多くの車が駐車しており、片隅に停め出発の準備をする。
 切合小屋では食事を出してもらうので、2人分の寝具と米、お客様の荷物を合わせると、ザックの重量は22kg程となった。
 朝から好天である。歩き始めて間もなく鎖場があるザンゲ坂の急登が始まった。地蔵岳までは長く急な登り坂ではあるが登山道は歩きやすく、遅咲きの花に励まされながら、ゆっくりゆっくりと歩いて行く。
 地蔵岳で急登から解放されたが、宿泊地の切合小屋はまだまだ遠い。やがて尾根筋となり見晴らしが良くなるが、種蒔山の稜線はずっと先である。所々には紅葉しかけた木々があるがまだ少し早いようだ。
 道筋にはウメバチソウ、リンドウ、マツムシソウなどの秋の花が咲いており、重い荷物を背負って歩くには気がまぎれる。登るごとに木々の色付きがよくなってきた。
 御坪に着くと真っ赤なナナカマドの向こうに、ようやく本山の山並みが見えてきた。ここはダケカンバの枝ぶりが美しく、赤と黄色の紅葉も美しく、ダケカンバに囲まれた庭園みたいな所だ。
 前方にようやく種蒔山の稜線が近づいてきた。1,590mピークから下ると小沢があり、ミヤマリンドウが咲いていた。ここはお花畑で、初夏には一面の花たちが咲くと思われる。
 シラネニンジンが咲く山腹を行くと、歩きづらい笹の切り払った道となり、やがて種蒔山分岐に出た。前方には紅葉しかけた草履塚が見え、本山は雲にかくれている。そして初めて、山頂に雲をまとった大日岳が姿を現した。
 後方には種蒔山の紅葉が見事だ。紅葉はほとんど期待していなかっただけに嬉しさもひとしおだ。一緒に来れなかったMさんにも見せたかった光景だ。
 丘を越えると切合小屋に着いた。天気が良いので、小屋に泊まる人よりテントに泊まる人の方が多いみたいだ。案内された場所に荷物を整理し、外に出ると草履塚の後方に本山小屋のピークが見え、ビールを飲みながら眺める。
 17時の夕食はカレーライスで、販売しているビール飲みながら食事する。そろそろ夕日をと外に出ると、残念ながら大日岳に沈んだばかりだった。
 しばらくして、後片付けが終わった管理人のお手伝いさんを誘って飲んでいると、埼玉の若者が仲間に入り、消灯の19時半まで語り合う。
 外に出ると満点の星空で、お手伝いさんから星座の講義を受ける。

大日杉小屋
大日杉小屋

ツリフネソウ
ツリフネソウ

ブナ林の道を地蔵岳へ
ブナ林の道を地蔵岳へ

センジュガンビ
センジュガンビ

ミヤマママコナ
ミヤマママコナ

エゾリンドウ
エゾリンドウ

マツムシソウ
マツムシソウ

ナナカマドの美
ナナカマドの美

エゾアジサイ
エゾアジサイ

ナナカマドと本山方面
ナナカマドと本山方面

御坪付近から望む本山
御坪付近から望む本山

御坪付近のダケカンバ
御坪付近のダケカンバ

草履塚と本山
草履塚と本山

お花畑
お花畑

ウサギギク
ウサギギク

ほけたチングルマ
ほけたチングルマ

ミヤマリンドウ
ミヤマリンドウ

飯豊本山
飯豊本山

ミヤマアキノキリンソウ
ミヤマアキノキリンソウ

シラネニンジンとノアザミ
シラネニンジンとノアザミ

モミジカラマツ
モミジカラマツ

ヨツバシオガマ
ヨツバシオガマ

稜線から草履塚
稜線から草履塚

種蒔山の紅葉
種蒔山の紅葉

切合小屋と草履塚
切合小屋と草履塚

草履塚と本山方面
草履塚と本山方面

大日岳に沈んだ夕日
大日岳に沈んだ夕日

タイム:大日杉小屋(7:00)→地蔵岳(10:40〜50)→御坪(14:40〜55)→切合小屋(15:25)


