和賀岳
2015年2月21日(土)〜22日(日)
メンバー:嶋脇さん、小田中 智
コース:上大荒沢集落〜高畑コース〜高下岳〜根菅岳〜和賀岳 往復
和賀岳は今月末の予定であったが1週間繰り上げての山行となった。嶋脇さんにとって和賀岳は、全コース走破する目的がある山だ。
和賀岳は標高が低い割には山が大きく深く、ブナの原生林に包まれたマタギ伝説の山である。登山口は遠く、林道の奥にある。夏は車が入るが冬は歩かなければならなく、山頂にたどり着くまでは1泊〜2泊が必要だ。
そのためか地元の登山者でさえ、1月〜3月にかけてはほとんど入山しない。そのため、山は全コース貸し切り状態で楽しめる。長い和賀山塊の展望、岩手山、早池峰山、秋田駒ヶ岳、鳥海山などの眺望はすばらしい。
21日(快晴)
5時に私の家に集合し、西和賀町へと向かう。上大荒沢集落の最後の家で除雪は終了する。今年になってからの積雪量が少ないため例年より雪が少なく、雪が降らないため雪面は硬くなっている。
スノーシューを履くと5cm程度の潜りしかない。今日は天気が良いため集落からは遠く和賀岳が見えている。ここから望む和賀岳は初めて見る。
高畑コース登山口までの3.5kmは遠く1ピッチでは届かない。帰りにはもっと遠く感じることだろう。登山口付近から尾根に入るが、まだ2月の中旬でありながら雪は少なく、3月下旬を思わせる雪景色だ。
836mの小ピークを過ぎるとブナは太くなり、暖かい日差しのもと快適な尾根筋になる。やがて三角錐の早池峰山が見え、さらに標高が上がると勇壮な岩手山の姿が望まれた。
しばらく緩い尾根を登って行くと、高下岳の南方と北方が見えてきた。空は快晴で濃い青空の中に浮かぶ高下岳は美しい。ラッセルが無い割には時間がかかり、もう14時だ。
高下岳稜線に出ると、ようやく雪庇が張り出した和賀岳が正面に見えた。冬期の和賀岳の山頂は、憧れの山頂である。そして大荒沢岳から続く北方稜線、なんと素晴らしい展望なのだろうか。
風はさほどでもなく、ひときわ大きい朝日岳、迫力の秋田駒ヶ岳、そこから続く岩手山への稜線、ここにテントを張って泊まったらきっと素晴らしいことだろうと思う。
今日の宿泊予定地は根菅岳を越えた鞍部であるが、そこまでこの景色を眺めながら歩けるのはうれしい。
根菅岳手前の鞍部で16時になった。予定地までは1時間弱かかる。和賀岳に沈む夕日を見るために、今日はここに泊まることにする。
ここは根菅岳手前の鞍部のため平坦地で、雪が硬いため整地が楽だ。明日はテントを残し、ここから身軽な荷物で和賀岳を往復するため、背丈の低い木にしっかりと張綱を結ぶ。
天気が良い日のキャンプは楽しい。嶋脇さんの誕生日まで1週間早いが、コーラとフルーツケーキで誕生日のお祝いをする。夕食は嶋脇さんからのオーダーで海鮮カレーとソーセージ焼きだ。
水を作りながらウイスキーをチビチビといただく。天気がいいと気持ちまでゆったりのんびりする。やがて和賀岳の脇の雲へとゆっくり日が沈んでいった。山で望む夕日は特に美しく感じる。
コンロ2台を点けるとテント内は暑く、美味しい夕食を食べながら交わす話題は、やはり今後の山のことだ。
夜中にトイレに出ると、新月と満点の星空だった。
集落から望む和賀岳
登山口から尾根へ
立派な太さのブナ林
早池峰山と薬師岳
岩手山 望む角度によって山容が変わる
広い尾根
高下岳北峰
高下岳の稜線で和賀岳をバックに
