早池峰山 平津戸〜剣ヶ峰〜高桧山
 
樹氷が張り付いた山頂付近
樹氷が張り付いた山頂付近

2013年10月28日(月)〜29日(火) メンバー:小田中 智

  コース:材木沢登山口〜門馬コース分岐〜九合目〜早池峰山〜剣ヶ峰〜徳兵衛山〜吉部沢林道〜材木沢登山口

 2日間の好天の予報なので、久しぶりに早池峰山で夕日と朝日を望むことを思いたった。せっかく行くのであれば、来年の冬に行きたいコースの偵察も兼ね、平津戸コースから登り剣ヶ峰を経て高桧山を下山することにした。
 車の回収を考えると、登りは握沢コースでは車を回収できないので、材木沢登山口から六合目で平津戸コースに合流し、下りは剣ヶ峰から高桧山へ下り吉部沢林道を下って車に戻るコースとした。
 このコースは若い頃に歩いて以来訪れていないので、今になると何故か魅力を感じる。そして冬に歩くのであれば、鶏頭山からの縦走に比べるともっと厳しいコースになると思う。
 夏であれば1日で歩けるコースであるが、今回はのんびりと景色を眺めながら歩き、夕日と朝日を見て小屋に泊まりたいと思った。

28日(晴れ時々曇り)
 夕方に山頂に着けば良いので、今日は7時に家を出る。まずは握沢コースの登山口に行ってみて、さらにアイオン沢コースへの林道へと進んでみる。アイオン沢コースは落石危険のため登山禁止であることは聞いていたが、行ったことはなかったので入れるところまでと思い車で行くと間もなくゲートがあった。
 平津戸駅すぐ手前から閉伊川の橋を渡り、製材所から吉部沢の林道に入って行く。しばらく行くと右に入る登山道の標識があり、材木沢の林道へと入って行く。帰りはこの分岐に降りてくるので、ここに車を置いて歩いたほうが良いのであるが、少しでも歩きたくないので明日登り返すことにする。
 紅葉は赤系が色あせていてさほど美しさは感じられないが、乳頭山や高下岳に比べるとまだましである。材木沢に沿った登山道は歩きやすく、右下には水の流れが見えて気持ちがよい。
 沢にかかった太い倒木の橋を渡り、歩いていくと廃道になった林道に出る。上空は天気が良く、木漏れ日は眩しいくらいだ。緩やかな登りから握沢への下りとなり、沢を渡り登って行くと門馬コースの立派な標識が立つ六合目にぶつかった。
 やがて急な登りとなりヒノキアスナロの樹林帯を黙々と登って行くと、八合目の大岩の下に祀られた祠がある。今日歩き始めてからまだ2回目の休憩であるが、15kgの荷物は重く感じられるようになってきた。
 下ってきたパトロールのおじさんに出会い、しばらく立ち話をする。パトロールは5月から雪が積もるまでで150回位登ると言っていた。ご苦労様です。
 ハイマツが混じる樹林は背丈が低くなり岩礫帯となり、樹林には氷が張り付いていて、時折パラパラと落ちる音がする。小枝に張り付いた樹氷は、雲の隙間からこぼれる陽に照らされてキラキラと輝きとても美しい。天気は曇りがちとなり、いくらか吹く風が冷たくなってきた。
 九合目の水場を過ぎると視界が開け始め、一面のハイマツの樹氷が見事だ。こんな素敵な光景を見れたことに感謝する。やがて頂上稜線が見え、岩場にもうっすらと氷が張り付き、山頂避難小屋が見えてきた。
 当然ながら小屋には誰もいなく、荷物を置いて三角点付近で写真を撮る。北西方向から岩手山、秋田駒ヶ岳、和賀岳、焼石岳うっすらと見え、南東方向にはどっしりと格好の良い片羽山見えている。
 小田越コース上部の岩場から剣ヶ峰は、うっすらと氷に包まれた姿がとても美しい。一通り写真を撮り終えると寒くなってきたので小屋の中に入る。
 荷物を整理して新調したダウンジャケットを着込み、ガスストーブでお湯を沸かし熱いコーヒーをすする。まだ10月の末ではあるが、体は昨年より寒がりになってきているみたいだ。
 17時前に外に出てみると、雲が高くすでに日は雲に隠れてしまっていた。美しい夕日を見れるのはなかなか難しいことである。
 今夜の夕食は、ホルモン焼き、玉子焼、タコ刺しをつまみにしたホット芋焼酎である。これが楽しみで泊まりがけの山に来ているようなものだ。ランタンの明かりの下でラジオを聴きながら、一人で飲む酒もまた美味い。
 酔いがまわってきたので早目に新調したモンベルのシュラフにもぐる。今年の5月の鹿島槍ヶ岳キレットで、ザックが身代わりとなり消えていったので、冬山装備は新調しているところである。
 なかなか寝付けなく、腹具合も悪いので携帯トイレで初めて用を足す。空にはたくさんの星がまたたき、北西には北斗七星が輝いていた。

