御神坂沢 大滝
2014年5月31日(土)〜6月1日(日)
メンバー:居谷さん、下野さん、嶋脇さん、佐藤 博、小田中 智
コース:御神坂駐車場〜御神坂沢〜大滝〜鬼ヶ城稜線〜不動平〜岩手山〜不動平〜焼切沢〜Cルンぜ〜鬼ヶ城稜線
〜御神坂コース〜御神坂駐車場
残雪の御神坂沢を登りたいという依頼を嶋脇さんからいただいたので、御神坂沢と鬼ヶ城Cルンゼを組み合わせたバリエーションルートに、1泊2日で行くことにした。
御神坂沢は昨年単独で登っているが、滝が3ヵ所出ていたがトップがザイルを張ると問題はない。Cルンゼは半分は残雪が詰まっていると思われ、岩は部分的にしか出てないと思われ、トップがザイルを張ると問題はない。
冬山に行った方を誘い、友人の佐藤君も加わり、5人で岩手山のバリエーションを楽しむことになった。
31日(快晴)
嶋脇さんと御神坂駐車場で待ち合わせ、他の3名をそれぞれ迎えに行き御神坂へと向かう。今日も天気が良いため朝からすでに暑くなっていた。
明日はうまくいくと網張温泉に下山できる可能性があるので、私の車を網張温泉にデポするすることにし、嶋脇さんの車で移動していただく。
下から沢をつめて行くと堰堤が沢山あるので、登山道をしばらく登り途中から沢に入ることにする。食料と荷物は5人で分担したので、各自のザックの重量は14kg程度と思われる。
樹林帯の中を1時間弱歩いた所から、沢へと藪を漕いで行く。沢に入るとまだ堰堤が2つ残っており、乗り越すのがかったるい。沢はさわやかな風が通り抜けているので思ったよりも涼しい。
しばらくすると残雪が出てきて、ヒンヤリとした冷気の中を歩いていくと、やがて8m程の滝が出てきた。滝の手前の左にはロープが張ってある巻きルートがあるが、せっかくだから滝を登ることにする。
滝への取り付きはシュルンドになっており、滝の中央からそのまま取り付けないため、ザイルを結び滝の左から中央にトラバース気味に登る。後続の2名はアッセンダーを使用して登り、あと2名は確保する。
また雪の斜面をしばらく登ると大滝が見えてきた。大滝は垂直に落ちる50mの滝で、夏は水が涸れているが、今は雪解け水が水しぶきをあげて落下している。
高巻きルートは左のブッシュ帯であるが、今年は雪が付いていなくアイゼンを外して登るが、急な草付きになったので再びアイゼンを付けて登る。
滝の高さを越えたあたりから右にトラバースして滝の上に出る。沢への降り口にはシラネアオイやキクザキイチゲが咲いていた。
雪の斜面を登っていくが、今年は滝が全然出ていなく急な雪の斜面だけだった。今年は昨年よりも残雪が多いみたいだが、日当たりの良い所は逆に昨年より少ない。
1ヵ所急で細い斜面にザイルを張り、アッセンダーを使用して登る。やがて洞窟みたいにかぶった滝にルートを遮られたため、右のブッシュから高巻き、沢への降り口はザイルを使用して下る。
ここで沢の核心部は終わり、あとはガレ場を鬼ヶ城稜線まで登るだけなのでハーネスを外す。ガレ場を詰めていくと左に鬼ヶ城稜線に続く雪渓が残っていた。
雪の斜面はガレ場を登るよりはるかに楽ではあるが、斜面は急で疲れた体には最後の核心部的な登りだ。稜線に出た所はチムニーの岩場の登山道だった。
今日は天気が良い割には風があるため涼しく、モヤがかかった山々を眺めながら、鬼ヶ城の最高点を目指して登って行く。もう15時を過ぎているので、頂上付近に人影はなかった。
不動平の下りの雪渓は、私だけ尻セードで下る。山はだいぶ残雪が少なくなってきたので、楽しい尻滑りも最後に近いようだ。
山頂へは明日行くことになったので、のんびりする。単独行者がやってきて、今宵の宿は我々と単独行者だけのようだ。
雪渓の水たまりを見つけて水集めをする。単独行者の姿が見えなく頂上に行ったかと思ったら、八合目の小屋へ水汲みに行って戻ってきた。先週はまだ水は出ていなかったのでまだだろうと思い、雪解け水を集めていたが、それを聞いて佐藤君が水汲みに行ってくれた。
単独行者は網張から登ってきたが、犬倉山から雪が多く、道が分かりづらく大変だったと言っていた。
今夜の夕食は、野菜サラダ、もずく、うなぎの蒲焼、塩ホルモン炒めである。サラダを作りうなぎを焼いて佐藤君の帰りを待つ。
まずは冷たく冷やしたビールで乾杯する。汗を流した後のビールは格別で、家では中々食べれないうなぎも美味しい。今度は冷たいワインを飲みながら山を語り、楽しい時間はゆっくりと過ぎていった。
薄暗くなった頃外に出てみると、お花畑方向の雲が赤く染まっていた。歩くのがめんどいので、ここで眺めて小屋に戻る。疲れたせいかみんな酒が進まないため、早いがシュラフにもぐる。
