2017年7月1日(土)〜4(火)
メンバー:渡邉さん、櫻田さん、横沢 一則(盛岡山想会)、下田 和正(盛岡山想会)、小田中 智
コース:吉田口馬返し〜五合目〜七合目(泊)〜吉田口頂上〜下山道〜五合目レストハウス
「富士山は五合目から登っているが一合目から登りたい」というご依頼をいただいたので、馬返しから登る計画を立てた。
昨年富士山の八合目で敗退した方もいたので、とにかくゆったりとした計画とし、泊まる小屋は七合目と下山時に八合目に泊まることにした。
富士山は、静岡県と山梨県に跨る活火山である。標高3,776.12 m、日本最高峰の独立峰で、その優美な風貌は日本国外でも日本の象徴として広く知られている。
数多くの芸術作品の題材とされ、芸術面でも大きな影響を与えた。懸垂曲線の山容を有した玄武岩質成層火山で構成され、その山体は駿河湾の海岸まで及ぶ。
古来霊峰とされ、特に山頂部は浅間大神が鎮座するとされたため神聖視された。噴火を沈静化するため律令国家により浅間神社が祭祀され、浅間信仰が確立された。
また、富士山修験道の開祖とされる富士上人により修験道の霊場としても認識されるようになり、登拝が行われるようになった。これら富士信仰は時代により多様化し、村山修験や富士講といった一派を形成するに至る。
現在、富士山麓周辺には観光名所が多くある他、夏季シーズンには富士登山が盛んとなっている。日本三名山(三霊山)、日本百名山、日本の地質百選に選定されている。
また、昭和11年に富士箱根伊豆国立公園に指定されている。その後、昭和27年に特別名勝、平成23年に史跡、さらに平成25年6月22日には関連する文化財群とともに「富士山 信仰の対象と芸術の源泉」の名で世界文化遺産に登録された。
富士山吉田口登山道は、今でこそほとんどの人が五合目から登っているが、五合目から登られるようになったのは昭和39年に富士スバルラインが開通して、車で中腹まで一気に行けるようになってからのことだ。
しかし歴史的にみれば、やはり麓から登るのが本式と言える。ただ、それだけ距離も長く、時間もかかるので、どこかの山小屋に1泊から2泊して登ることになる。
1日(曇り)
紫波から盛岡市の北部へとまわり皆を迎えて、盛岡インターから高速道に乗る。今年初めてのツアー開始とあって少し緊張する反面、楽しさでワクワクもしている。
山想会の仲間が2人参加しているので、今回の運転手は3人のため余裕のある運転ができる。
吉田市には14時頃着き、旅館に入るにはまだ早いので河口湖に行ってみる。懐かしい富士急ハイランドの脇を通り河口湖に着いた。
せっかく来たのでモーターボートで再奥部までクルージングした。雲に遮られて富士山は裾野しか見えないが、しばらくぶりに乗るモーターボートにワクワクしながら、素敵な湖の景色を眺める。
今夜の宿泊所は富士吉田駅に近い「リーベン古奈家」という宿である。部屋と浴場から富士山を眺めることができる老舗旅館で、宿泊料金も格段に安い。
まずはビールで喉をうるおし、大きな浴槽にのんびり浸かる。残念ながら富士山は五合目付近までしか見れなかった。
料金の割には夕食は手作りの豪華な料理で、明日からの好天を願って天気祭りをする。
2日(曇り)
宿からタクシーに乗り馬返しに向かう。駐車場には10台ほどの車が止まっていた。天気は曇りではあるが、雲は高いのでそう悪くはならないが、風が強い予報である。
吉田馬返しルートは、森林限界よりも下を登るので、深い森の自然の中を歩くことになり、富士登山の歴史を物語る数多くの史蹟が残り、知的好奇心を刺激する道でもある。
宿からもらった朝食を食べて出発する。登り始めるとトレイルランの方々が次々と走っていく。7月下旬に山頂まで走って登る大会があるといい、今日はその練習をしているみたいだ。
歴史ある建物はまだしっかり建っているものや半分は朽ちているものがあり、杉林は大木で歴史を感じさせられる。
日陰のため涼しく汗はかかず、虫があまりいないので快適に登っていく。五合目から下は花が多いのかなと思ったがほとんど無かった。
登山道は幅が広く、傾斜が緩やかで歩きやすい整備された道だ。軽装で走るランナーが次から次と追い越し行くが、純然な登山者は見当たらない。
五合目の佐藤小屋で昼食をしゆっくりする。六合目の途中に固有種であるフジハタザオが風に揺れていた。
六合目からは視界が開け、高雲りの中に上部が見えているが九合目から上は雲の中だ。六合目で入山料を収める。スバルラインからの登山道と合流すると登山者が増えたが7割くらいは外人だ。
風があるため目と口に砂ホコリが入るので、防護用メガネをかけマスクをして登る。富士山は六合目からザレ場のため、風で小石が飛び砂ほこりが舞う。登山最盛期ともなると前を歩く人のほこりが飛んでくるのだ。
ジグザグの折り返しを登り、七合目からは岩場の登りとなる。七合目の小屋は7件あり泊まる富士一館は上から3番目で標高は2,900mある。
