大雪山縦走と神居尻山 ツアー登山
 
間宮岳付近から望む旭岳
間宮岳付近から望む旭岳

2014年9月12日(金)〜16日(火) 
 メンバー:小笠原ご夫妻、田村さん、下田さん、小田中 智
 コース:大雪山/大雪山黒岳ロープウェイ〜黒岳〜北鎮岳〜間宮岳〜旭岳〜大雪山旭岳ロープウェイ
     神居尻山/Bコース登山口〜Cコース分岐〜神居尻山〜ピンネシリ分岐〜Aコース〜彫刻の森登山口

 紅葉に合わせて、大雪山の縦走と樺戸山地北部にある神居尻山のツアーを計画していたが、8月になってようやく催行が決まった。
 黒岳から旭岳を1日で縦走するのは、ロープウェイの出発時間が遅いため、のんびり登山ができない。初日を黒岳石室に宿泊することで、のんびり景色を楽しみながら縦走できる。
 石室では寝具を借りれるため装備の軽減はできるが、食事の用意は自分たちでしなければならない。食料と炊事用具は全て私が背負い、お客様には炊事用水を1人1Lを持参していただくことにした。
 神居尻山は樺戸山地北部に位置する山で、標高は1,000m弱と低いが片側は切れ落ちており、標高が低い割には鋭い山容の山だ。
 9月始めに大雪山系に行った友人からの情報では、すでに紅葉が始まりかけているとのことなので、のんびりと紅葉が楽しめそうだ。 12日
 昨日の早朝に降った大雨は、札幌付近に洪水を引き起こし避難勧告が出されていた。しかしながら、大雪山系の山には影響がないので、予定通りの出発となった。
 紫波町、盛岡市、滝沢市とメンバーを迎えに行き、滝沢インターから高速道に乗る。向かう方向は黒い雲で覆われていた。
 岩手山SAで夕食にし、八戸港に向かう。途中雨に降られるが、八戸に入ると雨は上がった。乗船手続きを済ませ、フェリーに乗り込む。
 女性はレディースルームのため、男子3名で天気祭りをおこなう。13日(晴れのち霧)
 6時に苫小牧港に着き、コンビニで朝食を仕入れて道央道に乗る。道央道の左右には白樺の木が立ち並び、青空の早朝は気持ちがいい。
 上川層雲峡ICで高速道を降り、39号から層雲峡に向かう。ロープウェイ乗り場近くの民芸品店に車の鍵を預ける。車は代行屋さんに頼み旭岳ロープウェイまで回してもらうのである。
 ロープウェイで五合目まで駆け上がり、レストハウスで昼食にする。天気は曇りとなり、リフトで七合目登山口に登る。私の荷物は、食料・装備・水で25kgと前回の朝日連峰の時よりも重いが、黒岳石室まで2時間ほどのボッカ訓練だ。
 登山口ではガスっており、ゆっくりと歩き始めるとナナカマドは色づき始めているが、くすんだ色どりだ。昨年は黄色も赤も彩が悪かったが、今年もそんな感じである。
 急な登りをゆっくりと登っていくと、登るごとに草にも色づき始めてきて、木々よりも草の方が鮮やかに紅葉していた。
 黒岳の山頂はガスってはいるが日差しはあるので上空は晴れている。記念写真を撮っていただき、展望のない山頂を後にする。
 石室に下り始めると草が赤黒く染まり、点々と散らばる様はとても美しい。真っ赤よりも重厚感があり、所々にはまとまった色付きの中に緑の松があり、よけいに緑がはえている。
 ほけたチングルマがたくさんあり、根元の葉も赤く色づいている。岩礫の中に小さなコマクサを一輪見つけたが離れていたので写真は取れなかった。
 石室に着き、宿泊の手続きをして荷物を整理する。ガスっているのでそばにある桂月岳へ登るのは止めにして、そとで食事の支度を始める。
 夕食はサラダ、水炊き、炊き込みご飯である。みんなに手伝ってもらいながら、ウイスキーを舐める。まずはサラダをつまみにビールで乾杯する。ガスってはいるがダウンジャケットを着込んでいるので寒くはない。
 メインディッシュの水炊きで温まりながら、ホットウイスキーをいただく。天気はイマイチではあるが、外での食事は楽しい。会話をしながら飲んでいると、うす暗くなってきたので小屋に入って飲み直す。
 7時頃、シュラフに潜ると、いつの間にか眠っていた。夜中にトイレに起きると、星空の中に丸い月が輝いていた。明日の好天を願って深い眠りにつく。

五合目からのリフト
五合目からのリフト

七合目から上の大きく美しいダケカンバ
七合目から上の大きく美しいダケカンバ

彩がイマイチのナナカマド
彩がイマイチのナナカマド

黒岳山頂にて
黒岳山頂にて

草葉の紅葉が美しい
草葉の紅葉が美しい

草葉の紅葉が美しい
草葉の紅葉が美しい

イワギキョウ
イワギキョウ

ほけたチングルマ
ほけたチングルマ

チングルマの下草の色付きが美しい
チングルマの下草の色付きが美しい

タイム:七合目登山口(12:45)→黒岳(14:50〜15:00)→黒岳石室(15:30)


