立山三山〜剱岳 ガイド登山
 


2017年5月3日(水)〜8日(月)
 メンバー:下野さん、小田中 智
コース:室堂〜立山三山〜別山〜剣御前〜剱沢キャンプ場(BC)、
BC〜剱沢〜長次郎谷〜剱岳〜平蔵のコル〜平蔵谷〜剱沢〜BC
剣沢キャンプ場〜剣御前〜雷鳥沢〜室堂


 連休に剱岳登山の依頼があったので、ノーマルなコースとして、立山三山の縦走、別山北尾根の雪稜帯、長次郎谷から剱岳を登頂して平蔵谷を下るコースを選んだ。
 私にとって春の剱岳は一番好きな山である。白と黒のコントラストが美しく、なんといってもスケールが大きく緊張感がたまらない。

3日(晴れ)
 私の車で矢巾を6時前に出発する。東北道も仙台を過ぎると連休後半のため混み始め、上り車線のサービスエリアは順番待ちで並んでいた。
 磐越道から北陸道に入り、運転を交代しながら走っていく。立山駅前の駐車場は満杯であったが、運良く空きスペースを見つけ車を駐車する。
 宿はロープウエイ駅のすぐ隣にある千寿荘だ。風呂に入り明日からの好転を祈念して乾杯する。

4日(快晴)
 チケットを購入するため、4時半から切符売り場に並ぶ。すでに長蛇の列で、宿で朝食を食べるため6時20分のチケットを購入する。
 美女平で高原バスに乗り換え室堂に向かう。ターミナルから外に出ると、すでに日は高く太陽に照らされた立山三山が青空の中に輝いている。
 一ノ越でアイゼンを付け、雄山に立つと別山の奥に頭だけの剱岳が見えた。右側には五竜岳、鹿島槍ヶ岳、針木岳の稜線がつながり素晴らしい眺めだ。
 山々を眺めていると、近くを美しい雷鳥が横切っていった。人慣れしているせいかゆっくり歩いて行ったのでカメラで追いかける。
 ザックの重量は20kg弱なので楽勝であったが、時間が経つごとに重く感じられるようになってきた。風はあまりないため日に照らされて暑いくらいだ。景色を眺めながらのんびり歩く。
 真砂岳から大きく下り、別山への登りは一番大きいギャップであるが、これを登りきるとあとは下るだけだ。
 目の前には剱岳の全容が大きく素晴らしい眺めだ。一昨年の時から比べると今年は雪が多く、黒い岩の部分よりも雪の白い部分が多い。今年は遅くまで雪が降っていたせいなのだろう。振り返ると歩いてきた立山三山もいい姿だ。
 剣御前小屋でビールを買い、剣沢キャンプ場へと下っていく。テントは10張りもあるだろうか?思ったよりも少ない数だ。テントを張った跡を整地してエスパースを張る。
 明日は天が良い予報で明後日は悪い予報なので、明日は別山北尾根の予定であったが、繰り上げて明日長次郎谷から頂上に登ることにする。
 夕食はビーフシチューと野菜サラダだ。ビールで乾杯し明日からの好天を願う。


室堂からの立山三山


針ノ木岳と蓮華岳


雄山


雷鳥


富士ノ折立


富士ノ折立、別山、剱岳、毛勝山


別山にて


別山北尾根と剱岳


真砂岳と立山三山


剱岳と白馬岳


別山北尾根、五竜岳、唐松岳

タイム:室堂(8:00)→雄山(10:50)→別山(13:35)→剣沢キャンプ場(14:55)