材木沢の登山口
材木沢の登山口

登山道から見下ろす材木沢
登山道から見下ろす材木沢

沢を渡る大きな倒木
沢を渡る大きな倒木

門馬コースと合流した六合目
門馬コースと合流した六合目

八合目の岩峰
八合目の岩峰

小さい氷の樹氷
小さい氷の樹氷

小さい氷の樹氷
小さい氷の樹氷

山頂避難小屋
山頂避難小屋

小田越コースに続く木道
小田越コースに続く木道

早池峰山山頂神社
早池峰山山頂神社

樹氷の奥の剣ヶ峰
樹氷の奥の剣ヶ峰

夕暮れ
夕暮れ

材木沢登山口(9:20)→六合目(11:30〜45)→八合目(13:25)→早池峰山(15:50)


29日(晴れ)
 寝坊してしまい目が覚めたら6時過ぎだった。すぐに外に出てみると、雲が高いため日の出はこれからだった。高い雲のため辺りはすっかり明るくなっていたので、感動するほどのご来光ではなかったが天気が良いことに感謝する。
 モーニングコーヒーを飲み、朝食にラーメンもちを食べ、ゆっくりとパッキングをする。今日は下山するだけなので慌てる必要もなく、暖かくなってからのんびり行こうだ。
 準備も整い撮影していると、さっそく単独行者が河原ノ坊から登ってきた。秋田県の阿仁から車で4時間を費やして来たといい、早池峰山は初めてという。しばらく話し込んで別れる。
 下り始めると岩に張り付いた氷が日に輝きとても美しい。今度は小田越コースから、単独のおばちゃんが登ってきた。
 前方に見える剣ヶ峰は三角形にトンガリ美しい姿だ。今日も岩手山がうっすらと見えている。もうすっかり日が高くなったので暖かく、風もさほど吹いていない。
 剣ヶ峰からは徳兵衛山、高桧山、川井村へと続く稜線が見えている。川井方面は低山の山並みがずーとずーと先まで続き、山深い村が宮古市へ相まっているのだろう。
 徳兵衛山の手前からは岩稜帯となり、徳兵衛山は岩場の中に山頂がある。ここから見る剣ヶ峰も三角形で、剣ヶ峰はどこから眺めても三角形に見えるようだ。
 樹林帯の急な下りを終えると倒木が目立ってくる。しばらく傾斜の緩い樹林帯を下って行くと広葉樹帯となり、道幅が広くなりイチイの大木が数本あった。
 高桧山の横を下って行くと廃道になった林道に出た。真っ直ぐ下ると横川・荒川林道の登山口に伸びるコースで、左に折れると吉部沢林道に出て平津戸駅へと通じる。
 最新のガーミン62SCJで現在地を確認し左へと下る。ここまでのコースでは、剣ヶ峰と徳兵衛山の山頂標識しかなく、GPSがあると精神的に安心できる。
 廃道となった林道をしばらく下って行くと、三角形の剣ヶ峰が梢の間から姿が見え隠れしているが、なかなか全容は現してくれない。
 この辺の紅葉は黄色がきれいで、赤系はやはりダメである。ゲートからは車が通れる林道となったが、軟弱な足は悲鳴をあげ始めていた。
 ようやく材木沢の看板に着き、登山口へと登り返していく。見えなくなった財布は車内の隙間に落ちており安心した。
 しばらくぶりに歩く北面のコースは新鮮味があり、思いがけない樹氷の美しさと剣ヶ峰の稜線の美しさに感動させられた、のんびりの早池峰山の一人旅だった。冬には是非ともこのコースを歩いてみたいと思うのであった。

御来光 カメラの設定が悪かった
御来光 カメラの設定が悪かった

鶏頭山への縦走路
鶏頭山への縦走路

小田越コースと薬師岳
小田越コースと薬師岳

剣が峰へ向かうコース
剣が峰へ向かうコース

山頂避難小屋
山頂避難小屋

平津戸分岐付近からの山頂
平津戸分岐付近からの山頂

小田越分岐付近からの山頂
小田越分岐付近からの山頂

薬師岳
薬師岳

剣ヶ峰
剣ヶ峰

剣ヶ峰からの山頂
剣ヶ峰からの山頂

剣ヶ峰から見る徳兵衛山と高桧山
剣ヶ峰から見る徳兵衛山と高桧山

徳兵衛山
徳兵衛山

徳兵衛山から見る剣ヶ峰
徳兵衛山から見る剣ヶ峰

片羽山を望む
片羽山を望む

イチイの大木
イチイの大木

広葉樹林の中の広い登山道
広葉樹林の中の広い登山道

剣ヶ峰と徳兵衛山
剣ヶ峰と徳兵衛山

紅葉が美しい吉部沢林道
紅葉が美しい吉部沢林道

タイム:避難小屋(8:35)→剣ヶ峰(9:25〜35)→徳兵衛山(10:25〜35)→イチイの大木(12:00)→廃道の林道(12:50)
    →ゲート(14:40)→材木沢分岐(15:15)→登山口(15:25)
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