唐沢岳幕岩 畠山ルート・大凹角ルート

幕岩正面壁全容 イメージ

 唐沢岳幕岩は、高差350m、巾500mに及び、西壁、正面壁、左岩壁に分かれ、正面壁は巨大なハングと垂直なスラブで構成された大岩壁である。会ではこの山域は初めてである。
 砂子が東京から戻ってきたので、雲表倶楽部の近藤さんと一緒に登ることにした。
 目標は、正面壁であり、大ハングとフリー主体のルートを選んだ。
 ・畠山ルート 小田中、近藤
 ・京都ルート 砂子、千葉
 ・大凹角ルート 小田中、千葉
 ・S字状ルート 砂子、近藤

9月13日
 19時頃、車で盛岡を出て高速道を走る。運転は2時間交替でひたすら走る。

唐沢岳概念図

9月14日(小雨)
 早朝に信濃大町に着き、北鎌尾根入口の葛温泉で車を降りる。
 小雨の中、高瀬ダムから唐沢に入り、唐沢をしばらく歩き、ワシの滝から踏み跡をたどると岩小屋に着いた。通称「大町の宿」と言われ、水場もある。
 近藤さんは既に来てテントを張っており、並べて隣に張る。まだ昼過ぎだが、小雨が降っていたので取付き点を偵察し、再会を祝して乾杯する。

コース/葛温泉〜高瀬ダム〜唐沢〜大町の宿


9月15日(曇り)
 私は、近藤さんと畠山ルートを登ることにして、取付きに向かう。
 畠山ルートは、正面壁左の中央カンテに位置し、ハング帯はないが、13ピッチのフリー主体のクラシックなルートである。
 7時過ぎ、近藤さんトップでルンゼから登り出す。岩は花崗岩質で硬いが、浮き石が多い。 
 簡単なルンゼから、2ピッチ目小田中にトップを交替し、ツルベ式で登る。3ピッチ目は、前傾のハングで終始人工となる。
 凹角からスラブと快適なフリーであるが、傾斜が弱くなると草付きも多い。7ピッチで大広間テラスに着き、ここからが傾斜が強くなり、核心部となる。
 小田中トップで左上しながらクラックを登る。人工を交えながら4級のフェースからスラブが続き、ルンゼからスラブを登って終了する。
 ルートは、下部以外は4級のフリーが続き、13ピッチのロングルートで、楽しい登攀だった。ブッシュ帯を右にトラバースし、右稜の頭から右稜を5回の懸垂下降で右稜のコルに出て、かれ沢を下り「大町の宿」に着く。
 砂子、千葉は、ハングの一番大きい京都ルートに取付き、暗くなる頃帰ってきた。

コース/大町の宿〜畠山ルート〜右稜下降〜大町の宿
中央カンテ畠山ルート図


畠山ルート下部壁???


9月16日(曇り)
 千葉と大凹角ルートを登ることにする。
 大凹角ルートは、正面壁の右端に位置し、大きな凹角から上部の大チムニーを登るフリー主体のルートで、幕岩の入門ルートでもある。取付きは右稜コルの左側になる。
 千葉トップで凹角から登り出し、トップを交替しながらツルベ式で登る。
 スラブから洞穴テラスに出て、洞穴の左から垂壁を人工で越え、スラブを右にトラバースし、ボルトラダーを直上してボサテラスに出る。ここからフリーとなり、左上気味に登り、ジェードルからスラブを登り、中央バンドのブッシュ帯に入る。
 上部壁は、中央バンドを右にトラバースし大チムニーに入り、人工テラスに出て左にラッペをたどり、大チムニーに入る。
 右のボルトラダーからチョックストーンの下を右から回り込み、フェースからルンゼを登って登攀を終了する。10ピッチの楽しい登攀だった。
 すぐ右は右稜の頭で、昨日下降した右稜を懸垂で下降し、2時頃「大町の宿」に着く。
 1時間ほど待つと、S字状ルートを登った砂子と近藤が帰ってきたので、テントを撤収し下山する。
 夕方、葛温泉を発ち、17日早朝盛岡に着いた。

コース/大町の宿〜大凹角ルート〜右稜下降    〜大町の宿〜葛温泉
正面壁 大凹角ルート図


大凹角ルート イメージ

                             盛岡山想会山懐10号より掲載 記:小田中 智
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