11月11日(金)〜12日(土) 天候:晴れ メンバー:梅田 正弘、小田中 智
コース:ジャングルジャングルスキー場〜黒伏山南壁基部〜三十路ルート〜6ピッチ〜懸垂下降〜取付〜駐車場

夏から黒伏山南壁を登りたいと思っていたが、パートナーがいなくて行けないでいた。梅ちゃんと再会したのをきっかけに、ようやく黒伏行きが決まった。
昔に蒼山会ルートと中央ルンゼを登っていたので、今回は登ったことのない三十路ルートを登ることにする。このルートは南壁の中でもピッチが長く、ブッシュが少なく南峰ピークで終了しているのでお勧めルートとだと聞いていた。
三十路ルートは、中央ルンゼと下部3ピッチが一緒で、そこから左へと別れ、真っ直ぐフェースを登る11ピッチのルートである。ただ心配なのは、ピッチが長いので我々おじさんパーティで早く登れるかである。
11日(金)
梅ちゃんとは現地のジャングルジャングルスキー場で10時頃の待ち合わせである。夕方まで出かけていたので、家に戻ってから大急ぎで支度をして車に乗る。6時出発の予定が40分オーバーの時間となっていた。
早目に行って飲みたいので、高速道は120kmの速度で突っ走るとやがて雨となった。黒伏に向かうのはもう30年近くも昔のことになる。
仙台宮城で高速道を降り、山形へと向かう。関山トンネルの手前には作並温泉があるのだが、たくさんのホテルが建ち並び、昔のこじんまりとした面影はなく、あまりの変貌にビックリする。
関山トンネルを出て下りきった所から右に曲がり間木野部落を通過するのであるが、スキー場ができたため道路は立派になっていた。
9時半頃スキー場に着くと、梅ちゃんは来ていた。私の車で軽く宴会をして、12時前には寝る。
12日(土)
5時に起き、食事して6時過ぎに出発する。村山野川は昔は渡渉したものだが、単管の仮設橋がかかっており簡単に渡ることができた。

駐車場から 看板から左の尾根に取り付き急な登りを終えると、しばらく樹林帯の中をトラバースが続く。南壁が真横に見えると、南壁と書かれた小さい目印があり、沢状の踏み跡をたどるとすぐに枯れたキビタキの池がある。



急な登りになり中央ルンゼ取付に着く。取付の横には壁で亡くなった方のレリーフがあった。向かいにはスキー場が見えるが、傾斜は緩くファミリー向けのゲレンデである。
天気は良いので、準備をしながらゆっくり景色を眺める。梅ちゃんは簡単な所をリードしてみたいと言うので、2・4ピッチをリードしてもらうことにする。カメラを忘れたことに気づき、梅ちゃんのスマートホーンで撮ってもらうことにする。
小田中トップで登り出す。昔、中央ルンゼを登っていたが30年たった今では全然記憶に残っていない。壁は大体が乾いていたが、凹角の窪みにあるコケは濡れていて気持ちが悪い。

1ピッチ目の登り出し 2ピッチ目は梅ちゃんトップで、簡単なスラブを登るが部分的にブッシュがありいやらしい。


2ピッチ目終了点前 3ピッチ目、快適なフェースをA0しながら登り、2ヵ所ほどアブミを使用して越える。天気が良いので、11月中旬の割にはビレイしていても寒くは感じない。
4ピッチ目、ここから中央ルンゼと別れ左のカンテを目指さなければならないが、少し右に寄りすぎカンテの右わきに出たため少し戻り、カンテのフェースを登る。
5ピッチ目、小田中トップでA0で登って中間部で、ボルトのリングにカラービナの先だけを掛けて体重をかけたため、6m程墜落してしまった。垂壁なのでぶら下っただけで壁にはぶつからなかったので幸いだった。ビレイしていた梅ちゃんは指を少し火傷した。
ここからアブミを出してA1で登るが、小さいシューズを履いたためアブミでの動作はつま先が痛く、ガマンしながら人工を終え、快適なフリーを登る。岩は乾いているのでフリクションが気持ちいいい。
6ピッチ目、梅ちゃんトップであるが、すんなりトップを譲られる。ランニングが取れないので、ルンゼ状のブッシュに気休めでランニングを取ると、ザイルの流れが悪くなり苦労する。
最初の小ハングを越え、次の小ハングで行き詰まってしまう。ハングには何もないのでそこまでたどり着けない。左のブッシュから回り込もうとしたら、ハングの上にボルトがあった。戻って再び試みるが出だしのフリーが悪く、フリーを越えてもハングで行き詰まってしまう。ザイルの流れも悪いので、ここでピッチを切る。
梅ちゃんにビレイされながらフリーを登ろうとしたが越えれないので、ハーケンを打ちフリーを登ると、ボルトが抜けた跡があった。ボルトは持ってきてないし、リスもクラックも無く、時間もかなり押しているので、残念ながらここで退却することにする。下降の支点がボルト1本では恐いので、灌木と組み合わせて支点にして懸垂下降する。
3回目の懸垂の途中で、靴をサンダル履きにしていた片方の靴を落としてしまった。取付き付近に落ちた模様である。裸足で下り、下降点から長靴を履いて取付き点に下ると、シューズはちゃんと上向きで下ってくるのを待っていてくれた。
2人が下り終えるともうすでに暗くなりかけていて、ずいぶんと時間がかかってしまったクライミングだった。役にたたないヘットランプの明かりをたよりに、おぼつかない足をかばいながら踏み跡を下って行く。
明日は早めに帰らなければならないので、今夜は車に泊まり、いよいよ大宴会を始める。しばらく水を我慢していたので、冷たいビールがとても美味い。
天ぷらを揚げながら食べるのは格別の味である。話も弾み時間は過ぎて行くと疲れから眠くなってくるが、お湯割りを飲み始めるとまた復活した。
今回は、忘れ物も多く、ヘマで墜落もし、気持ちを改めないとならないクライミングだった。岩の感触は素晴らしかったので、これに懲りず来年も訪れたいと思う。
タイム:駐車場(6:30)→取付(7:20〜8:00)→3ピッチ終了(10:50)→6ピッチ敗退点(13:30〜14:00)→
取付(16:40〜17:00)→駐車場(18:00) |