14日(晴れのちガス)
 4時に起床し外に出ると晴れで、桂月岳と凌雲岳がくっきりと見えている。朝食はピラフとうどんである。小屋の中で炊事して、みんなでいただく。たっぷりと食べて今日も元気だ。
 空は青空に薄い雲がかかってスッキリとした青空ではないが、部分的に赤く染まった凌雲岳と北鎮岳が目の前にある。体操をして、いよいよ旭岳目指して出発である。
 ほぼ平坦な登山道の両脇には、ほけたチングルマがあり一面に広がっている。ほけた花びらは白く、その下の葉は赤く染まっているので、白と赤のコントラストがとても美しい。
 みんなからの歓声と撮影タイム、展望観察で中々前に進まなく、ただただ美しさに見とれるばかりだ。雲ノ平を歩んで行くと、昨日登った黒岳の後方に、6月に行ったニセイカウシュウペ山方面が雲に浮かんで見えた。
 お鉢平展望台の手前には、赤と黄色に紅葉した紅葉のトンネルが立ちふさがっている。とても美しく魅力ある紅葉ロードだ。こんな素晴らしい光景を見るのは初めてである。
 振り返ると、登山道が無い凌雲岳のこんもりした山容も美しい。北鎮岳分岐への登りでは、鳴き声とともにリスが姿を見せたり、キタキツネも姿を現したので呼びかけると私達の目の前を横切っていった。あまりにも突然でカメラを向ける時間さえなかった。
 分岐から急なザレ場を登りきると北鎮岳の山頂に着き、南西方向にやっと旭岳上部の山容が見えた。北西には鋸岳から比布岳へと稜線が続き、その先に槍ヶ岳みたいに尖った愛別岳が見えている。
 御鉢平の火口を眺めなら中岳を過ぎ、間宮岳を越えると遠くトムラウシの山容が見えた。友人の清水ちゃんは10日程前に、トムラウシからオプタテシケ山まで縦走したと言っていた。
 裏朝日岳キャンプ場で昼食とする。朝温めた赤飯と日本そばを食べ、のんびりとした昼食タイムである。たくさん食べて、旭岳の急登に備える。
 登山道は急な砂礫帯を一気に登るルートで、ゆっくりと滑らないように歩幅を狭くして高度を稼いで行く。山頂は大勢の人達が休んでいて、順番を待って記念撮影する。
 雲海が多いため遠くの山は、トムラウシから十勝岳方面の山しか望めなかったが、近隣の山の展望だけでも素晴らしい光景だった。
 下り始めると、下るごとにガスってきた。間もなく歩けなくなったおじさんがいて、道脇に移動させる。下に下っていくと、救助要請があったみたいだ。
 ザレ場の下りに思ったより時間がかかり、ガスで周りの景色は全く見えなかった。姿見ノ池は全く見えず、また次回への宿題をいただくことになってしまった。
 ロープウェイは混雑していて30分程待ってようやく乗り込むことができた。大平山荘で車と鍵を受け取り、今夜の宿泊地である滝川市に向かう。
 18時半に滝川市内のビジネスホテルに着き、さっそく入浴する。部屋はシングルなので勝手気ままに準備し、隣の焼肉店で夕食にする。
 風呂上がりの生ビールはとても美味しく、焼肉を食べながらグラスを傾け、今日の思い出を語り合う。

朝の黒岳石室にて
朝の黒岳石室にて

凌雲岳と北鎮岳
凌雲岳と北鎮岳

雲ノ平でほけたチングルマの大群落
雲ノ平でほけたチングルマの大群落

雲ノ平でほけたチングルマの大群落
雲ノ平でほけたチングルマの大群落

北鎮岳と紅葉
北鎮岳と紅葉

北鎮岳と紅葉
北鎮岳と紅葉

ナナカマドの実と松
ナナカマドの実と松

御鉢平手前の紅葉トンネル
御鉢平手前の紅葉トンネル

振り返った、黒岳とニセイカウシュッペ山
振り返った、黒岳とニセイカウシュッペ山

お鉢平展望台にて
お鉢平展望台にて

御鉢平と間宮岳
御鉢平と間宮岳

北鎮岳
北鎮岳



来た道を振り返る
来た道を振り返る

北鎮岳
北鎮岳

北鎮岳山頂
北鎮岳山頂

比布岳と愛別岳
比布岳と愛別岳

御坪平と白雲岳
御坪平と白雲岳

間宮岳と旭岳
間宮岳と旭岳

トムラウシ山
トムラウシ山

間宮岳付近から望む旭岳
間宮岳付近から望む旭岳

ほけたチングルマと紅葉
ほけたチングルマと紅葉

朝日岳から望む北鎮岳と凌雲岳
朝日岳から望む北鎮岳と凌雲岳

旭岳山頂
旭岳山頂

旭岳の火口
旭岳の火口

雲海に浮かぶトムラウシ山
雲海に浮かぶトムラウシ山

旭岳からの下り道
旭岳からの下り道

シラタマノノキ
シラタマノノキ

タイム:黒岳石室(6:15)→北鎮岳(8:40〜50)→間宮岳(10:40)→裏旭岳キャンプ場(11:30〜12:10)→旭岳(12:55〜
    13:05)→すがたみ駅(15:20)


