女神山から真昼岳縦走 敗退
 



2018年1月29日(月)〜30日(火)
 メンバー:嶋脇さん(青森県)、小田中 智
コース:善知鳥川堰堤〜女神山北西尾根〜女神平〜女神山 往復


 嶋脇さんから冬に、女神山と真昼岳の縦走をしたいとの申し込みをいただいた。
真昼岳・女神山は仙北郡美郷町と和賀郡西和賀町の県境にある山で、真昼岳は真昼山地の主峰で標高は1,059m、女神山は953mの山である。
標高は低いが日本海側の影響を受けるため、冬は風が強く雪深い山である。山は深く沢には滝が多く、ブナの原生林が見事だ。
冬山は、岩手県側からは真昼岳・女神山とも林道が長いため日帰りは無理であるが、秋田県側からのアプローチは短く、コースと条件によっては日帰りも可能だ。
北秋田市在住の友人「梅田君こと梅ちゃん」は女神山と真昼岳を周回して縦走コースを発見した。
仙北郡美郷町善知鳥集落の奥の善知鳥川堰堤を基点として、女神山から流れる水沢と登山道の善知鳥コースがある向沢の間の尾根を登りつめて女神山山頂に出る「女神山北西尾根」を登る。
女神山から兎平を経て真昼岳に登り、手前の南峰から向沢と大浅沢の間の尾根「南峰西尾根」を下ると、善知鳥川堰堤に着く冬限定の周回ルートを発見した。
条件がよく健脚であれば日帰りも可能であるが、一般的には女神山直下の「女神平」に1泊して縦走するのが山を楽しんで登れる。
「女神山北西尾根」の下部には3mの急な岩峰があり、真昼岳「南峰西尾根」にはナイフリッジの尾根があり、少なからず変化にも富んだルートだ。

29日(曇りのち晴れ)
 5時に自宅に集合してもらい秋田県美郷町に向かう。矢巾は雪が少なかったが雫石町に入ると雪が多くなり雪降りとなった。
 今年は雪が少ないといわれながらも秋田県は雪が多い。善知鳥集落の最後の家からは今朝の除雪がなく10cmの積雪があったが、愛車のノアは苦もなく進んで行った。
 堰堤手前の林の中で除雪は終了し、雪降るなか身支度を整える。雪は最近になって積もったらしくスノーシューを付けて30cmほど潜った。堰堤まで来ると沢の全容が見え、これから登る「女神山北西尾根」が見える。
 川に下り、浅瀬をスノーシューを着けたまま川を2回徒渉すると尾根の取り付きに着く。今日は昼前から晴れる予報であり、雪はやみ空も明るくなってきた。
 急な登りの尾根に入ると雪が少なくなり底雪が硬いのであまり潜らなくなった。しだいに尾根は細くなり、標高420m付近で3mの岩場があらわれ、左から回り込みながら乗り越える。
 まだまだ雪が少ないためブッシュの隙間には落とし穴がある。ラッセル交代をしお互いがハマると笑い合いながら登っていく。
 780mピーク付近からは梢越しに真昼岳のどっしりした山容が見え、明日下る「南峰西尾根」も間近に見える。空には青空がのぞき天気は上々だが、雪は深くなってきた。
 802mピークは展望が開け、日に照らされた真っ白い真昼岳と女神山に続く稜線が日に照らされきれいだ。前方の奥にはやっと女神山が見えてきた。
 最後のピークを乗り越すと女神平が開けこんもりとした女神山が見えた。こんもりとはしているが登り出すと急な登りとなる。奥まった平らな所をテン場に決め整地する。もうすぐ夕暮れどきの時間だ。
 3人用のテントは広くコンロを炊くとテント内は一気に暖かくなった。夕食は嶋脇さんの買い出しで、ホルモン焼き、雑煮である。一口づつ飲むウイスキーは格別の味だ。
 嶋脇さんは冬しか山に登らないので、やや一年ぶりの山行だ。歩き方を見ていると一回り正ちょいしたように成長したように見えた。
 明日の好天を願ってシュラフにもぐる。夜中にはサラサラと雪が積もっている音が聞こえていた。


善知鳥川から女神山北西尾根


北西尾根取付


尾根の登りだし


真昼岳


こんなに深いところも


真昼岳全容 真昼岳山頂(左)、南峰(中央)


女神山


真昼岳全容 真昼岳山頂(左)、南峰(中央)


女神山と女神平


女神平の樹氷


愛用のテント(3人用)

タイム:林道除雪終了点(8:35)→女神山北西尾根取付(9:30)→780m(13:15)→802m(14:30)→女神平(16:15)


30日(風雪)
 新雪は20cm程積もり吹雪いている。新雪での真昼岳南峰直下の斜面がヤバイのと南峰西尾根の下降が悪いので、縦走は止めにして女神山を往復して登ってきたルートを下山することにする。
 雪崩は春の全層雪崩は別として、表層雪崩は新雪が積もり支えきれなくなって雪崩れるのである。新雪の積もった量、下雪の硬さ、斜面の傾斜、気温によって異なると思うが、急斜面に雪が積もれば雪崩るのが当たり前である。新雪が積もった時は急な斜面に入らないことである。
 時間が少し早いので食後にウトウトする。雪は降っておりこれからも積もりそうだ。進むごとに急な登りになり、稜線は風雪で視界が悪い。山頂には何の目印もないがGPSで山頂を確認して下山する。
 テン場においたザックには5cm程の雪が積もっていた。心配なのは車と林道の除雪である。下りではいきなり深みにはまり前に転ぶ始末だ。登るときは見えた深みも新雪で埋まっており、いきなり深みにハマってしまうのである。これでの体力の消耗は激しい。
 谷から吹き上げる風は冷たく、標高は低いながらも結構な寒さと雪降りだ。尾根が細くなり始めた頃、私は急に首までの深みにはまり、ザックをはずして這い上がるのに一苦労した。
 川辺では昨日2回の徒渉をしたが、右に入り早めに夏道に出るように歩いたら1回の徒渉で済んだ。林道は山よりも雪深く、膝上のラッセルとなった。上よりも下の方が雪が多い感じだ。
 恐る恐る車に近づくと屋根には35cmの雪が積もっており、林道は除雪されていなかった。除雪をして車の向きを回転させたが、車の腹がつき進むことはできなかった。
 梅ちゃんに電話するとJAFに連絡するというアドバイスを受け電話をする。積雪は45cm程あることをJAFに伝え到着を待つ。
 1時間半ほどして最終民家まで来たが、雪の壁で林道には入れないとの電話が入った。雪壁は除雪の際の壁であるので掘り起こすことを依頼した。
 間もなく前方にライトの光が見えこちらに進んできた。合流すると車はランドクルーザーで、JAFの専用車では入れなかったと言っており、その車で来てくれたことに感謝する。
 クルーザーは方向展開ができないので牽引してもらいながら自走する。ほどなく除雪された道路に出てやっと雪から脱出できた。なんとラッキーだったことか、また運の良さに助けられた。JAFのスタッフさん、ありがとうございました。心から感謝いたします。
 秋田芸術村温泉ゆぽぽで入浴して矢巾へと帰る。嶋脇さんはさらに八戸まで帰らなければならないのだ。お疲れ様です。


積もった新雪


山頂にて


ハマって死んだ(笑い)


善知鳥川の川辺


埋もれた愛車

タイム:女神平(7:40)→女神山(8:20)→車(15:20)

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