1月18日(水) 天候:晴れのち曇り メンバー:単独
コース:網張スキー場〜犬倉山〜姥倉山〜黒倉山 往復
岩手山系の山でまだ頂上に立ったことのない山は、姥倉山だった。姥倉山と黒倉山は登山道からエスケープされるので、今の時季くらいしか頂上に立とうとはあまり思わない山だった。
登山靴でフリートレックを快適に滑るため、ネットを参考にして補助具を作った。作ったからには山で試さなければならないので、網張から姥倉山へ登り、姥倉山を滑ることにする。 天気予報により、ようやく好天の日がやってきた。あまり山に行くと家族の目があるので、子供を学校に送った後にこっそりと行くことにする。
予報通り天気が良く、車窓から見る岩手山と駒ヶ岳が、晴れ渡った空に浮かぶ姿がとても美しい。こんな日に山に行ける喜びと幸せを感じながら、しばしの幸福感にひたる。
今年は雪が少なく小岩井でもあまりないが、さすが網張まで来るとそれなりに雪はあるが、それでもだいぶ少ないようだ。平日ではあるが天気が良いので、そこそこにスキーヤーやボーダー達は滑っていた。 上まで3回分のリフト券を購入すると900円だったが、50歳以上のため200円の割引となった。昔はよく滑りに訪れたものだったが、近年は全く来てはいないが、相変わらずリフト料金は安い。 リフト終点からフリートレックを履いて登り出す。稜線に出ると、久しぶりに見る犬倉山の岩肌、湯本に張り出している雪庇を見てもやはり雪は少ない。
裏岩手連峰は、三ッ石山から大深山までは見えるが、その先は雲に覆われている。来る時に見えた駒ヶ岳はもう見えなかった。天気は悪くはなってきているが、まだ風もあまりなく穏やかである。
犬倉山の頂上に立ち、昔のツアー標識を起点にして黒倉山の鞍部へと向かう。雪が深くなるとシールを付けたままではたいして滑らないが、私にとっては下りを苦手としているのでちょうど良い。そうだ、今回は滑りを目的に来ているのだった。 磁石で方向を見ると少し左寄りに下っていたため、軌道修正し膝下までのラッセルを楽しむ。こんもりと雪をかぶった木々の間から差し込む太陽は眩しく、キラキラ舞い落ちながら輝く雪片はとても美しい。
怪我をして、リハビリのため雪山に登ってこの光景を見て、また山にハマってしまったのは昨年の今頃だった。とにかく雪山は全てが美しいのである。私は雪山が大好きだ。
姥倉山の斜面が見えてきた。黒倉山の鞍部に向かうのは遠いので、直接稜線目指して登って行く。息が切れる度に後ろを振り向くと、犬倉山の向こうはもう雲に覆われ見えなくなっていた。稜線の上の青空に、舞い落ちる雪が太陽に輝き風に吹かれて落ちる様はとても美しい。
稜線に出て地図を見ると、頂上から50mばかり右に出ていたので高い所に行くが、標識も無く三角点は埋まっているみたいだった。時間的にはまだ余裕があるので黒倉山に向かう。
鞍部へ下り始めると地熱で雪が解け、登山道がすっかり出ていた。スキーを脱ぎ土の上を歩き、雪が出てきた所でまたスキーを履く。やがて鞍部に着きゆっくり休む。
鞍部から少し先でスキーをデポし、ザレ場を登って行く。天気は悪くなる一方で周りの景色は殆んど見えなくなっていた。黒倉山の頂上は、昔、冬期の黒倉山東壁を登った時以来の2度目である。
時間も押してきたので鞍部へと戻り、姥倉山へと向かう。頂上近くから、いよいよ滑降である。補助具の試作品を靴にセットし、シールを外してビンディングを滑走モードにする。 補助具を着けると踵に体重を乗せれて後傾姿勢となるため、スキーのヘッドが浮き制動がかかり、また曲がりやすくなる。なかなか良い感じであると思っていたら、ボキッという音とともに左足の補助具が折れてしまった。
たまたまネットで兼用靴を検索していると、「登山靴がスキー兼用靴に変身」というページがあり、補助具の試作品が載っていた。ヤフーのオークションでスノーボード用のビンディングを購入し、ホーマックでプレート等の材料を購入し、見よう見まねで作った試作品である。ビンディングは大分古い物だったので、部分的に弱くなっていたのだろう。
しかし、滑走時には威力を発揮してくれたので、また2号器を作らねばならない。登りは任せての私にとっては下りがイマイチで、補助具が無いとスキーが楽しくならないのである。
快適な滑走も下に着き、すぐに終わってしまった。シールを付け犬倉山へと登って行く。来た時の踏み跡をたどって行くと、登りでシールが外れた。シールを付ける時に寒くて粘着力が弱かったが、登りが急になると粘着力が持たなかったようだ。
紐で固定して付けるがすぐに外れてしまう。時間だけが過ぎていき、日暮れの時間も近づいてきて焦るが、思うようにシールは効いてくれない。シールは諦めて、スキーに巻けるものを探して巻くが、効き目はイマイチだ。トレースから外れ、緩い傾斜をとりながらラッセルする。
スキー場の上の湯元側に張り出した雪庇部分を過ぎるとちょうど暗くなり、雪も降ってきた。真っ暗なスキー場を、足元をヘットランプで照らしながらゆっくりと滑って行った。快調だった滑りもやがて腿が疲れてきて、2度・3度と転びながらホテルの照明に照らされた駐車場に着いた。
山想会の先輩が言っていた『山では何があるか分からない、夏でもヘットランプを持って歩け』の言葉を思い出した。今回は遅い出発であったが、1,200m以上の山を登るのであれば、早立ちをしなければならないと痛切に思った。それこそ『山では何があるか分からない』である。
タイム:リフト終点(10:20)→犬倉山(10:50)→姥倉山(12:40)→黒倉山鞍部(13:10〜20)→黒倉山(13:50)→姥倉山付近(14:40〜50)→スキー場駐車場(17:50) |