剣岳源次郎尾根・奥大日岳
 

源次郎尾根から見た剣岳

2015年5月1日(金)〜6日(水)

 メンバー:佐藤 博、小田中 智
 コース:室堂〜雷鳥沢〜別山乗越〜剣沢〜源次郎尾根〜剣岳〜平蔵のコル〜平蔵谷〜剣沢〜剣御前小舎〜別山〜
     剣御前小舎〜奥大日岳〜みくりが池温泉〜室堂


 佐藤君が行けることになったので、若い頃からの憧れの山「剣岳」に33年ぶりに行くことにした。剣岳は他の山に比べるとランクが上なので、今回が最後かもしれないという思いもあった。
 若い頃は、春の小窓尾根、剣尾根、八ッ峰、源次郎尾根、チンネ、源次郎尾根1峰平蔵谷側上下壁、冬の早月尾根、小窓尾根を登っていたので、やはり今回もバリエーションルートを登りたかった。
 佐藤君とは昔、山想会時代に春の滝谷や冬の小窓尾根を一緒に登っている仲である。しばらく疎遠になっていたが、2年前からコンビを組み始めた。
 剣沢平蔵谷付近にベースを置いて源次郎尾根、体調を見て八ッ峰上半部、ハイキングとして奥大日岳を登り、みくりが池温泉に泊まる計画をした。
 八ッ峰は昔、1日目の14時には上に抜けており、頂上を踏んでベースに戻っていたが、老人クラブ2名の現在はそんなことはできるはずもないので、上半部だけを登れればラッキーと考えている。
 また、奥大日岳方面は初めてなので登ってみたく、雪がある剣岳は最後の思い出になるかもしれないので、最終日に温泉に1泊することにした。
 交通は、仙台から富山への夜行バスが取れなかったので、夜がけの運転はきついと思うが安くあげるため、佐藤君の車で交代運転しながら夜がけで行くことにした。
 昔は何とも思わず登っていた剣岳のバリエーションであったが、老人クラブになった今は不安だらけだった。

1日
 家に寄ってもらって19時前に出発する。私の荷物は登攀用具もザックにくくりつけると30kgとなり、また一つ体力的な不安が増えた。
 後部席は1人が横になって眠れるスペースを作り、2時間ごとに運転を交代して走ることにした。仙台を過ぎて運転交代すると、人の車での運転のため、また一つ不安が増えた。
 今度は新潟で交代し、後部席で寝る。

2日(快晴)
 立山駅に着いたのは3時過ぎで、7時頃まで車で寝る。連休のせいか人の行列で、ケーブルカーから高原バスに乗り換え室堂に入る。登山者よりもスキーヤーの方が多いみたいだ。
 私の荷物は30kgあるので、乗り物の移動だけで疲れた。室堂の外に出ると目の前に、快晴の青空を背景にした白と黒のコントラストの立山が見えている。この景色を見るのは40年ぶりだ。
 ザックが重いので、持ち上げる時に膝に乗せてからでなければ背負えなく、振る反動でよろけるくらいだ。 30kg背負うのも35年ぶりくらいだろうか。はたして雷鳥沢を登りきれるか心配である。
 間もなくみくりが池温泉に着き、帰りの着替えの荷物を預ける。温泉の後方に見える大日岳の山容は格好が良く、最終日に登るのが楽しみだ。
 高台に出ると雷鳥沢のキャンプ場には沢山のテントがあり、雷鳥沢を登る列が続いている。この雷鳥沢にテントを張って、立山や大日岳を眺めているだけでも、今の私たちにとっては満足かもしれないと思う。
 ゆっくりと雷鳥沢を登り始めるが、荷物が重いわりには快調だ。スキーヤーはシールを付けて登っており、登山者の足跡を拾いながら、写真を撮る真似をしては休みやすみしながら登って行く。
 思ったより早く別山乗越に着くと、やっと剣岳が見えた。雪は少なく、壁部分には雪が無く黒光りしており、白と黒の山容は素晴らしく美しい。剣御前小舎で昼食にカップ麺を食べ、剣沢へと下って行く。
 剣岳の右には、白馬岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳の山容が見えている。下るごとに剣岳は大きくなり、源次郎尾根の壁や八ッ峰の下部が見えてきた。迫力ある岩壁群である。
 剣沢キャンプ場には20張ほどのテントがあり、テント脇にはスキーやピッケルがあるので、登山者かスキーヤーかがわかる。剣沢山荘を過ぎると傾斜が強くなり、壁が近づいてきた。
 下からスキーで登ってくる方と話をすると、平蔵谷を登り長次郎谷を滑ってきたという。話をしているとどうやら富山県警のパトロールの方のようだった。
 平蔵谷付近まで来るとデブリの跡があり、源次郎尾根1峰の側壁が谷を覆いかぶさるように立ちふさがり、谷の奥には雪稜で繋がった山頂が見えている。雪は少なく壁は夏みたいな感じに黒々としている。
 平蔵谷を過ぎると1峰取付きのルンゼがある。源次郎尾根下部は初見であるが、資料を見ると確実にこのルンゼである。ルンゼは1峰ピークの下まで続いているはずである。
 今日と明日泊まるベースは、ルンゼから一段下がった剣沢の中に決める。この付近は昔に数泊したことがある場所で、雪崩の心配はない場所なはずである。
 長次郎谷出合には2張のテントが見えている。よく出会いに泊まる気になるもんだと感心する。テントを張り、トイレと冷蔵庫を作り、ビールと生物を冷やす。
 お好み焼きを焼いて、まずはビールで、ベースキャンプ入りを祝う。冷たくて美味しい。陽射しがあるので外で飲んでいても寒くはない。このビールが私のザックを重くしていた犯人かもしれない?
 明日の朝は早いので早めに夕食をすませ、シュラフに潜る。