高下岳より
根菅岳と秋田駒ヶ岳
和賀岳
根菅岳
テン場からの和賀岳
テン場
和賀岳に沈む夕日
タイム:上大荒沢集落(7:00)→高下岳(15:05〜15)→根菅岳手前鞍部(16:00)
22日(曇りのち晴れのち曇り)
4時半に起床し、ラーメンライスの朝食をすませる。必要最小限の物をザックに詰め、スノーシューを履いて出発する。根菅岳の山頂に立つと、また北方稜線が見えてきた。
根菅岳分岐から見る大荒沢岳から続く朝日岳は山が大きく、ひときわ存在感が大きい。来年の冬はあの頂に立とうと話す。目指す和賀岳山頂はまだまだ遠い。
ここから和賀岳山頂まで夏の登山道は廃道となっており、雪のある5月連休までが楽に歩ける期間だ。それだけに冬の和賀岳登頂は意義深い。
急な登りを終えると、ゆるやかな起伏のある稜線になる。天気は進むごとに良くなり、青空がでてきた。前衛峰を越えるとようやく山頂の標識が見えてきた。
10時15分、真冬の和賀岳山頂で握手を交わす。鳥海山がうっすらと見え、田沢湖とその奥の森吉山がひときわ美しい。焼石岳、秋田駒ヶ岳、岩手山と今日も美しい山容を見せてくれている。
こんなに天気に恵まれた土・日なのだが、やはり人影は全く見えない。ときおり小動物が走り去るのが見えるだけである。今回の山も私たち2人の貸し切りである。
昨年は天気が悪く半分以上も敗退だったが、2月始めの早池峰山に次いで2度目の好天である。やはりまだ2月だけあって風は冷たいので、少し下った所で一休みする。
根菅岳の登りで一汗かくと、下方にテントが見えた。荷物を整理してパッキングする。夕方からは天気が崩れる予報だ。
高下岳から望む最後の展望をカメラに収め、緩やかな尾根を下っていく。時間計算すると車に着くのは暗くなった18時半頃である。
林道を歩き始めると暗くなり、雨粒がポツポツと落ちてきた。やっと前方に電信柱の明かりが見えたが、見えてからが遠いものである。
根菅岳にて
根菅岳分岐から朝日岳
和賀岳への稜線
和賀岳への稜線
前衛峰
和賀岳山頂
和賀岳山頂
和賀岳山頂にて
真昼岳と女神山
小杉山
白岩岳
田沢湖と森吉山
北方稜線と秋田駒ヶ岳
振り返った和賀岳方面
振り返った和賀岳
大荒沢岳と朝日岳
大荒沢岳、沢尻岳、モッコ岳
根菅岳
テントと早池峰山
高下岳北峰と南峰
高下岳から見る和賀岳
タイム:テン場(6:40)→根菅岳(6:55)→和賀岳(10:10〜20)→テン場(13:20〜14:10)→高下岳(14:55)→車(18:55)
今回は天候と雪質に恵まれた冬の和賀岳であったが、通常の冬の和賀岳であれば雪深いため、スノーシューの登行では厳しいものがある。やはり冬山は体力勝負であるが、スキーを使うと楽である。
和賀岳の冬は遠く登山者はほとんどいないが、展望が素晴らしく、特に県外からの方々には目指していただきたい山である。和賀岳まで届かなかったとして、根菅岳まででも十分な価値はある。
岩手県内の登山者さんも、雪がある和賀岳、朝日岳を登っていただきたいと思う。
★嶋脇さんからの声
和賀山塊は豪雪地帯。厳冬期の2月の和賀岳への登頂は憧れていた山行の一つだった。
荷物の重さに苦労したが?天候に恵まれ、すばらしい和賀山塊の雪景色を観れたことと、4年間位使い続けてきたスノーシューが壊れたことも重なって忘れられない山行になった。
厳冬期の単独和賀岳への登頂は僕の目標の1つになったことも付け加えたい。 |