8月2日(木)〜6日(月) 天候:快晴 メンバー:角掛様、遠藤様、藤原 裕、小田中 智
コース:広河原〜大樺沢二俣〜小太郎尾根分岐〜北岳肩ノ小屋〜北岳〜中白根山〜間ノ岳〜農鳥小屋〜農鳥岳〜
大門沢小屋〜奈良田第一発電所
この山行に5月から1名の申込みがあり、せんかくの申込みであるから採算を度外視して、裕ちゃんに手伝ってもらって催行することにしていたら、2週間前になって参加者が1名増えたので、私の車で行くことになった。 むかし冬山合宿で、八本歯のコルから間ノ岳、農鳥岳、大門沢から奈良田まで一日で歩いていたので、今回の山行はとても楽しみだった。 宿泊は、北岳肩ノ小屋と農鳥小屋なので行程としては楽であり、ゆっくりと高山植物の観賞と風景を楽しむことができる。 最終日の大門沢の下降は、急な下りで距離も長く、バスの時刻に間に合わせなければならないので少し大変だ。 往復の車での走行は、夜間に交代で走らなければならないので注意が必要だ。
2日(木) 裕ちゃんを途中で乗せて、お客様の家に7時に着く。滝沢インターから東北道に乗り、北岳の旅が始まった。 運転を2時間交代で代わりながら走行して行くが、助手席で座席を倒して寝ようとするがなかなか眠れない。お客様には後部の座席を倒し、横になって休んでいただく。3日(金) 甲府昭和I.Cで高速道を降り、芦安に向かって走って行く。5時過ぎに芦安の駐車場に着くと、登山者の車で混雑していた。 ここから先はマイカー規制のため、広河原までバスとタクシーで行くことになる。朝一番のバスを見送り、少し眠ることにする。 7時に乗り合いタクシーに乗り、広河原に向かう。広河原山荘に登山計画書を出して歩き出す。 経費節約のため私はテント泊で、ザックの重量は18kgと少々重い。軽量化をしないで生ものを持参しているので重いが、その分食事が楽しみである。 歩きやすい登山道をゆっくりと登って行く。空は真っ青で快晴であるが、沢筋を歩いているので時折吹くさわやかな風が心地よい。 雪渓が残っている所まで来ると北岳の全容が見えた。もうだいぶ陽が高くなっているので、樹林帯からはずれるとジリジリと暑い。 二股から稜線に向かってトラバース気味に登って行くと、やがて森林限界となり鳳凰三山の地蔵岳にあるオベリスクが美しく尖がって見える。 稜線に出ると仙丈ヶ岳のどっしりとした山容が見え、向かう先には北岳の山並みがせまっていた。南東方向には美しいラインの富士山が、日本で一番高い存在感でそびえ立っている。 まわりの景色に見とれながら稜線をたどると、北岳肩ノ小屋に着いた。 宿泊手続きを済ませ、ビールで乾杯する。汗で熱い体に冷たいビールが入っていくと、なんとも言えない幸福感にひたるのだった。 甲斐駒ケ岳は雲の中だったが、遠く槍ヶ岳、穂高連峰、剣岳の勇峰が望まれた。 稜線のテント場に2人用のテントを張り、夕食の準備をする。メニューは、前菜とホルモン鍋である。トマト、生玉子、とうふなど全て生ものを持ってきているのである。 しだいに沈んでいく太陽と富士山を眺めながらウイスキーを飲む。陽が隠れると寒くなってきたのでテントに入り、ベンチレーターから暮れゆく富士山を眺める。
タイム:広河原(8:00)→二俣(11:45)→小太郎尾根分岐(14:50〜15:05)→北岳肩ノ小屋(16:00)
大樺沢からの北岳
二俣からの稜線
シナノキンバイ
ミヤマウサギギク
ハクサンフウロ
仙丈ヶ岳
タカネツメクサ
小太郎尾根分岐から見る北岳
北岳をバックに
イワギキョウ
肩ノ小屋と北岳