室堂から見た別山と剣岳


室堂から見た立山三山


奥大日岳と大日岳


雷鳥沢キャンプ場と雷鳥沢


別山乗越から見た真砂岳と立山三山


別山乗越から見た白馬岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳


別山乗越から見た剣岳


剣岳、源次郎尾根、八ッ峰下部


源次郎尾根1峰平蔵谷側上部壁


平蔵谷と剣岳


平蔵谷と剣岳


下ってきた剣沢

タイム:室堂(10:10)→雷鳥沢キャンプ場(10:50)→別山乗越(13:00〜35)→剣沢BC(15:15)


3日(晴れ)
 3時に起床し外に出るとヘットランプの明かりが見えている。食事をして、ハーネスを付けて登り出す。急斜面を少し登るとルンゼの入口である。すでに3パーティほど先行しており、下からも数パーティが登り始めていた。
 朝から気温が高いため雪面は締まっておらず柔らかい。先行者のステップをスローペースでたどって行く。みなさんはピッケルとバイルを刺しながら、我ら老人クラブを追い抜いて行く。
 私の得物はピッケルとストックで、バイルはザックにくくりつけてある。老人クラブはストックが無いと歩けないのである。みなさん、そんなに急いで、どこまで行くんだろう。
 斜面はそんなに急ではないので緊張感はない。5パーティは追い越していったので後ろには姿は見えない。若い頃は追い越すばかりで追い抜かれることはなかったものであるが……。
 稜線が見えてくると岩場がでてきた。2つ目の岩場はいやらしく、先行パーティは4人でザイルを結んでいた。我々はザイルは使わないものの、岩手の山からすると標高が高いためか息がきれる。
 稜線はナイフエッジとなり、間もなく1峰のピークに立った。昔、1峰平蔵谷側の上下壁を登り、夜にここに立ち、長次郎谷側に下っているが全然記憶が無い。
 1峰の下りは急斜面でザイルを使っているパーティから先を譲られノーザイルで下って行くと、中間地点でハイマツ近くで右足が膝上まで潜り前から倒れたが、瞬間的にピックを刺しており、逆さまにはなったが何とか体勢を立て直し事なきを得た。後続の佐藤君はビックリしたと言っていた。
 2峰の斜面を登り、ナイフリッジをたどると懸垂下降点がある。順番待ちのためしばらく待つ。ガイドパーティはスリングを残置して側面を下降していった。
 前のパーティの動作がトロく、別に急いでいるわけでもないが、イライラしながら待つ。我々は50mザイル1本で下降した。
 コルからは雪と岩場のミックスとなり、先行パーティの後ろにくっつきながら、後ろの景色を見るため振りかえり振り返り、雪の斜面をゆっくり登って行く。
 頂上付近の雪庇状からスキーで2人が滑ってきた。雪は柔らかいもののかなりの急斜面を、ゆっくりではあるが滑ってきた。スキーの名手の佐藤君もビックリである。
 急斜面を乗り越すと山頂の祠が見えた。33年ぶりの剣岳山頂だ。私の憧れの山の山頂である。昔のことはあまり覚えていないが感動、感動だ。
 360度のパノラマが広がっている。白馬岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳、槍ヶ岳、白山と百名山が見えている。山頂で食べるラーメンライスも最高で、全てが最高だ。
 誰かが明日は午後から雨だと言っている。明日は八ッ峰であるが、今日ここに来れただけで満足だ。下りは平蔵のコルから平蔵谷を尻滑りである。
 名残惜しいがそろそろ下らなければならない。雪がある時期に、ここには来れないかもしれないと思うと悲しいが、老人クラブではいたしかたない。
 下りの雪面は柔らかすぎで返って恐い。岩場になると雪が全くないのでアイゼンを外して下る。カニのヨコバイ、タテバイ。すっかり岩も乾いており、新しくなったステンレスの鎖が続いている。
 平蔵のコルでピッケルを出し、私は尻滑り用のカッパの下を履く。雪はグサグサなのであまりスピードは出ないがかえって丁度よい。立ち止まりながらドンドン滑って行く。楽しくてたまらない。
 平蔵谷1峰平蔵谷側中央ルンゼから上部壁を、昔この連休に登っているが、その時は中央ルンゼはすっかり雪が詰まっていたが、今は全然雪が無い。今年はこんなにも雪が少ないのだ。これも異常気象のせいなのだろうか?
 だいぶ下って行くと水の音が聞こえるので、炊事用の水を汲み、しつこくも尻滑りで下る。上から一気に長い距離を滑ったのは初めてである。なんかこれが今日のメインだったような気もする。
 だんだん雲が多くなってきた。まだ14時前だがベースに着いた。テントに入り昼寝をする。
 明日は雨なので八ッ峰は止めることにし、剣御前小屋に泊まることにする。残っている食料から美味しいものをピックアップし、今夜は豪勢?な夕食とする。しかしながら、今日からは乾燥食品が主体である。
 ビールで憧れの山の登頂記念を祝して乾杯し、シチューと焼きベーコンをつまみに、剣沢の雪割りウイスキーを飲みながら山を語る。