5日(晴れ)
 4時に起床し朝食を済ませ、外に出ると剱岳がすっかり見えており、今日も天気が良さそうだ。
 剣沢を下っていくと日が当たり始め、踏み跡以外のところは潜り始めていた。ずいぶん気温が高いようだ。
 平蔵谷出合はこまい落雪の跡がたくさん転がっていた。長次郎谷出合は更に落雪の跡が多い。岩場や急斜面の雪がまだ落ちきっていないため、日中になると小さいブロックが落ちているみたいだ。
 先行者のトレースがあるのでたどるが外れると、この時間で早くもくるぶしまで潜った。時間はまだ早いのだが、後続パーティの姿はない。
 熊の岩が見えると先行する2パーティの姿が見えた。八ッ峰は雪が多くどこを登っても尾根に上がれる雰囲気で、上半部はベッタリ雪が付いているため楽に登れそうだが、雪が柔らかいため滑落の危険性は高いと思う。
 昨日はヘリコプターが飛んでいたが、昨日御前小屋で聞くとやはり事故があったみたいだ。熊の岩付近から傾斜が少し強くなってきたが、まだザイルを結ぶほどでもない。
 長次郎のコルが見えているのだがなかなか近づいてこない。コルに出ると八ッ峰の頭から4人パーティの姿が見えた。
 ここから傾斜が強くなるのでザイルを結びコンティニアスで歩き、傾斜強くなったところからスタカットにする。
 山頂には誰もいなくお宮も殆んど埋まっていた。間もなく先ほどのパーティが来て、写真を撮りあいっこする。北方稜線から来たと言い、ずいぶん感激していた。
 山頂からのパノラマは素晴らしく、遠く白馬岳、槍ヶ岳が見えた。もっともっとゆっくりしていたかったが、平蔵谷出合からキャンプ場への登り返しが長いので下り始める。
 岩場はスタカットでザイルを伸ばし確実に下っていく。平蔵のコルからは平蔵谷を尻滑りで下るので、アイゼンを外し古いカッパのズボンを履く。
 出だしの斜面は少し固めなので少し下ってから滑り始める。雪はグサグサで歩くと膝まで潜るのだが、滑るには制動が効くのでちょうどよい。これが春山の楽しみの一つでもある。
 剣沢を登り返していると山岳救助隊の方が下ってきて、八ッ峰で事故があったらしいと言って下っていった。
 下野さんは御前小屋に買い物に行くというので、ビールとコーラを頼んだ。私はテントで水作りをする。
 戻ってくると明日は天気が悪くなるというので、別山北尾根は止めにして下山することにする。明日の夜の肉も食べてしまうことにし、夕食はジンギスカン、ホルモン焼き、野菜サラダと豪華版である。


剱岳と源次郎尾根


平蔵谷


長次郎谷


長次郎のコル


コルからの急斜面


剱岳山頂


山頂にて


岩場の下り


前剣、剣沢、別山北尾根、立山三山


前剣


平蔵のコルを振り返る


源次郎尾根と八ッ峰


前剣と剱岳、源次郎尾根

タイム:BC(5:30)→長次郎出合(6:40)→長次郎のコル(10:40)→剱岳(11:30)→平蔵のコル(13:15)→BC(16:00)


6日(風雨)
 朝食を食べていると山岳救助隊の方が来て、天気が悪くなるので早めに下山するようにとテントを廻っていた。
間もなく風とともに雨が降ってきた。このまま下山するとずぶ濡れになるので、今日は停滞して明日下山することにする。明日は天気が良い予報である。
 雨と風は激しくなり、テントがバタバタと煽られている。今回はこういうこともあろうかと文庫本を持ってきていたので、シュラフに入って夕方まで読書をしていた。家にいると本は中々読まないので、充実した読書の日となった。
 結局雨は止むことはなく、夕方からますます強い風雨となった。

7日(強風の快晴)
 雨は止んだが風はいっこうに収まらない。荷物を整理して外に出ると晴れてはいるが風はかなり強く、雪面はカチンカチンだ。
 テント内が空になると危うくテントが突風に飛ばされそうになり、ペグが効いていたがフレームが曲がった。テントの上にしゃがんでポールを外すと折れたポールもあった。素早く丸めてザックに押し込んだ。家に帰ってみるとテントの入り口付近の生地が1m程裂けていた。
 風は常時強いわけでもないが風速は20mほどあり雪面はカチンカチンなので、アイゼンを蹴り込み、ピッケルを強くさし、ストックを強く突き、慎重にゆっくりと登っていった。今回の中で一番緊張した場所だったが、朝見た剱岳は限りなく美しかった。
 剣御前小屋で雪が柔くなるまで休み、雷鳥沢へと下っていった。
 室堂は月曜日にも関わらずウンザリするほどの人だかりだった。ずいぶん中国人が多い。立山で昼食を食べ、今夜泊まる朝日町に向かう。
 宿は朝日町のヒスイ海岸のそばにある「宮崎鉱泉別館」で、この付近名物のたら汁と魚が美味しかった。料金も税別で8,000円と安い割には料理が良く、お勧めの宿だ。


雨の後は澄んでいてより美しい


奥大日岳

タイム:キャンプ場(7:20)→剣御前小屋(8:10〜9:15)→キャンプ場(11:35)


8日(晴れ)
 ヒスイ海岸に行くと投げ釣をしている方々がおり、何が釣れるかと聞くと、ジグでブリ狙いだという。だいぶ前には海釣にハマっていた時期もあったので、年でガイド業ができなくなったら海釣もいいかなと思った。
 交替しながら運転をするが、風が強く100キロ以上スピードを出すとハンドルがとられてしまう。
 16時ころ家に着き解散する。下野さんは宮古まで帰らねばならなく、これから2時間ほどかかる。
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