夕方の富士山
4日(土) テントサイトでは御来光を見るため朝早くからザワついている。前日の睡眠不足を補うため早く寝たので、さわやかな朝を迎えた。 ベンチレーターを開くと雲は赤くなり始め、富士山はくっきりとまだ黒い山容を現していた。やがて御来光となり、うっすらと富士山も赤く染まった。 昨夜の残りのホルモン鍋とピラフの朝食を済ませ、出発の準備を始める。メンバーとモーニングコーヒーを飲みテントを撤収する。 岩場に咲くイワギキョウを眺めながら岩稜を登っていくと、タカネマンテマが咲いており、珍しい高山植物だという。 今日の行程は、北岳から間ノ岳を登り農鳥小屋までと時間的に余裕があるので、のんびりと景色を眺めながら歩くことにする。 遠方の雲は低いため、昨日は見れなかった甲斐駒ケ岳の花崗岩が白く光って美しい。その右には八ヶ岳のギザギザの山稜が見える。 山頂からのダイパノラマとともに、これから向かう間ノ岳も美しい山容だ。しばらく山頂でのんびりし、北岳山荘へと岩稜帯を下っていく。 中白根山付近で昼食とし、ラーメンを作って食べる。皆は山荘からの弁当を美味しそうに食べていた。 陽が高くなるにつれて雲が出てきて、せっかくの展望も見えなくなり、間ノ岳の山頂では周りの山々は見えなくなっていた。しかし、上空は晴れているのである。 間ノ岳から下っていくと間もなく雷鳥が出迎えてくれた。2組の雷鳥の親子もおり、なかなか見れない光景に感動した。大きなカメラを持った調査員がおり、雷鳥についての説明を聞く。 岩のガレ場をしばらく下って行くとやっと農鳥小屋に着いた。宿泊の手続きを済ませ、テントを設営する。皆は往復30分かかる水場へと下って行った。 水場から戻ってきたのでビールで乾杯する。雲の切れ間から西農鳥岳の山容が見えてきた。 今夜のメニューは前菜とステーキである。半分を作りウイスキーを飲みながらご馳走をつまむ。やがて食事が終わったメンバーがやってきたので、残りの半分を作り乾杯する。 ウイスキーの半分は今朝ザックに飲ませてしまっていたが、疲れている体にはそれだけでも十分だった。 今日の夕焼けは雲に覆われていて見ることはできなかった。
タイム:肩ノ小屋(7:00)→北岳(8:20〜9:00)→北岳山荘(10:10〜11:00)→中白根山(12:15)→農鳥小屋(15:40)
御来光
御来光に染まる北岳
うっすらと赤くなった富士山
チョウノスケソウ
ハクサンイチゲ
イワベンケイ
甲斐駒ヶ岳と右に八ヶ岳
ミヤマシオガマ
タカネマンテマ
北岳
北岳山頂
山頂から見る富士山
鳳凰三山とオベリスク
北岳山荘と間ノ岳
北岳山荘と北岳
中白根山への登り
間ノ岳山頂にて
ハクサンイチゲ
雷鳥
農鳥小屋テント場から見る西農鳥岳
5日(日) ベンチレーターから顔を出すと富士山が見えている。今日も御来光が見れるようだ。富士山の背景の雲が赤味をおびてくると御来光が始まった。 今日は行程が長いので出発時間を予定より早くメンバーに伝えていたが、更に早く来たので早目に出発する。 今日も快晴で、間ノ岳方面と農鳥方面の山稜がクッキリと見えている。稜線に出ると間ノ岳と北岳のピークが重なり合って素晴しい山容を見せている。 台形状の農鳥岳の山頂には多くの登山者が見えている。 西農鳥岳を過ぎたあたりでバランスがくずれ岩場に尻もちをついた。起き上がると、なんとザックの吊り紐がつけ根から破れてしまったのである。前からほころんでいたが、そのままにして背負ってきたのである。 