源次郎尾根 出発の朝


取り付きのルンゼ


ルンゼの中間部


1峰への岩稜帯


八ッ峰5峰から上部


1峰から見る八ッ峰下部と五竜岳、鹿島槍ヶ岳


2峰へのナイフリッジと剣岳


剣沢と別山、富士ノ折立


1峰から2峰コルへの下り斜面


2峰と山頂、八ッ峰ノ頭


2峰コルから山頂


懸垂下降点へ向かう先行パーティ


コルから見上げた2峰の岩壁


2峰
 

コルから山頂への登り


登ってきた源次郎尾根


山頂にて


山頂にて


山頂から見る剣沢と立山三山


山頂


カニのタテバイ付近


平蔵のコルから見上げた岩場


コルからの尻滑り

タイム:ベース(4:50)→1峰(7:55)→2峰コル(10:00)→剣岳(11:15〜45)→平蔵のコル(12:30)→ベース(13:35)


4日(曇りのち雨)
 3時過ぎ外がガヤガヤしているのでテントから顔を出すと、近くの小さい沢状を登りながらルートを探しているようだ。どこを登るのかを訊ねると、八ッ峰を登るという。ここを長次郎谷だと思っているらしい。隣に大きい長次郎谷があるというのにだ。暗くて分からなかったと言いながら長次郎谷へと入って行った。
 しばらくするとまた外でガヤガヤしている。さっき間違った所を別のパーティが登っている。どこに行くのかを尋ねると源次郎尾根取付きのルンゼを登ると言う。さっきのトレースを見てここだと思っているらしい。
 もっと手前だと教えると登って行った。その直後、ゴーという雪崩の音がした。雪崩はルンゼルートから発生し、テントから見える地点まで落ちていた。それを見ながらまだ登って行ったが、また別の所を登って行こうとしている。
 さっきといい、今といい、取付きを探せないで登ろうとしているなんて、バリエーションルートを登る資格がないように思うのだが。気温が高く、早朝に雪崩が起きているのに、そこを登って行くなんて信じられない。
 ガヤガヤと雪崩ですっかり起こされてしまったので、朝食の用意をする。天気は曇りでガスがすぐ上のラインにあり、今にも雨が降り出しそうな天気だ。
 テントを撤収し、剣沢を登り始める。雪崩が起きたルンゼは、中間部付近が崩れたと見え跡が残っていた。平蔵谷からは2人が下ってくる姿が見えていた。
 剣沢の登り返しは思ったより体にこたえた。私のザックは装備が入っているので全然軽くなっていないのだ。低く垂れ下がっていた雲は登るにしたがって徐々に上がってきた。
 キャンプ場の登りはきつく、立ち止まりながらゆっくりと登って行く。キャンプ場を過ぎると赤旗が立っており、道しるべに従ってしばらく登って行くと、雨が降り出し風が強くなってきた。
 間もなく風はますます強くなり、重い荷物を背負った私でさえよろける風だ。風速30m程の強風だ。ストックを幅広く持ちながら登って行くと小屋が見えてきた。今回はカッパを持参しなかったが、新しいヤッケ上下は濡れを防いでくれた。
 今日は剣御前小舎に泊まることにし中に入る。受付の対応が丁寧で好感を持てる小屋だ。乾燥室に荷物を置き、食堂でビールを飲み始める。時間はまだ13時を過ぎたばかりである。
 向かいに座った愛知県の男女2人と話しながら、2本目のビールを開け、本格的に飲み始める。外は風雨がますます強くなっているようだ。結局、夕食を食べながらも飲み、食堂から場所を移して宴会は続いた。


ルンゼから雪崩た跡


剣沢キャンプ場と雲がかかった剣岳

タイム:剣沢(7:55)→剣御前小舎(12:10)


5日(晴れ)
 6時頃起きて、朝食をいただく。ザックには食料がたくさん残っているが、面倒くさいので食事付きで宿泊していた。今日は奥大日岳を登るだけなので、のんびりと身支度をして外に出る。
 昨夜までの雨から今朝は冷え込んだため、雪はカチンカチンに凍っている。上空には雲が多いが低い所には青空が広がっており、キリッとした朝である。昨日まで暖かい朝であったが、今朝は気持ちがいい朝だ。