御神坂沢駐車場
堰堤の上の沢
ここから雪渓が始まる
8mの滝 左のシュルンドから中央へ右上して登る
また雪渓が始まる
大滝が見えてきた
垂直に落ちる落差50mの大滝
高巻き下に咲くミヤマキンバイ
高巻き下に咲くシラネアオイ
高巻き終了点に咲くキクザキイチゲ
また雪渓が続く
細い急斜面にザイルを固定
沢の核心部ももうじき終了
鬼ヶ城稜線への急な登り
鬼ヶ城稜線から眺める岩手山山頂
ギザギザの鬼ヶ城は黒倉山へと続く
不動平避難小屋脇の夕日
タイム:御神坂駐車場(7:00)→大滝下(11:15)→大滝上(12:15〜30)→鬼ヶ城稜線(15:30〜40)→不動平避難小屋
(16:05)
1日(晴れ)
4時半起床。スペシャルラーメンの朝食を済ませ、パッキングをする。今朝は風が強いのでカッパを着て、空身で頂上に向かう。雲が多く早池峰山、和賀連峰、秋田駒ヶ岳、八幡平しか見えないが、それでもカスミでボンヤリとしか見えない。
今年3回目にしてやっと居谷さんを頂上に立たせることができた。初夏の岩手山ではあったが、それでもバリエーションルートから登ってきたので、居谷さんは喜んでくれた。風は強く、風速15m程あったが風は温いので、冬の風の強さとは違った感覚である。
左回りで外輪を周り、故杉村君のレリーフに向かう。みんなが手を合わせてくれて、さぞかし杉村も喜んでいることだろう。奥ノ宮で安全祈願をし、小屋へと戻る。
今日はCルンゼを登るので、デポしたザックを背負い、焼切沢へと下って行く。途中から雪が残り、下って行くと昔の登山道があった。急な草付きを下り、急な雪の斜面を下るとBルンぜ出合に着いた。
昔よく通ったCルンぜと本峰の岩場が目の前に見える。ここには懐かしい思い出がたくさんある場所だ。Cルンゼの出合まで下らず、小尾根を乗っこしてCルンゼに入る。
雪の斜面にステップを刻み、急なブッシュ帯に入る所でザイルを張る。ラストの佐藤君にそのままザイルを伸ばしてもらうと、後半はいやらしい岩場が出ていた。さすがは昔のザイルパートナーである。安定した登りで50mいっぱいザイルを伸ばした。
ラストの私は今度ザイルを伸ばし、ブッシュ帯を50mいっぱい登りザイルを固定する。みんな登り終えるのに時間がかかるので、食事をしながらゆっくりと景色を眺める。
ブッシュをひと登りすると稜線はもうすぐである。昔はよくここを下ったものであるが、こんなにブッシュはなかったはずである。30年もの間、たぶん誰も通らないとこんなになるんだろうと思う。
3時間ちょっとで通称「窓」と呼ばれる鬼ヶ城の稜線に着いた。みんな満足気な顔をしている。すでに12時近くなので、せっかく車を網張に回していたが下るには時間がないので、御神坂コースを下山することにする。
御神坂分岐までの登りはきつく、私にとってはCルンぜよりもこの登りが核心部である。しかし、風があるので爽やかで、ミヤマキンバイに励まされながら登る。
下山する御神坂コースでは、ユキワリコザクラ、ムラサキヤシオツツジ、シラネアオイ、ミネザクラが見事に咲いていた。1リットルの水はすでに無くなっていたので、展望台手前にある汚い雪を掘って食べる。
展望台から見える大滝から落ちる水は美味そうだ。無くなると余計に飲みたくなるものだ。佐藤君が汚い雪を残っていた少しの水に混ぜて増やして持ってきてくれた。みんなで分けあって飲む水は、少ないながらもとても美味しい命の水だった。
下る途中浮石に乗り腕から転び、痛い思いをさせられてしまった。途中で一休みしていると、むかし山想会にいた佐々木君に出会った。懐かしい顔にしばらく立ち話をする。今は岩手県警山岳救助隊の幹部である。
やっと駐車場に着いた。嶋脇さんと佐藤君に車を回収に行ってもらい、お山の湯で汗を流す。
2日間の岩手山バリエーションルート。雪が多く滝や岩場は少なかったが、この時期に残雪をいっぱい踏みしめながら急斜面を登れたのは嬉しかった。やはり雪がある山は素敵である。
お鉢から見る鬼ヶ城 右に秋田駒ヶ岳、その左は和賀連峰
岩手山山頂で
左のピークが鬼ヶ城本峰、その左の雪渓がCルンぜ
Cルンぜ 真ん中やや右の凹んだところが出口(通称:窓)
Cルンぜ中間部
Cルンゼの核心部
鬼ヶ城 通称:窓
ミヤマキンバイ
ユキワリコザクラ
ムラサキヤシオツツジ
タイム:不動平小屋(6:10)→岩手山山頂(6:45〜55)→不動平小屋(7:30)→焼切沢(8:40)→鬼ヶ城 窓(11:55〜12:10)
→御神坂分岐(13:10〜20)→御神坂駐車場(16:15)
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