早池峰山 河原ノ坊 春は林道歩きがあり長いが頂上から見る山々は素晴しい!
 


2月18日(土)〜19日(日) 天候:雪/風雪 メンバー:千葉 貴子、國本 旗男、小田中 智
  コース:岳〜うすゆき山荘〜河原ノ坊〜頭垢離〜早池峰山 往復


 盛岡山想会創立80周年記念登山の80山の一つとして、厳冬期の早池峰山を例会登山として計画した。冬期にテントで泊まる例会山行としてはしばらくぶりである。
 当初の計画では、小田越にテントを張り、早池峰山と薬師岳から小白森の2パーティに分かれる予定だったので、80山登山にふさわしい計画だった。
 しかし、残念ながらメンバーが3人となったため、河原ノ坊の先へテントを張り、頭垢離を経て頂上へ登ることになった。

18日(雪)
 7時に日赤の駐車場に集合して岳へと向かう。道すがらの雪はかなり少ない。峰南荘に車を置き、雪が降る中、スキーを履き出発する。

出発時の峰南荘
出発時の峰南荘

 トレースの上には今朝積もった新雪が10cm程積もっているが、トレースの上を歩くと潜らないので楽だ。食料で膨らんだザックが重く肩に食い込む。
 貴子は20年振りの冬山だというので、ゆっくりとしたペースで歩いて行く。時おり雲の切れ間から中岳の山並みが見える。天気は徐々に良くなっているようだ。

林道を歩く
林道を歩く

林道での休憩
林道での休憩

中岳を望む
中岳を望む

 うすゆき山荘辺りからは早池峰山が見えるのであるが、低く垂れ下がった雲で見えない。2回休んで河原ノ坊に着いた。國さんは足が痛いらしく、歩くのが大変そうだ。昨年は一人で2回来ているが、この長い林道を一人で歩くには飽きてしまうが、仲間と駄弁りながら歩くのもまた楽しい。
 河原ノ坊からは新雪が20cm積もっており、トレースから外れると膝下まで潜った。砂防堰堤を越え、30分位歩いた所をキャンプサイトにする。

河原ノ坊
河原ノ坊

河原ノ坊
河原ノ坊

河原ノ坊
河原ノ坊

 柔らかい雪のため整地に手間どり、先輩から借りたエスパースのテントを広げる。複雑な構造のテントで立て方が分かりづらく、2回もやり直しながらようやくテントを張り終えた。人から借りたテントではあったが、『このくされテントは冬山では役に立たない』などと文句を言いながら、整地から張り終えるまで1時間半を費やした。
 テントに入り、まずはプレミアムビールで乾杯する。私が持参したガスコンロに火をつけるが、この寒さでどうも調子が悪い。貴子もコンロを持参していたのでそちらを使う。私のコンロは中国製なので、『中国製はイマイチ』と言う言葉が笑いのネタになった。
 今回は私が食糧係なので、晩と朝の食料を用意した。メニューは、前菜のオードブルと究極のキリタンポ鍋である。肉もスープも良い物を買ってきた。
 前回の岩手山では、すき焼きの良い肉を買ってきたと自慢していたが、肉を家の冷蔵庫に忘れてきて、とんだすき焼きを食べさせられた。
 前菜は、レタス、キューリ、トマト、生ハム、カマンベールチーズ、ゆで卵、家で食べるよりはるかに豪華だ。
 キリタンポ鍋のレシピは梅ちゃんからいただき、それにもとづいて準備した。鶏肉、キリタンポ、ゴボウ、マイタケ、ネギ、水菜、糸こんにゃく。スープは、秋田産のキリタンポ鍋スープ、鶏ガラスープ、めんつゆ、醤油、日本酒である。
 キリタンポ鍋の一回戦は、キリタンポを入れずスープとして食べてもらったが、絶賛の言葉をいただいた。25年ぶりに一緒に歩く貴子、雪のある時期には初めて一緒に歩く國さんと、先輩後輩のへだてのない会話が楽しい。ニ回戦はキリタンポを入れて腹ごしらえをしてもらう。
 恵比寿ビールから、國さんが持参したブランディーを飲んでいると、コンロのガスが無くなった。予備のガスは持参していなく、貴子が持ってきたガスは残量が少ないので朝の分とする。せっかく美味しい食材を用意しても、火がないことには食べられない。あぶなく朝食を食べれなくしてしまうところだった。
 火の気のないテントは寒く、シュラフを腰に巻いて話していたが、まだ7時ではあるが寒いので消灯にする。今晩はだいぶ冷え込んでいる。
タイム:峰南荘(8:40)→うすゆき山荘(12:10)→河原ノ坊(12:55〜13:10)→テント場(13:40)