 佐藤君は立山方面に行ったことがないというので、先に別山を往復することにする。登山道は出ていて、アイゼンを石にきしませながら登って行く。昨日までの荷物がないので、体が宙に浮いているみたいだ。
 稜線から眺める白と黒の剣岳はドッシリして風格がある。一昨日はあの頂に立ったと思うと、また訪れたいという気持ちがこみ上げてきた。山頂に立てなくても、眺めるだけでもいいのだ。
 所々にある雪は硬く、アイゼンの歯が気持ちよく食い込む。間もなく祠がある別山に着いた。ここから眺める剣岳はよりいっそう凛として美しい。台形状に連なる立山三山、これから向かう奥大日岳はすぐ目の前にそびえている。来てよかった。その場で予定を変更しながら、好きなように歩く山登りほど楽しいものはない。
 小舎に向かって下って行くと登って来た方に、雷鳥がいることを教えてもらう。言われないと分からないくらいに、白から茶色に羽変りが始まっていた。呼ぶがなかなかこっちを向いてはくれなかった。
小舎に戻ってコーヒーを飲んでいると、剣沢から登山者やスキーヤーが登ってきた。剣沢キャンプ場にテントを張っていたパーティであろう。
 新室堂乗越の稜線に向かってのトラバースはステップがあるが、カチンカチンに硬くなっている。そんな所をスキーで降りるパーティがいた。兼用靴を履いているにしても、スキー技術の程がうかがえる。
 10時頃になると硬かった雪も柔らかくなってきた。室堂乗越付近でザックを置き、サブザックに最小限の物を2人分入れると、佐藤君が背負ってくれた。私は空身である。
 ここから見る奥大日岳はピラミット型の山容で、そこまでの稜線には雪庇が張り出していて、なかなか格好が良い山だ。しかし、それだけに急な登りが見えている。
 空身ではあるが登ると結構きつい。私の体はだいぶ疲れていた。雪の斜面をゆっくりゆっくり登って行く。振りかえると剣岳や立山が励ましてくれた。
 考えることは帰りの尻滑りのことだ。急な登りがあるということは、尻滑りができるということでもある。ピークを2つ越えるといよいよ大きなピークの登りとなる。山頂はその奥のようだ。
 急な登りを越えるとなだらかな稜線が奥大日岳へと続いているが、大日谷側には大きな雪庇が張り出している。その向こうには大日岳がそびえ、やはり雪庇の稜線が続いていた。
 やっと山頂に着くと先客がおり、写真の撮り合いっこをする。ここから眺める剣岳は、前剣の稜線、早月尾根とギザギザの稜線が美しい。
 上空には雲はなく所々には薄い雲海が広がっている。日差しは強く暑い。いよいよ尻滑りだ。2ヵ所を快適に滑り、ザックデポ地に着いた。
 きれいな雪?を食器に入れ、シロップと練乳を入れてカキ氷だ。冷たくて甘くて美味しい。今回の食料でこれが一番うまかったと佐藤君が言ったほどだ。
 雷鳥沢キャンプ場に下り、みくりが池温泉に登り返せば今日の仕事は終了だ。しかし、その登り返しが辛かった。佐藤君にザイルを預けて幾分ザックが軽くなってはいるが、スピードがでない。
 ようやく温泉に着き、自販機で買ったジュースがとてもうまかった。8人部屋の2段ベットの部屋に入り、まずは風呂に行く。
 顔や頭が日焼けで火照っているせいか、風呂場は暑すぎてゆっくり入っていれなかった。外に出て体を冷やすと夕食の時間になった。
 決められたテーブルに座り、まずは生ビールで乾杯する。別注文の料理とご馳走を食べながらのビールは、風呂あがりと達成感が相まって美味しい。
 私も今年60歳になった。こんな贅沢な山登りも、たまには良いなと思うようになってきた。とにかく美味しくて、充実感いっぱいだ。
 食事が終ると丁度夕暮れの時間になった。みんなカメラを持って外に出ていた。日が沈むと外はとても寒く、間もなく中大日岳に陽が沈み始めた。
 下の雪渓がオレンジ色に染まり、雲もオレンジ色に染まっている。とにかく素敵だ。すっかり日が沈むまで眺めていたかったが、ダウンジャケットを着ていないので寒くて見ていられなかった。
 寒くてホロ酔いも醒めてしまったが、部屋に行き布団に入って寝る。


