岩手山 御神坂 敗退
 

大滝展望台から上部稜線を望む

2013年12月13日(金)〜15日(日) メンバー:梅田 正弘、小田中 智

 コース:御神坂駐車場手前ゲート〜わらじ脱ぎ場〜大滝展望台〜御神坂駐車場〜ゲートの車

 ようやく梅ちゃんと休みが合ったので、ひさしぶりに2人での山行をすることになった。
 しかし、日曜日は盛岡山想会の祝賀会があるため、昼過ぎまでには下山しなければならない。やはり一番近いのは岩手山なので、御神坂コースから不動平に泊まって、翌日下山することにした。
 15日の日曜日は、昨年の盛岡山想会創立80年記念誌が岳人の優秀賞を受賞したため、受賞祝賀会が夕方から開催されることになっていた。

13日 雪
 14日の朝は早いので御神坂駐車場に泊まり、梅ちゃんと朝に待ち合わせて出発することにする。矢巾では朝から雪で20cm程の積雪となった。
 夕方の暗くなる頃に家を出て、御神坂へ向かう。小岩井農場ではイルミネーションが輝き、美しい夜景が見られた。
 御神坂の駐車場は30cm程の雪が積もり、除雪をしていないので入れない。道路を900m程戻るとゲート脇に駐車スペースがあったので、車をそこに止め泊まることにする。
 暖かい車の中で一人寂しく晩酌をし、酔った頃シュラフにもぐる。

14日 晴れ
 朝5時に梅ちゃんに起こされる。カップラーメンを食べ、明るくなるのを待ちながら準備を整える。このゲートは登山口へと林道が続いているので、この林道を歩き登山口へ向かうことにする。
 積雪は40cm程でスノーシューを着けても30cm近くもぐった。木々の間から朝日がさすとパッと明るくなり、新雪が輝いた。今日は天気が良いが、上は風が強い気圧配置で、明日はさらに風が強くなる見込みである。
 先行する梅ちゃんは1時間ほどトップでラッセルした。さすが体力バツグンの梅ちゃんだ。林道から登山道に入ると雪は重くなり、30分交代でラッセルを代わった。一緒の休憩は取らず、ラッセルの交代時に各自で小休止し、3時間ほどしてようやく一緒に休んだ。
 時間は経てどもなかなか先へは進まず、やはりこのコースは展望台までスキーを使ったほうがはるかに早い。今日は、今シーズン初のスノーシューラッセル訓練になってしまった。
 隣の尾根には岩手高原スキー場があるため、ときおり風に流れてスキー場の音楽が聞こえてくる。ようやくわらじ脱ぎ場に着いた時は11時を過ぎていた。
 登りがやや急になってくると、前足を雪面の上に上げるのが辛くなってきた。もう6時間もラッセルしているが、いまだに大滝展望台には着かない。展望台を過ぎるとテント場は無いため、行くか戻るかのどちらかになる。時間的にはとうてい上には行けない時間である。
 梅ちゃんはスコップを出して足元の雪をかき出しながら歩いた。私はストックを横に持って雪をかき下ろして登った。尾根状になった所からザックを置いて、展望台へと向かった。
 身が軽くなってもラッセルは10分と持たなかった。もう、7時間以上もラッセルしているので、2人の体力は限界に近くなっていた。
 ようやく展望台に立つと、上部の稜線が太陽と青空に輝き、鬼ヶ城の稜線は風雪にかすんでいた。8時間かかってやっと展望台であるが、この景色は8時間のラッセルに値する美しさである。
 振り返ると雫石町の街が雲にかすみ、御神坂沢を覗くと凍った大滝が威圧的な氷柱となっている。
 大滝は落差が50mあり、傾斜は90度に近い。ここから見た限りでは氷が上まで続いているように見え、高さがあるためアイスクライミングは価値があると思われる。しかし、取り付きまでは遠く、この展望台から下行するのが良いと思われるが、日帰りでは無理である。
 明日は早めに帰らなければならないため、今山行の最高地点はここまでとなった。
 ここは風があるためテン場には向かなく、下り始めると1時間もかかって登った所を5分で下りた。わらじ脱ぎ場の一段下に良さそうな所があったので、テン場と決め整地する。
 日が当たらなくなってくると寒くなってきた。ゴアのテントに入り、コンロに火をつけるとすぐに暖かくなった。荷物を整理して、時間は早いがビールで乾杯する。
 今夜のメニューは、サラダとホルモンキムチ鍋である。梅ちゃんとの山行は、5月の五竜キレット敗退以来であり、今日も一日ラッセルを共にし、ホットワインを飲みながら山の話に花が咲く。
 暗くなると下方には雫石の街の明かりが輝き始め、雪がサラサラと降り始めた。ワインが無くなるとホットウイスキーとなり、これがあるから山は楽しいのである。

ゲートから林道の歩き出し
ゲートから林道の歩き出し

木々の間から朝日がこぼれる
木々の間から朝日がこぼれる

まだ下であるが、ラッセルは膝近くとなる
まだ下であるが、ラッセルは膝近くとなる

膝上のラッセルは足を上げるのがキツイ
膝上のラッセルは足を上げるのがキツイ

空身で展望台を目指す
空身で展望台を目指す

展望台からの景色を眺める梅ちゃん
展望台からの景色を眺める梅ちゃん

頂いた衣類を見せびらかす小田中
頂いた衣類を見せびらかす小田中

50mの落差がある御神坂沢大滝
50mの落差がある御神坂沢大滝

下方に望む雫石町
下方に望む雫石町

タイム:ゲート(6:15)→わらじ脱ぎ場(11:10)→大滝展望台(14:05〜10)→テント場(14:40)


15日 晴れ
 6時半過ぎ起床。昨夜は爆風が吹き荒れていたが、このテン場は風が当たらなく、我ながら場所の選定は完璧だった。トイレに出るたびに、酔ってか滑ってか分からないがコケた。
 ラーメンもちの朝食とコーヒーを飲み、パッキングを始める。今日は下るだけなのでのんびりである。新雪は10cm程積もり、昨日のトレースは風で消えかけていた。
 膝下のラッセルで下って行くと、時おり股まではまる。風が当たらない所まで降りると、昨日のトレースがありルンルンで下れるようになった。
 沢の所の登山口からは駐車場へ下って行くと、ご夫婦の登山者が登ってきた。行ける所まで行くという。テン場までの道は舗装道路みたいに立派なトレースがついている。お互いにラッキーである。
 トレースをたどり駐車場に着いた。車が2台ほど止めれるスペースが除雪されていた。道路を我がもの顔で歩き、車に着いた。
 今回の山行では、7月に焼石岳に来ていただいたお客様から、お古のノースフェイスのゴアの上下をいただいたものを着た。女性用のズボンは幅を広げてもらい着用した。赤と黒の服装はサングラスをしている分には、格好良く見えた。私は買えなかったので、良いものをいただき心から感謝しています。大事に着用させていただきます。
 お山の湯で汗を流し、帰路につく。

わらじ脱ぎ場下のテン場
わらじ脱ぎ場下のテン場

昨日のラッセルは、風雪で消えている
昨日のラッセルは、風雪で消えている

沢入口の登山口で
沢入口の登山口で

御神坂沢出会いで、登ってきたパーーティのトレース
御神坂沢出会いで、登ってきたパーーティのトレース

御神坂駐車場
御神坂駐車場

タイム:テント場(8:40)→御神坂駐車場(10:05〜10)→車(10:25)
↑ページの先頭に戻る