22日(晴れ時々曇り)
 ご来光は本山の稜線に阻まれて見えないが、今日も天気は良さそうだ。しかし、草履塚のライン(標高1,900m)を境にして、上部は雲に隠れている。
 5時半の朝食は玉子かけご飯である。ゆういつの良さは味噌汁も玉子もお替わりできることである。今日は御西岳まで往復し、ここに宿泊するので私はサブザックである。
 作ってもらった昼弁当を持参して出発する。小屋の前の真っ赤なナナカマドがとても鮮やかで、背後の草履塚の紅葉も美しい。間もなくモミジカラマツが一面に咲く草原があった。
 草履塚を越えると御秘所の岩場が見え、御前坂から上は雲のラインで閉ざされているが、そこまでは日が差し込めている。大日岳も同じ高さの雲のラインがある。
 鎖場がある御秘所の岩場を過ぎると草紅葉がとても美しい。御前坂のジグザグの登りにかかると、登るごとに雲のラインも上がり上空は青空に変わった。大日岳も山頂部だけ残して雄大にそびえている。
 ザレ場の向こうには本山小屋が見え、その先には本山も青空の中だ。飯豊山神社にお参りをし本山へと向かう。ピークが近づくごとに紅葉も美しくなり、その先には山頂のポールが見えている。
 山頂では雲が多くなり風が出てきたが、周りの展望はしっかりと見えている。北方にナイフエッジで落ち込むダイグラ尾根、北西に北股岳、西南に大日岳、南東に三国岳と、遠方の山々は望めないが、これだけ全域の飯豊連峰が見渡せれば十分である。
 寒くなってきたので早々に御西岳へと向かう。所々の美しい紅葉を眺めながら下っていくと、また天気が良くなり日が差し込めてきた。
 今日は不思議な天気である。向かう所ごとに天気が良くなるのである。これも私の普段の行いのせいか、いやいや、Mさんのお陰であることは言うまでもない。
緩やかな登りで、草紅葉の草原の中の御西岳に着く。正面には大日岳と西大日岳がくっきりと見えている。3時間あれば往復できるのであるが、今日も遅めの出発時間であるから、向かうわけにはいかない。
 のんびりと頂いてきた弁当を食べ暑いお茶を飲む。風もないので昼寝でもしたい気分だ。ゆったりした時を過ごし、重い腰をあげ帰路につく。
 来る時には見つけれなかった6輪程のハクサンイチゲを見つけた。時期は過ぎているだろうが、まだしっかりと咲いていた。
 途中、昨晩一緒に飲んだ若者と出逢い、今晩も一緒に飲むことを約束する。本山小屋付近でイイデリンドウを探すが残念ながら見つからなかった。
 再び見る花と紅葉した景色に感動しながら、のんびりと小屋へと下っていく。小屋に着くと、まずはビールをいただく。きょうも大名登山である。
 夕食のカレーをツマミに、埼玉の若者とオジサンと一緒に語り飲む。山で知り合った人はすぐに仲良くなれるので、山は素敵で楽しい。

朝日に染まる草履塚
朝日に染まる草履塚

ナナカマドの紅葉と草履塚
ナナカマドの紅葉と草履塚

ウメバチソウ
ウメバチソウ

モミジカラマツ
モミジカラマツ

姥権現と御秘所
姥権現と御秘所

御秘所の岩場
御秘所の岩場

紅葉の稜線
紅葉の稜線

御前坂の登り
御前坂の登り

間もなく本山小屋
間もなく本山小屋

飯豊山神社
飯豊山神社

飯豊本山へ
飯豊本山へ

飯豊本山
飯豊本山

飯豊本山
飯豊本山

ダイグラ尾根
ダイグラ尾根

御西岳へ向かう
御西岳へ向かう

烏帽子岳と北股岳
烏帽子岳と北股岳

本山と本山小屋
本山と本山小屋

御西岳から望む大日岳と西大日岳
御西岳から望む大日岳と西大日岳

ハクサンイチゲ
ハクサンイチゲ

ヤマハハコ
ヤマハハコ

ハクサントリカブト
ハクサントリカブト

御秘所と本山小屋方面
御秘所と本山小屋方面

タイム:切合小屋(6:15)→草履塚(6:45〜55)→本山小屋(8:25〜35)→飯豊本山(8:55)→御西岳(10:15〜45)→
    飯豊本山(12:20)→切合小屋(15:00)


23日(晴れ)
 今日も晴れで、昨日よりも展望が良い。管理人さんに別れを告げ、昨夜の2人と一緒に下る。大日岳もクッキリと見えている。なんか下山するのがもったいない天気である。
 御坪から望む本山も青空の中に浮かび、草履塚の紅葉が美しい。来る時よりも荷物は軽くなったが、地蔵岳の登り返しは遠くきつい。
 地蔵岳で一緒の2人と別れ、大日杉小屋へと下りっぱなしの急な登山道をゆっくりと下っていく。ザンゲ坂の鎖場の下りでは、下方の滑る土の部分でコケてズボンが汚れてしまう。
 間もなく駐車場に着き、無事登山を終了する。泊まった白川温泉で汗を流し、昼食をご馳走になる。
 仙台駅でMさんとお別れ、矢巾へと帰る。

朝日に染まる草履塚のと本山方面
朝日に染まる草履塚のと本山方面

大日岳
大日岳

御坪付近から望む本山
御坪付近から望む本山

タイム:切合小屋(6:15)→地蔵岳(9:15)→大日杉小屋(11:25)

 2回目のプレミアム登山も、バテないで登れてよかった。
 御西岳への登りでは登るごとに天気が良くなり、登るごとに紅葉も美しくなり、人との出会いとふれ合い、多くの花の鑑賞と、全てにわたって恵まれた素敵な日々だった。
 ただ残念だったのは、近日まで一緒に行くことになっていたYさんと、この素晴らしかった日々をご一緒できなかったことだ。
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