虎毛山 冬道 ガイド登山
 


2017年3月19日(日)〜20日(月)
 メンバー:嶋脇さん、佐藤 博、小田中 智
 コース:役内橋駐車場〜594mP〜金倉山〜1,018mP〜1,176.9mP〜鞍部(泊)〜虎毛山 往復


 冬の虎毛山へは、夏道がある赤倉沢は雪崩の危険性が高いため、金倉山を経由する通称冬道を登って行くことになるが、1ヵ所崖があり、尾根筋は雪庇が張り出しており緊張感も味わえるルートだ。
 真冬に登る登山者は希で、貸切で山を楽しめる。 山頂からの展望は素晴らしく、鳥海山、栗駒山、岩手山、大朝日岳、月山などが見える。
 通常は虎毛山入口の標識がある所に車を置き、810mPへ登り888mPを経て金倉山に登るのであるが、役内橋の駐車場に車を置いて直接金倉山に登った方が早いと思われるので、そのルートで登ることにする。

19日(曇り時々晴れ)
 4時に盛岡の駐車場で待ち合わせ、私の車で秋ノ宮へ向かう。湯沢に入ると鳥海山が赤く染まりかけていた。この2日間は天気が良い予報なので、山頂からの展望が楽しみである。
 虎毛山の入口には関東方面からの車が3台止まっており、昨日から入山しているようだ。
 最近降った新雪が柔らかいため、今週も重いラッセルを強いられそうだ。除雪した雪のブロックから登って行くと間もなく林道に出、林道には一昨日ほど前のトレースがあった。
 林道を10分ほどたどり、傾斜の緩いところから594mPを目がけて登って行く。潜りは15cm程であるが雪は重く、20分交代でラッセルしていった。
 昨夜雪が降ったみたいで、木々には新雪が積もり真冬の雪景色みたいだ。ブッシュはこまくなく登りやすい尾根で、3ピッチで金倉山に着いた。
 山頂には真新しい下山のトレースがあり、関東ナンバーの登山者のようだ。これからはトレースをたどることができるので思わずラッキーと思った。
 1,018mP付近にはテント場の跡があり、つい今しがた下山したようだ。ピークからの下りはかぶった雪庇が張り出しており、トレースはここで消えていた。
 ザックやスノーシューを下に投げると、私のザックは停まらず斜面を下へと転がり、50m程転がってようやく止まった。その下はさらに斜面が続いているのでそこで停まらなかったらしばらく落ちていったことだろう。
 佐藤君がトップで下っていくと急傾斜から下はハングしており、下の雪面まで3mあるという。彼は飛んで着地した。私は飛ぶまでに少々のためらいがあり腰から落ちた。
 ザックは尾根から外れた斜面を下っていったので、スノーシューを持ってザックを回収に下って行き、斜面をトラバースして尾根に戻った。
 関東パーティはここを下れずに下山したみたいだ。これで先へのトレースはなくなり、またラッセルしていかなければならない。
 尾根は雪庇が張り出し、多少の緊張感を味わいながら進んでいく。木の間からは右に真っ白く輝く神室山、左には高松岳が見えている。主稜線からの眺望が楽しみだ。
 1,176.9mPは高松岳への縦走路で、目の前には山頂がなだらかな虎毛山、その左に真っ白い栗駒山、また左に高松岳が見えた。すばらしい光景である。
 ここから虎毛山は2時間ほどなので、付近にテン場を求め写真を撮りながらノロノロと下っていく。鞍部は広いので虎毛山が見える場所をテン場と決める。
 日に照らされたテント内は暖かく、荷物を整理してチビチビと飲み始める。夕食は嶋脇さんが用意してくれたホルモン焼とひっつみだ。飲み、語っていると陽はゆっくりと沈んでいった。


金倉山へ向かって


金倉山


主稜線に向かって


かぶった雪庇を飛び降りるところ


主稜線に向かって


神室山


高松岳と山伏岳


虎毛山へ向かって


虎毛山


栗駒山と東栗駒山


吹突岳と焼石岳


テン場にて

タイム:駐車場(7:15)→金倉山(10:20)→1,018mP(11:20)→1,176.9mP(14:10)→鞍部テン場(14:30)


20日(晴れのち曇り)

 4時に起床し外を見ると星が出ていて、今日も晴れだ。テントに荷物を置いていくので、必要最小限の物をザックに詰める。
 虎毛山の横から徐々に日が昇り始めてきた。特に美しいわけではないが晴れてくれたのが嬉しい。
 主稜線上も雪は締まらずラッセルは続く。神室山の横には鳥海山が霞んで見え、今日もいい天気だ。
 赤倉沢からの夏道合流点を過ぎると、いよいよ山頂への登りになる。樹林帯が過ぎると風が強くなってきて、ようやく雪が締まってきた。
 緩い登りで高度を上げると、真っ青な空の中にポツンと小屋の頭が見えてきた。登るごとに小屋は大きくなり、快晴の山頂に立つ。
 風は風速15mを超え冷たいが、日差しがあるだけでも春を感じさせてくれる。小屋は4年ほど前に立て替えたばかりで、入口は埋まっており入るには掘り起こさなければならない。
 風が冷たくなければもう少しゆっくりしていたいのだが、この美しい景色を心に焼きつけ、テントへと戻っていく。
 テントまで戻ると風は当たらなくなり、暖かい日差しが春の訪れを感じさせてくれた。天気が良いので外でパッキングをしてテントを撤収する。
 昨日飛び降りた雪庇は登れないので、ずっと左から越えることにして急な斜面をトラバースする。日が暖かいのでダルマ状の雪が無数に転がっている。あの雪庇が崩れたらひとたまりもない。
 佐藤君は雪庇の真ん中を越えられそうだというので行くがやはり無理で、先頭を交代し雪庇の真下を横にトラバースして傾斜の緩い部分を越える。
 金倉山の下りからスノーシューを外し、途中から右の沢状に入るがやがて深く潜るようになった。子供のカモシカを見かけると林道に着いた。


ご来光


神室山と小又山


虎毛山


樹氷とシュカブラ


山頂小屋が見えてきた


山頂小屋


小屋にて


高松岳と山伏岳


虎毛山を振り返る


飛び降りた雪庇に向かって


転がる雪だるま


金倉山

タイム:テント(5:45)→虎毛山(7:55)→テント(9:30〜10:15)→1,018mP(11:50)→駐車場(14:20)
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