一瞬あぜんとしたが細引きを出して工夫しながら結び、なんとか荷物を背負えるようにした。 荷物の重量は食料が少なくなったものの15kgはあると思われる。昨年、中国製のザックを購入したのであるが安いだけのことはある。全体的に縫い目が弱いようだ。 農鳥岳で少しゆっくり休み、奈良田を目指して急で長い下りへと入っていく。まだ早い時間ではあるがすでにジリジリと暑い。 樹林帯の下りは急でジグザグに下って行くと、元気に登って来る若者パーティ、そして上からも数パーティが我々を追い越して行った。 我々は下りでも一定のペースを守り、奈良田発電所のバス時刻15時10分に合わせ時間計算しながら下って行く。 広河内に合流すると急坂は終わり、ゆるい傾斜で沢に沿って下って行く。 28年前の冬山合宿では八本歯のコルからここを下っているが、ここから奈良田までは長く、体力があったあの頃でも長く疲れる下りだったここは今でも記憶に残っている。あの頃の青春をかえりみながら、大門沢小屋へと下って行った。 小屋で昼食にする。皆は弁当をもらってきているが、昨夜と今朝の食事は同じものを出され、更に弁当まで同じだとぼやいている。 裕ちゃんから残った弁当をもらって食べると、わたし的には美味しいと思った。私はこのおかずを食べるのが初めてなので、美味しいと感じるのであった。 下りの時間的にはちょうど半分下ったことになる。あと3時間、バスの時刻まではなんとか間に合いそうな時間だ。 沢に架かった吊り橋を3度渡ると沢から離れ、尾根を巻くダラダラとした登山道となる。八丁坂の急な下りを終えると一気に標高が低くなり、水量の多い沢筋が見えてきた。 あと1時間、バスの時間は迫ってきたので、ここからペースを速める。ようやく取水口に着くと間もなく林道に出た。 あと20分程で第一発電所のバス停に着くはずだ。足の裏が痛くなってきているが最後を頑張ると、発電所が見えてきた。皆と握手を交わし労をねぎらい合う。 車は芦安の駐車場にあるので、ここから広河原までバスで行き、芦安行きのバスに乗り換えなければならないのである。
タイム:農鳥小屋(5:20)→農鳥岳(7:30〜50)→大門沢下降点(8:30)→大門沢小屋(11:20〜45)→奈良田第一発電所
(14:55)
御来光
朝の富士山
西農鳥岳
間ノ岳
タカネツメクサ
農鳥岳
左から間ノ岳、北岳、八ヶ岳
農鳥岳
農鳥岳山頂
山頂から見る富士山
大門沢下降点
広河原は最終のバスのため多くの登山者で混雑している。バスの発車までだいぶ待ち芦安へ向かう。 韮崎旭温泉で入浴し、3日間の汗を流すと体重は5kg減っていた。15〜18kg背負って3日間歩いたのであるから無理もない。 甲府に向かい、途中の中華レストランで夕食にする。お客様にはビールを飲んでいただき乾杯する。いつもそうであるが、下界に降りて食べるのはラーメンである。 甲府昭和I.Cで中央道に入ると、間もなく観光帰りの渋滞に巻き込まれた。
6日(月) 眠くなったら無理せず運転を交代とし走り続け、7時頃滝沢に着いた。 お客様と分かれ、家路へと向かう。
3日間とも快晴で、素晴しい山々の景色や夕日と御来光を見て、雷鳥との出会いもあり、素晴しい山行を無事に終えることができた。 裕ちゃんとも昔ながらの息が合い、楽しい旅だった。手伝ってくれたことに感謝する。そして、これからも一緒に登りたいと思う。 お客様にはとても喜んでいただき、ご一緒できたことに感謝する。 荷物を背負って3日間歩いたことは、復帰してから初めてのことであり、体力・気力の面でこれからの自信につながった。 |