13時半ころ小屋に着いた。八合目まで行ける時間ではあるが、無理をせずに小屋に入る。ベランダで景色を見ながらビールで乾杯する。全員元気である。
夕食はカレーで、朝食弁当もいただく。天気祭りは簡素化し寝る。夜中トイレに起きると、下方は街の灯りがキラキラと美しく輝いていたが、残念ながら星空は見ることができなかった。
馬返しにて
一合目 鈴原天照大神社の鳥居
一合目 鈴原天照大神社
二合目 富士御室浅間神社
ウマノアシガタ
御室浅間橋にて
三合目 見晴らし茶屋と蜂蜜屋
四合五勺 井上小屋
雲切不動神社
シロバナヘビイチゴ
五合目 佐藤小屋
フジハタザオ
なぜか六角堂
六合目から上部
河口湖、黒岳(湖の上)、三ッ峠山(湖の右)
山中湖、丹沢山
七合目からの岩場
泊まった七合目 富士一館
タイム:馬返し(6:10)→佐藤小屋(9:35〜10:25)→富士一館(13:20)
3日(高雲りのち晴れ)
4時前に起床し出発準備を整えご来光を見ようとしたが、雲が高いため残念ながら見れず、そのまま出発する。
岩場を登っていくと八合目の小屋が8軒続き、再びジグザグのザレ道となる。八合五勺の山小屋までが営業しており、その上の小屋は15日からの営業だという。
天気はまずまずであるが登るごとに風は強くなり、時々突風が吹き九合目から上は雲の中だ。朝早く登った人たちが下りてくるので状態を聞くと、風はかなり強いので吉田口の山頂までしか登れなかったという。
今年は雪が多いためか吉田口山頂からの下山道は通れず登りルートを下っている。ゆっくり休みながら登り、鳥居をくぐりひと登りすると浅間大社奥宮がある吉田口山頂に着いた。
握手を交わし記念写真を撮る。山頂小屋の小屋開け準備をしており、ブルドーザーには荷物が積まれていた。一人で小屋から剣ヶ峰方向に進むと風は激しく、みんなが行動できる風ではないので、最高地点まで行けないのは残念だが、ここから下山することにする。
ここは雲の中で景色は何も見えないが、馬返しから登ったという満足感でみんな感激していた。
八合目に下るとまた下の景色が見え、河口湖は太陽に輝いていおり、天気は回復し始めてきた。時間的にはまだ午前中で、計画では八合目に泊まる予定であったが、五合目のレストハウスへ下山し、一昨日泊まった旅館に泊まる手配をする。
八合目からは下山道に入り、ジグザグのザレ道を下っていく。下り始めると日差しが強くなり、風で舞い上がる粒石が目に入ってくる。
単調な下りは長くウンザリする頃、ようやく六合目に着いた。登りでは多くの人達と挨拶を交わしたが、もう挨拶はやめにした。7月下旬の最盛期では挨拶するだけで疲れてしまいそうだ。
レストハウスでおみやげを買い定期バスに乗る。待ち時間が1時間弱あったので、私だけ食堂に入りビールをいただく。冷たいビールは火照った喉にしみ、とても美味しかった。ビールは暑い時に下山した時に限る。
河口湖駅で下車し、タクシーで宿に向かう。宿の部屋と浴室からは富士山の全景が望め、素晴らしい眺めである。
夕食は一昨日に増して豪華で、登頂祝いを心ゆくまで楽しんだ。
朝の富士吉田市と河口湖
八合目の岩場
山中湖と丹沢山
吉田口頂上手前の山門
吉田口山頂にて
七合目付近の下山道
六合目から山頂方面
タイム:富士一館(5:10)→吉田口頂上(9:55〜10:20)→六合目(14:25)→五合目レストハウス(15:15)
4日(曇り時々雨)
今日は帰るだけなので、浅間大社を参拝することにする。時間的に早めのせいか境内には参拝者はいなかった。境内は広大な広さで、食後の散歩にちょうど良かった。大木が立ち並ぶ長い山道を経て本殿に参拝する。
道の駅富士吉田に行き、富士山登山認定書を発行していただく。これは富士吉田市が発行しているもので、馬返しから山頂に登った者だけに発行する認定書である。みんなは大喜びで受け取った。
運転を交代しながらゆっくりと高速道を走った。
富士山登山日程書 |
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富士吉田駅より徒歩8分の好立地にある老舗旅館で、客室と浴場から富士山を望むことができる。
部屋は多くあるため団体さんの利用も可能で、学生さんの合宿などにも利用できるようだ。
四季折々の富士をゆっくり眺めるなら、落ち着いて泊まれる「リーベン 古奈家」が最適だ。
宿泊料金は、1泊2食で6,000円(税別)とリーズナブルで、料理も店主が心を込めて作る品々だ。
富士山を馬返しから登るときには便利な宿で、外人さんにも人気な宿だという。
私が一押しの旅館です! |
TEL.0555-22-5783 HP http://lieben-konaya.com/ |
旅館の正面
部屋から富士山が見える
浴室からも富士山が見える(旅館の写真) |
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