19日(風雪)
 5時半に起床すると、テント内には霜が付いていて寒い。コンロに火を点け、残り少ないガスを無駄にしないため、さっそく朝食の支度をする。
 メニューは、日本そばとレトルトの炒飯である。昨夜の残りのキリタンポ鍋は凍っていた。キリタンポを温めてそばを入れる。炒飯はマーガリンで炒め食べるが、レトルトの炒飯も中々美味しい。間もなくガスが無くなり、残念ながら美味しいコーヒーは飲めないでしまった。
 昨夜からの雪は更に10cm程積もっていた。身支度を整え、私はスノーシュー、貴子はワカン、國さんはスキーと、それぞれに思い思いの道具を着け、小雪が降る中を出発する。

テント場での朝出発前
テント場での朝出発前

 昨年の2月に単独で頭垢離まで来ているのでコース的には問題ない。スノーシューを履いても30cm程潜ったが、雪が軽いので負担は少ない。ラッセルが楽しい。
  コメガモリ沢を渡ると、貴子のワカンのバンドに不具合があり用をなさなくなった。時おり晴れ間が出てきて、舞い散る雪片が日に照らされとても美しい。こういう美しいものが見れるので、雪がある山は美しく楽しい。

頭垢離へ
頭垢離へ

 沢のカール状になると底の雪が締まり潜らなくなった。上部の方は雲に隠れて見えないが、風はさほどなく厳冬期としては条件は良い方だ。

コメガモリ沢のカール状
コメガモリ沢のカール状

 頭垢離でスノーシューを脱ぎ、貴子はアイゼンに履き替え、國さんはスキーを脱ぎそれぞれの道具をデポし、頂上へと登って行く。

頭垢離
頭垢離

 小高い所に登ると國さんは、履いている兼用靴が痛くて登れないと言うので、15時にテントに戻ることにして私と貴子の2人で頂上を目指す。
 しばらくは雪の斜面が続きラッセルとなる。やがて岩が露出してくると夏道の標識が見え、夏道に沿ってゆっくりと登って行く。風が出始めると手が冷たく、ホッカイロをミトンに入れているがそれでも冷たい。視界は良い方なので厳冬期の厳しさはまださほどない。

畳岩への雪の斜面
畳岩への雪の斜面

岩稜帯になる
岩稜帯になる

 畳岩の標識には、頂上まで0.8kmとあった。天狗岩まで来ると、風と一緒に飛ばさせる新雪が吹き付け冷たい。やがて、時々雲の切れ間から頂上部が見えてきた。所々吹きだまりがあり、ずっと一人でラッセルしてきたので疲れが出てきた。頂上直下の吹きだまりの斜面に、下りの目印のため赤い紐を結ぶ。

頂上下の岩場
頂上下の岩場

 岩に真っ白く雪が付いた岩をぬけると、頂上の避難小屋が見え頂上に着いた。朱色の神社には半分以上も雪が張り付き、白に朱のコントラストが美しい。頂上では雲が切れ、青空の中から日が差し込んできた。先程まではずっと風雪だったが、20年ぶりに早池峰山に来たと言う貴子を歓迎しているかのようだ。しかし、晴れているのはこの場所だけで、周りの景色は何も見えない。

早池峰山頂上
早池峰山頂上

 小屋の陰の風の当らない所でアイゼンを着ける。下り出すと、また風雪となった。アイゼンを履いたのは久しぶりで、昨年春の岩手山焼走りで少し履いたが、30年振り位にもなるだろうか。
 下りながら、いつ骨折した足首を捻るかと思う恐さが先に立っていたが、馴れてくると岩稜帯も終わり、雪の斜面となり歩きやすくなった。

下って来た所を振り返る
下って来た所を振り返る

 頭垢離に着くと新雪が積もっており、来た時のトレースは埋まっていた。國さんが下ったスキーの跡は残っていた。スノーシューを履こうとしたら、使いやすくするため細工した箇所のビスが飛んでおり、使えないのでツボ足で下る。
 所々股まで潜ると抜けだすのに一苦労する。テントが見えコールを送ると國さんが出てきた。火の気のないテントで待っているのは、さぞかし寒かったことだろう。
 さっそくパッキングをしテントを撤収する。雪は晴れ上空には青空も見えた。下に下ると晴れるのは常である。
 シールを着けたまま滑るが、大して滑らない割には直ぐに転んでしまう。河原ノ坊からシールを外す。昨日のトレースは雪に埋まっており、来た登山者もいない。
 國さんのスキーは滑るので先頭を切って滑った。この林道の下りでさえ転んでしまい、貴子に大声で笑われてしまう。体は大分疲れており、スキーが短いせいもあり抑えが効かない状態だ。転ぶと起き上がるのに一苦労し、ますます疲れがたまってくるのである。
 やがて暗くなりヘットランプを点ける。やんたくなる頃、ようやく駐車場に着いた。今日は久しぶりに12時間弱の行動となり、疲れたが達成感があり気持ち良い。
タイム:テント(7:00)→頭垢離(8:50〜9:10)→畳岩(10:30)→早池峰山(12:30〜45)→頭垢離(14:50〜50)→テント(15:30〜16:30)→河原ノ坊(17:05)→駐車場(18:40)
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