朝の剣岳


別山から見る真砂岳、立山三山


別山にて立山をバックに


剣岳をバックに

別山尾根と白馬岳 


羽変わりを始めた雷鳥


奥大日岳と大日岳


奥大日岳へ続く稜線


最後の大きなピーク


稜線の大きな雪庇


奥大日岳の雪庇と大日岳


山頂と大日岳


剣岳をバックに


剣岳
 

大きく張り出した雪庇


泊まったみくりが池温泉


中大日岳に沈む夕日

タイム:剣御前小舎(7:30)→別山(8:05)→剣御前小舎(8:50)→奥大日岳(11:55)→みくりが池温泉(15:40)


6日(晴れ)
 6時からの朝食バイキングをいただき、室堂へ向かう。朝一番のバスからケーブルカーへと乗り継ぎ、立山駅に着く。すでに日差しは強く暑い。
 真っすぐ帰ってもつまらないので、新潟手前の寺泊の魚のアメ横で昼食を食べて帰ることにする。朝食を食べ過ぎたため腹が苦しい。山から下りると体重が5kg減っていたが、この分ではすぐに戻りそうだ。
 魚のアメ横は、連休最終日とあって大勢の人が出ていたが、市場2階の食堂は運よく待ち時間がなかった。また腹が苦しくなってしまった。もう5kg増えてしまったかもしれない。
2時間ごとに運転を交代し、19時過ぎに家に着いた。


朝日を浴び始めた奥大日岳と大日岳


朝の別山と剣岳早月尾根

 「憧れの山 剣岳」その頂に32年ぶりに立てた。それもバリエーションルートを登ってだ。残念ながら八ッ峰は天気が悪く登れなかったが、もともとオマケ程度にしか考えていなかったので、源次郎尾根を登って頂上に立てただけで満足である。
 初めて登った奥大日岳は、あんなに素晴らしい山だと思ってもいなかったので、今回登って大満足である。
 剣御前小舎は泊まる予定ではなかったが、雨のため泊まることになったが、受付の方の対応が良く、愛知県の方との飲み語りは楽しく、いい山小屋泊だった。
 みくりが池温泉は期待通りの温泉で、料理もおいしく、今度は家族と訪れてみたい。
 全てが素晴らしく、できれば再び剣岳の頂に立ちたいという欲も出てきた。時期的にはやはり春であることは言うまでもない。
 この登山のパートナーになってくれた佐藤君に感謝したい。
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