2017年1月7日(土)〜9日(月)
メンバー:下野さん、佐藤 博、藤原 豊、小田中 智
コース:七滝登山口〜一服峠〜屏風尾根〜赤倉岳〜1,600m付近(泊)〜3峰〜岩手山山頂〜不動平〜鬼ヶ城〜
1,600m付近(泊)〜大地獄谷〜一服峠〜七滝登山口
屏風尾根は、岩手山山頂の北西にある平笠不動避難小屋から西北西に伸びている岩稜の尾根で、尾根の中間にある赤倉岳(1,543m)は南面が岩壁帯となっている。
稜線上に大きな岩峰は3つあり、平笠不動に1峰、赤倉岳に向かって2峰、3峰があり、3峰は高さが30mある大きな岩峰である。尾根は赤倉岳からは七滝コースに沿うように伸び、一服峠付近で尾根が終わる。
登山道は平笠不動から3峰まではあるがそれ以降はなく、夏はハイマツと深い竹藪に覆われているため、登山の対象は雪がある冬から残雪期となり、登下降する登山者は希にしかいない。
赤倉岳から見る岩手山の姿は美しく、お花畑を挟んで対峙する鬼ヶ城のギザギザの稜線は素晴らしい。こんな景色を見ながらの屏風尾根登下降は、魅力とロマンがある尾根だ。
お客様の他に友人の佐藤君、藤原君が参加することになり、年初めの登山としても楽しみである。
7日(曇り)
5時に下野さんを迎え佐藤君を拾って、集合場所の七滝登山口に向かう。今年に入ってから街には雪が積もっておらず、屏風尾根の積雪状態が心配だ。雪が少ないと藪こぎがしんどいと思われる。
6時半近くになって藤原君がやってきた。彼とは昔のザイルパートナーで、明星P6南壁、奥鐘山西壁、穂高屏風岩〜前穂東壁を一緒に登っている。しかし、時とともに離れ、今回一緒に登るのは何十年かぶりである。
登山道にはトレースがあり、七滝へのスノーハイクに訪れる人たちのものであろう。積雪は10cm程であり、今年は昨年に比べ更に少ない。
七滝から屏風尾根へ真っ直ぐ登る予定であったが、雪が少なく笹竹が出ているので尾根の末端から登ることにする。
トレースがある夏道を登って行くと一服峠に出る。ここが屏風尾根の末端で、雪が少ないためブッシュがこまいがここから登りだす。
間もなくトレースがあった。この場所にトレースがあるのは意外だったが、足跡から一昨日のものと思われた。スノーシューで笹を踏みながら歩くので大して潜ることもなく、ありがたくトレースをたどる。トレースは下りの跡もあったので、同ルートを下山したものと思われる。
樹林帯をしばらく登ると右側が開けてきて黒倉山が見えてきた。東側は150m程切れ落ちた急峻な岩壁帯で、40年前に冬期初冬している東壁だ。
こんな形で壁を見れるのは赤倉岳付近からでなければ見れなく、懐かしさもあり東稜ルートを目で追ってみる。
間もなく前方に赤倉岳が見えてきた。ここから岩場帯となり歩きやすくなる。赤倉岳を過ぎると先行者のトレースはなく、赤倉岳から下山したようだ。
1,600mピークの右は100m程切れ落ちた南壁で、この壁も40年前に登ってここに立った記憶がよみがえってきた。
青空が見えていた空は急に雲が低くなり風も出てきた。風に乗って時おり東八幡平スキー場の音楽が聞こえてくる。
尾根は起伏があるようになり、岩場は左から巻くようにして越えていき、体力の消耗とともに時間ばかりが過ぎていった。
今日の宿泊地は平笠不動避難小屋まで行ければと思っていたが、まだ3峰までも来ておらず、この先テン場は無かったように思うので、今休んでいる岩陰にテントを張ることにする。
ちょうどテント1張り分のスペースがあり、岩陰のため風も避けれるので最良の場所だ。最近中古で購入した4人用テントのお披露目である。
今回は、テントとスコップ以外は各自の装備にしたので、各自での夕食の準備だ。まずはウイスキーを回し飲みする。宿泊地に着いた時、いつもこれをするのであるが、たまらなく美味しい。
自分の食事をみんなで分け合って食べるが、人それぞれ献立が違うので色んなものが食べれて美味しい。日本酒で乾杯、ウイスキーで乾杯し、久しぶりに合う藤原君との会話が楽しいひと時だった。
夜中に外に出ると星がまたたいており、八幡平市の夜景が美しかった。