15日(晴れ)
 フロントに6時に集合し、神居尻山の登山口に向かう。今朝の街中はガスっているが上空は晴れである。今日も晴れることは間違いなさそうだ。コンビニで朝食と昼食を調達し、道民の森へと車を走らせる。
 道民の森はコテージがある施設が充実しており、連休のため宿泊の車で駐車場はいっぱいだ。家族で泊まるには最適な場所の雰囲気だ。
 Bコースからの登山であるが、登山者はAコースの駐車場に止めてくれとの係員の指示で、戻って車を止め車道を登山口まで歩く。トイレ前で体操をして歩き始める。
 樹林帯の歩きやすい登山道を登って行くと、階段の急坂となり太いロープが張ってある。しばらく急な階段を登って行くと707mピークに着き、目の前に神居尻山のピークが見えた。
 単独の女性が登ってきて先へと登っていった。山頂はこんもりとしたピークであったが、Cコース合流点にぶつかると山容は一変し、東側の斜面は三番川へと急傾斜で切れ落ちている。
 Cコース合流点で一休みしていると、Cコースからパトロールの方々が登ってきた。笹の合間にトリカブトとナデシコが咲いていた。鞍部へ下るとまた階段が続く登りとなる。
 急な階段を登り肩に出ると、稜線の奥にピンネシリが見えた。山頂は風もない青空の中で、パトロールの方の他に2名がいたが、祭日のせいかパラパラと登山者は登ってくる。
 昼食を食べながら見つめる北北西方向には、遠く暑寒別岳が雲に隠れながらも見えている。やはり遠方の展望はないが、青空を背景にして見えるピンネシリは素敵である。
 下山はAコースのため、東の先にある避難小屋を通り、ピンネシリへ続く稜線の途中から北へ向かう稜線へと下るルートである。避難小屋は小ぢんまりとした木製の小屋でかなりの年月がたっているようだ。
 ピンネシリの分岐では縦走路にロープが張っており、縦走路は廃道になっている様子だ。下る尾根筋はダケカンバが美しく歩きやすい尾根で、ダベリながらのんびりと下っていく。
 692mピークから階段の下りとなり、一気に高度を下げていく。林道接点から513mピークの先で遊歩道が合流しており、Aコース登山口に下る登山道は踏み跡が少ないので遊歩道へと下って行く。
 この道は思ったより長く、案内板も分かりづらく、戻るような登りもあったりして中々道路に着かない。着いた先は彫刻の森入口で、Aコース登山口の少し手前であった。
 出発が遅かった分、到着も予定より遅くなったので、急いで苫小牧へと車を走らせる。時間は押しているので急いで「苫小牧温泉ほのか」で入浴し食事する。ここの海鮮丼は美味しかった。次回にはここでゆっくりと入浴し、食事したいものだ。
 出航の1時間前に手続きを済ませ乗船する。かえって遅いほうが待たないで早く乗船できた。ようやくビールで乾杯する。

Bコース登山口
Bコース登山口

707mピークから望む神居尻山
707mピークから望む神居尻山










エゾカワラナデシコ
エゾカワラナデシコ

トリカブト
トリカブト

Cコース分岐付近から山頂へ
Cコース分岐付近から山頂へ

階段の急登
階段の急登

ヤマハハコ
ヤマハハコ

間もなく山頂
間もなく山頂

神居尻山山頂にて
神居尻山山頂にて

避難小屋からピンネシリの縦走路
避難小屋からピンネシリの縦走路

避難小屋と神居尻山
避難小屋と神居尻山

山頂を振り返って
山頂を振り返って

下山コース
下山コース

ピンネシリ
ピンネシリ



下山した彫刻の森入口
下山した彫刻の森入口

タイム:Bコース登山口(8:25)→Cコース分岐(10:40)→神居尻山(11:25〜55)→Aコース登山口(15:25)

16日
 4時45分に八戸港に着いたが、下船したのは5時20分だった。乗船が遅ければ下船が遅くなるのだろうか?走りだすと雲の間から朝日が出てきた。
 晴れていた空も岩手県に入ると小雨が降ってきて、盛岡に着くと雨が降っていた。紫波町、盛岡市、滝沢市と皆さんを家まで送り、5日間の北海道紅葉の旅が終わった。 今回も一部の地域では天気が悪かったが、皆さんの行いが良いせいで天候に恵まれ、美しい紅葉と動物との出逢い、美味しいものを頂いて、思い出深い楽しい山旅になった。
 皆様に感謝致します。ありがとうございました。
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