岩泉ドラゴン アイスクライミング
 


2022年1月23日(日)
 メンバー:鈴木 博隆さん、小田中 智
 場所:岩泉丹洞岩氷柱 ドラゴン 6級-


岩泉丹洞岩
 丹洞岩は、岩泉町西野地区にある高さが約100mにおよぶ石灰岩の岩壁で、岩泉三十景に選ばれている観光名所である。
 岩泉町役場の裏から東側の住宅地を越え、鼠入川に向かう道路を小本川へ降りるように下って行くと、右側の川べりに白い岩肌の岩壁が見える。高さは100mと言われているが実際には80m位、幅が100m位と思われる。すぐ下には小本川が流れ、川のせせらぎと岸辺の岩場の渕が美しさをかもし出している。
 しかし、2016年8月30日台風10号の通過により、住宅地は激しい濁流にのまれ、多大な被害と犠牲者が出た場所である。

丹洞岩氷柱 ドラゴン
 丹洞岩のすぐ左の岩壁に、垂直に落ちる氷柱がぶら下がっている。垂直部の高さ30m、傾斜90度、グレード6-。氷はツララ状で、その上は高さ10m程の緩傾斜の氷がビレイ点となる大木まで続いている。
 2012年1月28日、萬徳 清孝氏が初登しグレード6-をつけ、ドラゴンという名前をつけた。氷柱の左右には翼のような氷がぶら下がっているので、ドラゴンが飛び立つように見える。

23日(曇り)
 昨年は2度のトップロープクライミングをしているので、今年の目標はリードである。先週の「大峠の滝」に引き続き鈴木さんと登ることになった。
 今年は例年になく寒いので氷の状態も良いものと思われる。先週にはアルペンローズ山岳会の方が登ったようだ。
 8時半に小本川に架かる橋で待ち合わせる。行く途中の外山から早坂トンネルまでは積雪があり、滑りやすい道路状態であった。今日は日曜ともあって、岩洞湖のワカサギ釣りには沢山のテントが張ってあった。
 小本川に架かる橋のたもとに駐車し、川べりを伝って氷柱に向かう。丹洞岩と氷柱が見えてくると、小本川の水流に相まって美しい光景だ。今回はリードクライミングなので丹洞岩の手前から入ったが、トップロープであればもう少し下流の橋から入るのである。
 氷柱はなんとしたことか水しぶきが落ちており、氷の質も水分が多く含んでおりアックスの刺さりも悪い。トップロープにするんだったと逃げ腰になってしまうが、これから戻ってトップロープにするには時間がかかりすぎるので、行くしかないのである。
 準備をして小田中リードで登り始める。私の得物はテックマシーン2本であるが、やはり刺さりが悪く、支点を2本取るまでは慎重に登らなければならない。
 1本目のスクリューを刺すととりあえず気持ちは楽になった。いきなりアックスが抜け1mほど落ちてしまった。気を取り直して登って行くが、水しぶきでメガネが濡れ登りづらい。
 スクリューを刺す時には本来であればノーテンションでやらなければならないが、氷の状態が悪いし、老人だからという理由をつけ、アックスにフィフィを掛けて行った。スクリューを4本セットし、水しぶきでメガネが濡れるという理由をつけて下降した。高さはやや10mほどで3分の1を登ったことになる。
 鈴木さんの得物はノミックとクウォークであり、ノミックは刺さりが良いようだ。ヘルメットに動画用カメラを取り付けマスクをかぶり、スパイダーマンのような格好で登って行った。体系が細いので格好も良いスパイダーマンであるが、私は少し太めなのでさながらヘンタイマンである。
 まだ11時を過ぎたばかりであるが腹が減ったので、カップラーメン定食の昼飯とした。流れる小本川は渕のところが青く淀み良い景色だ。
 10mほどのトップロープになっているので、緊張もせずに登って行く。リードとトップロープではこんなにも違うのかと思いながら、カロヤカ?に登る。
 先ほどの終了点からは登りづらい部分で、よりアックスの刺さりに気を使いながら登る。今度は何を理由に下ろうかと思うのだが、理由は見つからないが疲れたので再び下る。これで3分の2を登ったことになる。
 鈴木さんも3分の1からの出だしで苦労し、間もなく下ってきた。さあ、いよいよラストの完登である。鈴木さんの得物2本を借りて登り始めると、思った通りノミックは刺さりが抜群である。
 3分の2からの出だしは難しめであるが、力が弱い左手にノミックを持つと効いてくれるので安心だ。スクリューを刺すときにアックスにフィフィを掛けると疲れないばかりでなく、安心感と両手が使えるので精神的にも大きな効果だ。
 垂直部での私の場合の体重移動は、両手にぶら下がるように尻を下げ壁面から体を離し、足を確実に効かせてから腕に力を込めて登るスタイルである。たぶん格好的には悪いように思うが、これが私にとっては登れるスタイルである。
 垂直部が終わると緩やかな傾斜で太い立ち木へと続いているが、60mザイルのセンターは終わりに近いので、最後のスクリューを刺し下降用のV字スレットを作らなければならない。
 V字スレットでは前にも下降したことがあるが、見た目ではこんなんで氷が欠けないかと思うのであるが結構強く、今回は特別2ヵ所作り細引きを連結させて支点にした。下りではスクリューを回収しながらロープにぶら下がった。
 鈴木さんは腕力が切れみたいであるが、それでも最高到達点を伸ばして下ってきた。頑張ったことを記念して握手を交わした。
 これでリードで登ったことになるのだが、3分割して登ったので完登は次回に持ち越すことにする。それは別にしてなんと気持ちが良いことだろうか。腕力もまだまだ残っているので、余計に嬉しさがこみあげてくるのである。
 また来週からのクライミングが楽しみだ。


車から10分ほど歩くと見えてくる 右が丹洞岩、左にドラゴン


ドラゴン近辺の全容


丹洞岩の全容


ドラゴンの全容


取付く小田中


1回目からの登り出し


2回目終了点


登る鈴木さん


1回目中間点





1回目終了点


2回目終了点


3回目登り出し


最後に向かって


1回目終了点登り出し


拡大版
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