七滝登山口
黒倉山
黒倉山東壁 登攀ルートは中央のルンゼの右の岩稜
赤倉岳
赤倉岳南壁のピーク
黒倉山と大地獄谷
起伏のある尾根を行く
窓の下がテン場
タイム:七滝登山口(6:50)→一服峠(9:00)→赤倉岳(12:20)→1,600m付近(15:20)
8日(快晴)
天気予報通りの快晴である。日はすでに昇っており、山頂から光り輝く太陽が眩しい。秋田駒と和賀連峰の間には鳥海山が裾野まで見えている。素晴らしい天気だ。
堂々とした3峰の岩峰が近づいて来ると、背後には八甲田連峰と岩木山が裾野まで見えている。岩木山を裾野まで見たのは初めてのことかもしれない。それほどまでに澄み渡った快晴の天気である。
3峰の急登を終えると2峰、1峰が見え、真っ白い山頂方面が見えている。雪は多くはないが美しい光景だ。
スノーシューはハイマツ帯も潜ることはなく、ミニ樹氷を見つめながら真っ直ぐ山頂を目指す。外輪には登山者の姿も見えている。
アイゼンに履き替えて急な斜面をゆっくり登っていく。外輪に出ると風もなく、真冬とは思えないくらいな春の陽気だ。登山者の姿もたくさん見える。
快晴無風で全方位の大パノラマ、こんな天気と展望は初めてのような気がする。八甲田連峰、岩木山、白神岳、鳥海山、栗駒山と遠方の山々が一望だ。
昼寝ができる陽気であるが、もう昼を過ぎている。今日は鬼ヶ城を越えなければならないが、重い腰は中々上がらない。
鬼ヶ城から眺める山頂の姿も素敵だ。ここからはトレースもなくまた我々だけの世界だ。雪は少ないながらも締まっているので潜らない。
ギザギザの鬼ヶ城の岩場から眺める岩手山は真っ白く、振り返る岩稜の姿も素敵で、白と黒のコントラストがとても美しい。
チムニー状の岩場を通過すると鬼ヶ城の悪場は終わり、数箇所の登り返しがあるのみだ。しかし、のんびりし過ぎたため時間が押しており、宿泊予定地の切通しはまだ先である。
本峰の頭からフェースの頭を過ぎるとラッセルとなり、スノーシューに履き替える。私のスノーシューが調子悪く、皆に追いついた時には風が当らない樹林帯の入口にテン場を決め整地していた。
テントに入るとちょうど暗くなり、ウイスキーを回し飲みする。皆さんの献立は何だろうか。ちなみに私の献立は、酢豚、焼き魚、野菜炒め、野菜サラダである。銘々に支度しながら食べて飲み語らった。
昨夜は少し飲み過ぎて今夜の分は少なくなってしまったが、酒がなくなるとシュラフに潜った。
山頂と3峰
鳥海山と高倉山
3峰と山頂
3峰の岩峰
鬼ヶ城の稜線
屏風尾根を振り返る
秋田駒ヶ岳と乳頭山
1峰と山頂
樹氷と山頂
樹氷群
樹氷と山頂
平笠不動避難小屋と1峰
鬼ヶ城と秋田駒ヶ岳、和賀連峰
山頂にて
鬼ヶ城と和賀連峰
鬼ヶ城の全容と秋田駒ヶ岳
鬼ヶ城から見る山頂
屏風尾根の全容
鬼ヶ城から見る山頂
鬼ヶ城を振り返る
テン場から見る鬼ヶ城と山頂
タイム:テン場(8:25)→3峰(9:50)→岩手山山頂(12:20〜45)→鬼ヶ城分岐(13:40)→1,600m付近(16:20)
9日(風雪のち曇り)
昨夜から小雪が降っていたが、10cm程の積雪になっていた。切通しからの下りは少しラッセルがあったものの、大地獄谷への下りは10cm程度の積雪しかなく、かえって石があって歩きづらいほどだ。慎重に下り焼切沢を渡ると危険箇所はとりあえず終了する。
黒倉山東壁はすぐ上に見え圧巻だ。佐保沢の湯花地帯を渡ると緩やかな下りとなり、3日間の疲れもあり休みがちになる。
七滝にはクロカンの人達が滝見物に来ており、道は舗装道路のごとく凹凸のない道がついていた。
一生に一度みたいな天気に恵まれ、冬の屏風尾根と鬼ヶ城を楽しく歩けたのは、年初めの登山としては幸先の良いスタートをきれた。
古い仲間と再開できたことは、老い先短い登山人生において、仲間が増えたことは嬉しい限りだ。仲間に甘えたくさんラッセルしてもらった。
テン場にて
鬼ヶ城は雲の中
黒倉山
大地獄谷
タイム:テン場(7:45)→焼切沢徒渉点(9:40)→一服峠(11:10)→登山口(12:30) |